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2026.10.25 採用支援コラム

AIエンジニアの業務委託単価の決まり方|見積もりの比べ方と確認点

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

ホワイトボードの4つの枠の下に見積書をマグネットで留める右手

この記事の結論

  • AIエンジニアの業務委託単価をまとめた公的な統計は見当たらず、担う工程・経験・稼働の形・期間の4つの条件で決まり方を見ます。
  • 経験はITスキル標準のレベル別の社員の年収を物差しにし、年数よりも同じ種類のデータで何を作ったかで読みます。
  • 見積もりは1時間あたりの額、含まれる費用、工程、作業と成果物のどちらに払うかをそろえてから比べます。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

AIを使った機能を作るため、AI開発の経験があるエンジニアに業務委託で加わってもらうことになった。見積もりを2つ取ったところ月額に大きな差があり、どちらが妥当なのか判断できない——。

本記事は、開発マネージャーや情報システムの責任者に向けて、AIエンジニアに業務委託するときの単価が何で決まるかを、払う側の目線で整理します。厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)とIPAのITスキル標準をもとに、担う工程・経験・稼働の形・期間の4つの条件と、見積もりの比べ方をまとめます。

AIエンジニアの業務委託単価とは

AIエンジニアの業務委託単価は、1か月の稼働に対して払う報酬の額を指すことが多い言葉です。厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)は、AIエンジニアがフリーランスや個人事業主として働く場合は準委任契約になり、人月単価(1人が1か月働いた分の額)で報酬が決まると説明しています。*1 AIの開発は個人の目標や方法を明確にしにくく、成果に基づく報酬となじまないことも多いとされます。*1

一方で、本記事で確かめた範囲では、官公庁の統計にAIエンジニアの業務委託単価をまとめたものは見当たりませんでした。そこで金額ではなく、単価を分ける4つの条件から答えます。

AIエンジニアの業務委託単価を分ける4つの条件
条件 AI開発で違いが出る点 見積もりで確かめること
担う工程 目標の設計から任せるか、学習と検証だけか、運用中の更新まで続くか 任せる工程の一覧と受け取るもの
経験 扱うデータの種類(画像・言葉・音声など)と、同じ種類で作った経験の有無 必須の経験と、あればよい経験の区別
稼働の形 週5日に近い形か、週2〜3日のリモートか 月の稼働時間の幅と精算の仕方
期間 効果を試す短い期間か、本番の運用まで続く長い期間か 契約期間と更新の区切り

工程ごとに変わる頼み方

job tagは、AIエンジニアの仕事を次の流れで説明しています。開発の目標と計画を決め、受託する会社では依頼主の要件と提供されるデータを確かめてから設計に入ります。教師データ(結果が分かっている既存のデータ)を入れて学習させ、正解率が目標に届いたところで学習を終えます。検証を経て納入し、運用段階のデータからもAIを育てていきます。*1

金属部品を写した写真を2つのトレーに仕分ける手元

頼む範囲によって、求める経験も稼働の量も変わります。

AI開発の工程と単価に響く点を示した図。目標と設計、データの準備、学習と検証、運用と更新の4つの工程が左から右へ矢印でつながり、学習と検証から結果を見て直す矢印が自分に戻る。各工程の下に単価に響く点として、目標と設計は経験の段、データの準備は作業の量、学習と検証は期間の読みにくさと計算機の費用、運用と更新は続く期間と書かれている。厚生労働省 job tag「AIエンジニア」の仕事の内容をもとに作成。

AI開発の工程ごとに頼む前に決めることと単価に響く点(出典:厚生労働省 job tag「AIエンジニア」の仕事の内容をもとに作成)
工程 主な作業 頼む前に決めること 単価に響く点
目標と設計 データを確かめ、開発の方向性と全体の設計を考える 目標とする精度の目安と、使えるデータの所在 設計から任せるほど、経験の段が高い人が要る
データの準備 データの管理と加工の方法を決め、入力の道具をそろえる データを誰が用意し、どこまで整えて渡すか 整える量が多いほど稼働が増える
学習と検証 教師データで学習させ、結果を見て直す 目標に届かないときの打ち切りの基準 繰り返しの回数が読めず、期間が延びやすい
運用と更新 運用しながらAIを育て、更新の時期を決める 更新の頻度と、更新を判断する社内の人 月の稼働は少なくても長く続く

