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フリーランスエンジニアの単価相場の見方と見積もりの比べ方
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論
- フリーランスエンジニアの職種別の月額単価をまとめた公的な統計は見当たらず、社員の給与の統計を物差しに使います。
- 見積もりは、担う工程・経験・稼働時間の幅・期間・働く場所・間に入る会社をそろえてから比べます。
- SESとの違いは商流にあり、再委託のたびに中間マージン等が差し引かれる点を押さえて形を選びます。
※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
開発の手が足りず、フリーランスのエンジニアに業務委託で加わってもらうことになった。見積もりを取ってみたものの、この月額が高いのか安いのか判断がつかず、社内への説明に困っている——。
本記事は、開発マネージャーや情報システムの責任者、経営者に向けて、払う側から見たフリーランスエンジニアの単価相場の見方を整理します。公的な統計で取れる社員の給与を職種ごとの物差しにし、単価が何で決まるか、SESの単価と何が違うか、見積もりを比べるときの確認点をまとめます。
目次
フリーランスエンジニアの単価相場とは
フリーランスエンジニアの単価は、業務委託で1か月に払う報酬の額を指すことが多く、人月単価(1人が1か月働いた分の額)とも呼ばれます。月の稼働時間に幅を決め、超えた分と足りない分を精算する取り決めを置くこともあります。
気をつけたいのは数字の出どころです。本記事で確かめた範囲では、官公庁の統計に、フリーランスのエンジニアの職種別の月額単価をまとめたものは見当たりませんでした。求人サイトや仲介会社の相場は自社案件の集計で、範囲が会社ごとに違います。そこで本記事では、次の3つで単価相場に答えます。
- 公的な統計で取れる社員の給与を、職種ごとの物差しにする
- 単価が何で決まるかを、条件ごとに分けて見る
- 間に入る会社の数(商流)とマージンで、SESの単価との違いを見る
職種別に見る社員の給与の水準
物差しに使うのは、厚生労働省の賃金構造基本統計調査です。令和7年の調査は令和7(2025)年6月分の賃金を調べたもので、賞与などは原則として令和6(2024)年1月から12月までの1年間の分です。*2 職種は、情報処理プロジェクトマネージャを含むシステムコンサルタント・設計者、プログラマーや社内システムエンジニアを含むソフトウェア作成者、サーバー管理者や情報セキュリティ技術者を含むその他の情報処理・通信技術者の3つを使います。*3

| 職種 | 含まれる職種の例 | 残業代込みの月額 | 年間賞与その他特別給与額 | 賞与込みの月あたり |
|---|---|---|---|---|
| システムコンサルタント・設計者 | 情報処理プロジェクトマネージャ、システムアナリスト | 542.1 | 2,385.2 | 740.9 |
| ソフトウェア作成者 | プログラマー、社内システムエンジニア | 390.8 | 1,095.1 | 482.1 |
| その他の情報処理・通信技術者 | サーバー管理者、情報セキュリティ技術者 | 415.8 | 1,108.0 | 508.1 |
賞与を含めて月あたりに直すと、システムコンサルタント・設計者が約74万円、その他の情報処理・通信技術者が約51万円、ソフトウェア作成者が約48万円です。*1 これは社員に支払われた給与の額で、調査の項目に、会社が別に負担する社会保険料や採用の費用は入っていません。*2
業務委託の報酬には、本人が負担する社会保険料や経費、契約の無い期間への備えが含まれると考えられるため、社員の給与の月額より高めに出ることがあります。比べるときは、社員なら会社が負担する分も含めた総額で並べます。
単価が何で決まるか
同じ職種でも見積もりの額が分かれるのは、次の条件が人と案件ごとに違うからです。
| 条件 | 違いの例 | 見積もりで確かめること |
|---|---|---|
| 担う工程 | 設計や全体の管理まで任せるか、決まった仕様の開発だけか | 任せる工程の一覧 |
| 経験と技術 | 使う言語やクラウド、業界の経験 | 必須の経験と、あればうれしい経験の区別 |
| 稼働の量 | 週5日か週2〜3日か、月の稼働時間の幅 | 時間の幅と、超えた分・足りない分の精算 |
| 期間 | 数か月の短期か、半年以上の継続か | 契約期間と更新の区切り |
| 働く場所 | リモートか、出社が要るか | 出社の頻度と交通費の扱い |
| 間に入る会社 | 本人と直接か、エージェント経由か、さらに再委託があるか | 契約の相手と再委託の有無 |
見落としやすいのは稼働の量です。月額が同じでも、月の稼働時間の上限が140時間の見積もりと180時間の見積もりでは、1時間あたりの額に約1.3倍の差が出ます。見積もりは、月額と稼働時間の幅を対にして並べます。
任せる工程も額を左右します。設計や管理まで任せるのか、決まった仕様の開発だけかを先に決めておくと、物差しにする職種も選びやすくなります。
SESの単価との違い
フリーランスに業務委託で頼む場合と、SES(システムエンジニアリングサービス:技術者の作業を月単位で提供してもらう契約)の会社から技術者を受け入れる場合とでは、払った額の行き先が違います。違いは商流、つまり自社と作業する人の間に何社が入るかです。
公正取引委員会の「ソフトウェア業の下請取引等に関する実態調査報告書」は、多重下請構造の下では再委託のたびに中間マージン等が差し引かれるため、下層に行くほど受注金額が低くならざるを得ないと指摘しています。*4 調査では、エンジニアの準委任契約で5社が間に入ることもあるという声も紹介されました。*4 実際には業務を行わずに利益を上げている「中抜き」事業者の存在を感じたことがあると答えた事業者は、中間下請で29.2%、最終下請で33.5%でした。*4
| 項目 | フリーランスと直接契約 | エージェント経由 | SES(再委託が重なる場合) |
|---|---|---|---|
| 契約の相手 | フリーランス本人 | エージェント | SESの会社(元請) |
| 自社と作業する人の間の会社 | なし | 1社 | 1社以上(再委託があれば増える) |
