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月あたりの要員数の違い、新規開発7.7人と改修・保守5.6人
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- 全体の中央値は6.3人:月あたりの要員数です*2。
- 新規開発は7.7人:改修・保守は5.6人でした*2。
- 実数の集計ではない:工数と月数からの導出指標です*2。
※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関・ベンダー公式ドキュメント)に基づきます。
遅れている案件に、何人を足せばよいでしょうか。
社内の前例だけで決めると、多すぎたか少なすぎたかが後で分かります。
手がかりは、月あたりの要員数として公開された分布です。
IPAの資料では、全体の中央値が6.3人、新規開発が7.7人、改修・保守が5.6人と示されています*1*2。
ただしこれは実際の人数を数えた値ではありません*2。工数と月数から算出した導出指標です*2。
目次
足す人数の当たりを分布で置く
立て直しの相談では、まず人数が話題になります。ところが何人が妥当なのかを外の数字で確かめる手段は、あまり知られていません。
その手段になる資料があります*1。IPAの「ソフトウェア開発分析データ集2022」で、公開は2022年9月26日、最終更新は2025年8月28日と記されています*1。
規模も示されています*1。これまでに収集した5,546プロジェクトの定量データから分析したと書かれています*1。
性質を先に書きます*1。この資料には「事業終了に伴い今後の発行予定はございません」と明記されています*1。最新の調査ではありません*1。
構成も確かめられます*4。本編のほかに業種編3編、サマリー版、マンガ解説版、グラフデータが公開されています*4。
業種編の対象も示されています*1。プロジェクト数の多い金融・保険業、情報通信業、製造業の3業種について、本編と同一の分析を行ったとされています*1。
沿革も書かれています*4。IPAは2005年からエンタプライズ分野の開発データを収集し、2020年に書籍版の名称を変えて現在の形になったとされています*4。
該当する表は1-3-5です*2。プロジェクトの月あたりの要員数として、開発プロジェクトの種別ごとに基本統計量が示されています*2。
ここで性質の注意があります*2。本編は、この指標について「実際の要員数を集計したものではないことに留意されたい」と記しています*2。
算出の形も書かれています*2。工数と工期の月数から算出する数値で、付録に導出指標として定義が示されているとされています*2。
定義はこうです*2。実績工数の開発5工程分を、実績月数の開発5工程分で割り、さらに人時換算係数で割る形です*2。
換算の前提も明記されています*2。工数の単位が人時のときは、人月人時換算係数として160を使用すると書かれています*2。
つまり1人月を160人時とみなした値です*2。自社の勤務時間の前提が違えば、読み替えが必要になります*2。
数値の扱いを書きます*2*3。四分位は本編の表に示された値をそのまま引き、倍率と差は表の値から筆者が算出しました*2*3。
グラフデータの著作権はIPAが保有しています*3。使用条件に従い、著作権表示としてCopyright 2022 IPAを記します*3。
まず全体の値を見ます*2。
全体の中央値は6.3人
表1-3-5の全体行は、月あたりの要員数を示しています*2。Nは975です*2。
中央値は6.3人でした*2。月あたり6人から7人という水準です*2。
四分位も示されています*2。P25が3.4、P75が12.3です*2。
両端も出ています*2。下端が0.2、上端が309.4でした*2。
平均と標準偏差もあります*2。平均は12.7、標準偏差は22.7です*2。
本編は分布の形も記しています*2。3人から4人の分布が最も多く、10人以下が7割弱を占めているとされています*2。
ここが実務での起点になります。世の中の案件の7割弱は、月あたり10人以下の体制で動いていると読めます*2。
10人を超える体制は上側の3割です*2。P75が12.3なので、13人を積む計画は上位4分の1に入る形になります*2。
下側も広いです*2。P25が3.4なので、3.4人を下回る案件が4分の1あります*2。
単位は月あたりです*2。合計の人数ではなく、その月に何人が動いていたかに相当する値です*2。
図表の対応も記されています*2。この表は過去のデータ白書2018の図表5-6-4に対応し、分布の図は図表5-6-2に対応するとされています*2。
集計の対象も書かれています*2。月あたりの要員数のデータがあるプロジェクトを対象として、開発プロジェクトの種別で層別を行ったと記されています*2。
