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2026.09.29 採用支援コラム

SESの短期契約で契約期間を決める手順、満了日と見直しの時期




監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論

  • SESの短期契約は、期間が終わるたびに作業の量と費用を見直す機会をつくる頼み方です。
  • 試しに短く始めるなら、最初の期間で何を確かめるかを契約の前に書いておきます。
  • 契約書には「3か月」とだけ書かず、開始日と終了日を日付で書くと満了日がずれません。

※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

最初は3か月だけ頼んで、様子を見てから続けるかを決めたい。けれども、なぜ3か月なのかと聞かれると答えに詰まる。契約書に「3か月」と書いたものの、最終日がいつなのかで社内の意見が分かれた——。SES(技術者が客先で働く契約の形)を短い期間で頼む現場では、こうした迷いが起こりがちです。SESの短期契約とは、SES会社の技術者に自社の開発チームへ加わってもらう契約期間を数か月ほどに短く区切り、期間が終わるたびに続けるかどうかと条件を決め直す頼み方を指します。

期間を短く区切れば、作業の量や費用を見直す機会を定期的につくれます。ただし万能ではなく、区切るたびに条件の確認と契約の手続きが要り、相手の会社と担当者の交代を相談する回数も増えます。本記事では、SESで開発要員を確保するマネージャーに向けて、短く区切る理由、長い契約との違い、試しに短く始めるときの決め方、満了日の数え方、そして外部に委託するときに確認しておきたい点を整理します。

暗い背景の上に置かれた木製の小槌と受け台を間近から写した写真。人物や文字は写っていない

SESの短期契約とは

短期契約で決め直すのは、主に3つです。続けるかどうか、次の期間に任せる作業、そして人数と費用です。期間の長い契約では、これらを最初に一度決めれば、しばらく変えずに進みます。短期契約では、期間の終わりが近づくたびに、実際に進んだ作業をもとに次の期間の条件を話し合います。

契約期間の長さは、発注する側とSES会社が話し合って決めます。派遣として人を受け入れる場合の短い期間の制限は「SESの契約期間を短くするときの注意、日雇派遣の禁止と例外」で扱っています。本記事では、SES会社と結ぶ契約を前提に、期間の長さをどう決めるかに絞ります。

期間の終わりに委託先のセキュリティの体制を確かめる点は「SESの契約更新前に確かめる、委託先のセキュリティ3項目」にまとめています。ここでは、そもそもどのくらいの長さで区切るのか、区切った期間の終わりをどう数えるのかを見ていきます。

なぜ契約期間を短く区切るのか

手がかりになるのが、デジタル庁の「デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン解説書」(DS-110)です。政府の情報システムを整備するときの進め方を解説した文書で、民間企業どうしの契約にそのまま当てはまるものではありませんが、契約期間の考え方が具体的に書かれています。

DS-110は、設計・開発が1年のうちに終わるような規模の小さいプロジェクトについて、「運用・保守の契約期間を短期に設定し、更新のタイミングで費用の見直しを検討することも効果的である」と書いています。*1 契約を短く区切る理由を、費用を見直す機会として説明しているわけです。

クラウドサービスの契約についても、同じ考え方が示されています。1年ごとの契約を重ねる場合は、前の年の利用実績を踏まえて翌年度の契約内容を決められるので、利用量に見合った契約額にできる、という説明です。*1 SESに当てはめると、前の期間に実際にどれだけの作業があったかを見てから、次の期間の人数や、週に何日働いてもらうかを決められることになります。

長い契約との違い

DS-110は、短い契約だけを勧めているわけではありません。同じクラウドサービスの説明で、複数年の契約には、複数年分をまとめて予約する割引を使って、さらに価格を引き下げられる可能性がある、と書いています。そのうえで、プロジェクトの特性に応じて契約期間を判断するとしています。*1

短い契約は見直しの機会が多い代わりに、期間が終わるたびに条件の確認と契約の手続きが要ります。長い契約は条件を先に固められる代わりに、途中で作業が減っても契約額を減らしにくくなります。どちらが合うかは、この先の作業の量をどれだけ見通せるかで変わります。

