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2026.09.29 採用支援コラム

外部人材活用の稟議、社内説明で答えておく5つの問い




監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論

  • 社内説明では、外部人材に頼む理由、任せる作業と期間、リスクと対策、続けるかどうかの基準に答えを用意します。
  • 中小企業白書の調査では、外部人材を活用したい理由の上位は、専門的な技術やノウハウの活用と人手不足でした。
  • 活用してみたい企業の46.1%が能力の見極めを課題に挙げており、懸念ごとに防ぎ方を対にして示すと伝わります。

※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

開発を外部の専門人材に手伝ってもらおうと稟議を出したら、「社員を採用するのではだめなのか」と聞き返された。一緒に働く社員からは「自分たちの担当はどうなるのか」と尋ねられた——。外部人材活用を社内で決める場面では、こうした問いが次々に出てきがちです。稟議は、書面で決裁者の承認を得る社内の手続きです。その稟議書を回す前後に、決裁者や関係する部署、一緒に働く社員へ、外部人材(業務委託で加わる社外の人)に任せる理由と中身を伝えるのが、稟議の社内説明です。

社内説明で聞かれることは、おおむね決まっています。先に答えを用意しておけば、稟議書の書き直しや、決裁のあとの誤解を減らせます。ただし社内説明も万能ではなく、説明を尽くしても、予算そのものが足りなければ稟議は通りません。本記事では、開発チームをまとめるマネージャーに向けて、社内説明で答えておく5つの問い、中小企業庁の資料に表れた懸念への答え方、一緒に働く社員への説明、そして続けるかどうかの判断の基準を整理します。

石造りの建物の前で緑色に点灯している信号機の接写。人も文字も写っていない

稟議の社内説明で聞かれること

外部人材活用の稟議では、稟議書を読む人ごとに気にすることが違います。決裁者は、社員を採用する方法と比べて、なぜ社外の人に頼むのかを確かめます。経理は支払いの時期と金額を、情報システムの担当者は社内のシステムや資料を誰が使えるのかを確かめます。そして一緒に働く社員は、自分の担当や評価がどう変わるのかを気にします。

聞かれ方は違っても、問いをまとめると次の5つにほぼ収まります。

  • なぜ社員ではなく外部人材なのか
  • 何を任せ、何を社内に残すのか
  • いつまで任せるのか
  • どんなリスクがあり、どう防ぐのか
  • 続けるかどうかを何で決めるのか

稟議書に書く項目や、見積りに添える根拠の示し方は「外部人材活用の稟議書は見積りの根拠を添えると通りやすい」で扱いました。本記事では、稟議書を回す前後に、打ち合わせや口頭で説明する場面を中心に、5つの問いへの答え方を見ていきます。

なぜ社員ではなく外部人材なのか

中小企業庁の「2022年版中小企業白書」は、帝国データバンクが2021年11〜12月に従業員5名以上の中小企業を対象に行った調査(回収4,341社)をもとに、外部人材の活用について集計しています。調査でいう外部人材は、フリーランス(会社に属さず個人で仕事を受ける人)や副業人材を指します。*1 業種別に見ると、情報通信業では59.8%の企業がすでに外部人材を活用しており、ほかの業種の20.9〜31.7%を大きく上回っていました。*1

活用に前向きな企業が挙げた理由の上位は、どの規模でも「専門的な技術やノウハウを活用するため」と「人手不足を補うため」でした。従業員101人以上の企業では前者が69.9%で、後者の46.7%を大きく上回ります。一方、5〜20人の企業では「人手不足を補うため」が56.6%で最も多く挙がっています。「人件費を変動費化させるため」(仕事の量に応じて払う形にする)と「経費削減のため」は、どの規模でも1割前後(7.8〜11.8%)にとどまりました。*1

社内説明でも、理由がこの2つのどちらに当たるのかを先に言うと伝わりやすくなります。技能が足りないなら、「在庫管理システムを新しいサーバーに移す作業には移行の経験者が要るが、社内には経験者がいない」のように、作業の名前で示します。人手が足りないなら、社員がいまどの作業を抱えていて、どの作業が期限に間に合わないのかを示します。

