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2026.10.02 採用支援コラム

外部エンジニアの業界知識、製造業の4工程で求める範囲を決める




監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論

  • 製造業の調査では、どの工程でも社外の人材が導入を先導した企業は1割に届かず、多くは社内の人が旗を振っています。
  • 外部エンジニアに求める業界知識の深さは工程で変わるので、一律に「必須」とも「不要」とも決めずに、頼む作業ごとに線を引きます。
  • 足りない知識は業務の棚卸しの結果や用語集などで発注側が補い、業種の規制は法令の本文で確かめてから要件として伝えます。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

生産管理のシステムを外部エンジニアに頼みたいが、ロットや工程の話がどこまで通じるのか分からない。業界経験のある人を探すべきか、技術力を優先すべきか決めきれない——。製造業のシステム開発を社外に頼む場面では、こうした迷いがよく聞かれます。ここでいう業界知識とは、生産計画や在庫、品質の検査、現場の用語と設備、業種ごとの規制など、製造の仕事を回すための知識を指します。

業界知識をどこまで求めるかは、頼む工程と、発注側がどれだけ情報を渡せるかで変わります。本記事では、労働政策研究・研修機構(JILPT)が製造業の企業に行った調査をもとに、デジタル化を進める工程と人材の確保のしかた、工程ごとに求める知識の深さ、発注側が補えること、業種の規制の確かめ方、外部に頼む前に確認しておきたい点を整理します。

朱色の棚に並べた機械部品の試作品。白い樹脂の筒や金属の玉を組んだ軸が小型のモーターの上に立ち、奥の窓の外の緑がぼけて見える。人も文字も写っていない

製造業の業界知識とは

製造業の業界知識と一口に言っても、中身は幾つかの層に分かれます。1つ目は、生産計画、資材の手配、在庫、工程の進み具合といった生産管理の考え方です。2つ目は、検査の基準や不良の扱い、どのロットに何を使ったかをたどる記録など、品質管理の考え方です。3つ目は、設備の名前、工程の呼び方、図面や帳票の読み方といった現場の言葉です。4つ目が、食品や医薬品のように業種ごとに決まっている規制です。

このうちどれが要るかは、作る機能によって違います。受注の画面を改修する作業なら現場の言葉は少しで済みますが、工程の実績を集めて不良の原因を探る仕組みを作るなら、品質管理の考え方が分からないと要件が読めません。外部エンジニアに業界知識を求めるかどうかを考えるときは、まず4つの層のどれに触れる作業なのかを分けておくと、話が進めやすくなります。

なお、同じ製造業でも、組み立てか素材か、受注生産か見込み生産かで言葉の意味が変わることがあります。「製造業の経験がある」と聞いても、自社と同じ型の現場を知っているとは限らない点は押さえておきます。

デジタル化が進む工程

製造業の企業がどの工程でデジタル技術を使っているかについては、JILPTの「ものづくり産業におけるDXと人材育成に関する調査」が手がかりになります。従業員30人以上の製造業の企業2万社に調査票を送り、2024年11月27日から12月23日に3,313社から回答を得た調査です。対象は、金属製品、機械器具、電子部品、輸送用機械器具など11の業種に限られ、食品や化学、医薬品の製造業は入っていません。*1

デジタル技術を使って業務改善を行った・行っている工程(複数回答)は、「事務処理」が43.9%、「生産管理」が43.7%、「製造」が39.9%、「受注・発注・在庫の管理」が35.2%、「品質管理」が22.2%、「企画・開発・設計」が20.4%で、何らかの業務改善に取り組んでいる企業は77.2%でした。*1

生産管理と製造の工程が事務処理と並んで高いことから、外部エンジニアに頼む開発も、工場の中の仕事に触れるものが少なくないと考えられます。工場の中の仕事に触れるほど、現場の言葉や品質の考え方が要件に入り込みやすくなります。

外部の人材をどう使っているか

同じ調査は、各工程でデジタル技術を導入・活用するための人材をどう確保したかを工程ごとに尋ねています(複数回答)。どの工程でも最も多いのは「社内人材の活用・育成」で、半数を超えました。*3

