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2026.09.04 採用支援コラム

工数と工期の違いとは?見積もりで取り違えない数え方

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

手書きのメモを横にパソコンで作業する手元

この記事の結論

  • 工数は人が費やした作業量(人時・人月)で、工期は仕事を始めてから終えるまでの暦の期間(月数)です。
  • IPAのデータ集は工数を社内と外部委託の合計で数え、人時を人月にするときは1か月160時間で換算しています。
  • 工数を増やしても工期は同じ割合では縮まないため、見積りと体制は2つを分けて管理します。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

工数と工期の違いは、数えている量にあります。工数はその仕事に人が費やした作業量で、人時や人月で表します。工期は仕事を始めてから終えるまでの期間で、月数や日数で表します。たとえば3人が2か月かけて終えた仕事は、工期が2か月、工数はおよそ6人月です。

本記事では、情報処理推進機構(IPA)が開発プロジェクトのデータ集で使っている定義をもとに、工数と工期それぞれの数え方、両者をつなぐ要員数、人を増やしたときの工期の動き方を整理します。見積りや体制の打ち合わせで2つを取り違えないための確認点も最後にまとめます。

工数と工期の違いとは

工数は「どれだけの作業が要るか」、工期は「いつからいつまでかかるか」を表します。工数は人数と時間の掛け算で決まるので、2人で1か月の仕事も、1人で2か月の仕事も同じ2人月です。一方の工期は暦の上の長さなので、この2つの例では1か月と2か月に分かれます。見積りの場で両者を取り違えると、工数の見積りは合っているのに納期に間に合わない、といった食い違いが起こります。

工数と工期の違い(IPA「ソフトウェア開発分析データ集2022」本編の定義をもとに作成)
項目 工数 工期
表すもの 人が費やした作業量 始めてから終えるまでの期間
単位 人時・人月(1人月=160人時で換算) 月(日数を30日=1か月として換算)
数える範囲 社内工数と外部委託工数の合計 工数が発生した日から最後の日まで。待ち期間は引く
工程ごとの値 足すと全体の工数になる 工程どうしが重なることがあり、足しても全体にならない
全体の中央値 7,395人時(1,444件) 10.1か月(1,396件)

定義の手がかりにするのは、IPAの「ソフトウェア開発分析データ集2022」です。ソフトウェア開発ベンダー35社の協力で集めた累計5,546件のプロジェクトデータを分析した資料で、公開は2022年9月26日、最終更新は2025年8月28日です。事業終了に伴い今後の発行予定はないと明記されています。*1本編は、特に断りのない場合は直近6年間(2016〜2021年度)の開発データを対象にしています。*2

この資料は、プロジェクトデータを集めるときの項目定義の中で、工期と工数を別々の項目として決めています。工期は開始日と終了日から計算する月数、工数は人時か人月で記入する作業量です。以下では、それぞれの数え方を順に見ていきます。

工数と工期の違いを示した図。工期は開始日(工数が発生した日)から終了日(工数が発生した最後の日)までの期間で、途中の待ち期間(アイドリング期間)は工期から引く。開発5工程の月数は日数を30日=1か月として換算し、工程どうしの期間は重なることがある。工数は人が費やした作業時間の合計で、社内工数と外部委託工数を合わせて数える。例として3人が2か月作業すると工数は6人月(960人時)、工期は2か月になる(全員が同じ時間だけ作業した場合)。1人月は160人時で、法定労働時間1日8時間に1か月の平均実労働日20日を掛けた値。工程ごとの工数は足すと全体になる。出典はIPA「ソフトウェア開発分析データ集2022」本編の定義で、例の数値は説明用。

工数は人時と人月で数える

データ集の項目定義では、工数の単位を人時か人月から選んで記入します。人月で記入する場合は人時への換算係数も書く形で、記入例として「1人月=160人時」が示されています。分析の側でも、人時で記入されたデータを人月にするときは1か月160時間を使っています。この160時間は、労働基準法で定められた1日8時間の法定労働時間に、1か月の平均実労働日20日を掛けた値だと説明されています。*2

1人月を何時間とみなすかは、会社や契約によって違うことがあります。換算の時間数が1か月あたり10時間違えば、同じ「10人月」でも時間に直して100時間の差になります。外部と工数をやり取りするときは、人月の数字だけでなく換算の時間数もそろえておくと、あとで食い違いません。

何を工数に含めるかも決まっています。データ集は、工数を「社内工数」と「外部委託工数」の合計値で扱い、社内工数には開発、管理、その他、作業配分不可のすべての工数を含めるとしています。*2社内工数には社員と一緒に作業する派遣社員も含まれ、外部委託工数は社内工数の外数として記入します。社内と外部委託の数え分けは「外部人材活用のトラブル|社内工数と外部委託工数の違い」で詳しく扱っています。