九州経済産業局は、報酬や勤務時間の条件が合わず社員として迎えにくい専門人材に業務に関わってもらうため、フリーランスなどの外部人材への業務委託が広がっていると説明しています。*2 同じ技能が何年も必要なら採用を並行して進め、特定の作業と期間に限るなら外部人材に任せる——この比べ方を1文で添えておくと、決裁者は判断しやすくなります。

任せる作業と期間

同じ調査では、外部人材の活用を検討している分野も尋ねています。従業員51〜100人の企業では「IT導入」が41.7%、101人以上では40.0%で、どちらも挙がった分野の中で最も多くなりました。5〜20人の企業では「IT導入」は21.2%で、「営業・販売促進」の37.7%が最も多く挙がっています。*1

社内説明では、「開発を手伝ってもらう」ではなく、作業の名前と期間、納めてもらうものを組にして示します。「受注データを取り込む機能の設計とプログラムの作成を12月末まで。納めてもらうのは、動くプログラムと設計書、社員向けの操作手順書」——このくらいまで書けていれば、決裁者も一緒に働く社員も、何が変わるのかを思い浮かべられます。

あわせて、社内に残す仕事も書きます。何を作るかを決めること、できあがったものを受け入れるかどうかを判断すること、契約が終わったあとの保守を誰が担うかを決めることは、社員の担当として残すのが基本です。社内に残す仕事を書いておけば、「全部を任せてしまい、あとで社内の誰も中身が分からなくなるのではないか」という問いにも答えられます。

最初の契約を短めにして、進み具合を確かめる時期を決めておけば、稟議の金額も小さくなり、決裁者は判断しやすくなります。そのうえで、続けるときの条件を稟議書に書いておきます。

社内で出やすい懸念と答え方

活用に当たっての課題・障壁も、同じ調査で集計されています。すでに外部人材を活用している企業でも、「フリーランスや副業人材の能力の見極め」を35.5%、「労働条件や契約条件の調整」を28.8%が挙げました。活用したことはないが活用してみたいという企業では、それぞれ46.1%、46.0%に上ります。*1

外部人材の活用に当たっての課題・障壁を、既に活用している企業(n=956)と、活用したことはないが活用してみたい企業(n=857)で比べた横棒グラフ。フリーランスや副業人材の能力の見極め35.5%と46.1%、労働条件や契約条件の調整28.8%と46.0%、業務上の秘密の保持25.7%と38.6%、既存従業員との役割・権限のすみ分け24.2%と37.0%、フリーランスや副業人材との出会い・マッチング17.6%と37.9%、依頼業務や成果物の明確化23.6%と28.7%、既存従業員とのコミュニケーション24.8%と27.1%、フリーランスや副業人材の管理・調整13.7%と18.7%、特にない12.6%と3.5%。出典は中小企業庁「2022年版中小企業白書」第2-2-56図。

活用してみたい企業は、挙げられた8つの課題のすべてで、すでに活用している企業より高い割合になっています。「特にない」と答えた割合は、すでに活用している企業で12.6%、活用してみたい企業では3.5%でした。*1 初めて外部人材活用の稟議を出す会社では、社内から出る懸念への答えを多めに用意しておきます。

社内説明では、懸念の一つひとつに、何をして防ぐのかを対にして示します。次の表は、調査で挙がった項目のうち、社内から出やすいものについて答え方の例をまとめたものです。

