LASSIC Media らしくメディア

2026.10.02 採用支援コラム

エンジニア中途採用の助成金、申請時期の取りこぼしを防ぐ




監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論

  • 中途採用拡大コースの計画届は、計画期間の初日の前日までに出し、その期間の中で入社した人だけが支給の対象になります。
  • 支給申請は計画期間が終わってから6か月を待ち、その後の2か月の間に出すため、計画届から申請まで1年半以上かかります。
  • トライアル雇用は求人を出す前に紹介の経路を決め、入社から2週間以内に実施計画書を出す必要があります。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

エンジニアの中途採用で助成金を使いたいが、申請をいつ出せばよいのか分からない。内定を出してから調べたら、計画の届出の期限がもう過ぎていた——。こうした行き違いは、助成金の手続きが採用の前と後の2回に分かれていることから起こります。

エンジニア中途採用で検討することの多い助成金は、採用の前に計画を届け出て、採用の後に決められた期間の中で支給を申請する流れです。申請時期を先に押さえておけば、入社日や提示額を決めるときに迷わずに済みます。本記事では、採用を担当するマネージャーに向けて、早期再就職支援等助成金の中途採用拡大コースを中心に、トライアル雇用助成金と人材開発支援助成金も合わせて、採用の段取りのどこで何を出すかを厚生労働省の要領をもとに整理します。

コルクボードに刺さったたくさんの画鋲を斜め上から写したモノクロ写真。丸い頭の画鋲が間隔をあけて並び、中央の数本にピントが合っている。人も文字も写っていない

申請時期は採用の前と後にある

雇用関係の助成金の多くは、取り組みを始める前に計画を届け出て、取り組みを終えた後に支給を申請する、2段階の手続きをとります。厚生労働省の共通要領は、支給申請を、助成金ごとに定める日の翌日から起算して2か月以内に行うとしています。*3 何を起点に2か月を数えるかは制度ごとに違うため、使う制度の起点を先に確かめておく必要があります。

エンジニアの中途採用で検討することの多い3つの制度について、採用の段取りに沿って手続きの時期を並べると、下の表のようになります。

採用の段取りと助成金の手続きの時期(厚生労働省の資料をもとに作成)
採用の段取り 制度 出すもの 時期
採用計画を立てる 中途採用拡大コース 中途採用計画届 計画期間の初日の前日から起算して6か月前の日から、初日の前日まで
求人を出す トライアル雇用助成金 トライアル雇用求人 紹介を受ける前に、ハローワーク等へ出しておく
入社する トライアル雇用助成金 実施計画書 トライアル雇用の開始日から2週間以内
入社後に研修する 人材開発支援助成金 職業訓練実施計画届 訓練開始日の6か月前から1か月前まで
支給を申請する 中途採用拡大コース 支給申請書 計画期間の終了日の翌日から起算して6か月を経過する日の翌日から2か月以内
支給を申請する トライアル雇用助成金 支給申請書 トライアル雇用の終了日の翌日から起算して2か月以内
支給を申請する 人材開発支援助成金 支給申請書 訓練終了日の翌日から起算して2か月以内

表のうち、採用の前に期限が来るのは計画届と求人の2つです。採用が決まってから動いても間に合わないのはこの2つで、残りは入社の後に期限が来ます。エンジニア中途採用で使える助成金の全体像は「エンジニア中途採用の助成金、採用の前に確かめる4つのこと」、中途採用拡大コースの対象要件は「中途採用拡大コースの対象要件と賃金」で扱っています。ここからは、採用の段取りの順に、それぞれの申請時期を見ていきます。

計画期間の始まりを先に決める

早期再就職支援等助成金の中途採用拡大コースでは、計画期間を6か月か1年のどちらかから選びます。支給の対象になるのは、計画期間の中に雇い入れた人で、期間の初日より前に入社した人は、ほかの条件を満たしていても支給対象者になりません。計画期間をいつ始めるかは、採用したいエンジニアの入社時期から逆算して決めることになります。