工数は、工程ごとの値を足し算できます。データ集は、開発5工程(基本設計から総合テストまで)の作業がすべて行われたプロジェクトについて、5工程の工数と、どの工程にも振り分けられない「工程配分不可」の工数を合計して使うとしています。工程ごとの数字を積み上げれば全体になる、というのが工数の性質です。

工期は開始日と終了日から数える

工期のほうは日付で決まります。データ集の定義では、プロジェクト全体の工期は開始日と終了日から計算し、開始日は工数が発生した日、終了日は工数が発生した最後の日です。終了日の例として、発注者の検収が完了した日や納品日が挙げられています。*2工期は工数の発生を目印に数えるので、2つは無関係ではありません。ただし、数えているのは作業の量ではなく、最初の作業から最後の作業までの暦の長さです。

途中で作業が止まった期間は差し引きます。顧客のサイン待ちやテストデータの受領待ちのような非活動期間を「アイドリング期間」と呼び、総工期から引くとプロジェクトの活動期間になると定義されています。*2待ち期間の扱いは「リリース前の開発要員|IPAは非活動期間を工期から引く」で取り上げました。

分析に使う月数は、日数から換算した値です。開発5工程の月数は、基本設計の開始日から総合テスト(ベンダー確認)の終了日までの日数を、30日を1か月として月数に換算したものとされています。

工期には、工数のような足し算が当てはまりません。データ集は、各工程の工期に重なりがある場合も、それぞれの工程の開始日と終了日を記入するよう求めています。設計の終わりと製作の始まりが重なっていれば、工程ごとの月数を足した値は全体の期間より長くなります。工程の数字を積み上げても全体にならない点が、工数との大きな違いです。

工数と工期をつなぐ要員数

工数と工期は、要員数でつながっています。工数を工期の月数で割ると、1か月あたり何人分の作業をしていたかが出ます。データ集もこの値を「月あたりの要員数」という導出指標とし、工数と工期の月数から算出すると書いています。*2

簡単な例で確かめます。工数が960人時の仕事は、1人月160時間で換算すると6人月です。これを3か月の工期で進めるなら1か月あたり2人分、2か月で進めるなら3人分の作業量になります。工数が同じでも、工期をどう置くかで、同時に必要な人数が変わります。

反対に、人数と工期から工数を見積ることもできます。ただし、この掛け算がそのまま成り立つのは、全員が同じ時間だけその仕事に就く場合です。兼務の人や途中から加わる人がいれば、人数と月数を掛けた値は実際の工数より大きく出ます。体制表の人数をそのまま工数として扱わないようにします。月あたりの要員数の分布は「月あたりの要員数の中央値、開発種別ごとの違いと体制の目安」で扱っています。

人を増やしても工期は比例して縮まない

要員数の掛け算だけを見ると、人を倍にすれば工期は半分になりそうに思えます。集めたデータはそうなっていません。データ集は工数と工期の関係について「工期は工数の3乗根に比例する傾向が見られる」としています。*2工数が大きいプロジェクトほど工期も長くなりますが、工期の伸び方は工数の伸び方よりずっと緩やかです。回帰式の中身は「工期は工数の3乗根とは、工数10倍でも月数は2.1倍」にまとめています。

同じ工数でも、工期には幅があります。データ集は、新規開発の工数と工期の散布図を人月で表したとき、工数が500人月のプロジェクトの工期を信頼区間50%で見ると約11〜21か月の幅があると説明しています。*2そのうえで、資料の回帰式で出した値を自社の見積りにそのまま使うのは危険だとも書いています。

この幅が、工数と工期を別々に管理する理由になります。工数は作業の量で、工期は段取りや待ち期間を含めた日程です。工数の見積りが合っていても、承認待ちや他チームとの調整で日程が延びることはあります。日程を詰めるために人を加えるときは、新しく入る人への説明や確認に使う時間も工数に入れて、見積りを引き直しておきます。

全体の工期と工数の中央値

データ集には、プロジェクト全体の工期と工数の分布も載っています。全体の工期は中央値が10.1か月(1,396件)で、1年以内のプロジェクトがおよそ6割を占めます。*2

全体の工数は中央値が7,395人時(1,444件)でした。*21人月160時間で換算すると約46人月です(筆者の換算)。資料によれば5,000人時以下のプロジェクトがおよそ4割を占めます。

2つの表は件数が違い、同じプロジェクトの集まりではありません。中央値どうしを割って典型的な要員数を出すような使い方はできないので、自社の案件が分布のどのあたりにあるかを確かめる目安として使います。

