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2026.09.09 採用支援コラム

人材確保の担当者が1人だけのときに採用を止めない進め方

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

霧のかかった草地に木が1本だけ立っている様子

この記事の結論

  • IPAの調査では、採用などを受け持つ担当者の確保を課題に挙げた企業が、業態別に見て70%から79%ありました。
  • 社外の人材サービスなどとの連携を課題に挙げた企業は40%から56%で、業態によって差があります。
  • 担当者が1人なら、誰を採るかの判断は社内に残し、日程の調整や連絡を期間を決めて委託します。

※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

採用の作業を回しているのが1人だけで、その人が休むと募集も面接の日程調整も止まってしまう。人を増やしたくても、増やすための採用を受け持つ人がいない——。エンジニアを採用する会社では、こうした行き詰まりが起こりがちです。人材確保の担当者とは、社外から人を採る、社内で人を育てるといった、人材の確保と強化にかかわる作業を受け持つ人のことです。

担当者が1人しかいなくても、作業を分けて一部を委託すれば、採用が止まる事態は避けやすくなります。ただし委託は万能ではなく、誰を採るかという判断まで委ねるのはおすすめできません。本記事では、エンジニアを採用する実務担当者に向けて、担当者不足を課題に挙げる企業の割合、業態によって差が出る課題、担当者が1人でも採用を止めない進め方、そして外部に委託するときに確認したい点を整理します。

人材確保の担当者が受け持つ作業

採用の作業を細かく分けると、採用要件を書く、候補者を集める、面接の日程を組む、面接する人どうしの評価をそろえる、候補者に連絡する、といった作業が並びます。これを1人で受け持っていると、その人が休んだり辞めたりしたときに、どの作業も止まります。作業の進め方を知っている人が、社内にほかにいないためです。

並んだ作業は、大きく2種類に分けられます。一つは、どんな人を採るか、誰を次の面接に進めるかを決める作業です。もう一つは、面接の日程を調整する、候補者に結果を連絡するといった、手順が決まっていて誰が受け持っても同じ結果になる作業です。この2つを分けておくと、あとで一部を人に任せるときに、どこまで任せてよいかを判断しやすくなります。

なぜ担当者の確保が課題になるのか

情報処理推進機構(IPA)は「2022年度組込み/IoT産業の動向把握等に関する調査」で、企業に人材の確保と強化についての課題を尋ねています。配布数は7,864件、回答数は1,214件でした。*1 この調査では、担当する人材の確保、時間の確保、資金の確保、人材関連情報の入手、外部人材チャネルの連携の5項目について、当てはまるかどうかを尋ね、企業の位置づけ(以下、業態)別に4つに分けて集計しています。*2

「人材確保・強化を担当する人材の確保」を課題とした割合(「当てはまる」と「やや当てはまる」の合計)は、ユーザー企業73%、メーカー企業70%、サブシステム提供企業77%、サービス提供企業79%でした。*2 5項目の中でいちばん高く、どの業態でも7割を超えています。

IPA「2022年度組込み/IoTに関する動向調査」のQ25の位置づけ別集計を用いて作成した図。配布数7,864件、回答数1,214件。値は「当てはまる」と「やや当てはまる」の合計。人材確保・強化を担当する人材の確保はユーザー企業73%、メーカー企業70%、サブシステム提供企業77%、サービス提供企業79%で幅9ポイント。外部人材チャネルの連携は40%、46%、50%、56%で幅16ポイント。人材関連情報の入手は42%から57%で幅15ポイント、時間の確保は58%から61%で幅3ポイント、資金の確保は48%から52%で幅4ポイント。幅が大きい項目と水準が高い項目は違う。担当者が1人でも採用を止めないための4つの手順は、自分しかできない作業を1つ選ぶ、その作業の手順と連絡先を1枚の手順メモに書く、決める作業と手順どおりに進める作業を分ける、手順どおりに進める作業を期間を決めて委託する。

