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なぜ地域若者サポートステーションは職場体験を挟むのか
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- 企業に依頼されるのは職場体験の受け入れ:利用者が企業へ出向き、普段の仕事を体験する形です*2。
- 計画も同行もサポステ側が担う:内容はスタッフと相談して策定し、体験中もスタッフが一緒に支援します*2。
- 窓口は全国179か所:厚生労働省が委託した民間団体などが運営しています(令和7年度4月現在)*1。
※ 本記事は2026年8月時点の公式情報(省庁・公的機関・ベンダー公式ドキュメント)に基づきます。
書類と面接だけで判断が難しい応募者は、どの会社にもいます。その前段に体験を挟む経路が、公的な窓口として用意されています。
厚生労働省の説明はこうです。地域若者サポートステーション(サポステ)では、働くことに悩みを抱えている15歳から49歳までの皆さまを対象に、就労に向けた支援を行う機関です*1。運営は厚生労働省が委託した全国の若者支援の実績やノウハウがある民間団体などで、全ての都道府県に設置しています(令和7年度4月現在 全国179か所)*1。
企業に向けた依頼は、求人票の掲載ではありません。特設サイトは職業体験を受け入れていただける企業を募集中ですと呼びかけています*2。
本記事では、サポステが何をする機関か、企業に依頼される職場体験の中身、実際の受け入れの流れ、利用者に提供されている支援メニュー、そして確認しておく点を整理します。個別の条件は各サポステの判断ですが、問い合わせる前に押さえるべき前提は先に確認できます。
目次
対象は15歳から49歳の、働いていない方
まず、どんな人が来る窓口なのかを確認します。
特設サイトは対象をこう書いています。「働く」への一歩を踏み出したい15歳〜49歳までの現在、お仕事をされていない方や就学中でない方たちとじっくりと向き合い、本人やご家族の方々だけでは解決が難しい「働き出す力」を引き出し、「職場定着するまで」を全面的にバックアップする厚生労働省委託の支援機関です*3。
企業向けページの説明はもう少し具体的です。「働きたい!」という思いを抱きながらも、行動に移すことができない15歳〜49歳の若者ですとし、一度も働いた経験がなかったり、社会と関わる経験が少なかったり、過去に辛い経験をして働くことに自信が持てずにいたり、さまざまな理由で一歩が踏み出せない方がたくさんいますと続けています*2。
厚生労働省側の説明でも、想定される状態が列挙されています。働きたいけど、人間関係のつまずきで退職後、ブランクが長くなってしまったといった例が挙げられています*1。職務経歴の空白そのものは、能力の欠如とは別の話だということです。
窓口の数と場所も明示されています。全国の方が利用しやすい「身近に相談できる機関」として、全ての都道府県に設置しています*1。所在地は特設サイトで確認できます。
対象者を絞った公的窓口という点では、専門ハローワーク4種の対象者と設置数の違いで扱った機関と同じ発想です。ただしサポステは、就職前の段階に重心があります。
企業に依頼されるのは職場体験の受け入れ
次に、企業側が何を求められているのかを見ます。
定義は短く書かれています。サポステ利用者が企業·団体へ出向き、普段の仕事を体験させていただくものとなります*2。特別なプログラムを用意する話ではありません。
設計は共同で行います。体験内容は、サポステのスタッフと相談しながら、企業とサポステ利用者のニーズに応じた計画を策定します*2。受け入れ側だけで内容を組み立てる必要はありません。
当日の体制も示されています。また、職場体験中は、企業の皆さまにご協力頂きながら、サポステのスタッフも一緒にサポートしていきます*2。
利用者側から見ると、この体験は支援メニューの一部です。特設サイトはジョブトレ(就業体験)についてスタッフと相談をしながら、あなたの希望や状況に合わせていろいろな仕事を体験することができますと説明しています*3。
受け入れの入口は電話です。まずはお近くのサポステにお電話くださいとされており、詳細はそれぞれのサポステに御確認くださいとも添えられています*2。
試用期間で見極める設計との違いは、雇用に入る前かどうかです。雇用してから見る仕組みはトライアル雇用で見落としやすい3つの前提で扱いました。
受け入れ事例に見る、実際の流れ
具体的な進み方は、公開されている事例が参考になります。
特設サイトは、とちぎ県南若者サポートステーションとセンコー株式会社の例を挙げています。ご協力いただいている職場体験の内容は倉庫内軽作業ですとされ、企業側に求人ニーズがあり、こつこつ集中してやる作業は得意という特性をもつ若者にはマッチした職種だと考えられますと説明されています*2。
