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2026.09.19 採用支援コラム

外部エンジニアのテスト体制とテスト設計|テスト内容の残し方

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

円弧を描く書架に本がびっしりと並んでいる図書館の通路。人は写っていない

この記事の結論

  • IPAの資料では、テストのカバレッジを記入する項目は仕様・機能・構成・コードの4種類、6項目に分かれています。
  • 水準の選択肢は100%、80%以上、50%以上、50%未満の4つで、「不明」と「未測定」は水準に含まれません。
  • 外部エンジニアにテストを頼む前に、どれを測るか、どの水準までか、結果をどこに残すかを決めておきます。

※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

外部エンジニアにテストを任せたのに、「終わりました」と言われても何をどこまで確かめたのかが分からない。「テストはお願いします」と伝えただけで、報告の中身が人によって違う——。開発の一部を社外のエンジニアに任せる現場では、こうした食い違いが起こりがちです。テスト体制は、誰が何人でテストを担うかを決めるものです。テスト設計は、何をどこまで確かめるかを決めるもので、この2つを分けて考えると頼み方が整理できます。

何をどこまで確かめるかを言葉にするときの手がかりになるのが、IPA(情報処理推進機構)が公開している「ソフトウェア開発分析データ集2022」です。*1 ただし、この資料も万能ではなく、示しているのは項目の定義と選択肢までです。本記事では、外部エンジニアにテストを頼む開発現場のマネージャーに向けて、カバレッジの4種類、選択肢と水準の見方、依頼の前に決める3つのこと、そして外部に委託するときに確認したい点を整理します。

テストのカバレッジとは

カバレッジとは、テストで確かめるべき対象のうち、実際にテストを実施した対象の割合のことです。「ソフトウェア開発分析データ集2022」には、IPAが開発案件のデータを集めるときに使う項目の一覧が載っており、その中でカバレッジを記入するのは、433から438の番号が振られた6つの項目です。*1

名前としては仕様、機能、構成、コードの4種類で、コードカバレッジだけが命令網羅、分岐網羅、条件網羅の3項目に分かれています。*1 命令はコードに書かれた処理の1文、分岐は処理の枝分かれのことです。条件網羅は、枝分かれを決める条件が成り立つ場合と成り立たない場合の組み合わせを、どこまで確かめたかを見ます。

同じ「カバレッジ80%」でも、仕様のうちの80%なのか、コードの命令のうちの80%なのかで、テストで確かめた中身はまったく違います。外部エンジニアにテスト設計を頼むときに、まず種類を分けて話す必要があるのはこのためです。

工程ごとの4種類の違い

資料は4種類の分け方について、「開発工程(基本設計、詳細設計、製作)に沿って段階的に詳細化された成果物に着目して、仕様カバレッジ、機能カバレッジ、構成カバレッジおよびコードカバレッジを定義している」と説明しています。*1 成果物とは、工程ごとに作られる文書やコードのことです。要件定義では何を作るかを決めた文書、基本設計では外から見える機能を決めた文書、詳細設計では中の作りを決めた文書、製作ではコードそのものがこれに当たります。

カバレッジの6項目(IPA「ソフトウェア開発分析データ集2022」のデータ項目433〜438の内容をもとに作成。工程の列は各項目の補足説明の記載による)
項目 補足説明に書かれている工程 資料の定義
433_仕様カバレッジ 要件定義工程 仕様に規定された事項のうち、テストを実施した割合
434_機能カバレッジ 基本設計工程 仕様を実現するために必要な機能のうち、テストを実施した割合
435_構成カバレッジ 詳細設計工程 機能を実現するために必要な構成のうち、テストを実施した割合
436_コードカバレッジ(命令網羅) 記載なし コード内の全ての命令のうち、テストを実施した割合
437_コードカバレッジ(分岐網羅) 記載なし コード内の全ての分岐のうち、テストを実施した割合
438_コードカバレッジ(条件網羅) 記載なし コード内の全ての条件の真偽の組み合わせのうち、テストを実施した割合

構成カバレッジの「構成」について、資料は内部構成の例として「ソフトウェアユニット(またはモジュール)」を挙げています。*1 ソフトウェアユニットとは、プログラムを分けた1つひとつの部品のことです。

4種類は、確かめるときに読む文書がそれぞれ違います。仕様カバレッジを確かめるには、要件定義の文書を読んで業務の中身を理解する必要があります。コードカバレッジを確かめるには、コードそのものを読む必要があります。要る時間もスキルも違うため、どれを頼むのかによって、探すべき外部エンジニアも変わってきます。