体制そのものを見直す進め方は別に整理されています。開発体制の見直しで費用削減が参考になります。
次に、種別ごとの違いを見ます*2。
新規開発7.7人と改修・保守5.6人の違い
表1-3-5は開発プロジェクトの種別で層別されています*2。行は全体と6つの種別です*2。
新規開発の中央値は7.7人でした*2。Nは279です*2。
改修・保守の中央値は5.6人でした*2。Nは491で、種別の中では最も多い件数です*2。
差は2.1人です*2。倍率にすると1.375倍で、新規開発のほうが厚い体制になります*2。
本編もそう記しています*2。中央値で見ると新規開発は7.7人に対して、改修・保守は5.6人と少ないとされています*2。
四分位でも同じ向きです*2。新規開発はP25が4.4、P75が17.9で、改修・保守はP25が3.0、P75が11.2です*2。
つまり上側の差が大きいです*2。P75では17.9人と11.2人で、6.7人の開きがあります*2。
再開発は新規開発に近い値です*2。中央値が7.4人でNは81です*2。
拡張は改修・保守に近い値です*2。中央値が5.4人でNは78です*2。
中央値の降順で並べると6つの種別の位置が見えます*2。新規開発7.7、再開発7.4、OSSを含む流用開発6.8、改修・保守5.6、拡張5.4、パッケージ利用開発3.8です*2。
資料は理由を説明していません*2。なぜ新規開発のほうが厚いのかは書かれていません*2。
ばらつきの大きさも種別で違います*2。標準偏差は新規開発が19.1、改修・保守が21.5で、件数の多い改修・保守のほうが広い形です*2。
上端も違います*2。新規開発の上端が155.2、再開発の上端が147.5、改修・保守の上端が309.4です*2。
体制の作り方そのものは別に整理されています。CTO不在でも回る開発体制の作り方をご覧ください。
次に、幅の大きさを見ます*2。
P25とP75で3.62倍ひらく
幅を倍率にすると、この指標の性質が見えます*2。
全体はP75をP25で割ると3.62倍です*2。12.3を3.4で割った値です*2。
新規開発は4.07倍でした*2。17.9を4.4で割った値です*2。
改修・保守は3.73倍です*2。11.2を3.0で割った値です*2。
拡張はさらに広がります*2。13.1を2.5で割ると5.24倍になります*2。
再開発はいちばん狭いです*2。12.7を4.7で割ると2.70倍です*2。
つまり真ん中の半分の案件だけで3倍前後から5倍ひらきます*2。種別を絞っても幅は残ります*2。
平均も見ておきます*2。全体は平均12.7で、中央値6.3の2.02倍です*2。
拡張はもっと離れます*2。平均17.5で、中央値5.4の3.24倍になります*2。標準偏差は41.2です*2。
原因は上端の値です*2。改修・保守の上端が309.4、拡張の上端が221.1と示されています*2。
1件でも極端な値があると平均は動きます*2。この指標では中央値と四分位だけを見ます*2。
1行だけ形が違います*2。OSSを含む流用開発は平均が6.0で、中央値6.8より低い値です*2。ただしNが10なので、この形が傾向かどうかは分かりません*2。
要員が足りない状態で刷新に踏み込んだ場合の集計は別にあります。レガシー刷新を止めるのは理解不足ではなく要員の不足で扱っています。
次に、工数の側を押さえます*2。
工数の側は中央値7,395人時
本編の表1-3-4は、プロジェクト全体の工数を人時換算で示しています*2。Nは1,444です*2。
中央値は7,395人時でした*2。人月に直せば46人月ほどにあたる規模です*2。
本編もそう記しています*2。プロジェクトの工数の中央値は7395人時であるとされています*2。
過去との比較も添えられています*2。2014年度から2019年度と比較してわずかに減少しているが、あまり差はないと記されています*2。
四分位も示されています*2。P25が3,105、P75が20,446です*2。
倍率にすると6.58倍です*2。要員数の3.62倍よりさらに広い幅です*2。
両端も出ています*2。下端が6、上端が977,760でした*2。
平均は24,458、標準偏差は59,846です*2。平均は中央値の3.31倍になります*2。
分布の形も記されています*2。5000人時以下のプロジェクトがおよそ4割を占めるとされています*2。
これも過去と変わっていません*2。本編は2014年度から2019年度と比較して、あまり差はないと記しています*2。
図の刻みも書かれています*2。図1-3-4は20,000人時以下を1,000人時刻みで示したもので、データ白書2018の図表4-10-2に対応するとされています*2。
工程ごとに内製と委託を分ける実態は別に整理されています。工程別の内製化|設計開発テストだけ委託が34.4%で扱っています。
次に、2つの表の関係を押さえます*2。
