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エンジニア人材紹介と求人媒体の違い、乗り換えで変わる社内の作業
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- 求人媒体に乗り換えると、どの応募者と話を進めるかを決めて返信する作業が、紹介会社から自社に移ります。
- 紹介会社も求人媒体も、料金や違約金の金額・発生する条件・解除の方法を書面で示すので、乗り換える前に契約ごとに読み直します。
- 届出が要る求人媒体の運営者の一覧は厚生労働省が公表しており、2026年9月1日時点で1,501の事業者が載っています。
※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
紹介会社に頼んでいるのに、候補者の紹介がしばらく止まっている。求人媒体に切り替えてみたら、応募は来たものの返信が追いつかない——。エンジニアの中途採用では、こうした悩みが起こりがちです。エンジニア人材紹介から求人媒体への乗り換えとは、候補者を探して引き合わせる仕事を紹介会社に任せる形から、求人情報を載せて自社で候補者を選ぶ形に変えることを指します。
採用の費用を見直したいとき、応募者と直接やり取りしたいときには検討する価値のある選択です。ただし万能ではなく、紹介会社が受け持っていた作業は社内の誰かが引き受けることになります。本記事では、開発チームの採用を担うマネージャーに向けて、人材紹介と求人媒体の違い、求人媒体の種類、乗り換えで社内に移る作業、契約で確かめておく点、そして乗り換え先の確かめ方を整理します。
人材紹介と求人媒体の違い
職業安定法は、人材紹介にあたる「職業紹介」を、求人と求職の申込みを受けて、求人者と求職者の間の雇用関係の成立をあっせんすることと定めています。これに対し、求人媒体が行う「募集情報等提供」は、企業の求人情報を働きたい人に届けることや、働きたい人の情報を企業に届けることを指します。*2 前者は人と人を引き合わせる仕事で、後者は情報を届ける仕事です。
厚生労働省は、この2つの境目を具体的に示しています。仲介する側が自分の判断で情報を渡す相手を選ぶ、渡す相手に合わせて情報の中身を書き換える、求人者と求職者のやり取りを中継するときに文面を書き換える——このどれかを行う場合は、職業紹介の許可が必要です。求人者に代わって採用候補者を選んだり、求人者の判断によらずに選考のメールへ返信したりする場合も、職業紹介に当たるとされています。*5
裏返せば、求人媒体を使うときは、どの応募者と話を進めるかを決めて返信するのは自社の仕事です。エンジニア人材紹介では紹介会社の担当者が引き受けていた作業が、乗り換えると社内に移ります。費用の決まり方も違います。紹介会社が受け取れる手数料は、厚生労働省令が定める種類と額のものか、紹介会社が国に届け出た手数料表に基づくものに限られます。*2 求人媒体の料金は、運営する事業者との契約で決まります。
求人媒体の種類
職業安定法は、募集情報等提供を4つの類型に分けています。厚生労働省の説明では、1号は企業の依頼を受けて求人情報を届ける求人サイトや求人誌、2号は依頼を受けずに他の求人サイトの情報を集めて載せるサイトです。3号は求職者が登録した情報を企業が見て、求職者にオファー(企業から送る面談や応募の誘い)を送れるサービス、4号は求職者がネット上に載せた実績などを集めて企業に見せるサービスです。*1
1号から4号のどれであっても、働きたい人の情報を集めて行うものを「特定募集情報等提供」といい、事業を始める前に厚生労働大臣への届出が要ります。届け出た事業者は、毎年6月1日時点の事業の状況を、8月31日までに報告書にまとめて提出します。その集計では、2025年6月1日時点で報告書を出した事業者は1,283、報告のあったサービスは1,642でした。*1
類型別に見ると、1号が1,502サービスと大半を占め、3号が623、2号が132、4号が6です。*1 1つのサービスが複数の類型に当たる場合があるため、4つを合計してもサービスの総数とは一致しません。エンジニア採用で求人媒体と呼ばれるものは、主に1号の求人サイトと、3号のオファーを送るサービスです。乗り換え先がどちらの形なのかによって、社内で受け持つ作業が変わります。
乗り換えで社内に移る作業
人材紹介から求人媒体に乗り換えたとき、作業を受け持つ側がどう変わるかを表にまとめました。前の節で見た職業紹介と募集情報等提供の区分をもとにした整理です。
| 作業 | 人材紹介 | 求人サイト(1号) | オファーを送るサービス(3号) |
|---|---|---|---|
| 求人の内容を決める | 自社 | 自社 | 自社 |
| 候補者を探す | 紹介会社 | 求人を見た人が応募してくる | 自社が登録者を検索する |
| 話を進める相手を選ぶ | 紹介会社が選んで紹介し、自社が判断する | 自社 | 自社 |
| 応募者への返信 | 紹介会社を通すことがある | 自社 | 自社 |
| 費用の決まり方 | 手数料(契約で確かめる) | 契約で確かめる | 契約で確かめる |
