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2026.10.07 採用支援コラム

採用期限までにエンジニア採用できないなら、見直しの日を先に決める

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

空いた椅子が並ぶオフィスの机

この記事の結論

  • 採用期限は入社してほしい日そのものでなく、その手前で採用を続けるか別の手に切り替えるかを決める判断日として置きます。
  • JILPTの企業調査では、人材の獲得を困難とみる企業が現在で90.7%、5年程度先の見通しで93.9%でした。
  • 見直しの日に賃金・募集経路・要件を同時に動かし、切り替えの日に内定が見えなければ配置換えや外部の人材に移ります。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

入社してほしい日が迫っているのに、エンジニア採用の選考に残っている候補者がいない。募集を続ければ間に合うのか、それとも別の手を考えるべきなのか——。開発の計画を背負う現場では、採用期限が近づくほど判断を先送りしがちです。エンジニア採用の採用期限とは、ここでは、入社してほしい日から逆算して、今の募集を続けるか別の手に切り替えるかを決める日を指します。

採用できない状態が続いても、判断の日を先に決めておけば、期限の直前に慌てて手を探すことは減らせます。ただし、判断日を置いただけで候補者が現れるわけではなく、見直しと切り替えの中身は自社で決める必要があります。本記事では、開発の現場を預かるマネージャーと採用担当者に向けて、調査に見る人材獲得の難しさ、新規事業で足りない人材、企業が中途採用で変えたこと、期限の前に置く判断日、切り替え先の選び方、つまずきやすい点を整理します。

採用期限とは

採用の計画には、たいてい「いつまでに入社してほしいか」という日付があります。新しいシステムの開発が始まる日、退職する人の最終出社日、協力会社の技術者が抜ける日などです。この日をそのまま採用期限と呼ぶと、その日を過ぎるまで「まだ採れるかもしれない」と募集を続けてしまいます。

そこで、入社してほしい日とは別に、その手前に判断の日を置きます。内定を出してから入社するまでには、候補者が今の勤め先を辞める手続きや引き継ぎが入ります。外部の人材に頼む場合も、作業の範囲を決めて契約を結ぶまでに手間がかかります。入社してほしい日に採用を見切ったのでは、どちらの手も間に合いません。

採用期限を判断の日として置くと、そこまでに何を見直すか、その日に何を見て決めるかを具体的に書けるようになります。以下ではまず、公的な調査から、採用の難しさがこの先どう続くと企業がみているかを確かめます。

調査に見る人材獲得の難しさ

労働政策研究・研修機構(JILPT)は、2025年2月7日から3月5日にかけて、全国の30人以上の企業10,000社を対象に企業調査を行い、2,004社から有効な回答を得ました。*1 厚生労働省の要請で行われた調査で、人材の獲得や人手の過不足についても尋ねています。

人材の獲得について、現在の状況を「困難である」「やや困難である」と答えた企業は、合わせて90.7%でした。5年程度先の見通しでは93.9%です。「困難である」だけを取り出すと、現在の41.3%に対し、見通しでは57.8%に上がっています。*1

人材の獲得に対する認識(労働政策研究・研修機構 調査シリーズNo.261 図表1-7。無回答を除く。単位は%。この表は資料の数値をもとに筆者が作成した)
回答 現在(1,989社) 5年程度先の見通し(1,987社)
人材の獲得は困難である 41.3 57.8
人材の獲得はやや困難である 49.4 36.1
人材の獲得はあまり困難ではない 8.1 4.8
人材の獲得は困難ではない 1.3 1.2

採用期限の判断に引きつけると、少し待てば応募が増えるとは見込みにくい、ということです。多くの企業が先々も獲得は難しいとみている以上、期限を延ばして同じ条件の募集を続けるだけでは、状況が変わる手がかりは乏しいと考えておくのが無難です。