製造業の企業がデジタル技術の導入・活用のための人材をどう確保したかを、企画・開発・設計、製造、生産管理、品質管理の4工程ごとに横棒で示したグラフ。社内人材の活用・育成は企画・開発・設計65.3%、製造58.6%、生産管理56.3%、品質管理57.8%。新たに採用(新卒・中途)は22.9%、12.0%、13.2%、11.2%。ベンダー等への外部委託(外部人材の活用)は9.6%、7.6%、8.7%、7.2%。複数回答で、各工程でデジタル技術を活用した業務改善を行った・行っている企業が回答した。労働政策研究・研修機構「ものづくり産業におけるDXと人材育成に関する調査」(調査シリーズNo.267)付問12-9をもとに作成。

「ベンダー等への外部委託(外部人材の活用)」は、企画・開発・設計で9.6%、製造で7.6%、生産管理で8.7%、品質管理で7.2%でした。*3

報告書は、何らかの人材確保を行った企業を、社内だけで賄った企業、採用だけの企業、社内と採用を組み合わせた企業、ベンダー等の外部委託か出向者を使った企業の4つに分けています。どの工程でも社内だけが6割を超え、ベンダー等を使った企業は1割を超える程度でした。*2 デジタル化を工程全体の見直しまで進めている企業では、ベンダー等を使う割合がどの工程でも最も高く、2割前後になっています。*2

つまり、製造業のデジタル化は社内の人が中心になって進めることが多く、外部エンジニアはその一部を担う形で加わるのが一般的な姿だと読めます。取り組みが深くなるほど社外の手を借りる企業が増えるので、外部エンジニアが関わる仕事ほど、工程の見直しのような業務の深いところに触れやすいとも言えます。

導入を先導するのは社内の人

導入を先導した人材(複数回答)を見ると、この傾向はさらにはっきりします。「工場長・部門のリーダー」がどの工程でも5割前後、経営者が4割台で、「社外人材」は企画・開発・設計で4.6%、製造で6.9%、生産管理で7.2%、品質管理で5.9%でした。*3

デジタル技術の導入・活用を先導した人材(複数回答、工程別、単位:%。JILPT調査シリーズNo.267 付問12-5。経営者は調査票の選択肢を言い換えた)
工程 経営者 工場長・部門のリーダー デジタル技術に精通した社員 社外人材
企画・開発・設計(n=677) 44.6 49.9 37.2 4.6
製造(n=1,322) 47.7 50.5 29.7 6.9
生産管理(n=1,447) 45.7 46.2 32.4 7.2
品質管理(n=735) 42.4 51.4 30.7 5.9

確保した人材が持つスキル(複数回答)には、「ベンダーとやり取りしデジタル技術の導入を主導できるスキル」という選択肢があり、企画・開発・設計で27.9%、製造で19.0%、生産管理で22.2%、品質管理で19.5%でした。*3 社外の技術者と話を進める役が、社内の側に置かれていることがうかがえます。

このことは、外部エンジニアの業界知識を考えるうえで大事な前提になります。現場を知る人が社内にいて、外部エンジニアと話をつなげるなら、外部エンジニア自身に求める業界知識は浅くても回ることがあります。逆に、社内にその役がいないまま頼むと、業界知識の不足がそのまま要件の読み違いになって表れやすくなります。

工程ごとに求める知識の深さ

ここからは調査の数字ではなく、本記事の整理です。外部エンジニアに求める業界知識は、工程と作業の中身によって次のように分けて考えると線を引きやすくなります。

工程ごとに外部エンジニアに求めたい知識と、発注側が補いやすいもの(本記事の整理)
工程 求めたい知識の例 発注側が補いやすいもの
企画・開発・設計 設計データや部品表の扱い、図面の版の管理 自社の部品番号の付け方、設計変更の流れ
製造 設備から集めるデータの性質、ラインを止めない作業の進め方 設備の一覧と通信の方式、作業できる時間帯
生産管理 生産計画、所要量の計算、在庫と工程の進み具合の考え方 業務の流れ、帳票と画面の見本、品目と工程の登録データの例
品質管理 検査の記録、ロットのたどり方、不良の集計の考え方 検査の基準書、記録の様式、記録を残す期間の決まり

「求めたい知識」は、外部エンジニアが自分で持っていると話が早いものです。「発注側が補いやすいもの」は、自社の決まりそのものなので、業界経験の長い人でも初めから知っているわけではありません。こちらは外部エンジニアに求めるのではなく、発注側が資料として用意するほうが確実です。