工程別に見ると比率がずれる

工数と工期の違いは、工程別に分けるとさらにはっきりします。データ集は、開発5工程の合計を分母にした工程ごとの比率を、工期(実績月数)と工数(実績工数)の別々の表で示しています。同じ工程でも、期間に占める割合と作業量に占める割合は一致しません。

資料の記述では、新規開発の工期は基本設計工程と製作工程の月数の比率が高く、工数は製作工程の比率が高いとされています。期間は長いのに作業量の比率がそれほど高くない工程もあれば、その逆の工程もあります。工程別・開発種別ごとの比率は「工程別の工数比率、新規開発は製作に31.6%が集まる」にまとめました。

体制を考えるときは、自社の案件でも工程ごとに工期と工数を両方書き出しておくと、人を加える工程と日程で調整する工程を分けて考えやすくなります。

見積りで2つを取り違えないために

外部の開発会社や業務委託の人材と見積りをやり取りするときに、そろえておきたい点は3つあります。1つ目は工数の単位と換算です。人時か人月か、人月なら1か月を何時間とするかを合わせます。2つ目は工数の範囲です。管理作業や環境構築を含めるのか、社内と外部の工数をどう分けるのかを決めます。3つ目は工期の起点と終点です。開始日と終了日をいつとするのか、検収や待ち期間を含めるのかをそろえます。

この3つがそろえば、「何人月の仕事を、何か月で終えるか」を同じ物差しで話せます。足りない人手を業務委託で補う場合も、工数と工期を分けて伝えると、必要な人数と期間を相手と同じ前提で詰められます。

まとめ:工数と工期は分けて数えて管理する

工数と工期の違いは、工数が人の作業量(人時・人月)、工期が始めてから終えるまでの期間(月数)である点です。IPAの「ソフトウェア開発分析データ集2022」は、工数を社内工数と外部委託工数の合計で数え、人時を人月にするときは1か月160時間で換算しています。工期は工数が発生した日から最後の日までで、待ち期間は差し引きます。工数は工程ごとに足し算できますが、工期は工程どうしが重なることがあり、足しても全体になりません。2つは月あたりの要員数でつながっていますが、工期は工数の3乗根に比例する傾向があり、人を増やしても同じ割合では縮みません。見積りでは、工数の単位と範囲、工期の起点と終点を相手とそろえておきます。

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よくある質問

工数と工期の違いは何ですか。

工数は、その仕事に人が費やした作業量で、人時や人月で表します。工期は、仕事を始めてから終えるまでの期間で、月数や日数で表します。3人が2か月かけた仕事なら、工期は2か月、工数はおよそ6人月です。工数は工程ごとに足し算できますが、工期は工程どうしが重なることがあるため足しても全体になりません。

1人月は何時間で換算しますか。

IPAのデータ集は、人時を人月に換算するときに1か月160時間を使っています。労働基準法で定められた1日8時間の法定労働時間に、1か月の平均実労働日20日を掛けた値です。ただし会社や契約によって換算の時間数が違うことがあるので、外部とやり取りするときは時間数もそろえます。

人を増やせば工期は短くなりますか。

工数が同じなら、同時に作業する人を増やすほど計算上の工期は短くなります。ただしデータ集は、工期は工数の3乗根に比例する傾向があるとしており、工数500人月の工期にも約11〜21か月の幅があると説明しています。人数に比例して縮むとは考えず、説明や確認の時間も含めて見積り直します。

工期に待ち時間は含めますか。

IPAのデータ集では、顧客のサイン待ちやテストデータの受領待ちのような非活動期間をアイドリング期間と呼び、総工期から引くと活動期間になると定義しています。自社の見積りで待ち時間を含めるかどうかは、相手と事前に決めておきます。

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出典

  1. *1 参考:IPA「ソフトウェア開発分析データ集2022」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/metrics/metrics2022.html)。公開日・最終更新日・事業終了に伴い今後の発行予定はない旨の記述の一次情報として(2026年10月7日確認)(2026年10月確認)
  2. *2 参考:IPA「ソフトウェア開発分析データ集2022」本編(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/metrics/hjuojm000000c6it-att/000102171.pdf)。はじめに(35社・累計5,546件・直近6年間の対象)、1.3.3 工期・1.3.4 工数(表1-3-3・表1-3-4)、1.3.5 要員数、A4 工期・工数の扱い(1か月160時間の根拠)、A4.4.2(工期は工数の3乗根に比例する傾向・500人月で約11〜21か月)、A5.2.9 工期・A5.2.10 工数・A5.2.12 導出指標の定義として(2026年10月確認)




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