社内で出やすい懸念と、社内説明で示す防ぎ方の例(懸念の項目名は2022年版中小企業白書 第2-2-56図による)
懸念 社内説明で示す防ぎ方の例
能力の見極め 過去に担当した作業と納めたものを面談で確かめる。最初の1か月の終わりに、納めたものを社員が確かめる
契約条件の調整 作業、期間、納めてもらうもの、支払いの時期を契約書に書き、稟議書と同じ内容にそろえる
業務上の秘密の保持 秘密保持の契約を結ぶ。使ってよい資料とシステムを作業に要るものに絞り、契約が終わったらアカウントを消す
既存従業員との役割・権限のすみ分け 外部人材が担う作業と、社員が担う作業と判断を表にして、始める前に共有する
既存従業員とのコミュニケーション 窓口になる社員を1人決め、週に1回、進み具合を確かめる打ち合わせを持つ

表の防ぎ方は、稟議書にも1〜2行ずつ書いておきます。口頭で説明しただけでは、あとから書面を読む人には伝わらないためです。秘密の保持やアカウントの扱いは情報システムの担当者と、契約の条件は法務や経理と、稟議を出す前に相談しておくと書き直しを減らせます。

一緒に働く社員への説明

社内説明で見落とされやすいのが、外部人材と一緒に働く社員への説明です。決裁が下りてから知らされた社員は、自分の担当が減るのか、評価がどうなるのかが分からないまま、作業の初日を迎えることになります。先の調査でも、すでに活用している企業の24.8%が「既存従業員とのコミュニケーション」を、24.2%が「既存従業員との役割・権限のすみ分け」を課題に挙げていました。*1

中小企業庁の「中小企業・小規模事業者人材活用ガイドライン」は、副業・兼業人材と社員が一緒に業務やプロジェクトを進める体制づくりが有効だとしています。そのうえで、副業・兼業人材には「予め、経営者から人材の育成方針と役割について説明し、理解を得ておくことが重要」だとしています。*3 迎える側の社員にも同じ内容を先に伝えておくと、始めてからの食い違いを減らせます。

ガイドラインは、副業・兼業人材と従業員が振り返りを行う機会や、直接協働していない従業員も含めた勉強会の定期開催も挙げています。*3 開発の仕事に当てはめるなら、外部人材が書いた設計書を社員と一緒に読み合わせる時間を、週の予定に入れておくやり方があります。社員に伝えるのは、外部人材に任せる作業、社員が引き続き担う作業と判断、そして契約が終わるまでに社員が身につけておきたい知識の3つです。

続けるかどうかの判断基準

最後の問いは、続けるか、やめるかを何で決めるのかです。稟議の時点で基準を決めていないと、契約の終わりが近づいてから、延ばすかどうかを一から議論することになります。確かめる時期と、何を見て判断するのかを、稟議書に書いておきます。

判断に使うのは、あとで実際に確かめられるものです。たとえば、決めた期限までに約束したものが納められたか、受け入れの確認で見つかった不具合が直ったか、社員への引き継ぎの資料がそろったか、の3つです。売上や利益への効果を数字で約束するのは避けます。外部人材活用の効果は、ほかの取り組みの効果と切り分けにくいためです。

判断の結果は、予定どおり終える、作業を変えて延ばす、途中で終える、の3つに分けておくと、決裁者も選びやすくなります。途中で終えるときに、それまでの成果物と資料を受け取れるよう、契約の条件も確かめておきます。延ばすときは、変わった作業と期間、金額だけを改めて稟議に書けば済むよう、最初の稟議書に延長の条件を書いておきます。

つまずきやすい点

一つ目は、説明を決裁者だけにしてしまうことです。決裁が下りても、情報システムの担当者がアカウントを用意していなければ、外部人材は初日から作業を始められません。稟議書を回す前に、関係する部署へ5つの問いへの答えを見せ、準備してほしいことを伝えておきます。

二つ目は、懸念に「問題ありません」とだけ答えてしまうことです。先の表の防ぎ方のうち、自社で実際に行うものだけを選んで書きます。書いたのに行わなければ、次の稟議で説明がつかなくなります。

三つ目は、費用の安さを主な理由にしてしまうことです。先の調査でも、人件費や経費を理由に挙げた企業は1割前後でした。必要な技能と作業、期限で説明するほうが、社員を採用する方法と比べやすくなります。

