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2026.10.02 採用支援コラム

エンジニア採用の採用要件で経験年数を決める3つの点




監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論

  • job tagでは、開発の職で入職前に3年を超える実務経験が要るとした人は4.0〜11.3%で、プロジェクトマネージャは37.3%でした。
  • 経験年数は経験の量の目安にとどめ、担当した工程とその回数で必須の経験を書くと、任せる仕事との対応が見えます。
  • 理由のない長い年数は事実上の年齢制限と見られるため、年数は任せる仕事から決め、入社後に要る期間も書き添えます。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

エンジニアの求人票に「実務経験3年以上」と書くか、5年にするか。根拠を持てないまま、前回の求人票や他社の募集を見て決めている——。エンジニア採用の採用要件で経験年数を決める場面では、こうした迷いが起こりがちです。年数は書きやすく応募者にも伝わりやすい一方で、何を測っているのかが曖昧なまま置かれやすい条件でもあります。

本記事では、採用の要件を決める開発部門のマネージャーや人事の担当者に向けて、厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)の数値をもとに、IT職種の就業者が入職前にどのくらいの実務経験が要ると考えているかを職種ごとに確かめます。そのうえで、入職後に一人前になるまでの期間、年齢制限との関係、年数以外の書き方を整理します。

石積みの壁に囲まれた地下の貯蔵庫に、木の樽が左右と中央に横倒しで並んでいる。人も文字も写っていない

採用要件の経験年数とは

採用要件の経験年数は、応募者がその仕事をどれだけ経験してきたかを期間で表した条件です。「Javaでの開発経験3年以上」のように、技術や職種と組み合わせて必須の欄に書かれることが多くあります。年数そのものに意味があるわけではなく、その期間に積んだ作業の量や幅の目安として使われています。

目安として置くなら、どのくらいの長さが妥当かを確かめる材料が欲しくなります。その一つが、job tagの「入職前の実務経験」です。job tagは職業ごとの仕事の内容や必要なスキルを載せた厚生労働省のサイトで、職業ごとの数値をまとめてダウンロードできます。入職前の実務経験は「その職業に就く前に、必要となる実務経験の期間」を表す項目で、選択肢は「特に必要ない」から「10年超」までの9区分と「わからない」です。*1

読むときの注意が2つあります。一つは、これがその職業で実際に働いている人が必要と考える期間で、職業ごとのページでも「必須とは限りません」と添えられていることです。*2 もう一つは、ダウンロードできる簡易版には回答者の数が載っていないことです。サンプルサイズや信頼区間を含む詳細版は、別に公開する予定とされています。*1 求人票の基準そのものではなく、自社の年数が働く人の感覚から離れていないかを見るための物差しとして使います。

開発の職で要るとされる年数

開発を担う職業では、入職前の実務経験を「特に必要ない」と答えた人が最も多く、3年を超える経験が要ると答えた人は少数でした。主な6つの職業の値は次の表のとおりです。

開発を担う6つの職業の入職前の実務経験(job tag 簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00。「1ヶ月以下〜3年以下」と「3年超」は区分の値を足したもの)
職業 特に必要ない 1ヶ月以下〜3年以下 3年超 わからない
プログラマー 37.5% 37.6% 6.3% 18.8%
システムエンジニア(Webサービス開発) 27.5% 50.0% 10.0% 12.5%
システムエンジニア(組込み、IoT) 36.0% 48.0% 4.0% 12.0%
システムエンジニア(基盤システム) 38.6% 34.1% 11.3% 15.9%
ソフトウェア開発(パッケージソフト) 35.6% 44.5% 4.4% 15.6%
ソフトウェア開発(スマホアプリ) 35.7% 33.2% 7.1% 23.8%

6つの職業のどれでも、3年を超える経験が要ると答えた人は4.0〜11.3%にとどまります。*1 「1ヶ月以下」から「2年超〜3年以下」までを合わせた3年以下の回答のほうが、どの職業でも多くなっています。開発の職に「経験5年以上」を必須で置くと、その職で働く人の多くが要ると考える期間より長い条件になっているおそれがあります。

