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2026.10.27 らしくコラム

Power Apps開発を外注するときの費用を決める5つの項目

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

工場のラインの脇でタブレットのアプリに設備の点検結果を入力する技術者

この記事の結論

  • Power Apps開発の外注費用は、要件の整理・作り込み・連携・テストと移し替え・運用と保守の5つの項目で決まります。
  • キャンバスとモデル駆動型のどちらで作るか、データをどこに置くかで、作業の量と必要なライセンスが変わります。
  • 開発費とは別に、アプリを使う人ごとのライセンス費がかかるため、設計の段階で見込んでおきます。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

社内の申請をExcelとメールで回すのをやめて、業務アプリにしたい。外注の見積もりを取ってみたものの、何にいくらかかっているのかが分からない——。Microsoft 365を使う会社では、こうした悩みが起こりがちです。Power Apps(パワーアップス)は、業務アプリをコードをほとんど書かずに作るための、マイクロソフトの開発の仕組みです。

SharePointのリストを使った入力画面なら、短い期間で形にできます。ただし万能ではなく、データの置き場所やつなぐシステム、使う人のライセンスによって、開発費もその後の費用も変わります。本記事では、Power Appsの開発を外注しようと考えている情報システムの担当者に向けて、2種類のアプリの違い、外注費用を決める5つの項目、開発費とは別にかかるライセンス費、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。

Power Apps開発の外注とは

マイクロソフトはPower Appsを、Dataverse(Power Apps用のデータの置き場所)や、SharePoint・Microsoft 365・SQL Serverなどに保存されたデータにつなぐ業務アプリを「すばやく構築できます」と説明しています。*1 作れるアプリは、作り方の違う次の2種類です。

  • キャンバスアプリ:白紙の画面に部品を並べて、画面の見た目と動きを自由に作るアプリです*2
  • モデル駆動型アプリ:先にデータの形(表と、表どうしのつながり)を決め、画面の多くは選んだ部品から決まるアプリです
  • どちらも、ブラウザーやスマートフォン・タブレットで使えます

外注で頼む「開発」は、画面を作る作業だけではありません。画面とデータの形を決める設計、ほかのシステムとのつなぎ込み、テスト、本番への移し替え、動き出したあとの改修までが含まれます。社内でPower Platformを扱える人を育てる進め方は、ローコード人材の不足を外注・委託で補完する進め方で扱っています。

キャンバスアプリとモデル駆動型アプリの違い

2種類のアプリは、作り方も、手間のかかる場所も違います。マイクロソフトの比較から、外注の見積もりに関わる点を抜き出すと次のとおりです。*3

キャンバスアプリとモデル駆動型アプリの違い
観点 キャンバスアプリ モデル駆動型アプリ
使えるデータ Dataverseのほか、コネクタ(ほかのサービスとつなぐ部品)でつなぐ多くのデータ Dataverseのみ
画面の作り方 部品を並べ、Power Fx(Excelに似た式)で動きを決める 部品を選んで組み合わせる。コードはほとんど要らない
画面の自由度 見た目を自由に作れる 画面の多くは追加した部品で決まる
環境の移し替え データの接続先を直す必要があり、複雑になることがある ソリューション(アプリをまとめて運ぶ入れ物)で比較的かんたん
向いている場面 入力フォームから業務の流れを持つアプリまで、画面を作り込みたいとき 新しい従業員の受け入れや営業の管理のように、関連する記録をたどる業務

キャンバスアプリは画面の数と作り込みの量で手間が変わり、モデル駆動型アプリはデータの形の設計に手間がかかります。外注先には「なぜこの種類で作るのか」を理由と一緒に示してもらうと、見積もりを比べやすくなります。

外注費用を決める5つの項目

Power Apps開発の外注費用は、アプリの本数だけでは決まりません。見積もりの中身を分けると、次の5つの項目になり、それぞれ手間の増える場面があります。

夜の執務室でモニターに並んだ画面の配置図をマウスで選ぶ手元

Power Apps開発の外注費用を決める5つの項目
項目 中身 手間が増えやすい場面
1. 要件の整理と画面の設計 業務の流れ、画面の数、入力の項目、承認の流れを決める 部署ごとに手順が違う。例外の扱いが多い
2. アプリの作り込み 画面と動きを作る。2種類のどちらで作るかで作業が変わる 画面が多い。入力の確認や計算の決まりが多い
3. データの置き場所と連携 SharePoint・Excel・Dataverseなどから置き場所を選び、ほかのシステムとつなぐ 社内のシステム向けにカスタムコネクタを作る
4. 権限・テスト・移し替え 誰が何を見られるかの設定、テスト、本番の環境への移し替え 開発・テスト・本番の環境を分ける。利用する部署が多い
5. 運用と保守 不具合への対応、業務の変更に合わせた改修、問い合わせの窓口 業務の手順がよく変わる。つないだシステムが更新される