工程の境目にまたがる作業、たとえば製造の実績を生産管理に返す仕組みや、検査の結果を設計に戻す仕組みは、2つの工程の知識が同時に要ります。こうした作業を頼むときは、片方の工程しか知らない人でも進められるように、つなぎ目の決まりを先に書き出しておくと迷いが減ります。

足りない知識を発注側が補う

調査では、導入・活用にあたり実施したこと(複数回答)として「業務の棚卸し」を挙げた企業が、生産管理で45.7%と、ほかの工程(31.2〜35.0%)より高くなっていました。*3 「現場課題のデータによる可視化・分析」は、製造・生産管理・品質管理でそれぞれ約4割、企画・開発・設計では27.3%でした。*2

業務の棚卸しや課題の可視化の結果は、そのまま外部エンジニアに渡せる資料になります。どの帳票をいつ誰が書いているか、どこで手作業が残っているか、どの数字が合わずに困っているかが書かれていれば、業界知識が浅い人でも作る物の輪郭をつかめます。渡しておきたいのは、たとえば次のようなものです。

  • 業務の流れを書いた図と、そこに出てくる帳票・画面の見本
  • 社内で使う略語や工程の呼び方をまとめた用語集
  • 品目、工程、設備などの登録データの例(実データを渡せないときは形だけでも)
  • 現場で困っていることと、その数字が分かる記録

もう一つ役に立つのが、現場を見てもらう機会です。設備の並びや作業の順番は、資料よりも見たほうが早く伝わります。工場への立ち入りには事前の講習や持ち込みの決まりがあることも多いので、見学の段取りは早めに決めておきます。

業種の規制は一次情報で確かめる

製造業の業界知識のうち、扱いが別なのが業種ごとの規制です。先の調査は機械や金属などの業種が対象でしたが、食品や医薬品の製造では、システムで扱う記録に法令の決まりが関わってくることがあります。

たとえば食品衛生法第51条は、営業の施設の衛生的な管理などについて厚生労働省令で基準を定めるとし、その事項に「食品衛生上の危害の発生を防止するために特に重要な工程を管理するための取組」を挙げています。*4 医薬品では、「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令」第8条が、製造所ごとに作る手順書に、外部委託業者の管理やバリデーションに関する手順などを挙げています。*5 同省令第20条は、文書と記録を原則として作成の日から5年間保管することとしています。*5

こうした決まりは業種によってまったく違い、同じ業種でも改正されることがあります。外部エンジニアが規制に詳しいことを期待するより、発注側が自社に当てはまる法令と条文を特定し、「この記録はこの期間残す」「この操作は履歴を残す」という要件の形で伝えるほうが確実です。どの規制が当てはまるか、どこまで対応すれば足りるかの判断は、所管の官庁の資料や専門家に確かめてください。

規制のある業種で外部エンジニアに業界知識を求めるなら、その規制の下でシステムを作った経験があるかを聞く形が分かりやすくなります。規制のない部分まで同じ水準を求めると、頼める人の幅を必要以上に狭めてしまいます。

外部に頼むときに確認しておきたい点

外部エンジニアに頼む前に、まず社内で話をつなぐ人を決めておきます。調査で見たとおり、製造業のデジタル化は工場長や部門のリーダーが先導することが多く、外部エンジニアが現場と直接やり取りする場面はそれほど多くありません。現場の言葉を外部エンジニアに通じる言葉に置き換える人がいれば、求める業界知識の水準を下げられます。

次に、頼む作業が4つの層(生産管理、品質管理、現場の言葉、業種の規制)のどれに触れるかを書き出します。そのうえで、外部エンジニアに持っていてほしい知識と、発注側が資料で補う知識を分けておきます。この線引きがあれば、面談や打ち合わせで「製造業の経験はありますか」と大まかに聞く代わりに、「生産計画の画面を作ったことはありますか」「検査の記録をロットでたどる仕組みに関わったことはありますか」と、作業に沿って経験を確かめられます。

最後に、規制に関わる要件は、法令の条文と社内の手順書に沿って発注側が書き起こします。業界知識の考え方そのものについては、外部エンジニアに業界知識が要る工程、上流と実装の違いで、生産管理の仕組みを外注するときの進め方は生産管理システムの開発を外注する進め方で扱っています。