「わからない」と答えた人も12.0〜23.8%います。必要な期間を年数では言い切れない人が一定数いるということで、開発の仕事では、経験を年数で測ることがなじみにくい面もうかがえます。

プロジェクトマネージャは長い

同じIT職種でも、プロジェクトマネージャ(IT)は様子が違います。3年を超える経験が要ると答えた人は37.3%で、5年を超えるとした人だけでも25.5%いました。「特に必要ない」は21.6%で、下の図の8つの職業の中で最も低い値です。*1

job tagの職業の説明は、プロジェクトマネージャについて、システムエンジニアなどとして情報システムの構築や運用を経験した者が就くことが多いとしています。システムを開発し導入するまでの「一連の作業を何度も経験し」、スキルを高めていく仕事だとも書かれています。*2 前の職での経験を前提に就く仕事なので、入職前に要る期間が長めに答えられるのは自然な結果です。

ITコンサルタント(22.7%)、AIエンジニア(18.3%)、データサイエンティスト(14.9%)も、開発の職より3年超の割合が高めです。IT職種をひとまとめにして同じ年数を書くのではなく、募集する職種ごとに分けて考えます。次の図は、8つの職業について、入職前に3年を超える経験が要るとした割合と、次の節で扱う入職後の訓練期間が1年を超えるとした割合を並べたものです。

IT職種8つについて、入職前に3年を超える実務経験が要ると答えた人の割合と、入職後の訓練期間が1年を超えると答えた人の割合を並べた横棒グラフ。入職前と入職後の順に、プログラマー6.3%と33.4%、システムエンジニア(Webサービス開発)10.0%と55.0%、システムエンジニア(組込み、IoT)4.0%と60.0%、システムエンジニア(基盤システム)11.3%と56.8%、データサイエンティスト14.9%と55.3%、AIエンジニア18.3%と48.5%、ITコンサルタント22.7%と47.7%、プロジェクトマネージャ(IT)37.3%と68.5%。出典は厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00。

入職後に一人前になるまで

job tagには「入職後の訓練期間」という項目もあります。その職業に就いた後、周囲から特別なサポートが無くても、ほかの一般的な就業者と同じように働けるようになるまでの期間です。

こちらは、入職前の実務経験より長い期間を答える人が多くなります。1年を超えると答えた人は、システムエンジニア(Webサービス開発)で55.0%、システムエンジニア(組込み、IoT)で60.0%、システムエンジニア(基盤システム)で56.8%、プロジェクトマネージャ(IT)で68.5%でした。*1 図の8つの職業のどれでも、入職前に3年を超える経験が要るとした割合より、入職後に1年を超える期間が要るとした割合のほうが大きくなっています。

採用の要件に引き寄せると、経験年数を長く求めても、職に就いてから一人で働けるようになるまでの期間はなくならない、ということです。この期間は一般論で、職歴などによって差があるとも添えられています。*2 年数の条件で入社後の立ち上がりを短くしようとするより、どの仕事を誰が教え、いつまでに一人で任せるかを先に決めておくほうが、採用後の計画を立てやすくなります。

年数で測れないもの

同じ3年でも、中身は人によって大きく違います。既存のシステムの小さな改修だけを3年続けてきた人と、3年の間に新しいシステムの立ち上げを2回担当した人とでは、任せられる仕事の範囲が違います。年数は、こうした違いを一つの数字にまとめてしまいます。

job tagの職業の説明は、経験を年数ではなく工程で書いています。システムエンジニア(Webサービス開発)では、要件定義、基本設計、詳細設計、開発、稼働開始後のサポートまでができるようになると、Webサービスを一人で作り上げられるとしています。*3 プロジェクトマネージャでは、先に見たとおり、開発から導入までの一連の作業を何度も経験することが挙げられていました。*2 どちらも、何年働いたかではなく、どの工程をどこまで担い、それを何回経験したかで書かれています。