3つ目の連携は、カスタムコネクタが要るかどうかで手間が変わります。カスタムコネクタは、用意された1,000を超えるコネクタで足りないときに、自社のシステムなどとつなぐために作る部品です。*9 4つ目の権限は、Dataverseを使うと役割ごとに見られるデータを分けられるため、*10 その役割の設計の分だけ作業が増えます。

開発費とは別にかかるライセンス費

マイクロソフトは、Power Appsで作成したアプリを実行するにはライセンスが必要だと案内しています。*1 Microsoft 365のライセンスにも使う権利は一部含まれますが、対象はMicrosoft 365のデータと標準コネクタを使う場面です。*4

Power Apps開発の外注で見込む費用を3つの箱に分けた図。最初にかかる開発費は項目1から4(要件の整理と画面の設計、アプリの作り込み、データの置き場所と連携、権限・テスト・移し替え)、動き出したあとの費用は項目5の運用と保守、開発費とは別の費用はアプリを使う人ごとのライセンス費。

設計によって変わるライセンスの考え方
アプリの設計 ライセンスの考え方
SharePointやExcelのデータを標準コネクタで使う Microsoft 365に含まれる権利の範囲で動かせる場合がある
SQL Server・Azure・Dynamics 365のコネクタを使う プレミアムに分類され、Power Appsなどの単体のライセンスが要る*5
カスタムコネクタや社内のサーバーのデータにつなぐ 同じく単体のライセンスが要る
Dataverseにデータを置く Microsoft 365に付いたDataverseの権利では自社で作ったアプリを動かせないため、単体のライセンスを前提に考える*4
地図や住所の入力などのプレミアムの部品を使う 使う人にPower Appsのライセンスが要る*6

つまり、データの置き場所とつなぐシステムで、使う人のライセンスが変わります。Power Apps Premiumはユーザーごとのライセンスで、持っている人は作れるアプリの数に制限がありません。*5 一方、アプリ単位で買うライセンスは、2026年1月2日から一部の購入経路で新しい顧客が利用できなくなっています。*4 ライセンスを自社で買うか、外注先の提案に含めるかは、見積もりの段階で分けておきます。

外部に頼むときに確認しておきたい点

Power Appsは業務の担当者でも作れるため、すべてを外部に頼む必要はありません。業務の手順の決定や公開の判断は自社に残し、外注先を選ぶ前に次の点を確かめておきます。

窓際でスマートフォンとノートPCの入力画面を見比べる担当者の手元

  • 頼む範囲:5つの項目のうち、どこまでを任せるかを見積もりの前にそろえているか
  • アプリの種類とデータの置き場所:キャンバスかモデル駆動型か、データをどこに置くかを理由と一緒に示してもらえるか
  • ライセンスの見通し:使うコネクタと部品から、利用者に要るライセンスを設計の段階で示してもらえるか
  • 環境の分け方:開発・テスト・本番の環境を分け、ソリューションで移し替える手順を持っているか
  • 所有者と引き継ぎ:アプリの所有者を自社のアカウントにして、引き継ぎの資料を契約で決められるか

既定の環境はテナント(会社の契約の単位)のすべてのユーザーが共有し、バックアップの保証がないため、本番の業務には使わないよう案内されています。*8 マイクロソフトは、目的ごとに環境を作り、必要な人にだけ権限を渡すことを強く勧めています。*7 見積もりの比べ方はシステム開発の相見積もりの取り方、ワークフローの自動化も合わせて頼む場合はPower Automate開発の外注先の選び方で扱っています。

まとめ:Power Appsで確かめたい3つの点

Power Appsの開発を外注するうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、キャンバスアプリとモデル駆動型アプリのどちらで作るかを、データの置き場所と一緒に決めること。第二に、費用を5つの項目に分けて見積もりを比べること。第三に、開発費とは別に、使う人のライセンス費を設計の段階で見込んでおくことです。この3点を踏まえておけば、「アプリはできたのに、使う人全員のライセンスを買い足すことになった」という事態を避けやすくなります。依頼の範囲や見積もりの読み方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

LASSICは2006年の創業以来、システムの運用・保守に特化したプライム(一次請け)のシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。日本ニアショア開発推進機構の認定ベンダーとして、全国のリモート人材による開発・運用の体制を整えています。

Power Appsの開発では、業務の流れを見てキャンバスアプリとモデル駆動型アプリを使い分け、データをSharePointのリストに置くかDataverseのテーブルに置くかを決めます。設計では、使うコネクタが標準かプレミアムか、カスタムコネクタが要るかを洗い出し、利用者ごとのライセンスを一覧にします。Dataverseではセキュリティロールで見られるデータを分け、アプリはソリューションの中で作って開発・テスト・本番の環境へ移します。運用では、所有者と共同所有者を自社のアカウントで管理する手順と、改修の窓口を文書にまとめます。

よくある質問

Power Apps開発の費用の相場はどのくらいですか

Power Apps開発の外注費用について、公的な相場の資料は公表されていません。本文の5つの項目ごとに作業の量を出してもらい、複数の会社の見積もりを同じ項目で並べて比べるのが確実です。ライセンス費は開発費と分けて、使う人の数と必要なライセンスの種類から見込みます。