手順は4段階です。体験希望者が出た場合に同社の担当者に実施可否の確認、次に事前オリエンテーション(職場見学を含む)の日程を調整、そのうえでオリエンテーション後、サポステ利用者に体験参加の最終意思を確認、そして職場体験実施(6時間程度の体験を全4回程度)という流れです*2。
体験の後にも段があります。職場体験終了後、利用者に面接希望意思の有無を確認し、同社の担当者に共有。面接日を設定*2。体験がそのまま採用になるわけではなく、面接は別に置かれています。
作業の中身も幅があります。主に検品、仕分け作業、傷・汚れの確認やふき取りや機械を使用した梱包材作りなどの比較的単純な作業から、新商品の入庫に伴う多少複雑な検品作業、また突発的に発生する優先度の高い業務依頼の手伝いなど、体験する業務は様々です*2。
立ち上がりの支え方も具体的です。体験前半はサポステスタッフが同伴し、サポステ利用者と同じ作業を体験します*2。目的はサポステ利用者に過度な緊張を持たずに体験に参加してもらうこと、作業中の現場スタッフとの関わり方の一例を提示することとされています*2。
企業側の受け取り方も紹介されています。面接の前段階として体験を挟むことで、本人の特性や適正を判断する材料となるという担当者の声です*2。
体験の形は軽作業に限りません。ちょうふ若者サポートステーションと提携する株式会社MNHの例では野菜などの地域物産の販売という形で、サポステの若者に職業体験を提供していますとされ、それは部分的なプログラムではなく、仕入れから販売まで、商売のプロセス全体を経験できるというものと説明されています*2。同社は実際にこのプログラムを受けた若者の大半は、アルバイトや正社員など次のステップへ踏み出していますとしています*2。
利用者に提供されている支援メニュー
体験の前後に何が積まれているのかも、受け入れ側の判断材料になります。
特設サイトは支援を5段階で示しています。予約、相談・面談、各種支援、就職、定着・ステップアップ支援という並びです*3。
| メニュー | 内容 |
|---|---|
| コミュニケーション講座 | 専門スタッフと共に、自分を見つめ直し、アピールポイントである「自分の強み」を発見する。会話に対する苦手意識も克服する |
| ジョブトレ(就業体験) | スタッフと相談をしながら、希望や状況に合わせていろいろな仕事を体験する |
| ビジネスマナー講座 | 身だしなみやお辞儀の仕方、言葉遣い、電話対応など社会人としての基礎的なマナーを学ぶ |
| 就活セミナー | 求人への応募の仕方や履歴書の書き方、面接の受け答えの指導など |
| 集中訓練プログラム | 合宿形式を含む生活面等のサポートと職場実習、資格取得支援等を実施し、自信の回復、就職に必要な基礎能力の獲得を目指す(一部のサポステのみ) |
| アウトリーチ支援 | 高校等の中退者の希望に応じた、高校や自宅等へ訪問するアウトリーチ型の相談等 |
支援にあたる人も並んでいます。キャリアコンサルタントや臨床心理士、産業カウンセラーなどの専門家がじっくり時間をかけて積極的に面談を行い、あなたに必要な経験やスキルを見極めて、きめ細やかなサポート内容を決定していきます*3。
個別面談だけではありません。仲間たちと不安を解消するグループワークを体験したり講座を受けたりしながら共に成長していける場所ですと説明されています*3。
地域の他機関とも接続しています。地域にある公的な支援機関をはじめ、さまざまな民間団体と連携し、ネットワークを構築しています*3。
若手の育成体制を対外的に示す制度としては、ユースエール認定の12基準が示す定着の条件も並べて見ておく価値があります。
支援は就職後の定着まで続く
受け入れる側にとって、就職後の関わりが続くかどうかは重要です。
特設サイトは明確に書いています。サポステでは、「仕事に就ければ、それで終わり!」ではありません。皆さんが働き出してからの悩みや不安に対しても、しっかりとサポートしていきます*3。
相談の幅も限定されていません。また、仕事のステップアップに関する相談にも積極的にお答えしています*3。入社後に相談先が社内だけにならない、という点が受け入れ側の負担を下げます。
実績も公表されています。昨年度、サポステを利用された方のうち約13,000人が、新たな一歩として就職や公的職業訓練に進んでいますとされ、令和6年度のデータと注記されています*4。
この数字の定義には注意が要ります。「就職等者」は、雇用保険被保険者資格を取得し得る就職に加え、サポステの利用を継続し雇用保険被保険者となることが見込まれる就職及び公的職業訓練の受講に至った者を含みます*4。正社員就職だけを数えた値ではありません。