DS-110は、プロジェクトに違いを生む要因として、次の表の5つを挙げています。*1 契約期間を決めるときも、この5つを順に見ていくと判断の材料がそろいます。

プロジェクトに違いを生む要因と、契約期間を決めるときに見ること(出典:デジタル庁 DS-110 第3編第1章 表1-1の要因の種類をもとに作成)
要因の種類 契約期間を決めるときに見ること
サービス・業務の内容 作業の量が月ごとに大きく変わるか
実施環境や制約 予算が年度ごとに決まるか、期限はいつか
プロジェクトの規模 他の委託先の作業と日程がつながっているか
情報システムの整備内容 決まった日に終わる開発か、続いていく運用か
情報システムの整備方法 作業の中身を短い間隔で決め直す進め方か

たとえば、作業の量が月によって大きく変わる運用や、作業の中身を数週間ごとに決め直す開発は、短く区切って実績を見ながら条件を決め直す形と合わせやすい作業です。反対に、他の委託先の作業と日程が細かくつながっている開発では、途中で担当者が替わると日程全体が遅れやすいので、期間を長めに取っておくほうが進めやすくなります。

試しに短く始めるとき

初めて付き合う会社の技術者に加わってもらうとき、まず短い期間で試したいと考えることがあります。DS-110には、どう進めれば目標を達成できるかがまだ分からない場合に、開発の規模と期間を限った試行版を先に作り、効果を確かめてから本格的に進める「実証実験」という進め方が書かれています。*1

そこでは、検証に使う効果の指標と測り方を計画の段階で明確にし、「期待する効果が得られない場合の対処についても事前に検討しておくことが重要である」としています。あわせて、実証実験であっても「要件定義を曖昧にしたままプロジェクトを進めることは、許容されない」とも書いています。*1

試しに短く頼む契約も同じです。最初の期間で何を確かめるのか——既存のプログラムを読み終えて改修の見積りを出せるか、テストの設計書を社内の書き方どおりに作れるか——を先に書いておけば、期間の終わりに続けるかどうかを迷わずに決められます。確かめたいことが決まらないまま短く始めると、期間が終わっても判断の材料がそろわず、同じ長さの延長を繰り返すことになります。

満了日の数え方

短期契約では、1日のずれが期間全体に占める割合が大きくなります。期間の数え方は民法の第138条から第143条に定めがあり、契約で別の定めをしていない場合は、この規定に従います。*2

日・週・月・年で期間を定めたときは、期間の初日は数えません。ただし、その期間が午前零時から始まるときは初日から数えます。こうして決まる数え始めの日を起算日と呼びます。期間は末日が終わった時点で満了し、週・月・年で定めた期間は暦に従って数えて、最後の月の、起算日と同じ日付の日の前日に満了します。*2

「3か月」の契約の満了日を3つの例で示した図。10月15日の午後から始まる場合は起算日が10月16日、満了日は1月15日、10月15日の午前零時から始まる場合は起算日が10月15日、満了日は1月14日、起算日が11月30日の場合は2月に30日が無いので2月の末日に満了する。民法第140条と第143条による。

たとえば、10月15日の午後から始まる「3か月」の契約では、初日を数えないので起算日は10月16日になり、満了日は1月15日です。10月15日の午前零時から始まるなら、起算日は10月15日となり、満了日は1月14日です。起算日が11月30日の3か月では、最後の月の2月に30日が無いので、2月の末日に満了します。*2

同じ「3か月」でも、始まり方しだいで満了日が1日違います。こうした食い違いを避けるには、契約書に期間の長さだけを書かず、開始日と終了日を日付で書いておくのが確実です。

契約書に書いておきたい点

DS-110は、調達の仕様書に書く事項として、契約期間と作業スケジュールを並べています。作業スケジュールには契約期間の中での作業の日程を書き、他の調達案件の日程が前提になっている場合は、それも併せて書くとしています。*1 短期契約では、期間の中でどこまで進めるかを日程で書いておくと、期間の終わりに進み具合を比べやすくなります。

DS-110は、契約書に契約変更の手続きを定めておくよう求めています。契約期間中に計画や作業内容が変わるとき、「変更内容を曖昧にしたままプロジェクトを遂行することは、成果物の品質や納期のリスクを高めてしまう」ためです。*1 期間の途中で作業が増えたときも、次の期間を待たずに変更の手続きを取れるようにしておけば、口約束のまま作業が増えることを防げます。

開始日の決め方にも注意が要ります。DS-110は、プロジェクトの期間を決めるときに「新たなサービス・業務の開始時期を先に設定するのではなく」、必要な工程に十分な時間を確保してから開始時期を定めることが必要だとしています。*1 技術者に加わってもらう開始日も、先に日付を決めてから人を探すのではなく、任せる作業の説明、候補者との顔合わせ、契約の手続きにかかる日数を見込んで決めておくと、期間の初日から作業を進めやすくなります。