表のうち大きく変わるのは、話を進める相手を選ぶ作業と、応募者への返信です。求人サイトでは応募が自社に直接届くので、書類を読んで誰と面接するかを決め、返信する担当者を社内に置いておく必要があります。オファーを送るサービスでは、登録者を検索して声をかける作業も自社で行います。技術面の判断を開発チームのマネージャーが受け持つなら、週に何時間を割けるかを先に見積もっておくと、乗り換えた後に返信が止まりにくくなります。
求人の内容を正しく保つ責任は、どの形でも自社にあります。職業安定法は、求人を出して人を募集する企業に対し、広告などで出す募集の情報を正確かつ最新の内容に保つよう求めています。*2 表示のルールは「求人情報の的確な表示、企業に課される義務」で扱っています。
契約で確かめておく点
乗り換えでまず確かめたいのは、いま使っているサービスの契約と、次に使うサービスの契約です。厚生労働省が職業安定法に基づいて定めた指針は、紹介会社に対し、違約金など求人を出した企業が負担する金銭について、金額、発生する条件、解除の方法を含む契約の内容を、書面や電子メールなどであらかじめ示すよう求めています。求人媒体を運営する事業者にも、料金や違約金などの金額・条件・解除の方法を、書面やメールであらかじめ示すことが求められています。*4
指針は、口頭での説明や、ホームページの該当箇所を案内するだけでは、適切に示したとはいえないとしています。契約のときに受け取った書面やメールを、乗り換えの前に読み直します。解約の申し出がいつまでに必要か、掲載期間の途中でやめたときの料金はどうなるか、紹介を受けた候補者を後から採用したときにどうなるかは、契約ごとに違います。一般論で判断せず、それぞれの契約書で確かめてください。
新しく使うサービスの契約も同じです。料金が発生する条件と解除の方法が書面で示されているかを、申し込む前に確かめます。読んでも分からない点があれば、質問への回答もメールなどの残る形でもらっておくと、あとで食い違いにくくなります。人材紹介の手数料や返戻金(早く辞めたときに手数料の一部を返す仕組み)の見方は「人材紹介会社の選び方」で扱っています。
乗り換え先の確かめ方
届出が要る求人媒体の運営者は、厚生労働省が一覧を公表しています。2026年9月1日時点の一覧には1,501の事業者が載っており、それぞれに「51-募-」で始まる届出受理番号が付いています。一覧には、各事業者の主なサービスは厚生労働省の人材サービス総合サイトで確かめるよう注記があります。*6 乗り換え先を決める前に、運営する会社の名前で一覧を検索しておきます。
事業者が公開している情報も手がかりになります。職業安定法は、求人媒体を運営する者に、求人情報の的確な表示や苦情の処理などについて、利用者に向けて情報を提供するよう努めることを求めています。法律の細目を定めた施行規則は、その中身として、個人情報を適正に管理するための措置と、求人情報に順位を付けて表示する場合の、順位を決める主な事項を挙げています。掲載を頼んだ企業が払う広告宣伝の費用などが順位に影響する可能性があれば、その旨も含めるとされています。*3
エンジニアの求人は、同じ技術の名前で多くの求人が並びます。有料の掲載枠で表示の順位が変わる仕組みかどうかは、料金を比べる前に確かめておきたい点です。あわせて、問い合わせや苦情の窓口がどこにあるかも見ておきます。求人媒体を運営する者は、苦情を適切かつ迅速に処理するための体制を整えなければならず、厚生労働省が事業者向けに示した業務運営要領は、少なくとも電話番号やメールアドレス、問い合わせフォームなどの窓口を明確にする必要があるとしています。*7
つまずきやすい点
一つ目は、求人媒体に乗り換えたのに、応募への返信を受け持つ人を決めていないことです。返信の担当者と、応募から返信までの目安の日数を、掲載を始める前に決めておきます。
二つ目は、今の契約の書面を読まずに、やめる時期を決めてしまうことです。解約の申し出の期限や、途中でやめたときの扱いは契約ごとに違うので、書面で確かめてから日程を組みます。人材紹介と求人媒体をしばらく併用する場合は、同じ候補者が両方の経路から応募してきたときの扱いも、それぞれの契約で確かめておきます。
三つ目は、応募が来ることを約束するサービスを求人媒体だと思い込み、職業紹介の許可を確かめないまま申し込むことです。厚生労働省は、求人者に応募があることを確約するような宣伝広告をする場合は職業紹介に当たるとしています。*5 そうしたサービスを使うなら、職業紹介事業の許可を受けているかを確かめます。サービスの名前ではなく、何をしてくれるのかで判断するのが確実です。
まとめ:乗り換えで確かめておきたい3つの点
エンジニア人材紹介から求人媒体へ乗り換えるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、話を進める相手を選ぶ作業と応募者への返信が自社に移るので、担当者と時間を先に決めておくこと。第二に、今の契約と次の契約の書面を読み、料金・違約金・解除の方法を契約ごとに確かめること。第三に、乗り換え先が届出の一覧に載っているか、表示の順位の決め方や問い合わせの窓口を公開しているかを見ることです。この3点を踏まえておけば、「切り替えたのに応募者への返信が遅れて、候補者に辞退された」という事態を避けやすくなります。採用が決まるまでの開発体制に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。
