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エンジニア採用できないときの母集団形成、募集経路の選び方
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- 情報通信業から転職した人は、民間の職業紹介機関29.0%、求人情報誌等25.3%、縁故21.9%を経路に次の勤め先へ就いています。
- 情報通信業の事業所の47.1%が自社のウェブサイトで募集していますが、主な方法に挙げたのは7.4%です。
- 応募者ごとに最初の接点と応募を決めた経路を記録し、条件を広げるときはその層が使う経路にも求人を出します。
※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
求人サイトに募集を出し、自社の採用ページも整えたのに、応募がほとんど来ない。紹介会社に頼んでも、推薦される候補者は月に1人いるかどうか——。エンジニア採用が思うように進まない職場では、こうした行き詰まりが起こりがちです。エンジニア採用の母集団形成とは、選考に進められる応募者の数と、任せたい仕事に合う経験を持つ人の割合を、募集の段階で確保することを指します。
母集団形成で最初に確かめたいのは、自社が募集を出している経路と、エンジニアが次の勤め先を見つけている経路が合っているかどうかです。ただし万能な経路はなく、年齢や経歴によっても仕事の探し方は変わります。本記事では、エンジニアを採用できない現場のマネージャーに向けて、企業が使っている募集の経路、転職した人が勤め先を決めた経路、年齢や学歴による違い、自社の応募経路の確かめ方、そして求める条件と募集の出し方の見直し方を整理します。
目次
母集団形成とは
母集団は、応募してきた人の数だけでは測れません。エンジニア採用で採用できない理由を、応募の数そのものが足りないのか、応募はあっても経験が合わないのかに分けておくと、見直す場所が決まります。応募が足りないなら、求人が探している人の目に届いているかを疑い、募集の経路を見直します。経験が合わないなら、求人の書き方や求める条件の側を見直します。
本記事で扱うのは、主に前者です。休日や残業時間といった求人の条件そのものの見直しは「エンジニア採用が応募不足で採用できない理由と、求人条件の見直し方」で、必須要件と歓迎要件の書き分けは「エンジニア採用の求人票、必須要件と歓迎要件の違いと書き分け」で扱っています。ここでは、どの経路から応募が来ているかを確かめ、届いていない層に向けて募集の出し方を変える手順に絞ります。
手がかりにするのは、厚生労働省が2026年9月25日に公表した「令和7年転職者実態調査」です。2025年10月1日時点の状況について、転職者を受け入れた事業所(有効回答9,154事業所)と、そこで働く転職者本人(有効回答7,310人)の両方に、募集や転職活動の方法を尋ねています。*1 企業の側と転職した人の側を、同じ調査の中で見比べられるのがこの調査の使いどころです。
情報通信業の企業が使う募集の経路
まず企業の側です。転職者がいる情報通信業の事業所に、転職者の募集方法を複数回答で尋ねた結果は、「求人サイト・求人情報専門誌、新聞、チラシ等」50.1%、「自社のウェブサイト」47.1%、「民間の職業紹介機関」39.0%、「縁故(知人、友人等)」38.7%、「ハローワーク等の公的機関」34.7%の順でした。「スカウト」も16.6%あります。*2
同じ事業所に、主に活用した募集方法を1つだけ選んでもらうと、並びが変わります。最も多いのは求人サイト等の30.2%で、民間の職業紹介機関21.6%、ハローワーク等15.2%、縁故13.4%と続き、自社のウェブサイトは7.4%でした。*3
差が大きいのは自社のウェブサイトです。半数近くの事業所が募集に使っていながら、主な方法に挙げたのは1割に届きません。スカウトも、使った16.6%に対して主に活用したのは1.7%です。採用ページやスカウトは、多くの事業所でほかの経路の補助として使われていることになります。