提供されている支援の幅も、あわせて示されています。サポステでは、キャリアコンサルタント等による専門的な相談やコミュニケーション訓練、職場体験プログラムなど、多様な就労支援メニューを提供しています*4。
入社後に人が離れる理由の整理はなぜ中途エンジニアは早期に離職するのかで扱いました。受け入れる側の準備は、体験の段階から始まります。
問い合わせる前に確認しておく点
最後に、期待値をそろえておきたい点を挙げます。
提供内容は全国一律ではありません。集中訓練プログラムには集中訓練プログラムは一部のサポステのみで実施していますという注記が付いています*3。
専門家の配置も同様です。キャリアコンサルタントや臨床心理士、産業カウンセラーの記載にはサポステにより、配置されていない場合がありますと添えられています*3。
そのため、特設サイトは繰り返し確認を促しています。※詳細はそれぞれのサポステにご確認ください*3。一般論ではなく、担当するサポステの体制を聞くところから始まります。
利用者側の費用は明示されています。専門スタッフとの個別の相談を希望される方については、お近くのサポステまでご連絡ください。(無料)*3。
利用者側の入口も、企業と同じく電話やメールです。まずは最寄りのサポステを検索して、お電話またはメールでアポイントとされ、電話でのご相談も可能ですが、できれば直接お会いして聞かせてほしいと思っていますと続けています*3。その後の面談では何をどうすることが一番の解決策になるのかをさまざまな専門スタッフと連携して検討していきますとされています*3。
事業の内容そのものを調べたい場合の窓口も用意されています。サポステ事業の内容については、若者自立支援中央センターとされ、問い合わせフォームが置かれています*3。厚生労働省側の担当は人材開発統括官 若年者・キャリア形成支援担当参事官室です*1。
受け入れの体制づくりと採用を並行させたいときのご相談
体験の受け入れには、現場の手が要ります。任せたい職責と必要な稼働の形から、担当が一緒に整理できます。
最後に受け入れの手が足りないと判断したときの分岐を1つだけ挙げておきます。職場体験は現場の協力を前提とする仕組みで、6時間程度を複数回という時間の使い方になります。その間の実務を業務委託で受け止め、現場が体験の受け入れに向き合える余白をつくるという順番も現実的な選択肢です。受け入れを断り続ける前の検討として有効でしょう。
まとめ:問い合わせる前に決める3点
第一に、どんな機関かです。地域若者サポートステーションは、働くことに悩みを抱えている15歳から49歳までを対象に就労に向けた支援を行う機関で、厚生労働省が委託した民間団体などが運営し、全ての都道府県に設置されています。令和7年度4月現在で全国179か所です。一度も働いた経験がない方や、社会と関わる経験が少ない方、退職後にブランクが長くなった方などが利用しています。第二に、企業に依頼される中身です。募集されているのは職場体験の受け入れで、サポステ利用者が企業・団体へ出向き、普段の仕事を体験する形です。体験内容はサポステのスタッフと相談しながら、企業と利用者のニーズに応じた計画として策定し、体験中はサポステのスタッフも一緒に支援します。公開されている事例では、実施可否の確認、事前オリエンテーション、参加意思の最終確認を経て、6時間程度の体験を全4回程度という流れが示されています。体験の終了後に面接希望の有無を確認し、面接日を設定します。第三に、確認しておく点です。集中訓練プログラムは一部のサポステのみの実施で、キャリアコンサルタントや臨床心理士などの専門家も配置されていない場合があります。詳細はそれぞれのサポステに確認するよう案内されています。まずは最寄りのサポステに電話して、体制と実施可能な範囲を聞くところから始めてください。
よくある質問
地域若者サポートステーションとはどのような機関ですか。
働くことに悩みを抱えている15歳から49歳までを対象に、就労に向けた支援を行う機関です。厚生労働省が委託した全国の若者支援の実績やノウハウがある民間団体などが運営しており、全ての都道府県に設置されています。令和7年度4月現在で全国179か所です。相談や面談から各種の講座、就業体験、就職活動の支援、就職後の定着支援まで、段階を追った支援が用意されています。
企業には何を依頼されるのですか。
職場体験の受け入れです。サポステ利用者が企業・団体へ出向き、普段の仕事を体験するもので、体験内容はサポステのスタッフと相談しながら、企業とサポステ利用者のニーズに応じた計画として策定します。職場体験中は、企業の協力を得ながらサポステのスタッフも一緒にサポートします。受け入れを検討する場合は、まず最寄りのサポステに電話することが案内されています。
受け入れはどのような流れになりますか。
