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エンジニア採用の技術面接、評価項目をスキルの水準から決める
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- 厚生労働省のjob tagで、ほかの職業より数値の順位が高いスキルを中心に、技術面接の評価項目を選びます。
- プログラミングの数値(0〜7)は、システムエンジニア(受託開発)で4.3、スキルの数値がある498職業の中で9位です。
- job tagにある段階ごとの作業例を自社の仕事に当てはめ、合格とする答えを面接の前に書いておきます。
※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
技術面接で何を見るかが面接官ごとに違い、評価が割れる。評価項目を作ろうとしても、「技術力」「コミュニケーション力」のような抽象的な言葉しか並ばない——。エンジニア採用の技術面接では、こうした迷いが起こりがちです。技術面接の評価項目とは、面接で確かめる能力の一覧と、それぞれをどの水準なら合格とするかを決めたものを指します。
評価項目の候補を探すときに使えるのが、厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」です。システムエンジニアやプログラマーといった職業ごとに、働いている人が答えたスキルの数値が公開されています。*1 ただし万能ではなく、数値は職業全体の平均なので、使う項目は自社の仕事に合わせて選び直す必要があります。本記事では、開発の現場で面接を担当するマネージャーに向けて、スキルの数値の見方、ほかの職業と比べて評価項目を絞る方法、レベルの例を質問に置き換える手順、そしてつまずきやすい点を整理します。
目次
技術面接の評価項目とは
評価項目は、「何を見るか」と「どこまでできれば合格とするか」の組です。見る項目だけを決めると、「プログラミング」という項目に対して、ある面接官は書いたプログラムの量を、別の面接官は設計の考え方を見る、ということが起こります。合格の水準まで決めておけば、応募者の答えを同じ基準で比べられます。
評価項目を選ぶ出発点は、任せる仕事です。厚生労働省の「公正な採用選考の基本」は、面接も「職務遂行のために必要となる適性・能力を評価する観点から」行うよう求めています。*4 仕事に関係する能力だけを評価項目にし、それ以外は入れないということです。とはいえ、任せる仕事から必要な能力を一つずつ書き出すのは手間がかかります。そこで、公的な職業情報に載っている項目を、評価項目の候補の一覧として使います。人事担当者が技術面接で使える質問は「技術面接で人事が見極める5つの質問」で扱っています。
job tagのスキルの数値とは
job tagは、職業を「タスク」(仕事の内容を細かく分けた作業)や「スキル」などの観点から整理し、求職者の就職活動や企業の採用活動を支援する厚生労働省のサイトです。載っている職業情報は、労働政策研究・研修機構(JILPT)の「職業情報データベース」をもとに作られています。*1 IT関係では、システムエンジニア(受託開発)、システムエンジニア(Webサービス開発)、プログラマーなどが、それぞれ別の職業として載っています。
スキルは、読解力、傾聴力、プログラミング、要件分析(仕様作成)など39項目です。数値は0から7までで、その職業にどのスキルがどの程度必要かを、働いている人が答えた平均です。システムエンジニア(受託開発)のスキルの数値は、2021年度に、インターネット調査に登録した就業者から集めたものです。*2
数値の意味は、レベルごとの例で示されています。たとえばプログラミングは、レベル2が「表計算ソフトで複数の関数を組み合わせて目的の処理を実行する。」、レベル4が「設計書に従って、マニュアル(リファレンス)を調べながらプログラミングを行う。」、レベル6が「開発責任者としてOSやミドルウェアのアーキテクチャを理解した上で、アプリケーションソフトを設計する。」です。*3 平均の4.3は、例が示されているレベル4と6の間で、4に近い水準です。
ほかの職業と比べて高い項目
システムエンジニア(受託開発)のスキルを数値の高い順に並べると、プログラミングと読解力がともに4.3で並び、傾聴力4.2、文章力4.2、要件分析(仕様作成)4.1、説明力4.1が続きます。*2 この上位をそのまま評価項目にすると、読解力や傾聴力が技術面接の中心に来てしまいます。
そこで、スキルの数値が入っている498の職業の中で、この職業が何位に当たるかを数えました。プログラミングは9位、カスタマイズと開発は33位、要件分析(仕様作成)は34位です。一方、同じ4.3の読解力は148位、傾聴力は258位でした。読解力が4以上の職業は214あるのに対し、プログラミングが4以上の職業は12しかありません。*2
読解力や傾聴力は、多くの職業で求められるスキルです。技術面接で確かめたいのは、エンジニアとしての経験があるかどうかです。数値が高く、ほかの職業と比べても順位が高い項目——この職業ならプログラミング、要件分析(仕様作成)、カスタマイズと開発——を評価項目の中心に置くと、確かめる内容が絞れます。面接官は、読解力や傾聴力を独立した項目にせず、技術の質問への答えが分かりやすいかどうかで見れば十分です。カスタマイズと開発は、利用者の求めに応じて機器や技術を新しく作ったり、現場に合わせて改造したりするスキルです。*3テストや保守を任せるなら、55位のクオリティチェックと73位の故障等の原因特定も候補になります。