計画期間の長さによって、中途採用率の判定のしかたも変わります。中途採用率は、期間中に期間の定めのない労働者として雇い入れた人のうち、中途採用者が占める割合です。比べる相手は、1年の計画なら初日の前日までの1年間、6か月の計画なら1年前の同じ時期の6か月間です。*2 1年の計画では、期間中の中途採用率が50%以上であれば5ポイントの上昇がなくても条件を満たせますが、6か月の計画ではこの判定を選べません。

4月に新卒を迎える会社では、新卒の人数も見通しに入れておきます。新卒の入社は分母にだけ入るため、中途採用の人数が前年と同じでも、新卒を増やした年は割合が下がります。6か月の計画は前年の同じ時期と比べるので、毎年同じ月に新卒が入る会社なら季節による偏りはそろいます。新卒の採用計画と中途の採用計画を並べてから、期間の長さと始まりを決めると見積もりが外れにくくなります。

組織の見直しの予定とも突き合わせておきます。計画を出す日の前日から起算して6か月前の日から、支給申請書を出す日までの間に、雇用保険の被保険者を事業主の都合で解雇(退職勧奨を含む)していないことが要件の一つだからです。*1 1年の計画なら、この期間は計画届の半年前から支給申請までの2年を超える長さになります。

計画届は開始日の前日までに出す

中途採用計画届は、計画期間の初日の前日から起算して6か月前の日から、初日の前日までの間に、管轄の労働局へ出します。初日の前日が土日祝日や年末年始(12月29日から1月3日)に当たるときは、次の開庁日が期限とみなされます。*2 ハローワークを経由して出すこともできます。

例として、計画期間を2027年4月1日から2028年3月31日までの1年とすると、届出の期限は前日の2027年3月31日(水曜日)です。受付はその半年前から始まるので、2026年の秋には届け出られます。

計画期間を2027年4月1日から2028年3月31日までの1年とした場合の、中途採用拡大コースとトライアル雇用助成金の手続きの時期を、2026年10月から2028年12月までの月の目盛りの上に並べた図。中途採用拡大コースは、2027年3月31日までに計画届を出し、計画期間の1年の中で雇い入れ、終了日から6か月を待ってから、2028年10月1日から11月30日までの2か月に支給申請を出す。トライアル雇用は、2027年5月1日に始めた場合、2週間以内に実施計画書を出し、7月31日に終わった後、9月30日までに支給申請を出す。日付は厚生労働省の支給要領とリーフレットの定めから計算した例。

届け出たら終わりではありません。出した書類に不備があると、労働局は期間を決めて補正を求め、期限までに補正しなければ、その計画に係る助成金は支給されません。期限の直前に出すと、補正のやり取りが採用の山場と重なりがちです。また、計画を出した日から初日までの間に新たに人を雇い入れ、計画期間前の採用者の一覧に変更が生じたときは、遅滞なく変更の届けを出します。計画期間そのものは、後から変えられません。*1

常時雇用する労働者が300人を超える会社は、計画を出す時点で、中途採用により雇い入れた人の割合を公表している必要があります。自社のホームページなどでの公表がまだなら、計画届より前に済ませておきます。

求人を出す前に紹介経路を決める

中途採用拡大コースは、ハローワークなどの紹介を経ない採用も対象になります。一方で、トライアル雇用助成金は、ハローワークや職業紹介事業者などの紹介で雇い入れることが条件です。厚生労働省のリーフレットは、事前にトライアル雇用求人を出し、その紹介で対象の人を原則3か月の有期雇用で雇い入れる流れを示しています。*4 自社の採用ページやスカウトで直接応募してきた人は、紹介を経ていないため対象になりません。

対象になるかどうかは、紹介日の時点で判定されます。たとえば、紹介日の前日から過去2年以内に2回以上離職や転職をしている人や、紹介日の前日の時点で離職している期間が1年を超えている人です。ブランクのある経験者を迎える場面などが考えられます。

職業紹介事業者を通す場合は、その事業者が助成金の取り扱いに係る同意書を労働局に出しているかも確かめます。派遣の求人はトライアル雇用求人にできず、求人数を超えてトライアル雇用を行うこともできません。使うかどうかは、求人票を作る段階で決めておきます。