| 払った額から差し引かれるもの | なし | エージェントの取り分 | 間に入る会社それぞれの取り分 |
| 額の内訳の確かめやすさ | 本人と直接話せる | エージェントに尋ねる | 商流が長いほど見えにくい |
| 人が抜けたときの代わり | 自社で探す | 紹介を頼めるかを契約で確かめる | 会社に代わりを求められるかを契約で確かめる |
| 向いている場面 | 仕事ぶりを知る人がいて、手続きを自社で回せる | 探す時間が限られている | 複数人の体制をまとめて頼みたい |
間に入る会社が少ないほど作業する人に届く分は大きくなりやすい一方、探す手間や抜けたときの手当てを自社で受け持つ分が増えます。SESの費用の内訳はSESの費用相場はいくら?、商流の深さによる違いはSES多重下請けの商流と単価、直接契約とエージェント経由の選び方はフリーランスの直接契約とエージェント経由の違いで扱っています。
外部に頼むときに確認しておきたい点
見積もりを取る前に次の5つを書き出しておくと、額の違いの理由を読み取りやすくなり、そのまま相談の準備にもなります。

- 範囲:任せる工程と、受け取りたいもの(設計書、動くもの、運用の手順書など)
- 期間:始めたい時期、終わりの見込み、更新の区切り
- 体制:何人で、週何日・月何時間の稼働か、社内の窓口は誰か
- 費用の決まり方:月額で固定するか、時間の幅で精算するか、超えた分と足りない分の扱い
- 引き継ぎ:作業の記録の置き場所と、契約が終わるときに受け取るもの
発注側には法律の決まりもあります。フリーランス・事業者間取引適正化等法は、業務委託をしたら直ちに、給付の内容、報酬の額、支払期日などを書面か電磁的方法で明示するよう定めています。*5 従業員を使っている発注側は、報酬の支払期日を、給付を受け取った日から60日以内で、できる限り短い期間内に定めます。*5 誰がこれらを負うかは契約の形で変わるため、個々の契約は専門家に確かめてください。法律の全体はフリーランス新法とはで扱っています。
まとめ:フリーランスエンジニアの単価相場の見方
フリーランスエンジニアの単価相場を払う側から見るときに押さえたい点は3つです。第一に、職種別の月額単価をまとめた公的な統計は見当たらないため、賃金構造基本統計調査の社員の給与を物差しにし、会社の負担分も含めた総額で比べること。第二に、担う工程、経験、稼働時間の幅、期間、働く場所、間に入る会社をそろえてから見積もりを並べること。第三に、SESとの違いは商流にあり、再委託のたびに中間マージン等が差し引かれることを踏まえて、体制と期間に合う形を選ぶことです。条件の書き出しに迷ったら、外部の手を借りるのも一つの方法です。
よくある質問
フリーランスエンジニアの単価は、社員の給与より高いのが普通ですか
業務委託の報酬には、本人が負担する社会保険料や経費などが含まれると考えられるため、社員の給与の月額だけと比べると高く見えることがあります。比べるときは、会社が負担する分も含めた総額で並べます。
見積もりの額が人によって大きく違うのはなぜですか
担う工程、経験と技術、月の稼働時間の幅、期間、働く場所、間に入る会社の数が違うためです。月額だけでなく、どの条件で出た額なのかをそろえてから比べます。
SESとフリーランスへの直接の依頼では、どちらが安くなりますか
一概には言えません。間に入る会社が少ないほど、払った額のうち作業する人に届く分は大きくなりやすい一方、探す手間や人が抜けたときの手当てを自社で受け持ちます。必要な人数と期間、社内で受け持てる手続きで比べて選びます。
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出典
- *1 参考:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」一般労働者 職種 第1表(e-Stat)(https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000040421116&fileKind=4)。出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」一般労働者 職種 第1表(政府統計の総合窓口e-Stat)。男女計・企業規模計(10人以上)の、システムコンサルタント・設計者、ソフトウェア作成者、その他の情報処理・通信技術者のきまって支給する現金給与額と年間賞与その他特別給与額を参照(確認日2026年10月20日)(2026年10月確認)
- *2 参考:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2025/index.html)。出典:厚生労働省。調査事項と調査の時期を参照(確認日2026年10月20日)(2026年10月確認)
- *3 参考:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 役職及び職種解説」(e-Stat)(https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000040465352&fileKind=2)。出典:厚生労働省。システムコンサルタント・設計者、ソフトウェア作成者、その他の情報処理・通信技術者の含まれる職種の例を参照(確認日2026年10月20日)(2026年10月確認)
- *4 参考:公正取引委員会「ソフトウェア業の下請取引等に関する実態調査報告書」(2022年6月29日公表)(https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2022/jun/220629_software.html)。出典:公正取引委員会。報告書本体の第3部第2の1(多重下請構造から生じ得る問題点・買いたたき)と第3部第2の2(「中抜き」事業者の実感・図表3-2-1)を参照(確認日2026年10月20日)(2026年10月確認)
- *5 参考:特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(e-Gov法令検索)(https://laws.e-gov.go.jp/law/505AC0000000025)。出典:e-Gov法令検索。第3条(給付の内容その他の事項の明示等)と第4条第1項(報酬の支払期日等)を参照(確認日2026年10月20日)(2026年10月確認)