まとめ:稟議の社内説明で確かめておきたい3つの点

外部人材活用の稟議を社内説明で通すうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、社員ではなく外部人材に頼む理由を、技能が足りないのか人手が足りないのかに当てはめ、作業の名前で示すこと。第二に、任せる作業と期間、納めてもらうもの、社内に残す仕事を書き、能力の見極めや秘密の保持といった懸念には防ぎ方を対にして示すこと。第三に、一緒に働く社員に役割を先に伝え、続けるかどうかを決める時期と基準を稟議書に書いておくことです。この3点を踏まえておけば、「決裁は下りたのに、現場の社員が受け入れの準備をしていなかった」という事態を避けやすくなります。任せる作業の決め方や相手の探し方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

社内説明で任せる作業と期間が固まっても、その技能を持つ人を期限までに社内の募集だけで見つけるのは簡単ではありません。業務委託で開発に加わる専門人材も候補に入れておけば、面談で過去の作業を確かめてから稟議を出せます。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材が必要になった時点から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で実際の業務開始まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

社内説明は、稟議書を回す前と後のどちらにしますか

回す前にするのがおすすめです。関係する部署から出た意見を、稟議書に反映してから回せるためです。決裁のあとには、一緒に働く社員に、作業の初日より前に役割を伝えます。

副業のエンジニアに頼むときも、説明の中身は同じですか

基本は同じです。副業の人は本業があるため、作業にあてられる曜日や時間帯、連絡がつく時間を最初に確かめ、窓口になる社員にも伝えておきます。打ち合わせの時間も、その時間帯に合わせて決めておくと進めやすくなります。

社員から「自分の仕事が減るのでは」と聞かれたら、どう答えますか

外部人材に任せる作業と、社員が引き続き担う作業と判断を、表にして見せます。契約が終わったあとに社員が引き継ぐ作業と、それまでに身につけてほしい知識もあわせて伝えると、社員は自分の担当がどう変わるのかを具体的に思い浮かべられます。

決裁者から「社員を採用すればよいのでは」と言われたら、どうしますか

採用と外部人材活用のどちらか一方を選ぶ話にしないことです。採用を進めると決めた場合でも、採用が決まるまでの作業を外部人材に任せる、という組み合わせを示せます。採用にかかる期間の見込みを人事の担当者に確かめ、その間の作業と期間を稟議書に書きます。

外部人材活用の社内説明を準備するとき

任せる作業と期間、社内に残す仕事の整理からご相談いただけます。

Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も探せます。

Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。

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出典

  1. *1 参考:中小企業庁「2022年版 中小企業白書」第2部第2章第2節(https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2022/chusho/b2_2_2.html)。出典:中小企業庁「2022年版 中小企業白書」第2部第2章第2節「人的資本への投資と組織の柔軟性、外部人材の活用」。第2-2-52図(業種別の活用意向)、第2-2-53図(活用を検討している分野)、第2-2-54図(活用意向がある理由)、第2-2-56図(活用に当たっての課題・障壁)と各図のExcel形式のデータを参照。資料は帝国データバンク「中小企業の経営力及び組織に関する調査」(2021年11〜12月、従業員5名以上の中小企業20,000社が対象、回収4,341社)(2026年9月確認)
  2. *2 参考:九州経済産業局「中小企業におけるフリーランス(外部人材)活用・連携について」(https://www.kyushu.meti.go.jp/seisaku/chusho/freelance_alignment.html)。出典:九州経済産業局のページ(最終更新日2025年3月7日)。冒頭の説明文を参照(2026年9月確認)
  3. *3 参考:中小企業庁「中小企業・小規模事業者人材活用ガイドライン」(PDF)(https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/koyou/hitodebusoku/guideline/guideline.pdf)。出典:中小企業庁「中小企業・小規模事業者人材活用ガイドライン」(令和5年6月)。P23 ステップ3「副業・兼業人材による人材育成」の取組のポイント(従業員との協働と役割分担、知見の共有の場づくり)を参照(2026年9月確認)




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