公開されている事例では4段階です。体験希望者が出た場合に企業の担当者へ実施可否を確認し、事前オリエンテーション(職場見学を含む)の日程を調整し、オリエンテーション後に利用者へ体験参加の最終意思を確認したうえで、6時間程度の体験を全4回程度実施します。体験の前半はサポステのスタッフが同伴します。体験終了後に利用者へ面接希望の有無を確認し、担当者に共有して面接日を設定する流れが示されています。
どのくらいの人が就職に進んでいますか。
特設サイトは、昨年度にサポステを利用した方のうち約13,000人が就職や公的職業訓練に進んだとしています(令和6年度のデータ)。ただし「就職等者」の定義には注意が必要で、雇用保険被保険者資格を取得し得る就職に加え、サポステの利用を継続し雇用保険被保険者となることが見込まれる就職、および公的職業訓練の受講に至った者が含まれます。
どのサポステでも同じ支援が受けられますか。
同じではありません。集中訓練プログラムは一部のサポステのみで実施されています。また、キャリアコンサルタントや臨床心理士、産業カウンセラーなどの専門家についても、サポステにより配置されていない場合があると注記されています。特設サイトは、詳細はそれぞれのサポステに確認するよう繰り返し案内しています。
出典
- *1 参考:厚生労働省「地域若者サポートステーション」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/saposute.html)。サポステが働くことに悩みを抱えている15歳から49歳までを対象に就労に向けた支援を行う機関である旨、厚生労働省が委託した全国の若者支援の実績やノウハウがある民間団体などが運営している旨、全ての都道府県に設置され令和7年度4月現在で全国179か所である旨、支援対象者として想定される状態(働き方が分からない、自信が持てない、コミュニケーションが苦手、人間関係のつまずきで退職後にブランクが長くなった等)、問い合わせ先が人材開発統括官 若年者・キャリア形成支援担当参事官室である旨の一次情報として(2026年8月確認)
- *2 参考:サポステネット(厚生労働省委託事業)「企業のみなさまへ」(https://saposute-net.mhlw.go.jp/company.html)。職業体験を受け入れる企業を募集している旨、サポステ利用者の状況(一度も働いた経験がない、社会と関わる経験が少ない、過去の経験から働くことに自信が持てない等)、職場体験の定義(利用者が企業・団体へ出向き普段の仕事を体験する)と計画の策定方法、職場体験中にサポステのスタッフも一緒に支援する旨、センコー株式会社ととちぎ県南若者サポートステーションの連携事例(倉庫内軽作業、実施可否の確認から事前オリエンテーション、最終意思確認、6時間程度の体験を全4回程度という流れ、体験終了後の面接希望確認と面接日の設定、体験業務の内容、体験前半のスタッフ同伴とその目的、面接の前段階として体験を挟むことが本人の特性や適性を判断する材料となるという担当者の声)、株式会社MNHの事例の一次情報として(2026年8月確認)
- *3 参考:サポステネット(厚生労働省委託事業)「サポステとは」(https://saposute-net.mhlw.go.jp/about.html)。サポステが15歳から49歳までの現在お仕事をされていない方や就学中でない方を対象とし職場定着するまでを支援する厚生労働省委託の支援機関である旨、支援の5段階(予約、相談・面談、各種支援、就職、定着・ステップアップ支援)、各種支援のメニュー(コミュニケーション講座、ジョブトレ(就業体験)、ビジネスマナー講座、就活セミナー、集中訓練プログラム、アウトリーチ支援)とその内容、集中訓練プログラムが一部のサポステのみで実施される旨、キャリアコンサルタントや臨床心理士・産業カウンセラー等の専門家が配置されていない場合がある旨、グループワークや講座による支援、地域の公的支援機関や民間団体との連携、就職後の相談とステップアップ相談、個別相談が無料である旨、詳細は各サポステに確認する旨の一次情報として(2026年8月確認)
- *4 参考:サポステネット(厚生労働省委託事業)「数字で見るサポステ!」(https://saposute-net.mhlw.go.jp/results.html)。昨年度にサポステを利用した方のうち約13,000人が就職や公的職業訓練に進んだ旨と令和6年度のデータである旨、「就職等者」の定義(雇用保険被保険者資格を取得し得る就職に加え、サポステの利用を継続し雇用保険被保険者となることが見込まれる就職および公的職業訓練の受講に至った者を含む)、キャリアコンサルタント等による専門的な相談やコミュニケーション訓練、職場体験プログラムなど多様な就労支援メニューを提供している旨、就職後の定着支援も行っている旨の一次情報として(2026年8月確認)