よくある質問
求人媒体の利用料を、応募したエンジニアが払うことはありますか
届出が要る求人媒体の事業者は、その媒体を通じて募集に応じた人から、いかなる名義でも報酬を受け取ってはなりません。厚生労働省の業務運営要領は、システム利用料といった名前でも、実質的に応募の対価であれば違反になるとしています。*7
紹介会社との契約をやめたら、その紹介会社が、紹介で入社した社員に転職を勧めることはありますか
指針は、職業紹介事業者が、その紹介で期間の定めのない雇用契約(契約期間に終わりのない雇用)を結んで就職した人に対し、就職した日から2年間は転職を勧めてはならないとしています。*4 契約をやめるかどうかにかかわらず、この決まりは同じです。
求人媒体の事業者が、載せた求人の内容を書き換えることはありますか
指針は、求人媒体の事業者が、情報の提供を依頼した者の承諾を得ずに情報を改変して提供してはならないとしています。一方で、内容が法令に違反する求人については、依頼した者に変更を求めるか、提供を中止しなければならないとされています。*4
採用が決まるまでの開発体制を相談したいとき
任せたい開発の作業と期間の整理からご相談いただけます。
Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も探せます。
Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。
出典
- *1 参考:厚生労働省「特定募集情報等提供事業の令和7年6月1日現在の状況等(速報)」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_71829.html)。出典:厚生労働省(令和8年3月24日公表)。事業概況報告書を提出した事業者数1,283、サービス数1,642と第1号〜第4号事業の数、第1号〜第4号事業の説明と例を参照(2026年9月確認)
- *2 参考:e-Gov法令検索「職業安定法」(https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000141)。出典:職業安定法(昭和22年法律第141号)第4条第1項(職業紹介)・第6項(募集情報等提供)・第7項(特定募集情報等提供)、第5条の4第2項、第32条の3第1項、第43条の2第1項、第43条の3、第43条の6、第43条の7を参照(2026年9月確認)
- *3 参考:e-Gov法令検索「職業安定法施行規則」(https://laws.e-gov.go.jp/law/322M40002000012)。出典:職業安定法施行規則(昭和22年労働省令第12号)第31条の3第1項(事業概況報告書の提出期限)、第31条の4第2項(情報提供の事項)を参照(2026年9月確認)
- *4 参考:厚生労働省「職業紹介事業者、求人者、労働者の募集を行う者、募集受託者、募集情報等提供事業を行う者、労働者供給事業者、労働者供給を受けようとする者等がその責務等に関して適切に対処するための指針」(https://www.mhlw.go.jp/content/001003997.pdf)。出典:平成11年労働省告示第141号(最終改正 令和6年厚生労働省告示第318号)。第六の五(一)(転職の勧奨の禁止)・九(四)(違約金等の明示)、第八の二(一)(三)(募集に関する情報の変更依頼・提供中止と改変の禁止)・五(四)(料金・違約金等の明示)を参照(2026年9月確認)
- *5 参考:厚生労働省「募集情報等提供と職業紹介の区分について」(https://www.mhlw.go.jp/stf/shoukaibosyuukubun.html)。出典:職業紹介の許可等が必要な行為(選別・加工・意思疎通の加工)と、例1-1(応募を確約する宣伝広告)・例1-3(採用候補者の選定や選考に関するメールの返信)を参照(2026年9月確認)
- *6 参考:厚生労働省「募集情報等提供事業について」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/boshuujouhouteikyou.html)。出典:同ページ掲載の「特定募集情報等提供事業事業者一覧 令和8年9月1日時点」(Excel形式)。掲載事業者数(1,501、筆者が行数を数えた値)、届出受理番号の形式、人材サービス総合サイトに関する注記を参照(2026年9月確認)
- *7 参考:厚生労働省「募集情報等提供事業の業務運営要領」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000179548.html)。出典:令和8年9月14日から適用の業務運営要領 第3の4(報酬受領の禁止)・5(苦情の処理)を参照(2026年9月確認)