外部に委託するときに確認しておきたい点

SESを短期契約で頼むときは、SES会社に依頼する前に3つを書き出しておくと話が早く進みます。最初の期間の開始日と終了日、その期間で確かめたいこと、そして続ける場合に次の期間で任せたい作業です。ここまで書けていれば、SES会社も、その期間で任せる作業の経験がある技術者を探しやすくなります。

期間の終わりが近づいたら、続けるかどうかを早めに相手に伝えます。続けない場合に後任へ作業を渡す手順は「SES契約終了の後任への引き継ぎ、要員交代と会社交代の違い」で、期間の途中で担当者が離れることへの備えは「外部人材活用のトラブル、早期離任に備えて契約で決めておくこと」で扱っています。

期間の中で週に何日働いてもらうかは、契約期間とは別に決める条件です。稼働の決め方は「業務委託エンジニアの稼働日数、作業量と連絡の頻度から決める」にまとめています。

まとめ:SESの短期契約で確かめておきたい3つの点

SESの短期契約で契約期間を決めるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、短く区切るのは期間の終わりに作業と費用を見直す機会をつくるためで、作業の量を見通しにくいときほど役に立つこと。第二に、試しに短く始めるなら、最初の期間で何を確かめるかを先に書いておくこと。第三に、契約書には期間の長さだけでなく、開始日と終了日を日付で書くことです。この3点を踏まえておけば、「様子を見るつもりで短くしたのに、判断できないまま延長を繰り返している」という事態を避けやすくなります。期間の長さや任せる作業の決め方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

期間の長さと、最初の期間で任せる作業が決まったら、次はその作業を担う人をどこで探すかを決める段階です。

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よくある質問

短期契約の期間は、何か月にするのが一般的ですか

決まった長さはありません。DS-110も、プロジェクトの特性に応じて契約期間を判断するとしています。最初の期間で確かめたいことを終えられる長さを基準に決めるのがおすすめです。

短期契約を何度か延長したあと、長い契約に切り替えてもよいですか

構いません。DS-110も、1年ごとの契約を重ねる方法と複数年の契約の両方を挙げ、特性に応じて選ぶとしています。作業の量が安定してきたら、長い期間に切り替えて手続きの回数を減らす方法もあります。

契約書の期間の書き方で、日付のほかに決めておくことはありますか

期間を延ばすときの手続きを決めておきます。延長のたびに書面で合意するのか、終了日の一定前までにどちらからも申し出がなければ続けるのかを書いておけば、終了日の直前まで続けるかどうかが決まらない事態を防げます。

終了日が休日に当たる場合、翌日まで契約が続きますか

契約で終了日を日付で定めていれば、その日付で終わります。民法では、期間の末日が休日に当たって翌日に満了するのは、その日に取引をしない慣習がある場合に限られます。*2 迷わないよう、終了日は平日の日付で書いておくのが確実です。

短い期間で頼む作業が決まったら相談

期間の長さや任せる作業をまだ決めきれていない段階でも、ご相談いただけます。

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出典

  1. *1 参考:デジタル庁「DS-110 デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン解説書」(PDF)(https://www.digital.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e2a06143-ed29-4f1d-9c31-0f06fca67afc/50952dae/20260715_resources_standard_guidelines_guideline_03.pdf)。出典:第3編第1章2「プロジェクトの標準的な活動スケジュール」(表1-1、運用・保守の契約期間、例2 実証実験、クラウドサービスの単年度契約と複数年契約)、第3編第2章2「プロジェクト計画の策定」(実証実験、プロジェクトの実施期間)、第3編第6章2「調達仕様書の作成等」(表6-3 契約期間・作業スケジュール、表6-12 契約変更手続)を参照。2026年9月29日確認(2026年9月確認)
  2. *2 参考:e-Gov法令検索「民法」(明治二十九年法律第八十九号)(https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089)。出典:第138条(期間の計算の通則)、第140条、第141条(期間の満了)、第142条、第143条(暦による期間の計算)を参照。2026年9月29日確認(2026年9月確認)
  3. *3 参考:デジタル庁「デジタル社会推進標準ガイドライン」(https://www.digital.go.jp/resources/standard_guidelines)。DS-110を含むガイドライン群の掲載ページとして(2026年9月確認)




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