2つの表は割り算できない/件数の少ない種別
ここで気をつける点があります*2。工数の中央値を工期の中央値で割れば要員数が出る、という読み方はできません*2。
基準が違います*2。表1-3-4はプロジェクト全体の工数で、表1-3-5の導出指標は開発5工程の実績値から算出されています*2。
Nも違います*2。表1-3-4は1,444、表1-3-5は975です*2。同じプロジェクトの集合ではありません*2。
中央値の性質もあります*2。中央値はそれぞれ別の案件で実現した値なので、割り算をしても特定の案件の姿にはなりません*2。
導出指標は案件ごとに計算されています*2。案件ごとに工数を月数で割り、その結果を集めて分位点を出した形です*2。
だから使い方も分かれます*2。工数の分布は規模の大小を見るために、要員数の分布は体制の厚みを見るために使います*2。
件数の少ない種別にも注意します*2。パッケージ利用開発はNが36、OSSを含む流用開発はNが10です*2。
この2つは参考の範囲にとどめます*2。流用開発の倍率が1.67倍と狭いのも、件数の少なさと切り分けられません*2。
集計の元も書かれています*2。工期については、プロジェクト全体工期の実績値を使用し、ない場合に限り各社の提出値を使用したと注記されています*2。
工数の側も明記されています*2。表1-3-4の集計対象データは、プロジェクト全体の実績工数とされています*2。
読めないことも押さえます*2。実際に何人がいたか、要員数と遅延の関係、工程ごとの人数の増減は含まれていません*2。
途中から人を足した効果も分かりません*2。それを示すクロス集計は、今回参照した資料に記載はありません*2。
時点の限界もあります*1。この資料は2022年の公開で、事業終了に伴い今後の発行予定はないと明記されているため、それより後の傾向は読めません*1。
指標の性質はここまでです*2。最後に手順へ落とします*2。
人を足す前に決める順番
ここまでの分布を、自社の手順に落とします*2。
| 開発プロジェクトの種別 | P25 | 中央 | P75 | N |
|---|---|---|---|---|
| 全体 | 3.4 | 6.3 | 12.3 | 975 |
| 新規開発 | 4.4 | 7.7 | 17.9 | 279 |
| 改修・保守 | 3.0 | 5.6 | 11.2 | 491 |
| 再開発 | 4.7 | 7.4 | 12.7 | 81 |
| 拡張 | 2.5 | 5.4 | 13.1 | 78 |
| パッケージ利用開発 | 1.9 | 3.8 | 8.0 | 36 |
| OSSを含む流用開発 | 4.2 | 6.8 | 7.0 | 10 |
1段目は残りを出すことです。残る工数を人時で、残る期間を月数で押さえます。
2段目は並べることです。種別に合う行の中央値と、いま置いている人数を並べます。
3段目は幅で見ることです。P25とP75の間に入っているか、外に出ているかを確かめます。
改修・保守の案件で20人を積むなら、P75の11.2を大きく超える体制だと分かります*2。それでも必要なら、理由を言葉にしておく必要があります。
4段目は作業量の側を削ることです。人数の側で埋まらない分は、期間か範囲のどちらかで調整することになります。
順番を逆にすると進みません。人数を先に決めると、残る工数と合っているかを確かめる機会がなくなります。
この分布は当たりの値でしかありません*2。実際に何人がいたかを集計した値ではないので、自社の実績と並べて使います*2。
自社の値を2回ぶん取れば、業界の分布ではなく自社の中央値で置けます。工数と月数を案件ごとに記録しておくだけで作れます。
足す人の性質も分けて考えます。判断や仕様の決めは社員が持ち、手を動かす部分を外に出す形が取れます。
期間を区切って入れるなら、フリーランスを含む業務委託の使い方が合います。立て直しの数か月だけ人を足し、収まったら戻す形にします。
厚みも幅の中で決めます。中央値だけで置くと、上側の案件で足りず、下側の案件で余ります*2。
最後に時点を添えておきます*1。2022年公開の資料なので、直近の相場ではなく比較の基準として使う形になります*1。
まとめ:導出指標として読む