採用の要件でも、この書き方が使えます。年数で知りたかったのが「一人で任せられるか」なら、任せたい工程を担当した経験があるかを聞けば、年数より直接に確かめられます。必須の欄に書く経験の中身の決め方はエンジニア採用のミスマッチを採用要件で防ぐで扱っています。

年齢制限との関係

経験年数は、年齢の条件と結びつきやすい点にも気をつけます。厚生労働省のQ&Aは、年齢不問の求人で業務経験の有無や一定の経験年数を条件にすることは問題ないとしたうえで、合理的な理由がなく、かつ非常に長い期間を設定している場合などは、事実上の年齢制限を意図していると解されるため適当ではないとしています。*4 職種で必要とされる期間から大きく離れた年数は、この点でも理由を説明しにくくなります。

反対に、若い人を採るために年齢の上限を付ける場合は、経験を条件にできません。長期勤続によるキャリア形成を図る観点から若年者を募集する例外について、Q&Aは「○○の経験を有する者」といった条件に加えて、「○○経験者優遇」や「経験があれば尚よい」といった条件も定められないとしています。この例外に当たるには、募集する職種の経験だけでなく、職業に就いた経験そのものを問わない必要があるとも示されています。*4

年数で年齢をふるい分けないための手がかりもQ&Aにあります。職務の習熟に期間が要る場合でも、求人に「職務の習熟に○年程度の期間が必要」である旨を明記すれば、一律に年齢で制限する必要はないという考え方です。*4 個別の求人が年齢制限に当たるかどうかは、労働局やハローワークに確かめてください。年齢の上限を付けられる例外の全体は年齢制限が認められる6つの例外事由と設定できる範囲にまとめています。

年数以外の書き方

年数を消す必要はありません。経験の中身を先に書き、年数はその後ろに目安として添える形にすると、条件で何を確かめたいのかが応募者にも伝わります。職種ごとの書き換えの例を表にしました。

経験年数の書き方と書き換えの例(job tagの職業の説明を参考に、この記事で作成)
職種 年数だけの書き方 書き換えの例
システムエンジニア(Webサービス開発) Web開発の経験3年以上 要件定義から稼働開始後のサポートまで、一通りの工程を担当したWebサービスがある
システムエンジニア(基盤システム) インフラの経験3年以上 本番環境のサーバーやネットワークを、設計から構築、運用まで担当した経験がある
プロジェクトマネージャ(IT) プロジェクトマネージャの経験5年以上 計画の作成から導入までを担当したプロジェクトの件数と、まとめたチームの人数を示せる
データサイエンティスト 分析の経験3年以上 業務のデータを集めて加工し、分析の結果を業務の判断に使ってもらった経験がある

あわせて、入社後の立ち上がりの期間と、その間に教える内容も書いておくと、応募者は自分の経験で足りるかを判断しやすくなります。job tagの入職後の訓練期間が示すとおり、職に就いてから一人で働けるようになるまでには時間がかかります。必須と歓迎の欄の分け方はエンジニア採用の求人票、必須要件と歓迎要件の違いと書き分けで扱っています。

つまずきやすい点

一つ目は、職種をまたいで同じ年数を書くことです。3年を超える経験が要るとした人の割合は、システムエンジニア(Webサービス開発)の10.0%に対してプロジェクトマネージャ(IT)は37.3%と、4倍近く違いました。募集する職種ごとに、その年数を置く理由を説明できるかを確かめます。

二つ目は、job tagの値を合否の線として使うことです。これは働く人の考えを集めた値で、必須の条件を示したものではありません。回答者の数も簡易版では分からないため、自社の年数が大きく外れていないかを見る程度の使い方にとどめます。

三つ目は、年数の条件を緩めたのに、入社後の受け入れを変えないことです。条件を緩めれば、立ち上がりに時間のかかる人も応募してきます。教える人と、一人で任せるまでの期間を決めないまま年数だけを下げると、現場の負担が増えます。年数を見直すときは、受け入れの計画も同じ場で決めます。