9つの方法の割合を合計すると248.4%で、1事業所あたりおよそ2.5の方法を併用している計算です。調査産業計では同じ合計が212.5%なので、情報通信業の事業所は、ほかの産業より多くの経路を組み合わせて募集しています。なお、この集計は職種を分けていないため、エンジニアの求人だけを取り出した値ではありません。
エンジニアが次の勤め先を決めた経路
次に、転職した人の側です。個人調査では、現在の勤め先に就職した経路を1つだけ尋ねています。直前の勤め先が情報通信業だった転職者では、「民間の職業紹介機関」29.0%が最も多く、「求人情報専門誌・新聞・チラシ等」25.3%、「縁故(知人、友人等)」21.9%が続きました。*4 上位の3つで76.2%を占めます。
| 就職した経路 | 転職者計 | 直前の勤め先が情報通信業 | 直前の仕事が専門的・技術的な仕事 |
|---|---|---|---|
| ハローワーク等の公的機関 | 17.7 | 5.2 | 16.3 |
| 民間の職業紹介機関 | 14.7 | 29.0 | 18.3 |
| 求人情報専門誌・新聞・チラシ等 | 32.1 | 25.3 | 25.6 |
| 企業のホームページ | 4.9 | 6.7 | 8.3 |
| 企業訪問 | 0.6 | 0.6 | 1.3 |
| 出向・前の会社の斡旋 | 2.4 | 6.1 | 1.9 |
| 縁故(知人、友人等) | 19.5 | 21.9 | 19.9 |
| その他 | 5.9 | 3.7 | 6.1 |
転職者計と比べると、違いがはっきりします。全体ではハローワーク等を経路に就職した人が17.7%いますが、直前の勤め先が情報通信業だった人では5.2%にとどまります。反対に、民間の職業紹介機関は全体の14.7%に対して29.0%と、2倍近い割合です。
職種で切ると、様子が少し変わります。直前の仕事が「専門的・技術的な仕事」だった人では、求人情報専門誌等25.6%、縁故19.9%、民間の職業紹介機関18.3%、ハローワーク等16.3%と、情報通信業ほど1つの経路に偏りません。この区分にはプログラマーやシステムエンジニアのほか、機械・電気技術者や医師、看護師、教員なども含まれます。*1
企業の側と並べると、縁故の位置が目を引きます。情報通信業の事業所で縁故を主な募集方法に挙げたのは13.4%でしたが、情報通信業から転職した人の21.9%は縁故で次の勤め先に就いています。片方は募集した事業所の産業、もう片方は前の勤め先の産業で数えた集計なので、同じ人の動きを追ったものではありません。それでも、社員や知人のつながりが、エンジニアの母集団形成で見落とせない経路であることは読み取れます。
年齢や学歴で変わる仕事の探し方
仕事の探し方は、この5年でも変わりました。転職活動に使った方法(複数回答)を2020年の前回調査と比べると、民間の職業紹介機関は14.8%から20.9%へ、求人サイト・求人情報専門誌・新聞・チラシ等は39.4%から45.1%へ増えています。一方で、ハローワーク等は34.3%から29.6%へ、縁故は26.8%から22.2%へ減りました。*1
年齢による違いもあります。転職活動に民間の職業紹介機関を使った人は、25〜29歳で27.7%、35〜39歳で32.2%と多く、60〜64歳では8.6%です。最終学歴で見ると、大学卒が32.7%、大学院卒が29.8%でした。大学院卒でハローワーク等を使った人は3.6%にとどまり、ハローワーク等を経路に就職した人は1.3%です。*1*4
就職した経路で見ても、25〜29歳では民間の職業紹介機関が22.0%で、30〜34歳でハローワーク等を経路にした人は9.2%でした。*4 募集したい年齢層や経歴によって、届きやすい経路は変わるということです。「20代の若手を採りたい」「大学院で研究してきた人に来てほしい」といった条件を決めたら、その層が使っている経路に求人が出ているかを確かめておきます。
自社の応募経路をどう確かめるのか
統計が示すのは、世の中全体の傾向です。自社の母集団形成を見直すには、自社の応募がどの経路から来ているかを数える必要があります。やることは、応募者1人ごとに次の3つを記録することです。
- 最初に自社を知った経路(求人サイト、紹介会社、自社の採用ページ、社員の紹介など)
