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2026.09.09 採用支援コラム

人的リソースの管理方法|空き状況を表1枚にまとめるやり方

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

暗い客席に空いた座席が並んでいる様子を白黒で写したもの

この記事の結論

  • 開発者の稼働状況やスキル、契約期間といった人的リソースの管理を行っている企業は35.0%で、保守期限やライセンスの管理(63.2%)を大きく下回ります。
  • 管理に使われているツールはExcelなどのオフィスツールが74.5%で、専用に作ったツールの22.0%を大きく上回ります。
  • まず人を追加するかどうか決めかねている案件を1つ選び、その案件に入っている人の作業と契約期間を1枚の表に書き出します。

※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

人を追加するかどうかを決めたいのに、誰がいつ手が空くのかは担当者に聞いて回らないと分からない。業務委託で加わっているエンジニアの契約がいつまでなのかも、覚えている人に確かめるしかない——。開発の現場では、こうした確認に毎回時間がかかりがちです。IPA(情報処理推進機構)の調査データを集計すると、人的リソースの管理を行っている企業は35.0%でした。*2 人的リソースの管理とは、開発に携わる人について、いまどの作業に入っているか、どんな技能があるか、契約がいつまでかを記録し、更新し続けることです。

人の情報が1枚の表になっていれば、人を追加するか、契約を更新するかといった判断を、聞き取りを待たずに進められます。ただし万能ではなく、表を作っても更新する人が決まっていなければ、すぐに中身が古くなります。本記事では、開発チームの体制を考える実務担当者に向けて、IPAの調査に表れた各社の取り組み、管理に使われているツール、表の作り方、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。

人的リソースの管理とは

IPAの調査では、人的リソースの管理の例として、開発者の稼働状況、スキル、契約期間が挙げられています。*3 稼働状況は、誰がどの案件のどの作業に、いつまで入っているかです。スキルは、使える言語や、設計・プログラムの作成・テストのうちどの作業を担当できるかを指します。契約期間は、業務委託などで加わっている人の契約がいつ終わるかです。

同じ調査では、ほかに3つの管理の対象が並んでいます。保守期限やライセンスを管理する「システム資産管理」、仕様書や運用のルールを文書にして更新する「ドキュメント管理」、開発に使うパソコンのパッチ(修正プログラム)を管理する「開発端末の管理」です。*3 システムや文書は一度登録すれば、期限が来るか内容が変わるまでは記録がそのまま使えます。人の情報は、案件の進み方や本人の予定によって変わるため、一度書いて終わりにはなりません。

人を追加するかどうかを決めるときに必要なのは、人に関する情報です。いつ誰の手が空くのか、その人に次の作業を任せられるのか、契約はいつまで続くのか。これが表になっていないと、判断のたびに関係者への聞き取りから始めることになります。

管理している企業はどれくらいか

管理している企業の割合は、IPAの「2024年度ソフトウェア動向調査」で分かります。調査は2024年12月17日から2025年2月14日にかけて行われ、2025年4月7日時点で企業799件、個人74件の回答がありました。*1 回答は匿名化したうえで、オープンデータ(誰でも使える形の公開データ)として公開されています。本記事では、企業向けの799件の回答を、公開されている調査結果のファイルから集計した値を使います。

ここで見るのは、システム開発に関するリソース管理の取り組みを、当てはまるものすべて選ぶ形で尋ねた設問です。*3 799件すべてが1つ以上の選択肢を選んでいます。

IPA「2024年度ソフトウェア動向調査」企業向け調査の公開データから集計した横棒グラフ。システム開発に関するリソース管理の取り組み(複数回答、799件)は、システム資産管理63.2%(505件)、ドキュメント管理49.1%(392件)、人的リソースの管理35.0%(280件)、開発端末の管理34.9%(279件)、特に取り組みや開発を行っていない21.2%(169件)、わからない8.9%(71件)、その他2.3%(18件)。人的リソースの管理とシステム資産管理の差は28.2ポイント(約1.80倍)、ドキュメント管理との差は14.1ポイント。管理に使っているツール(複数回答、542件)は、Excelなどのオフィスツール74.5%(404件)、既製のツール52.8%(286件)、専用に作ったツール22.0%(119件)、特に取り組みや開発を行っていない7.2%(39件)、わからない3.3%(18件)、その他1.8%(10件)。オフィスツールと専用に作ったツールの差は52.5ポイント(約3.39倍)。

最も多かったのは「システム資産管理を行っている」で505件、63.2%でした。次いで「ドキュメント管理を行っている」が392件、49.1%です。「人的リソースの管理を行っている」は280件、35.0%で、「開発端末の管理を行っている」の279件、34.9%とほぼ同じ水準にとどまります。*2 反対に、「特に取り組みや開発を行っていない」は169件、21.2%で、「わからない」が71件、8.9%、「その他」が18件、2.3%でした。