内定から入社日までに確かめること

中途採用拡大コースでは、内定から入社までの間に決めることが、半年以上先の支給申請に響きます。一つ目は入社日です。前の章で見たとおり、計画期間の初日より前に入社した人は支給対象者になりません。候補者が早めの入社を望んでいる場合でも、計画期間との関係を確かめてから入社日を決めます。

二つ目は賃金です。支給対象者ごとに、前の勤め先で支払われていた毎月決まって支払われる賃金と、入社後6か月間のすべての賃金支払日の賃金を比べ、5%以上上げていることが求められます。*2 前職の賃金は、支給申請のときに給与明細や離職票などの書類で確かめ、出してもらえるのは本人の同意がある書類に限られます。提示額を決める前に本人の同意を得て書類を見せてもらえば、入社後に条件に届かないと分かる事態を防げます。

三つ目は試用期間です。試用期間中の賃金を試用期間後より低く決めている場合は、試用期間が終わって最初に来る賃金支払日からの賃金を比べる対象にできます。*2 比べる期間がずれると、計画期間の終わりに近い時期に入社した人の確認が申請期間に間に合うかどうかも変わりうるため、試用期間を置く場合の扱いは計画を出す前に労働局へ確かめておきます。

四つ目は雇用契約の形です。支給申請では、雇い入れ日と、期間の定めのない労働者として雇われていることが分かる雇用契約書や雇入れ通知書を出します。試用期間を有期契約として結ぶと、この点の書き方が問題になりえます。契約書の書き方は、社会保険労務士や労働局に確かめてから決めます。

入社直後に来る2つの期限

トライアル雇用で迎えた場合は、トライアル雇用の開始日から2週間以内に、対象の人を紹介したハローワークへ実施計画書を出します。その際は、雇用契約書など労働条件が分かる書類も添えます。*4 入社の手続きと同じ時期に期限が来るため、人事の担当者と現場の受け入れ担当のどちらが出すかを、入社日より前に決めておきます。

入社後の研修に人材開発支援助成金を使う場合は、訓練開始日の6か月前から1か月前までの間に、職業訓練実施計画届を労働局かハローワークへ出します。*5 入社した週から研修を始める段取りなら、届出の期限は入社より前に来ます。入社後しばらく現場に慣れてもらってから研修を始める段取りにすると、届出の準備に時間をとれます。入社前の人を計画届にどう書くかは、労働局に確かめます。

あわせて、研修や人事の担当課長などを職業能力開発推進者に選び、事業内職業能力開発計画を作って従業員に知らせておくことも求められます。どちらも、まだなら計画届を出す日までに済ませる必要があります。

支給申請は6か月待ってから2か月間

中途採用拡大コースの支給申請は、計画期間の終了日の翌日から起算して6か月を経過する日の翌日から、2か月以内に出します。*2 計画期間の最後の日に入社した人も、この時点で入社後6か月の賃金がそろう計算になります。先の例で計画期間が2028年3月31日に終わるなら、6か月を経過する日は2028年9月30日、申請できるのは2028年10月1日から11月30日までと計算できます。計画届を出してから申請まで、1年半以上かかる計算です。

申請期間の末日が土日祝日や年末年始に当たるときは、次の開庁日が末日とみなされます。郵送や電子申請で出す場合は、期間内に届いている必要があります。*3 期間より前に出しても受け付けてもらえないので、申請できる2か月間を採用担当の予定表に入れておきます。

申請の時点で、支給対象者に払うべき賃金が払われていることも確かめられます。支払期日までに払われていない賃金があると、労働局は申請期間の末日まで判定を保留して支払いを求め、払われなければ支給されません。また、支給対象者のうち入社から6か月以内に辞めた人の割合が20%未満であることも要件です。

トライアル雇用助成金は、トライアル雇用の終了日の翌日から起算して2か月以内に支給申請書を出します。期限を過ぎると受給できず、途中で期間の定めのない雇用に移った場合などは申請期間も変わります。*4 たとえば2027年5月1日に始めた3か月のトライアル雇用が7月31日に終われば、申請の期限は9月30日です。人材開発支援助成金の支給申請も、訓練終了日の翌日から起算して2か月以内です。