担当者を採用で増やそうとすれば、その採用の作業もまた、いまの担当者が受け持つことになります。担当者の採用が決まるのを待っているあいだにも、ほかの募集は進みません。だからこそ、いまいる人数のままでも採用が止まらない形を先に作っておくと進めやすくなります。

業態によって差が出る課題

5項目のうち、業態によって値が大きく変わる項目もあります。外部人材チャネル(社外の人材サービスなど、人を探す経路)の連携は、ユーザー企業40%、メーカー企業46%、サブシステム提供企業50%、サービス提供企業56%で、いちばん高い業態と低い業態の差は16ポイントです。人材関連情報の入手(人材に関する情報を集めること)も42%から57%で、差は15ポイントありました。*2

反対に、ほとんど変わらない項目もあります。時間の確保は58%から61%で差は3ポイント、資金の確保は48%から52%で差は4ポイントでした。*2

人材の確保・強化においての課題(企業の位置づけ別。「当てはまる」と「やや当てはまる」の合計)。IPA資料の値を用いて作成
項目 ユーザー企業 メーカー企業 サブシステム提供企業 サービス提供企業
人材確保・強化を担当する人材の確保 73% 70% 77% 79%
時間の確保 58% 61% 58% 61%
資金の確保 48% 52% 49% 48%
人材関連情報の入手 42% 54% 51% 57%
外部人材チャネルの連携 40% 46% 50% 56%

表を見比べると、どの業態でも高いのは担当者の確保で、業態によって変わるのは社外の人材サービスとのつながり方だといえます。担当者の確保は自社の中で先に手当てしておきたい課題です。

なお、この集計の対象は表の4つの業態だけです。課題に挙げた理由や、各社の担当者の人数は公表されていません。

採用を止めないための進め方

担当者が1人のままでも採用を止めないために、次の4つの手順で進めます。

  • 採用の作業のうち、自分しかできないものを1つ選ぶ
  • その作業の手順と連絡先を1枚の手順メモに書く
  • 決める作業と、手順どおりに進める作業を分ける
  • 手順どおりに進める作業を、期間を決めて委託する

1つ目で作業を1つに絞るのは、すべての作業を書き出そうとすると、それだけで時間がかかるためです。まず、止まると採用全体が進まなくなる作業を1つ選びます。たとえば、面接の合否を現場のエンジニアとすり合わせる打ち合わせを、担当者しか準備できない場合です。

2つ目では、選んだ作業について、どの資料や画面を見るのか、誰に連絡するのか、いつまでに何を終えるのかを1枚の手順メモにまとめます。担当者が休んだ日に、ほかの人がその手順メモを見て作業を進められれば十分です。

3つ目で、どんな人を採るか、誰を次の面接に進めるかという判断と、面接の日程調整や候補者への連絡を分けます。判断は社内の担当者と現場のエンジニアが受け持ち、日程調整や連絡は手順に沿って別の人が進められるようにしておきます。4つ目では、この手順どおりに進める作業を、期間を決めて委託します。

外部に委託するときに確認しておきたい点

委託するのは、3つ目の手順で分けた、手順どおりに進める作業です。フリーランスを含む業務委託は、作業と期間を決めて任せ、期間が終われば作業を社内に引き取れるため、この使い方に合っています。一方で、どんな人を採るか、誰を面接に進めるかという判断まで委託すると、なぜその候補者を選んだのかを社内の誰も説明できなくなります。判断は社内に残しておきます。

依頼するときは、任せる作業の名前、期間、2つ目の手順で作った手順メモを渡します。「面接の日程調整と候補者への連絡を、次の採用が決まるまで」のように、作業名と期間まで書けていれば、委託先も何をすればよいかを判断できます。

全業態を合わせた集計は「人材確保の課題はなぜ入れ子になるのか」で、担当者が辞める前に確かめておきたい点は「担当者の離脱に備える3つの確認」で扱っています。

つまずきやすい点

一つ目は、作業をすべて書き出してから始めようとすることです。書き出しているあいだも、採用の作業は担当者1人に集まったままです。止まると困る作業を1つ選び、その手順メモを作ってから、次の作業に進みます。