社内で作りかけたアプリの続きだけを頼めますか

頼めます。外注先を共同所有者として加えると、アプリを使う・編集する・共有することはできますが、所有者の削除や変更はできません。*6 引き継ぐ前に、アプリがどの環境にあり、どのデータにつながっているかを一覧にしておくと、見積もりが正確になります。

Copilotで作れるなら外注は要りませんか

Power Appsでは、Copilotに必要なアプリを言葉で伝えて、AIで設計することもできます。ただし、データの置き場所、権限、環境の分け方、ライセンスの見通しは自社で決める必要があります。小さな入力画面は社内で作り、複数のシステムとつなぐものや保守の体制づくりを外部に頼む、という分け方も選べます。

Power Apps開発と見積もりのご相談

Power Appsの業務アプリの設計から、データの置き場所とライセンスの整理、環境の分け方、運用後の保守まで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。

2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。

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出典

  1. *1 参考:Microsoft Learn「Power Apps とは」(https://learn.microsoft.com/ja-jp/power-apps/powerapps-overview)。出典:Dataverseや多くのデータソースにつなぐ業務アプリをすばやく構築できるという説明、キャンバスとモデル駆動型の2種類、ブラウザーとモバイルでの実行、アプリの実行にライセンスが必要であること、Copilotでのアプリの設計の記述を参照(2026年10月確認)
  2. *2 参考:Microsoft Learn「キャンバス アプリとは」(https://learn.microsoft.com/ja-jp/power-apps/maker/canvas-apps/getting-started)。出典:空白のデザイン画面に部品を並べて作ること、Dataverse・SharePoint・Excel・SQL Serverなどのデータソースの記述を参照(2026年10月確認)
  3. *3 参考:Microsoft Learn「Power Apps のモデル駆動型アプリとは」(https://learn.microsoft.com/ja-jp/power-apps/maker/model-driven-apps/model-driven-app-overview)。出典:モデル駆動型アプリとキャンバスアプリの比較表(データプラットフォーム、設計の方法、UIの制御、環境間の移行)と、向いている業務の例の記述を参照(2026年10月確認)
  4. *4 参考:Microsoft Learn「Microsoft Power Platform のライセンスの概要」(https://learn.microsoft.com/ja-jp/power-platform/admin/pricing-billing-skus)。出典:Microsoft 365に含まれる使用権がMicrosoft 365データと標準コネクタの場面を対象とすること、Microsoft 365の限られたDataverse権限ではスタンドアロンのカスタムアプリを実行できないこと、アプリごとのライセンスの新規提供が2026年1月2日から一部の購入経路で終わることの記述を参照(2026年10月確認)
  5. *5 参考:Microsoft Learn「Power Apps と Power Automate のライセンスに関する FAQ」(https://learn.microsoft.com/ja-jp/power-platform/admin/powerapps-flow-licensing-faq)。出典:SQL・Azure・Dynamics 365のコネクタがPremiumに分類され、Premium・オンプレミス・カスタムコネクタにはスタンドアロンのライセンスが必要であること、Power Apps Premiumがユーザー単位で無制限のカスタムアプリを実行できることの記述を参照(2026年10月確認)
  6. *6 参考:Microsoft Learn「キャンバス アプリを共有する」(https://learn.microsoft.com/ja-jp/power-apps/maker/canvas-apps/share-app)。出典:共同所有者ができること・できないこと、プレミアムのコンポーネントを含むアプリの利用にPower Appsライセンスが必要であることの記述を参照(2026年10月確認)
  7. *7 参考:Microsoft Learn「Microsoft Power Platform に関する ALM の基本」(https://learn.microsoft.com/ja-jp/power-platform/alm/basics-alm)。出典:開発・テスト・運用などの目的ごとに環境を作り、必要なユーザーにだけロールと特権を付与する推奨の記述を参照(2026年10月確認)
  8. *8 参考:Microsoft Learn「環境の概要」(https://learn.microsoft.com/ja-jp/power-platform/admin/environments-overview)。出典:既定の環境がテナントのすべてのユーザーに共有され、バックアップの保証が無いため運用のワークロードに使わないことの記述を参照(2026年10月確認)
  9. *9 参考:Microsoft Learn「カスタム コネクタの概要」(https://learn.microsoft.com/ja-jp/connectors/custom-connectors/)。出典:1,000を超えるコネクタが提供されていること、事前構築済みコネクタが無いサービスとつなぐためにカスタムコネクタを作ることの記述を参照(2026年10月確認)
  10. *10 参考:Microsoft Learn「Microsoft Dataverse とは」(https://learn.microsoft.com/ja-jp/power-apps/maker/data-platform/data-platform-intro)。出典:データをテーブルに格納し、ロールベースのセキュリティでテーブルへのアクセスを制御できることの記述を参照(2026年10月確認)




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