まとめ:製造業の業界知識で確かめておきたい3つの点

製造業のシステム開発を外部エンジニアに頼むとき、業界知識について確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、製造業のデジタル化は社内の人が先導することが多く、外部エンジニアはその一部を担う形が一般的だという前提です。第二に、求める知識の深さは企画・開発・設計、製造、生産管理、品質管理の工程と作業の中身で変わるので、外部エンジニアに持っていてほしい知識と、発注側が資料で補う知識を分けておくことです。第三に、食品や医薬品などの規制は業種ごとに違うため、法令の本文で確かめ、要件の形で伝えることです。この3点を押さえておけば、「業界経験のある人が見つからないから進められない」という行き詰まりを避けやすくなります。頼む作業に合う人の探し方に迷うときは、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

頼む作業と、発注側が渡せる資料が書き出せたら、次はその作業を担う人を探す段階です。触れる工程と求める知識の深さが決まっていれば、製造業の経験を大まかに求めるよりも、作業に合う候補者を探しやすくなります。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材が必要になった時点から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で実際の業務開始まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

製造業の経験がない外部エンジニアに頼んでも大丈夫ですか

作業の中身と、社内の受け止め方によります。受注や在庫の画面の改修のように、業務の流れを資料で渡せる作業なら、製造業の経験がなくても進められることがあります。工程の境目にまたがる仕組みや、規制に関わる記録を扱う仕組みは、経験のある人のほうが要件の読み違いが起きにくくなります。社内に現場と話をつなぐ人がいるかどうかも、判断の材料になります。

現場の用語集は、どのくらい作り込めばよいですか

最初から網羅しなくても構いません。打ち合わせで出てきた略語や工程の呼び方を、その都度1行ずつ足していく形でも役に立ちます。同じ言葉が部署によって違う意味で使われている場合は、それぞれの意味を並べて書いておくと、外部エンジニアだけでなく社内の確認にも使えます。

規制のある業種では、外部エンジニアにも規制の知識を求めるべきですか

規制の下でシステムを作った経験があると話は早くなりますが、どの規制が当てはまるかを決めるのは発注側です。食品衛生法やGMP省令などの条文から、記録の保管期間や履歴の残し方といった要件を発注側が書き起こし、外部エンジニアにはその要件を満たす作り方を求める形にすると、知識の差による抜けを減らせます。*4

頼む作業が決まったら相談

製造業のシステム開発で外部エンジニアに頼む作業と、触れる工程が分かっていれば、そのままご相談いただけます。どこまでの業界知識を求めるか決めきれていない段階でも構いません。

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出典

  1. *1 参考:労働政策研究・研修機構「調査シリーズNo.267 ものづくり産業におけるDXと人材育成に関する調査」(https://www.jil.go.jp/institute/research/2026/267.html)。出典:研究の方法(調査対象・調査期間・有効回収数)と、主な事実発見の図表1(デジタル技術を活用して業務改善を行った・行っている工程)を参照(2026年4月27日掲載、確認日2026年10月2日)(2026年10月確認)
  2. *2 参考:労働政策研究・研修機構「調査シリーズNo.267」分割版 本文(PDF)(https://www.jil.go.jp/institute/research/2026/documents/267_01.pdf)。出典:第3章第2節の図表3-2-41(導入・活用にあたり実施したこと)、図表3-2-58・3-2-59(人材確保の方法の分類)と、図表3-2-60〜3-2-63の本文の記述を参照(確認日2026年10月2日)(2026年10月確認)
  3. *3 参考:労働政策研究・研修機構「調査シリーズNo.267」付属統計表(PDF)(https://www.jil.go.jp/institute/research/2026/documents/267_03.pdf)。出典:付問12-5(先導的な役割を果たした人材)、付問12-7(導入・活用にあたり実施したこと)、付問12-8(確保した人材が持っているスキル)、付問12-9(人材の確保の方法)の各工程の全体の値を参照(確認日2026年10月2日)(2026年10月確認)
  4. *4 参考:e-Gov法令検索「食品衛生法」(昭和二十二年法律第二百三十三号)(https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000233)。出典:第51条第1項を参照(確認日2026年10月2日)(2026年10月確認)
  5. *5 参考:e-Gov法令検索「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令」(平成十六年厚生労働省令第百七十九号)(https://laws.e-gov.go.jp/law/416M60000100179)。出典:第8条第1項、第20条第1項を参照(確認日2026年10月2日)(2026年10月確認)




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