- 応募を決めた経路(どこから応募書類が届いたか)
- 選考がどこまで進んだか(書類選考、一次面接、内定、入社)
1つ目と2つ目を分けるのは、調査でも「使った方法」と「就職を決めた経路」が一致しないからです。転職した人全体で見ると、転職活動に企業のホームページを使った人は13.5%いますが、企業のホームページを経路に就職した人は4.9%です。*1*4 採用ページを読んでから紹介会社を通して応募してくる人もいるので、面接では「最初に当社を知ったのはどこか」と「応募したのはどの経路からか」を別々に聞いておきます。
記録がたまったら、経路ごとに応募数と、一次面接に進んだ人数を並べます。応募は多いのに面接に進む人が少ない経路は、届いている層と求める経験がずれています。応募そのものが少ない経路は、掲載のしかたか、経路の選び方を見直します。数える指標の置き方は「採用KPIに置く5つの指標と分母の決め方」で扱っています。
求める条件と募集の出し方の見直し
経路ごとの数字がそろったら、求める条件と募集の出し方を一緒に見直します。条件を広げると届けたい層が変わり、使うべき経路も変わるからです。
たとえば、「情報通信業での開発経験」を必須にしていた求人を、「業種を問わず、社内システムの開発経験」に広げたとします。情報通信業から転職する人は民間の職業紹介機関を経路にする割合が高い一方、直前の勤め先が製造業だった人では、ハローワーク等を経路に就職した人が21.3%います。*4 製造業や流通業の社内で開発をしてきた人にも届けたいなら、紹介会社だけでなく、求人サイトやハローワークにも同じ求人を出しておくと、届く範囲が広がります。
募集の出し方では、次の3つを確かめます。
- 求人サイトと紹介会社に渡している求人の内容がそろっているか(任せる仕事と条件が経路ごとに違っていないか)
- 自社の採用ページが、ほかの経路で求人を見た人の確認先として読める内容になっているか
- 社員に紹介を頼むとき、任せる仕事と求める経験を短くまとめた資料を渡せるか
採用ページは主な経路にはなりにくい一方で、情報通信業では半数近くの事業所が使っています。求人サイトや紹介会社で求人を見た人が、応募の前に確かめに来る場所として、任せる仕事、開発の体制、使っている技術を具体的に書いておきます。縁故も、社員に「いい人がいたら紹介して」と頼むだけでは、誰に声をかければよいかを社員が判断できません。どんな仕事を、どんな経験の人に任せたいかを1枚にまとめて渡しておくと進めやすくなります。
つまずきやすい点
一つ目は、経路を一度に増やしすぎることです。経路を増やすほど、求人の内容をそろえる手間と、応募者へ連絡する手間も増えます。応募者ごとの記録が取れないまま経路を増やすと、どの経路が効いたのかを後から確かめられません。増やすのは1回に1つか2つにとどめ、始めた日を残しておきます。
二つ目は、ハローワークを最初から外してしまうことです。情報通信業から転職した人でハローワーク等を経路にした人は5.2%と少ないものの、専門的・技術的な仕事全体では16.3%、直前の勤め先が製造業だった人では21.3%です。業種の経験を条件から外すなら、求人を出す経路の一つとして残しておく意味があります。
三つ目は、統計の数字をそのまま自社の目標にすることです。ここで見た値は職種や地域を分けない全体の集計なので、自社の求人にどこまで当てはまるかは、前の節で説明した自社の記録で確かめます。採用が決まるまでの間の開発をどう回すかは「外部人材活用を採用難のつなぎにするとき決める4つのこと」で扱っています。
まとめ:母集団形成で確かめておきたい3つの点
エンジニア採用で採用できないときに母集団形成を見直すうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、自社が募集を出している経路と、エンジニアが次の勤め先を決めている経路が合っているかを確かめること。情報通信業から転職した人では、民間の職業紹介機関、求人情報専門誌等、縁故の3つで7割を超えます。第二に、応募者ごとに、最初に自社を知った経路と応募を決めた経路を分けて記録すること。第三に、求める条件を広げるときは、新しく届けたい層が使っている経路にも同じ求人を出すことです。この3点を踏まえておけば、「掲載先を増やしたのに、応募がどこから来ているのかつかめない」という事態を避けやすくなります。経路を見直しても採用が決まるまでに時間がかかりそうなら、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。