職種による違い
同じエンジニアでも、職業によって、どのスキルの数値が高いかが変わります。プログラマーはプログラミングが4.9と、受託開発のシステムエンジニアの4.3より高い一方、要件分析(仕様作成)は3.3で、受託開発の4.1を下回ります。Webサービス開発のシステムエンジニアは、プログラミングが4.8、要件分析(仕様作成)が4.2で、両方とも高い職業です。*2
差がはっきり出るのは、チームをまとめる立場で使うスキルです。受託開発のシステムエンジニアは指導が3.7、時間管理が3.6ですが、プログラマーはそれぞれ3.1、2.6です。*2 募集する職種がどちらに近いかで、評価項目の数と重みを変えるとよいでしょう。プログラムを作る作業が中心なら、プログラミングを深く確かめます。顧客と仕様を決め、若手に作業を任せる立場なら、要件分析(仕様作成)と指導も評価項目に加えます。
レベルの例を質問に置き換える
評価項目を決めたら、レベルの例を面接の質問に置き換えます。job tagのレベルの例は多くの職業に共通して使えるように書かれているので、IT以外の場面も混じっています。要件分析(仕様作成)のレベル4は「ソフトウェアの仕様をどのように変更すれば使いやすくなるか分析する。」ですが、レベル6は「新しい工場の自動化に必要とされる制御システムの要件を定義する。」です。*3 例の場面をそのまま尋ねるのではなく、例が示す作業の難しさの程度を、自社の仕事に当てはめます。
| 評価項目 | job tagのレベル4の例 | 質問の例 | 合格とする答え |
|---|---|---|---|
| プログラミング | 設計書に従って、マニュアル(リファレンス)を調べながらプログラミングを行う | 設計書をもとに作った処理を1つ挙げてもらい、途中で調べた資料と、その資料で確かめたことを尋ねる | 設計書のどの記述をどの処理にしたかと、調べた資料の名前と中身を説明できる |
| 要件分析(仕様作成) | ソフトウェアの仕様をどのように変更すれば使いやすくなるか分析する | 利用者の要望を受けて仕様を変えた例を挙げてもらい、変える前と後の違いを尋ねる | 誰の要望か、仕様のどこをどう変えたか、採らなかった案とその理由を説明できる |
| 故障等の原因特定 | 電気系統の故障の原因となっている回路を特定する | 稼働中のシステムで起きた不具合を1つ挙げてもらい、原因が分かるまでの手順を尋ねる | 最初に疑った箇所、確かめた順番、原因と判断した根拠を説明できる |
| クオリティチェック | マニュアルに従って出来上った製品の品質をチェックする | 担当したテストを1つ挙げてもらい、何を確かめるテストだったかを尋ねる | テストの対象と合否の基準、見つかった不具合への対応を説明できる |
表の「合格とする答え」は、レベル4に当たる経験があるかどうかを見るためのものです。レベル6に当たる経験、たとえば開発責任者として設計を決めた経験を求める募集なら、質問も「なぜその設計にしたのか」「ほかにどの案と比べたのか」まで広げます。求める水準を先に決めておくと、面接官どうしで合否の判断がそろいます。
タスクから評価項目を絞る
job tagには、職業ごとのタスクも載っています。システムエンジニア(受託開発)には、顧客へのヒアリングから、要件定義(システムで何をするかを決める作業)、基本設計、詳細設計、各段階のテスト、運用開始後の対応、予算の管理などの22のタスクが並びます。実施率は、そのタスクが一般的に行われていると答えた就業者の割合です。結合テスト、総合テスト、受け入れテストはいずれも96.5%、要件定義は93.0%でした。*3
22のタスクはどれも実施率が8割を超えています。職業全体として見ると、顧客へのヒアリングから予算の管理まで、ほぼすべてが仕事に含まれるということです。自社の募集で任せるのがその一部であれば、評価項目もそれに合わせて絞ります。たとえば詳細設計から結合テストまでを任せるなら、プログラミング、クオリティチェック、故障等の原因特定が中心になり、顧客へのヒアリングに関わる要件分析(仕様作成)や説明力の比重は下がります。タスクを先に選び、そのタスクに要るスキルを評価項目にする順番にすると、面接の時間を任せる仕事の確認に使えます。経歴書の読み方は「外部エンジニアのスキル確認、スキルシートは技術名より作業で読む」で扱っています。
つまずきやすい点
一つ目は、数値を合格ラインにしてしまうことです。job tagの数値は、その職業で働いている人の回答の平均です。応募者一人ひとりにレベルの数字を付け、4.3と比べて合否を決める使い方はしません。数値は評価項目を選ぶための手がかりとし、合否は前の表のような説明の中身で決めます。
二つ目は、仕事と関係のない話題を評価項目に紛れ込ませることです。厚生労働省は、尊敬する人物や愛読書のような本来自由であるべき事項を面接で尋ねて把握することは、就職差別につながるおそれがあるとしています。*4 技術への関心を確かめたいときも、好きな本を尋ねるのではなく、仕事で調べて使った資料を尋ねる形にします。