天災などやむを得ない理由で期間内に申請できなかったときは、理由がやんだ後1か月以内に、その理由を書いた書面を添えて申請できます。ただ、この扱いを当てにせず、計画届を出した時点で申請期間までの日付を書き出しておきます。

まとめ:申請時期で押さえておきたい3つの点

エンジニア中途採用の助成金の申請時期は、3つに整理できます。第一に、中途採用拡大コースの計画届は計画期間の初日の前日が期限で、期間の初日より前に入社した人は対象にならないこと。第二に、支給申請は計画期間が終わってから6か月を待った後の2か月間で、それまで解雇の制限や賃金の支払いの確認が続くこと。第三に、トライアル雇用は紹介の経路を求人の段階で決め、入社から2週間以内に実施計画書を出すことです。採用計画を立てる時点で、計画届から申請までの日付を一枚に書き出しておけば、内定を出した後に期限に気づく事態を避けやすくなります。入社時期に合う候補者の探し方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

申請時期から逆算して入社日の幅と提示できる賃金が決まったら、次はその条件で迎えられる人を探す段階です。計画期間の中で入社できる時期と任せたい開発の中身がはっきりしていれば、条件に合う候補者を絞り込みやすくなります。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材が必要になった時点から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で実際の業務開始まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

計画届を出した後、採用が1人もできなかったらどうなりますか

中途採用者の雇い入れを行わなくなったなど、計画の実施が難しくなったときは、支給申請書を出す前までに、中途採用計画取下げ届を遅滞なく管轄の労働局へ出します。*1 採用が遅れているだけなら、計画期間の中で入社してもらえるかを先に見積もります。計画期間は後から延ばせないためです。

申請期間より前に支給申請を出してもよいですか

中途採用拡大コースでは、支給申請書を受け付ける際に、支給申請期間内に出されたものであることが確かめられます。計画期間の終了日の翌日から起算して6か月を経過する日の翌日より前に出しても、期間内の申請になりません。書類は前もってそろえておき、申請期間に入ってから出します。

計画届や支給申請は、窓口に出向かないと出せませんか

中途採用拡大コースの計画届と支給申請は管轄の労働局に出しますが、ハローワークを経由できる場合もあります。共通要領は郵送や電子申請による支給申請も想定しており、その場合は支給申請期間内に届いている必要があります。

入社時期が決まったら相談

採用したいエンジニアの入社時期と、任せたい開発の中身が分かっていれば、そのままご相談いただけます。助成金を使うかどうかを決めきれていない段階でも構いません。

Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も探せます。

Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。

無料相談はこちら

出典

  1. *1 参考:厚生労働省「早期再就職支援等助成金ガイドブック-中途採用拡大コース-」(令和8年4月8日版)(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001472339.pdf)。出典:第Ⅱ部 3(支給対象となる措置)、4(支給対象となる事業主)、6(受給手続き:計画の届出・変更・取下げ・支給申請)、8(よくあるご質問)を参照(確認日2026年10月2日)(2026年10月確認)
  2. *2 参考:厚生労働省「早期再就職支援等助成金(中途採用拡大コース)支給要領」(令和8年4月8日改正後)(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001688411.pdf)。出典:0203 中途採用率、0206 毎月決まって支払われる賃金、0302 支給対象措置、0501 中途採用計画届等の提出期限、0503 受理、0701 支給申請の期限、0703 受理、0801 確認を参照(確認日2026年10月2日)(2026年10月確認)
  3. *3 参考:厚生労働省「雇用関係助成金 共通要領」(令和8年4月8日現在)(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001688318.pdf)。出典:0401 支給申請期間を参照(確認日2026年10月2日)(2026年10月確認)
  4. *4 参考:厚生労働省「トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)のご案内」事業主向けリーフレット(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000733802.pdf)。出典:トライアル雇用の仕組み、実施計画書と支給申請の期限、対象労働者、ご注意を参照(確認日2026年10月2日)(2026年10月確認)
  5. *5 参考:厚生労働省「人材開発支援助成金 人への投資促進コースのご案内(詳細版)」(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731974.pdf)。出典:人材開発支援助成金チェックリスト付きフローチャート、助成金支給の流れ(計画届の提出と支給申請の期限)を参照(確認日2026年10月2日)(2026年10月確認)




View