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2026.10.16 採用支援コラム

システム保守切れの人材確保|社内で保守する人を決める手順

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

灰色の太いバインダーを机の中央に両手で置く、白いシャツの担当者。奥に閉じたノートPC

この記事の結論

  • 保守切れは、契約の有効期間と、更新しない旨を伝える期限から始まるため、まず自社の保守契約書でその2点を確かめます。
  • 社内に戻る作業は、日々の運用、障害の調べ、小さな修正、仕様の問い合わせの4つに分けると、探す人の条件を書けます。
  • 保守する人は、社員か業務委託かを作業ごとに選び、更新しない旨の期限より前に、並走して引き継ぐ期間を設けます。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

システムを作ったベンダーから、来期で保守契約を終えたいと連絡が来た。保守切れとは、ベンダーとの保守契約が更新されずに終わり、それまで頼んでいた障害の対応や小さな修正を、自社で受け持つことになる状態です。受け持つ人を決めないまま期限が来ると、システムが止まったときに誰も直せません。

本記事は、情報システム部門の責任者、保守を任された開発マネージャー、保守する人を探す人事の担当者に向けた内容です。IPAと経済産業省が公表している「情報システム・モデル取引・契約書」を手がかりに、保守切れで社内に戻る作業、社員と業務委託の比べ方、期限までの進め方、外部の人に頼むときの確認点を整理します。

保守切れとは何が終わることか

IPAのウェブサイトに載っている「情報システム・モデル取引・契約書」の第二版*1には、保守や運用を委託するときの基本契約書のひな型があります。そのひな型は、契約の有効期間を「締結日から○年間」とし、期間が終わる○ヵ月前までにどちらからも別段の意思表示がなければ、同じ条件でさらに○年間続くと定めています。*2 年数や月数は空欄で、実際の契約書は会社ごとに違います。

この仕組みでは、ベンダーが更新しない意思を期限までに伝えれば、契約は期間の終わりで終わります。保守切れは突然起きるのではなく、更新の意思表示の期限というはっきりした日付から始まります。次の2点を、自社の契約書で最初に確かめます。

  • 契約の有効期間はいつまでか
  • 更新しない旨を、期間の終わりのどれだけ前までに伝える決まりか
  • 基本契約が終わっても続く個別契約があるか

3つ目は、ひな型が、基本契約が終わっても有効な個別契約には基本契約の各条項が引き続き適用される、としているためです。*2 個別契約ごとに終わる日が違うことがあるので、契約書を1本ずつ見ます。

社内に戻る作業の分け方

保守が切れると、ベンダーが担っていた作業が社内に戻ります。IPAの解説は、保守や運用の業務は非常に幅広く、どの部分をユーザー自身の要員で行い、どの部分をベンダーに委託するかは、その時々のニーズによる、と説明しています。*2 戻る作業を最初に分けておくと、探す人の条件が具体的になります。

サーバーラックの前の小さな作業台に開いて置かれた無地の手順書バインダーと黒いペン

保守切れで社内に戻る作業の4つの分け方
作業 中身 社内に戻ると起きること
日々の運用 起動や停止、監視、定期の作業 手順書があれば、社員でも回しやすい
障害の調べ 障害の受付、原因の切り分け、連絡 夜間や休日の連絡の流れも、社内で決める必要がある
小さな修正 設定の変更、プログラムの手直し プログラムの中身を読める人が必要になる
仕様の問い合わせ なぜそう作ったか、他のシステムとどうつながるか 設計書がなければ、答えられる人が限られる

ひな型は、障害が起きたときの緊急連絡の体制などを、あらかじめ決めておく項目として挙げています。*2 ベンダーに任せていた間は意識しにくい部分ですが、社内に戻る作業の中でも、誰に連絡が行くかが決まっていないと、止まった時間が長くなります。

  • 4つのうち、手順書があるものは社員に渡しやすい
  • プログラムの修正は、読める人を外から補う候補になる作業
  • 仕様の問い合わせは、人を探す前に設計書の有無を確かめる

保守を社内と外部でどう分けている会社が多いかは、運用保守の開発要員の社内・外部分担で統計を見られます。

社員か業務委託かの比べ方

戻ってきた作業を受け持つ人は、社員として採用するか、業務委託の個人に頼むかで確保します。新しく保守会社に委託する選択肢もあり、その選び方はシステム保守会社の選び方で扱っているので、ここでは人を確保する場合だけを比べます。

保守する人を確保する2つの経路の比べ方(この記事の考え方)
比べる点 社員として採用 業務委託の個人に依頼
向く作業 日々の運用、仕様の問い合わせへの対応 障害の調べ、小さな修正、設計書づくり
時期の読みやすさ 募集から入社まで、時期が読みにくい 作業と期間を決めて探すので、始まる時期を見通しやすい
決めておくこと 育てる人と、教える時間 作業の範囲、期間、成果の受け取り方
抜けたとき 退職で、また同じ悩みになる 契約が終わると知識も去るので、文書に残してもらう

どちらか一方に決め打ちする必要はありません。社員は日々の運用と仕様の問い合わせ、業務委託の人は障害の調べと修正、のように作業で分けると、足りない時期だけ外から補えます。

業務委託で頼むときは、契約の種類にも注意します。ひな型は、保守運用の委託を準委任型か請負型かのどちらかとし、準委任型の責任は、善良な管理者の注意をもって業務を行うことに限られると説明しています。*2 請負型は、結果の誤りを直す責任が生じます。どちらにするかは個別契約で決めるので、専門家に確かめてください。