三つ目は、データの時点を確かめないことです。システムエンジニア(受託開発)のスキルの数値は2021年度の調査によるもので、タスクは2025年度に更新されています。*2 調査の時点より新しい開発の道具や言語の経験を確かめたいときは、職業情報の項目とは別に、技術の名前を挙げた評価項目を設けます。
まとめ:技術面接の評価項目で確かめておきたい3つの点
技術面接の評価項目を決めるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、評価項目は任せる仕事から選び、ほかの職業と比べても数値が高いスキルを中心に置くこと。第二に、レベルの例を自社の仕事に当てはめ、どんな説明ができれば合格とするかを面接の前に書いておくこと。第三に、職業の平均を合格ラインにせず、仕事と関係のない話題を評価項目に入れないことです。この3点を踏まえておけば、「面接官によって評価がばらばらで、誰を採るか決められない」という事態を避けやすくなります。エンジニア採用の評価項目の作り方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。
よくある質問
技術面接の評価項目は、いくつくらいにすればよいですか
決まった数はありません。1項目につき経験を1つ挙げてもらい、続けて2〜3問を尋ねられるだけの時間が取れる数にするのがおすすめです。項目を増やすほど、1つの答えを詳しく聞く時間が減ります。
job tagのスキルの数値は、どこで確かめられますか
職業ごとのページにある「しごと能力プロフィール」で見られます。全職業の数値は、JILPTの「簡易版数値系ダウンロードデータ」(ver.7.00、2026年2月10日更新)として、CSVとExcelの形式で公開されています。
知識の数値も評価項目に使えますか
使えますが、スキルとは答え方が違います。知識は33項目で、0の「仕事とは無関係」から5の「きわめて重要」までの重要度を答えた平均です。*3 スキルのようなレベルごとの作業の例は付いていないので、質問はスキルの項目から作るほうが進めやすくなります。
募集する職種に当たる職業がjob tagに見つからないときは、どうすればよいですか
近い職業を2〜3つ開き、タスクの一覧を見比べます。任せる仕事と重なるタスクが多い職業のスキルの数値を使い、重ならないタスクに関わるスキルは評価項目から外します。
技術面接の評価項目を相談したいとき
任せる仕事の整理と、面接で確かめる項目の洗い出しからご相談いただけます。
Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も探せます。
Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。
出典
- *1 参考:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「当サイトについて」(https://shigoto.mhlw.go.jp/User/about)。出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「当サイトについて」。サイトの目的と、職業情報が労働政策研究・研修機構の「職業情報データベース」をもとに作られていることを参照(2026年9月確認)
- *2 参考:労働政策研究・研修機構「職業情報データベース 簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00」(https://shigoto.mhlw.go.jp/User/download)。出典:労働政策研究・研修機構「職業情報データベース 簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00」(2026年2月10日更新)。スキル39項目の平均値(0〜7)、職業ごとの情報源・直近更新年度・サンプルサイズ不足フラグ、インプットデータ細目のスキル区分とタスク実施率の定義を参照。498職業の中での順位は、同データのスキルの数値がある職業について筆者が数えたもの(2026年9月確認)
- *3 参考:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「システムエンジニア(受託開発)」(https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/312)。出典:job tag「システムエンジニア(受託開発)」の職業詳細。タスク22件の実施率と、スキル・知識の各項目の説明およびレベルの例(スキルは2・4・6、知識は0〜5の段階)を参照(2026年9月確認)
- *4 参考:厚生労働省「公正な採用選考の基本」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/newpage_56780.html)。出典:厚生労働省「公正な採用選考の基本」。面接での留意点と、採用選考時に配慮すべき事項(本来自由であるべき事項の把握)を参照(2026年9月確認)