新規事業で足りない人材

同じ調査は、正社員の人手の過不足を、今の事業を続けるための人手と、新規事業のための人手に分けて尋ねています。「不足」と答えた企業は、事業継続では24.2%、新規事業では33.3%でした。「やや不足」まで合わせると、それぞれ71.0%と73.0%です。*1 合計の差は小さいものの、はっきり「不足」と答えた企業は新規事業のほうが多くなっています。新しい案件のための採用は始まる日を動かしにくいことも多いので、判断日を早めに置いておきたいところです。

不足している人材の種類も尋ねています。正社員が不足している企業全体では「現場の技能職」が最も多く、「エンジニア(デジタル化を担う人材を除く)」は事業継続で10.5%、新規事業で13.5%でした。「デジタル化を担う人材」はそれぞれ22.6%と27.2%です。*1

業種別に見ると様子が変わります。付属統計表で、事業継続のための正社員が不足していると答えた情報通信業の46社を見ると、「エンジニア(デジタル化を担う人材を除く)」を挙げた企業は52.2%で、項目の中で最も多くなっています。*2 業種ごとの回答数は少ないので幅を持って読む必要がありますが、IT企業ではエンジニアそのものが足りない人材の中心にあることがうかがえます。

中途採用で企業が変えたこと

では、人材を獲得するために企業は何を変えたのでしょうか。過去1年間に中途採用の強化として実施したことを尋ねた結果では、「求人募集時の賃金を引き上げる」が71.4%で最も多く、「賃金以外の労働条件の改善」が51.6%、「採用チャネルの多様化:民間求人媒体の活用」が50.7%と続きました。*1

中途採用を強化するために過去1年間で実施したことを、全体(1,820社)と情報通信業(56社)で比べた横棒グラフ。全体では求人募集時の賃金の引上げが71.4%、賃金以外の労働条件の改善が51.6%、民間求人媒体の活用が50.7%、ワーク・ライフ・バランス制度の整備・PRが35.0%、長期雇用制度の整備・PRが22.0%、ダイレクトリクルーティングが15.7%、リファラル採用の活用が15.2%。情報通信業では民間求人媒体の活用が69.6%で最も多く、賃金の引上げは48.2%、ワーク・ライフ・バランス制度の整備・PRが42.9%、賃金以外の労働条件の改善が37.5%、リファラル採用の活用が28.6%、ダイレクトリクルーティングが23.2%、長期雇用制度の整備・PRが5.4%。労働政策研究・研修機構 調査シリーズNo.261の図表1-8と付属統計表をもとに作成。

情報通信業では順番が入れ替わります。付属統計表の件数から、採用を実施していない企業と無回答を除いた56社で計算すると、最も多いのは民間求人媒体の活用で69.6%、賃金の引上げは48.2%でした。リファラル採用(社員からの紹介による採用)は28.6%、ダイレクトリクルーティング(企業から候補者に直接声をかける採用)は23.2%で、どちらも全体より高い割合です。*2

期限が近いときに見直せる手は、この図の項目とほぼ重なります。募集時の賃金、在宅勤務や勤務時間などの条件、募集の経路の3つに、求める要件を加えた4つです。このうち賃金や条件の変更は社内の承認に時間がかかることが多く、判断日の直前に始めても間に合わないことがあります。募集を始める段階で、どこまで動かせるかを決めておくと、見直しが速くなります。

期限の前に置く2つの判断日

判断の日は、1つより2つ置くほうが動きやすくなります。1つ目は見直しの日です。この日には、募集を始めてからの応募と選考の進み具合を見て、条件や募集の経路、求める要件を変えるかどうかを決めます。2つ目は切り替えの日です。この日までに内定が見えていなければ、採用とは別の手を動かし始めます。

2つの判断日に確かめること(筆者作成)
判断日 確かめること 決めること
見直しの日 応募の数、書類選考を通った人数、面接に進んだ人数、辞退の理由 募集時の賃金・条件、募集の経路、求める要件のどれを変えるか
切り替えの日 最終面接に進む候補者がいるか、内定から入社までの日程が入社してほしい日に収まるか 採用を続けたまま別の手を動かすか、計画の日付や範囲を動かすか