複数の選択肢を選べる設問なので、1社が平均2.15個を選んでおり、割合を足すと100%を超えます。1社が資産と文書と人の管理をすべて行っていることもあれば、どれも行っていないこともあります。自社がどの選択肢に当てはまるかを確かめると、次に手をつける管理の対象を決められます。

なぜ人の管理は後回しになりやすいのか

システム資産管理の63.2%と比べると、人的リソースの管理は28.2ポイント低く、件数では505件と280件で約1.80倍の開きがあります。ドキュメント管理の49.1%とも14.1ポイントの差があり、人の稼働や契約期間を管理している企業は3社に1社あまりにとどまります。

保守期限やライセンスは、期限が切れるとソフトウェアを使い続けられなくなるため、担当者を決めて管理する理由がはっきりしています。これに対して人の情報は、案件の担当者が覚えていれば日々の作業は進みます。困るのは、人を追加するかを決めるときや、担当者が異動するときです。

なお、この設問は取り組んでいるかどうかを尋ねたもので、どこまで細かく管理しているか、管理していないと開発が遅れるのかといった点は公表されていません。調査の数値は、自社の取り組みを他社と比べる目安として使えます。

「特に取り組みや開発を行っていない」を選んだ企業も、5社に1社あまりありました。リソース管理そのものにまだ手をつけていない企業は、人の管理から始めても、ほかの対象から始めても構いません。人を追加する判断に時間がかかっているなら、人の表から作ると早く進みます。

管理に使われているツール

同じ調査では、管理に使っているツールも尋ねています。対象は、先の設問でシステム資産管理、人的リソースの管理、ドキュメント管理のいずれかを選んだ542件で、799件の67.8%にあたります。*3

最も多かったのは「Excelなどのオフィスツールを使用している」で404件、74.5%でした。次いで「既製のツールを使用している」が286件、52.8%で、選択肢にはERP(会計や販売などの業務をまとめて扱うシステム)のパッケージや端末管理ツールが例として挙がっています。専用に作ったツールを使用している企業は119件、22.0%です。*2 オフィスツールと専用に作ったツールの差は52.5ポイントで、件数では約3.39倍になります。

オフィスツールの表は、誰でもすぐに作り始められるのが利点です。一方で、表を作った人が異動や退職でいなくなると、誰も開かなくなることもあります。人の情報は変わりやすいので、どのツールを使うかより、誰がいつ更新するかを先に決めておくことが大切です。

表をどう作るのか

人的リソースの管理を行っている企業が3社に1社あまりという状況では、全社員分の表がすでにある会社は多くないでしょう。最初から全員分を作ろうとせず、次の4つの手順で1つの案件から始めると進めやすくなります。

人的リソースの表を1つの案件から作る手順の例
手順 やること 担当
1 人を追加するかどうかの判断が止まっている案件を1つ選ぶ 社内
2 その案件に入っている人ごとに、担当している作業、その作業が終わる予定の時期、使える技術、契約の終了日を1枚の表に書く 社内
3 表を作って更新する作業と、人を追加するかどうかを決める作業を分け、それぞれの担当者を決める 社内
4 表の作成と更新の作業を、対象の案件と期間を決めて外部に委託する 外部に委託できる

手順2で契約の終了日まで書くのは、調査の選択肢でも、稼働状況、スキルと並んで契約期間が人的リソースの管理の例に挙がっているためです。*3 作業が終わる予定の時期と契約の終了日を並べておけば、「作業は来月まで続くのに、契約は今月で終わる」といったずれにも早く気づけます。

手順3で作業を分けるのは、表を作って更新する作業と、誰を追加するかを決める作業とでは、必要な知識が違うからです。表の作成と更新は、関係者から情報を集めて決まった形に書き込む作業で、システム資産管理やドキュメント管理と同じく、手順を決めれば担当者を替えても続けられます。誰を追加するかの判断は、案件の優先順位や予算を知っている社内の責任者が行います。

手順4で外部に委託できるのは、表の作成と更新だけです。オフィスツールの表は更新する人が決まっていないと更新が途絶えやすいので、更新の担当を社外の人に任せてでも決めておく意味があります。

つまずきやすい点

一つ目は、最初から全社の要員の表を作ろうとすることです。対象の人数が多いほど情報を集めるのに時間がかかり、作り終える前に最初に書いた人の予定が変わってしまいます。まず1つの案件の表を作り、人を追加する判断に実際に使えるかを確かめてから、対象の案件を増やします。