見落としやすいのが計算機の費用です。job tagによると、学習には何日もかかることがあり、AIの学習用の専用のマシンやスーパーコンピューターが使われ、リモートで使うことが多いとされます。*1 クラウドの利用料を誰が払い、単価に含めるのかを見積もりの段階で確かめます。

経験の段で見る給与の物差し

経験の違いを測る物差しに、IPA(情報処理推進機構)のITスキル標準(ITSS)があります。ITSSはIT技術者の実務能力を7段階のレベルで表します。レベル2は上位者の指導の下で作業を担当する段、レベル3は要求された作業を全て独力で遂行する段、レベル4は独力で業務上の課題の発見と解決をリードする段です。*2

job tagは、AIエンジニアの設計・構築の仕事について、このレベル別の年収を載せています。厚生労働省が2023年度に実施した委託調査に基づく、社員の年収の範囲です。*1

ITスキル標準のレベル別に見たAIエンジニア(設計・構築)の社員の年収(出典:IPA「ITスキル標準」レベルの定義、厚生労働省 job tag「AIエンジニア」スキルレベル別給与データ。年収は厚生労働省の2023年度の委託調査に基づく第1四分位から第3四分位の範囲。2026年10月23日確認)
ITSSのレベル 段の目安(IPAの定義の要約) 年収(第1〜第3四分位)
レベル1〜2 上位者の指導の下で作業を担当する 420万〜620万円
レベル3 求められた作業を全て独力でこなす 450万〜700万円
レベル4 業務上の課題の発見と解決を独力でリードする 500万〜780万円
レベル5以上 社内で技術や方法を創り出し、リードする 600万〜950万円

レベルが上がるほど範囲は上に動きますが、隣のレベルと重なる部分も大きく、レベルだけでは額は決まりません。job tagも、AIを開発する力は年齢や経験年数と必ずしも比例しないとしています。*1 見積もりの経験欄は、年数よりも、同じ種類のデータで何を作り、どの工程を担ったかで読みます。

なお、表は社員の給与で、業務委託の単価ではありません。業務委託の報酬には本人が負担する社会保険料や経費も含まれると考えられるため、社員の年収を月で割った額より高めに出ることがあります。

見積もりを比べる手順

条件の違う見積もりは、月額だけを並べても比べられません。次の順でそろえてから比べます。

  • 1時間あたりに直す:月額を月の稼働時間で割る。例として仮の数で計算すると、同じ月額でも月160時間の見積もりと月120時間の見積もりでは、1時間あたりの額に約1.3倍の差が出る
  • 含まれるものをそろえる:計算機やクラウドの利用料、データを整える作業、打ち合わせ、交通費
  • 工程をそろえる:目標の設計から運用までか、学習と検証だけか
  • 払い方をそろえる:作業に払うのか、完成した成果物に払うのか

払い方は契約の形で変わります。民法では、請負は仕事の完成に対して報酬を払う契約で、準委任は事務の委託に委任の決まりを当てはめる契約です。*3 委任の報酬は、期間で額を定める形もとれます。*3

準委任と請負の払い方の違い(出典:民法第632条・第643条・第648条・第656条をもとに作成)
項目 準委任(作業に払う) 請負(完成した成果物に払う)
払う対象 決めた作業の処理 完成した仕事の結果
額の決まり方 単価と稼働時間(期間で額を決める形もある) 成果物ごとの固定額
向いている場面 目標に届くか読みにくい学習と検証、運用中の更新 仕様が決まった周りの機能(データを入れる画面など)
発注側が確かめる点 稼働時間の幅と作業の報告の仕方 完成の基準と検収の方法

AI開発で食い違いやすいのは成果の扱いです。学習は正解率が目標に届いたところで終えるため、届くまでの期間を前もって決めにくい面があります。精度の目標を「達成を約束する数字」とするのか「作業の目安」とするのかを、先に相手と確かめます。

外部に頼むときに確認しておきたい点

AI開発の経験を持つ外部人材に頼む前に次の5つを書き出しておくと、見積もりの差の理由を読み取りやすくなり、相談の準備にもなります。

工程表に定規を当てて区切りの線を引く発注側の手と表を押さえる外部エンジニアの手

  • 範囲:任せる工程(目標と設計・データの準備・学習と検証・運用と更新)と、受け取るもの(学習済みのモデル、検証の結果、手順書など)
  • 期間:効果を試す期間と、本番に進むかを決める時期
  • 体制:週何日・月何時間か、データと業務を説明できる社内の担当者は誰か
  • 費用の決まり方:作業に払うか成果物に払うか、計算機やクラウドの利用料をどちらが負担するか
  • 引き継ぎ:学習に使ったデータと手順、モデルの置き場所、契約が終わるときに受け取るもの