どちらの日も、日付だけでなく「何がどうなっていたら次へ進むか」を先に書いておきます。たとえば見直しの日なら「書類選考を通った人がいなければ要件を見直す」、切り替えの日なら「最終面接に進む人がいなければ外部の人材に相談を始める」といった形です。基準を後から決めると、手元の候補者に期待して判断が延びやすくなります。

2つの日をどこに置くかは、自社の過去の採用記録から決めます。前回のエンジニア採用で、募集を始めてから内定までにかかった日数と、内定から入社までにかかった日数を並べれば、入社してほしい日から逆算して置けます。記録がなければ、今回の採用から段階ごとの日付を残しておくと、次の採用で使えます。

切り替え先の選び方

切り替えの日に内定が見えていなければ、採用は続けながら、期限までに要る仕事を別の方法で進める手を選びます。選ぶときの手がかりは、その仕事がいつまで続くかと、社内に知識を残す必要がどれくらいあるかの2つです。

採用期限までに採用できないときの切り替え先(筆者作成)
切り替え先 向いている場面 気をつけること
社内の配置換え 社内に近い経験を持つ人がいて、その人の今の仕事を減らせる 元の部署の仕事が止まらないかを確かめる
作業の範囲や順番を変える 期限までに全部ではなく一部を終えればよい 後回しにした作業の期限を決めておく
外部の人材(業務委託・派遣) 作業の中身と期間をはっきり書ける 採用が決まったときの引き継ぎ方を最初に決める
計画の日付を動かす 開始日を後ろにしても事業への影響が小さい 関係する部署や取引先との調整が要る

外部の人材に切り替える場合も、採用をやめる必要はありません。採用が決まるまでの間だけ作業を頼み、決まった人に引き継ぐ形をとれば、外部の人材との契約の終わりを採用の進み具合に合わせて決められます。この進め方は外部人材活用を採用難のつなぎにするとき決める4つのことで詳しく扱っています。

反対に、続ける期間が決まっておらず、設計の判断や運用の知識を社内に残したい仕事は、外部の人材に頼むより、要件を見直して採用を続けるほうが合っています。要件の見直し方はエンジニア採用の採用失敗、要件設定は人材像の3区分で見直すにまとめました。

つまずきやすい点

一つめは、最終面接に残った1人に期待して、切り替えの日を延ばしてしまうことです。その人が辞退すれば、残りの日数で別の手を探すことになります。候補者がいても切り替えの準備は判断日どおりに始め、内定が承諾されたら止める、という順番にしておくと損が小さくなります。

二つめは、見直しを1つずつ順番に試すことです。賃金を変えて様子を見て、次に募集の経路を変えて様子を見る、と進めると、それだけで期限が来てしまいます。応募が少ないのか、選考の途中で落ちているのかを見て、効きそうな手を同時に動かします。応募が少ないときの見直しはエンジニア採用が応募不足で採用できない理由と、求人条件の見直し方で整理しています。

三つめは、採用期限を現場と人事で共有していないことです。人事は採用の目標日を、現場は開発の開始日を見ていると、どちらの日付で判断するのかがずれます。判断日と基準は、募集を始める前に両者で決めて書き残しておきます。

外部に委託するときに確認しておきたい点

外部の人材に頼むと決めたら、期限までに終えたい作業、使うシステムと開発環境、成果物の形を書き出しておきます。作業の中身が決まっていれば求める経験がはっきりし、候補者を探す側も合う人を絞りやすくなります。採用が決まった後に引き継ぐ予定があるなら、そのことも最初に伝えておきます。