第一に、資料の性質です。IPAの「ソフトウェア開発分析データ集2022」は公開が2022年9月26日、最終更新が2025年8月28日となっており、これまでに収集した5,546プロジェクトの定量データから分析されています。事業終了に伴い今後の発行予定はないと明記されているため、最新の調査ではありません。四分位は本編の表に示された値で、倍率と差は表の値から筆者が算出しました。グラフデータの著作権はIPAが保有しており、著作権表示としてCopyright 2022 IPAを記します。第二に、指標の性質です。月あたりの要員数は導出指標で、本編は実際の要員数を集計したものではないことに留意されたいと記しています。定義は実績工数の開発5工程分を実績月数の開発5工程分で割り、さらに人時換算係数で割る形で、工数の単位が人時のときは人月人時換算係数として160を使用すると書かれています。第三に、全体の値です。中央値は6.3人、P25が3.4、P75が12.3でNは975でした。本編は3人から4人の分布が最も多く、10人以下が7割弱を占めていると記しています。第四に、種別の違いです。新規開発の中央値は7.7人でNが279、改修・保守は5.6人でNが491でした。差は2.1人で1.375倍です。本編も中央値で見ると新規開発は7.7人に対して改修・保守は5.6人と少ないと記しています。中央値の降順は新規開発7.7、再開発7.4、OSSを含む流用開発6.8、改修・保守5.6、拡張5.4、パッケージ利用開発3.8です。第五に、幅です。P75をP25で割ると全体が3.62倍、新規開発が4.07倍、改修・保守が3.73倍、拡張が5.24倍、再開発が2.70倍になります。平均は全体で12.7、中央値6.3の2.02倍で、拡張は3.24倍です。上端が309.4であるため平均は根拠にしません。第六に、工数です。表1-3-4はプロジェクト全体の工数を人時換算で示し、Nが1,444、中央値が7,395人時、P25が3,105、P75が20,446でした。本編は5000人時以下のプロジェクトがおよそ4割を占めると記しています。第七に、2つの表の関係です。基準もNも違うため、工数の中央値を工期の中央値で割って要員数にすることはできません。実際に何人がいたか、要員数と遅延の関係、途中から人を足した効果も今回の内容には含まれていません。
よくある質問
月あたりの要員数はどれくらいが普通ですか。
IPAのソフトウェア開発分析データ集2022の表1-3-5では、全体の中央値が6.3人でした。Nは975です。本編は3人から4人の分布が最も多く、10人以下が7割弱を占めていると記しています(確認日2026年9月4日)。
新規開発と改修・保守で人数は違いますか。
中央値で2.1人の差があります。新規開発が7.7人でNが279、改修・保守が5.6人でNが491です。倍率にすると1.375倍です。P75では17.9人と11.2人で6.7人の開きになります。
この数字は実際の人数ですか。
実際の人数ではありません。本編は実際の要員数を集計したものではないことに留意されたいと記しています。実績工数の開発5工程分を実績月数の開発5工程分で割り、人時換算係数で割った導出指標です。工数の単位が人時のときは160を使用すると書かれています。
工数の中央値を工期の中央値で割れば人数が出ますか。
出ません。表1-3-4はプロジェクト全体の工数でNが1,444、表1-3-5は開発5工程の実績値から算出でNが975です。基準も母集団も違うため割り算はできません。導出指標は案件ごとに計算した値を集めて分位点を出したものです。
人を足せば遅れは取り戻せますか。
今回参照した資料からは分かりません。要員数と遅延の関係や、途中から人を足した効果を示すクロス集計は記載がありません。読めるのは月あたりの要員数の分布と、開発プロジェクトの種別ごとの水準の違いだけです。
出典
- *1 参考:IPA「ソフトウェア開発分析データ集2022」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/metrics/metrics2022.html)。公開日・最終更新日・5,546プロジェクト・事業終了に伴う発行予定なしの記述の一次情報として(2026年9月確認)
- *2 参考:IPA「ソフトウェア開発分析データ集2022」本編(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/metrics/hjuojm000000c6it-att/000102171.pdf)。表1-3-5・表1-3-4の四分位・平均・標準偏差・N・導出指標の定義と注意書き・IPAの記述として(2026年9月確認)
- *3 参考:IPA「ソフトウェア開発分析データ集2022グラフデータ」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/metrics/hjuojm000000c6it-att/000103288.zip)。同じ指標の実績値の確認として。著作権はIPAが保有(Copyright 2022 IPA)(2026年9月確認)
- *4 参考:IPA「ソフトウェア開発分析データ集」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/metrics/index.html)。業種編3編・サマリー版・グラフデータという構成と、2005年からのデータ収集の沿革の記述として(2026年9月確認)