二つ目は、手順どおりに進める作業と一緒に、誰を面接に進めるかという判断まで任せてしまうことです。判断を委託先に任せると、どんな理由で候補者を選んだのかが社内に残らず、委託を終えたあとに同じ基準で選べなくなります。

三つ目は、担当者の採用が決まるまで、ほかの作業を待たせてしまうことです。担当者がすぐに見つかる前提は置きにくいため、待つあいだにも、手順どおりに進める作業は委託して進めておけます。

まとめ:人材確保の担当者が確かめたい3つの点

人材確保の担当者が1人しかいないときに、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、自分しかできない作業を1つ選び、その手順と連絡先を1枚の手順メモに書くこと。第二に、どんな人を採るか、誰を面接に進めるかという判断と、日程調整や連絡のような手順どおりに進める作業を分けること。第三に、手順どおりに進める作業を、作業名と期間を決めて委託し、判断は社内に残すことです。この3点を踏まえておけば、「担当者が休んだら、募集も面接も止まってしまった」という事態を避けやすくなります。採用の作業の分け方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

誰を採るかの判断を社内に残しても、日程の調整や候補者への連絡を誰が受け持つかは残ります。担当者の採用が決まるまで待つより、作業と期間を決めて社外の人材に加わってもらうほうが、採用を止めずに進めやすくなります。

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よくある質問

業態別の値は、企業全体の割合として使えますか

そのままでは使えません。業態別の集計はユーザー企業、メーカー企業、サブシステム提供企業、サービス提供企業の4つが対象で、そのほかの業態を含まないため、全業態を合わせた集計とは対象が違います。*2

「当てはまらない」側の割合は、100から引けば求められますか

求められません。資料の値は整数に丸めた百分率で、「当てはまる」から「わからない」までの5つの選択肢を足すと99から101になります。回答数も項目や業態ごとに違い、144から323の幅があります。*2

決める作業と手順どおりに進める作業は、どう見分ければよいですか

結果について社内が責任を持つものが決める作業です。どんな人を採るか、誰を次に進めるかがこれに当たります。手順が決まっていて、誰が受け持っても同じ結果になる日程調整や連絡は、手順どおりに進める作業として扱えます。

手順メモは、誰が作るのがよいですか

その作業をいま受け持っている担当者が作ります。書いたあとは、別の人に一度その手順メモだけで作業してもらい、迷った箇所を書き足しておくと、担当者が休んだ日にも使えます。

採用の作業を分けて任せたいとき

どの作業を社内に残し、どの作業を期間を決めて任せるかの整理からご相談いただけます。

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出典

  1. *1 参考:IPA「2022年度組込み/IoT産業の動向把握等に関する調査」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/kumikomi/kumikomi-iot2022.html)。出典:配布数7,864件・回答数1,214件と、利用の条件(政府標準利用規約に準拠した出典の記載と、編集・加工を行った場合の旨の記載)を参照(2026年9月確認)
  2. *2 参考:IPA「組込み/IoTに関する動向調査」調査結果(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/kumikomi/ps6vr7000001tewn-att/kumikomi-iot2022.pdf)。出典:Q25(人材の確保・強化においての課題)の位置づけ別集計を参照。示された値を用いて図と表を作成し、「当てはまる」と「やや当てはまる」の合計と類型間の差を計算する編集・加工を行った(2026年9月確認)
  3. *3 参考:IPA「アンケート調査票」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/kumikomi/ps6vr7000001tewn-att/kumikomi-iot2022-chousahyou.xlsx)。出典:Q25の5つの項目と選択肢を参照(2026年9月確認)
  4. *4 参考:IPA「組込み/IoT産業の動向把握等に関する調査」一覧(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/kumikomi/index.html)。出典:年度ごとの調査の公開状況を参照(2026年9月確認)




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