募集の経路そのものを見直すときはエンジニア採用できないときの母集団形成、募集経路の選び方も参考になります。

まとめ:採用期限で決めておきたい3つの点

エンジニア採用で採用期限までに採用できないときに備えて、決めておきたい点は3つに整理できます。第一に、入社してほしい日とは別に、見直しの日と切り替えの日をその手前に置くこと。第二に、見直しの日には募集時の賃金・条件、募集の経路、求める要件を同時に動かすこと。第三に、切り替えの日に内定が見えていなければ、採用を続けたまま、社内の配置換えや外部の人材などで期限までの仕事を進めることです。この3点を決めておけば、「期限の前日まで候補者を待ち、開発の開始に間に合わなかった」という事態を避けやすくなります。期限までに要る仕事を担う人の探し方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

期限までに終えたい作業と、そのために要る経験が書き出せたら、次はその仕事を担う人を探す段階です。作業の中身と期間が決まっていれば、採用で探す社員の候補者と、業務委託で加わってもらう専門人材のどちらが合うかも判断しやすくなります。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材が必要になった時点から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で実際の業務開始まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

採用期限を延ばしてもよいのは、どんなときですか

入社してほしい日を後ろにしても事業への影響が小さく、関係する部署や取引先の了解が得られるときです。ただし、JILPTの調査では、5年程度先の人材の獲得も「困難である」「やや困難である」とみる企業が93.9%でした。*1 延ばすときは、同じ条件の募集を続けるのではなく、見直しとあわせて決めます。

外部の人材に頼んでいる間も、採用活動は続けるべきですか

その仕事に社内の知識を残したいなら、続けるのが基本です。外部の人材との契約に見直しの日と終わりの日を決めておけば、採用が決まった時点で引き継ぎに移れます。契約の形や期間は、契約の内容を確かめ、必要に応じて専門家にも相談して決めてください。

判断日の基準には、何を使えばよいですか

応募の数、書類選考を通った人数、面接に進んだ人数、内定の承諾の有無のように、日々の記録で確かめられるものを使います。前回の採用の記録があれば、同じ時点でどこまで進んでいたかと比べられます。公的な調査が示すのは採用の難しさの傾向で、自社の判断日の基準そのものは示していません。

期限までに要る仕事が決まったら相談

期限までに終えたい作業と、求める経験が分かっていれば、そのままご相談いただけます。採用を続けるか外部の人材に頼むか決めきれていない段階でも構いません。

Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も探せます。

Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。

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出典

  1. *1 参考:労働政策研究・研修機構 調査シリーズNo.261「働く意識の変化や新たなテクノロジーに応じた労働の質の向上に向けた人材戦略に関する調査(企業調査・労働者調査)」本文(PDF)(https://www.jil.go.jp/institute/research/2025/documents/0261_01.pdf)。出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構(2025年)。厚生労働省 政策統括官付 政策統括室の要請調査。第1章 調査の概要(企業調査は2025年2月7日〜3月5日、全国の30人以上の企業10,000社、有効回収2,004件)、図表1-1(人手過不足感)、図表1-2(不足している人材)、図表1-7(人材の獲得に対する認識)、図表1-8(人材獲得のために実施していること)を参照。図と表は資料の数値をもとに筆者が作成した(確認日2026年10月6日)(2026年10月確認)
  2. *2 参考:労働政策研究・研修機構 調査シリーズNo.261 資料2 付属統計表(PDF)(https://www.jil.go.jp/institute/research/2025/documents/0261_03.pdf)。出典:企業調査のクロス集計表のうち、問3①(事業継続のための人手・正社員)、問3付問①(不足している人材)、問5②(中途採用の強化の実施)の情報通信業の行を参照。中途採用の強化の割合は、件数から「採用を実施していない」と無回答を除いて筆者が計算した(確認日2026年10月6日)(2026年10月確認)
  3. *3 参考:労働政策研究・研修機構「調査シリーズNo.261」公表ページ(https://www.jil.go.jp/institute/research/2025/261.html)。報告書の公表ページ。調査名と資料の構成の確認として(確認日2026年10月6日)(2026年10月確認)




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