よくある質問
紹介会社と求人サイトは、どちらから始めればよいですか
どちらか一方に決めるより、同じ求人内容で両方に出し、応募者の記録で比べるのが確実です。情報通信業の事業所が主に活用した方法は、求人サイト等が30.2%、民間の職業紹介機関が21.6%で、この2つで半数を超えます。費用のかかり方が違うので、採用したい人数と期限から予算を決めておきます。
従業員の少ない会社では、使われる経路は違いますか
違います。産業を問わない集計ですが、5〜29人の事業所で募集に使われた方法は、ハローワーク等48.7%、求人サイト等43.9%、縁故30.7%、民間の職業紹介機関28.0%、自社のウェブサイト22.7%の順でした。1,000人以上の事業所では、自社のウェブサイトが83.4%と最も多く使われています。*2
経路を見直してから、どのくらいで効果を判断すればよいですか
公的な資料で示された期間の目安はありません。経路ごとの応募数を比べるには、掲載した期間をそろえる必要があるので、経路を足した日と掲載を始めた日を記録し、前回と同じ長さの期間で比べます。
この調査は、いつ時点のデータですか
2025年10月1日現在の状況を調べたもので、事業所調査は2025年9月16日から10月17日、個人調査は10月17日から12月19日に行われました。結果は2026年9月25日に公表され、前回は2020年の調査です。*1
エンジニアの母集団形成を相談したいとき
任せる仕事と求める経験の整理から、募集の経路の見直しまでご相談いただけます。
Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も探せます。
Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。
出典
- *1 参考:厚生労働省「令和7年転職者実態調査の概況」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/6-18c-r07.html)。出典:厚生労働省「令和7年転職者実態調査の概況」(2026年9月25日公表)。調査の概要(2025年10月1日現在、有効回答は事業所調査9,154事業所・個人調査7,310人、職種分類表)と、個人調査 表12(転職活動の方法別転職者割合。複数回答、令和2年調査との比較、年齢階級・最終学歴別)を参照(2026年9月確認)
- *2 参考:e-Stat「令和7年転職者実態調査 事業所調査 第10表」(https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040505202)。出典:第10表 産業・事業所規模・企業規模・転職者の採用に当たって重視した点・雇用期間の定めの有無別転職者の有無、転職者の募集方法別事業所割合(複数回答)。情報通信業・調査産業計・事業所規模別の行を参照(2026年9月確認)
- *3 参考:e-Stat「令和7年転職者実態調査 事業所調査 第11表」(https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040505203)。出典:第11表 同、主に活用した転職者の募集方法別事業所割合。情報通信業の行を参照(2026年9月確認)
- *4 参考:e-Stat「令和7年転職者実態調査 個人調査 第23表」(https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040505233)。出典:第23表 性、年齢階級・最終学歴・直前の勤め先の産業・直前の勤め先の企業規模・直前の勤め先での職種ほか、現在の勤め先に就職した経路別転職者割合(構成比1)。転職者計・年齢階級・最終学歴・直前の勤め先の産業・直前の勤め先での職種の行を参照(2026年9月確認)