フリーランスに直接頼むときは、発注側の決まりもあります。フリーランス・事業者間取引適正化等法は、業務委託をしたら直ちに、給付の内容、報酬の額、支払期日などを書面か電磁的方法で明示するよう定めています。*4 従業員を使う発注側は、支払期日を、給付を受け取った日(作業の提供なら提供を受けた日)から60日以内で、できる限り短い期間内に定めます。*4 誰がこれらを負うかは契約の形で変わるため、個々の契約は専門家に確かめてください。

単価の払い方そのものは業務委託の単価の決め方、職種を問わない単価の見方はフリーランスエンジニアの単価相場の見方、社員で採る場合の要件は生成AIエンジニアの採用要件と見極め方で扱っています。

まとめ:AIエンジニアの業務委託単価の決まり方

払う側から見た、AIエンジニアの業務委託単価の押さえどころは3つです。第一に、業務委託単価をまとめた公的な統計は見当たらないため、担う工程・経験・稼働の形・期間の4つの条件で決まり方を見ること。第二に、経験はITスキル標準のレベル別の社員の年収を物差しにしつつ、年数よりも同じ種類のデータで何を作り、どの工程を担ったかで読むこと。第三に、見積もりは1時間あたりの額、計算機の費用などの含まれるもの、工程、払い方をそろえてから比べることです。

LASSICに相談するメリット

任せたい工程と稼働の量、始めたい時期が書き出せたら、AI開発の経験を持つ専門人材を探す相談に進めます。業務委託で頼むか社員で採るかを決めきれていなくても、両方の形で候補を比べられます。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材が必要になった時点から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で実際の業務開始まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

AIエンジニアの業務委託単価の相場はいくらですか

本記事で確かめた範囲では、AIエンジニアの業務委託単価をまとめた公的な統計は見当たりませんでした。物差しとしては、job tagに載っているITスキル標準のレベル別の社員の年収があります。見積もりは、工程・経験・稼働の形・期間をそろえてから比べます。

精度に応じて払う成果報酬で頼めますか

job tagは、AIの開発は成果に基づく報酬となじまないことも多いと説明しています。*1 精度の目標を約束の数字にするのか作業の目安にするのかを先に決め、仕様が決まった周りの機能だけを成果物で払う形に分ける方法もあります。

効果を試す短い期間だけ頼むときに気をつける点は何ですか

打ち切りの基準、期間の終わりに受け取るもの(検証の結果や使ったデータと手順)、本番でも同じ人に続けて頼めるかを、始める前に決めます。

AI開発に加わる専門人材を探す

任せたい工程と稼働の量、始めたい時期が分かっていれば、そのままご相談いただけます。見積もりの条件を整理している段階でも構いません。

Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も探せます。

Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。

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出典

  1. *1 参考:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「AIエンジニア」(https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/325)。出典:厚生労働省。どんな仕事?、就業するには?、労働条件の特徴、スキルレベル別給与データ(年収・設計・構築。厚生労働省の2023年度の委託調査に基づく)を参照(確認日2026年10月23日)(2026年10月確認)
  2. *2 参考:IPA「ITスキル標準とは -ものさしとしてのスキル標準」(ITスキル標準V3 2011)(https://www.ipa.go.jp/jinzai/skill-standard/plus-it-ui/itss/itss2.html)。出典:独立行政法人情報処理推進機構。(4) レベルの概念(レベル1〜7)を参照(確認日2026年10月23日)(2026年10月確認)
  3. *3 参考:民法(e-Gov法令検索)(https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089)。出典:e-Gov法令検索。第632条(請負)、第643条(委任)、第648条(受任者の報酬)、第656条(準委任)を参照(確認日2026年10月23日)(2026年10月確認)
  4. *4 参考:特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(e-Gov法令検索)(https://laws.e-gov.go.jp/law/505AC0000000025)。出典:e-Gov法令検索。第3条(給付の内容その他の事項の明示等)と第4条第1項(報酬の支払期日等)を参照(確認日2026年10月23日)(2026年10月確認)




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