まとめ:経験年数を決める3つの点

エンジニア採用の採用要件で経験年数を決めるときに押さえたい点は3つです。第一に、職種ごとに必要とされる期間を確かめること。job tagでは開発の職で3年を超える経験が要るとした人は4.0〜11.3%で、プロジェクトマネージャ(IT)は37.3%でした。第二に、年数は経験の量の目安にとどめ、担当した工程とその回数で必須の経験を書くこと。第三に、理由のない長い年数を避け、入社後に一人前になるまでの期間と受け入れの計画をあわせて決めることです。

LASSICに相談するメリット

経験年数の代わりに、任せたい工程と経験していてほしい回数が書き出せたら、次はその経験を持つ人を探す段階です。求める経験の中身がはっきりしていれば、年数の条件だけでは見えなかった候補者にも声をかけやすくなります。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材が必要になった時点から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で実際の業務開始まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

求人票に経験年数を書くこと自体は問題ありませんか

年齢不問の求人で、業務経験の有無や一定の経験年数を条件にすることは問題ないと、厚生労働省のQ&Aは答えています。ただし、合理的な理由がなく非常に長い期間を設定すると、事実上の年齢制限と解されるおそれがあります。年数を置くなら、任せる仕事に照らして理由を説明できる長さにします。

job tagの値はどこで見られますか

職業ごとのページの「入職前後の訓練期間、入職前の実務経験」の欄に、グラフで載っています。*2 複数の職業を並べて比べたいときは、ダウンロードのページから数値系のデータを取得できます。

経験の浅い人にも応募してもらうには、どう書けばよいですか

必須の欄は、入社した日から任せる工程の経験だけに絞り、年数は歓迎の欄に目安として添える書き方があります。あわせて、入社後に教える内容と、一人で任せるまでのおおよその期間を書いておくと、応募者は自分の経験で足りるかを考えやすくなります。

任せたい工程が決まったら相談

職種ごとに求める経験の中身が書き出せていれば、そのままご相談いただけます。経験年数をどう置くか決めきれていない段階でも構いません。

Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も探せます。

Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。

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出典

  1. *1 参考:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「職業情報ダウンロード」簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00(https://shigoto.mhlw.go.jp/User/download)。出典:簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00(2026年2月10日更新、制作・著作は独立行政法人 労働政策研究・研修機構)。「入職前の実務経験」(IPD_04_08)と「入職後の訓練期間」(IPD_04_09)の定義と選択率を、プログラマー、システムエンジニア(Webサービス開発)、システムエンジニア(組込み、IoT)、ソフトウェア開発(パッケージソフト)、ソフトウェア開発(スマホアプリ)、システムエンジニア(基盤システム)、プロジェクトマネージャ(IT)、データサイエンティスト、AIエンジニア、ITコンサルタントについて参照。「3年超」は「3年超~5年以下」「5年超~10年以下」「10年超」、入職後の「1年超」は「1年超~2年以下」から「10年超」までの選択率の合計。詳細版の公開予定は同データの注記による(2026年10月確認)
  2. *2 参考:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「プロジェクトマネージャ(IT)」(https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/322)。出典:同ページの「就業するには?」と、「入職前後の訓練期間、入職前の実務経験」の各項目の解説を参照(2026年10月確認)
  3. *3 参考:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「システムエンジニア(Webサービス開発)」(https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/314)。出典:同ページの「就業するには?」を参照(2026年10月確認)
  4. *4 参考:厚生労働省「労働者の募集及び採用における年齢制限禁止の義務化に係るQ&A(令和7年4月1日現在)」(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/001474761.pdf)。出典:同Q&AのQ1-12(業務経験の条件)、Q2-4(職務の習熟に一定の期間が必要な場合)、Q4-6(「経験者優遇」等の記載)、Q4-7(職業経験不問の意味)を参照(2026年10月確認)




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