二つ目は、表の列を増やしすぎることです。資格、経歴、希望する作業まで書き込もうとすると、更新の手間が増えて続きません。人を追加する判断に使う情報、つまり担当している作業、終わる予定の時期、使える技術、契約の終了日に絞っておくと、更新が続きやすくなります。

三つ目は、表を作る人に、誰を追加するかの判断まで任せてしまうことです。作業と判断を分けておくことは、担当者が抜けたときの備えにも役立ちます。担当者の異動や退職の前に確かめておくことは「担当者の離脱に備える3つの確認」で、仕様書の引き継ぎは「レガシーの仕様書を引き継ぐ手順」で扱っています。

外部に委託するときに確認しておきたい点

表の作成と更新を外部に委託するときは、何をいつまでに任せるのかを作業名と期間で書いておきます。「A案件の要員の表を2週間で作り、その後3か月は毎週月曜に更新する」——このくらいまで書けていれば、委託先も作業量を見積もれます。表の列と、情報を集める相手の一覧もあわせて渡しておくと、聞き取りのやり直しが減ります。

もう一つは、表を誰に見せ、誰が判断に使うのかを決めておくことです。委託先が作った表を社内の責任者が使わなければ、更新を続ける意味がありません。人を追加するかどうかを話し合う会議の前日までに更新する、といったように、表を使う予定に合わせて更新の時期を決めておくと、更新した表をそのまま会議で使えます。

まとめ:人的リソースの管理で確かめる3つの点

人的リソースの管理を始めるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、判断が止まっている案件を1つ選び、その案件に入っている人の作業、終わる予定の時期、使える技術、契約の終了日を1枚の表に書くこと。第二に、表を作って更新する作業と、人を追加するかどうかを決める作業を分け、判断は社内の責任者が行うこと。第三に、ツールを選ぶより先に、誰がいつ表を更新するかを決めることです。この3点を踏まえておけば、「人を追加したいのに、誰がいつ空くのかを聞いて回るうちに時期を逃した」という事態を避けやすくなります。表を作って更新し続ける人の確保に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

要員の表を1枚作ったあとも、その表を集めて更新し続ける人をどう確保するかが残ります。人的リソースの管理を行っている企業が3社に1社あまりという段階では、社内の仕組みが整うのを待たず、作業と期間を決めて外部の専門人材に加わってもらう方法もあります。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材が必要になった時点から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で実際の業務開始まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

要員の表は、どのくらいの頻度で更新すればよいですか

表を使う予定に合わせて決めるのがおすすめです。人を追加するかどうかを週に1回話し合っているなら、その前日までに更新します。予定の決まっていない更新は後回しにされやすいため、担当者と曜日まで決めておくと続きやすくなります。

社員と業務委託の人を同じ表に載せてもよいですか

同じ表に載せておくほうが、案件ごとに誰の手がいつ空くのかを比べやすくなります。契約の終了日の列は、主に業務委託などで加わっている人の分を埋めることになります。社員の評価や給与のような、判断に使わない情報は載せないでおきます。

管理のために専用のツールを導入したほうがよいですか

1つの案件から始めるなら、オフィスツールの表で十分に始められます。調査でも、管理に使うツールとして最も多く挙がったのはExcelなどのオフィスツールで、74.5%でした。*2 対象の案件を増やして更新の手間が大きくなった段階で、既製のツールを検討すると無駄がありません。

開発チームの体制づくりを相談したいとき

要員の表を作る作業のうち、どこを社内に残し、どこを任せるかの整理からご相談いただけます。

Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も探せます。

Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。

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出典

  1. *1 参考:IPA「2024年度ソフトウェア動向調査」調査結果データの公開と分析レポートの募集(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/software-engineering/result-software2024.html)。出典:調査期間(2024年12月17日〜2025年2月14日)、2025年4月7日時点の回答件数(企業799件・個人74件)、回答を匿名化してオープンデータとして公開していることを参照(2026年9月確認)
  2. *2 参考:IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 企業向け 調査結果(選択肢項目文字列)」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/software-engineering/h5f8pg00000028n8-att/software2024-c-result-data-str.csv)。出典:Q2-5(リソース管理の取り組み、799件)とQ2-6(管理に使っているツール、542件)の回答。件数・割合・差・倍率は本記事でこのファイルから集計・計算した値(2026年9月確認)
  3. *3 参考:IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 企業向け 設問一覧」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/software-engineering/h5f8pg00000028n8-att/software2024-c-questions.xlsx)。出典:Q2-5の設問文・選択肢と例示(複数選択)、Q2-6の設問文・選択肢と回答対象の条件を参照。「専用に作ったツール」は選択肢名を言い換えた表記(2026年9月確認)




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