保守が切れるまでの進め方

更新しない旨の期限を知ったところから、手順を5つに分けます。

向かい合う2脚の椅子と閉じたノートPC2台、中央に開いた無地のバインダーと黒いペンがある会議室の長テーブル

  1. 契約書で、有効期間と更新しない旨の期限を確かめる
  2. ベンダーに渡した資料と、ベンダー側にたまった情報を洗い出して返してもらう
  3. 戻る作業を4つに分け、社内に残す作業と外に頼む作業を決める
  4. 保守する人を探し、期限より前に、ベンダーと並走して引き継ぐ期間を設ける
  5. 引き継いだ内容を、設計書と手順書に書き戻す

保守切れまでの時間の流れを示す図。更新しない旨の期限までに契約書の確認、資料の洗い出し、作業の分け方の決定、保守する人探しを行い、期限から契約の終わりまでにベンダーと並走して引き継ぎ、設計書と手順書に書き戻し、契約の終わり以降は社内の人と業務委託の人で保守を続ける。

2つ目の手順について、ひな型は、ベンダーに渡した資料は、業務で不要になったときに返すか、指示した処置をしてもらうと定めています。たとえば、ユーザーが行う運用業務にベンダーが技術支援をするときに、運用マニュアルなどを貸す例が挙げられています。*2 ベンダーのデータセンターに自社の情報がたまっている場合も、ひな型は資料と同じ扱いを基本としています。*2 何を渡し、何が相手側に残っているかを、期限の前に書き出します。

5つ目の手順は、IPAも求めている点です。保守の工程について、ユーザーには、将来の作り直しを見据えて、保守の内容を設計文書などに漏れなく反映すること、業務や設計のノウハウを円滑に引き継ぐことなどの管理が求められる、とあります。*2 仕様書が古くなっている場合の直し方は、レガシーの仕様書が古いときの直し方で扱っています。

外部の人に頼むときの確認点

保守を業務委託の人に頼むときは、頼む前に次の点を確かめます。

  • 同じ種類のシステムで、障害の調べや修正をした経験があるか
  • ベンダーとの並走の期間に、どの作業を引き継いでもらうか
  • 準委任型か請負型かと、障害時にどこまで対応してもらうか
  • 渡す資料と権限の範囲、契約が終わったときの返還や削除
  • 設計書や手順書を残す作業が、業務に含まれているか
  • その人が抜けたとき、代わりの人を出せるか

古いシステムを保守できる人をどの経路で確保するかは、レガシー人材の確保方法で、システムの種類ごとの人材の欠乏と合わせて扱っています。ベンダーとの引き継ぎそのものを外部に任せる進め方は、ベンダー移管・委託の進め方が詳しいです。

まとめ:保守切れの人材確保で確かめる3つの点

保守切れで確かめたい点は3つです。第一に、保守契約書の有効期間と、更新しない旨を伝える期限を確かめること。第二に、戻ってくる作業を、日々の運用、障害の調べ、小さな修正、仕様の問い合わせの4つに分け、探す人の条件を作業で書くこと。第三に、社員か業務委託かを作業ごとに選び、ベンダーと並走できる期間を、期限より前に確保することです。ベンダーに渡した資料と、相手側に残った情報の洗い出しも忘れずに進めます。

LASSICに相談するメリット

保守切れの期限と、社内に戻る作業の一覧が手元にあれば、社員で採るか業務委託で頼むかを、作業ごとに決めて相談できます。設計書が足りない段階でも、何が手元にないかを伝えるところから始められます。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材が必要になった時点から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で実際の業務開始まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

保守契約が切れる前に、いつから保守する人を探せばよいですか

探し始める時期を示した数字は、この記事の資料にありません。まず契約書で更新しない旨の期限を確かめ、その時点で社内に戻る作業の一覧が出せるところまでを先に進めます。並走して引き継ぐ期間は、期限の前に確保します。

保守を業務委託の個人に頼むことはできますか

頼める場合はあります。作業の範囲と期間、準委任型か請負型か、渡す資料の範囲を契約で決めます。ベンダーとの並走を依頼内容に含めると、引き継ぎが進みやすくなります。契約の細部は専門家に確かめてください。

ベンダーが保守をやめたら、別の人がプログラムを直してもよいですか

IPAの整理では、プログラムの著作権を持たないユーザーが、別の会社に保守や運用を委託することは可能とされています。ただし、ソースコードや設計書を受け取れるかは契約によるので、契約書とソースコードの扱いを先に確かめます。

保守を引き継ぐ人を探す

保守の期限と、社内に戻る作業の候補が分かっていれば、そのままご相談いただけます。設計書が足りない段階でも構いません。

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出典

  1. *1 参考:IPA「情報システム・モデル取引・契約書(第二版)」(https://www.ipa.go.jp/digital/model/model20201222.html)。出典:IPAの掲載ページ。第二版は2020年12月22日の公表、2025年4月8日に更新(確認日2026年10月16日)(2026年10月確認)
  2. *2 参考:経済産業省・IPA「情報システム・モデル取引・契約書〈第二版〉」(Word)(https://www.ipa.go.jp/digital/model/ug65p90000001ljh-att/000087884.docx)。出典:経済産業省・独立行政法人情報処理推進機構。「情報システム保守運用委託基本モデル契約書」の第10条(障害発生時の対応手順等)・第14条(本件業務に関する責任)・第15条(資料等の提供及び返還)・第17条(蓄積情報の管理)・第20条(契約期間)とその解説、保守工程の説明、著作権に関する検討を参照(確認日2026年10月16日)(2026年10月確認)




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