選択肢と水準の見方

選択肢は6項目すべてで共通で、a:100%、b:80%以上、c:50%以上、d:50%未満、e:不明、f:未測定の6つから選びます。*1 達成した水準を表すのは前の4つで、「不明」と「未測定」は水準ではありません。測る対象を決めずに頼むと、結果が「不明」や「未測定」で返ってくることがあります。

この6つは、終わった案件の実績を記入するための選択肢です。*1 それでも、水準を表す4つを依頼のときの目標の言葉として借りれば、「だいたい終わりました」ではなく、依頼したときと同じ言葉で報告を受け取れます。刻みは4段階なので、もっと細かく決めたいときは、依頼書に具体的な数字を書きます。

依頼の前に決める3つのこと

テスト設計を外部エンジニアに頼むときは、資料の区分と選択肢をもとに、次の3つを先に決めておくと進めやすくなります。

外部エンジニアにテストを頼むときに決める3つを箱で示した図。1つ目は4種類のうちどれを測るのかを決めること。2つ目は水準を100%、80%以上、50%以上、50%未満の4つから決めること。3つ目は測った結果をどこに残すかを決めること。IPAの資料のデータ項目433から438の区分と選択肢をもとに作成。

1つ目は、4種類のうちどれを測るかです。要件定義で決めた仕様まで確かめてほしいのか、コードの中身まで確かめてほしいのか。複数の種類を測ってもらうなら、種類ごとに決めておきます。

2つ目は、水準です。100%、80%以上、50%以上、50%未満の刻みを借りれば、「機能カバレッジは80%以上」という書き方ができます。*1 どの水準にするかは、システムの使われ方や納期を踏まえて、発注する側が決めます。

3つ目は、測った結果をどこに残すかです。どの文書に、どの頻度で書くかまで決めます。これを決めずに進めると、契約が終わったあとに、どこまで測ったのかを社内の誰も答えられなくなります。

つまずきやすい点

1つ目は、カバレッジを1つの数字だと思ってしまうことです。資料は4種類を分けて定義しています。*1 外部エンジニアから「カバレッジは80%です」とだけ報告されたら、どの種類の話なのかを聞き返します。

2つ目は、水準を決めずに「できるだけ確かめてください」と伝えることです。どこまでやれば終わりなのかが決まらないため、テストを担う人によって終わりの判断が変わります。4つの水準からどれにするかを、依頼の前に選んでおきます。

3つ目は、テスト体制の人数を先に決めて、テスト設計を後回しにしてしまうことです。どのカバレッジをどの水準まで測るかが決まっていないと、何人いれば足りるのかを誰も判断できません。測る対象と水準を先に決めておけば、それがテスト体制の人数を決める根拠になります。

外部に委託するときに確認しておきたい点

外部エンジニアに頼むときは、発注する側が依頼書に3行を書き足します。たとえば「測るのは機能カバレッジと構成カバレッジ」「水準は80%以上」「結果は週次の報告書に残す」。この3行があれば、どこまでやれば終わりなのかがはっきりします。

業務委託のエンジニアに頼む場合、この3行は契約の期間を決めるときにも使えます。測る種類が多いほど、テストに時間がかかるためです。正社員を採用するか、業務委託のエンジニアに頼むかを決めるときにも役に立ちます。コードカバレッジを確かめる人にはコードを読む力が、仕様カバレッジを確かめる人には要件定義の文書から業務の中身を読み解く力が求められるからです。

テストにあたる人のスキルと人数をどう書き出すかは「外部エンジニアのテスト体制、IPAが定める4つの区分」で、入ってもらう人のスキルの確かめ方は「外部エンジニアのスキル確認、4つの軸で評価する」で扱っています。うまくいかなかったことの残し方は「外部人材活用はなぜ失敗する?IPAが定める変更の4段階」、規模の数え方は「業務委託エンジニアとシステム連携、機能とデータの数え方の違い」にまとめました。

まとめ:テストを頼む前に確かめておきたい3つの点

外部エンジニアにテストを頼むうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、仕様・機能・構成・コードの4種類のうち、どのカバレッジを測るのかを決めること。第二に、100%、80%以上、50%以上、50%未満のどの水準まで測るのかを決めること。第三に、測った結果をどの文書に、どの頻度で残すのかを決めることです。この3点を踏まえておけば、「テストは終わったと聞いていたのに、何を確かめたのかを誰も説明できない」という事態を避けやすくなります。テスト設計やテスト体制の組み方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

範囲と水準が決まったら、次は作業する人を探す段階です。「コードカバレッジを80%以上まで」と「仕様カバレッジを80%以上まで」では、読む対象がコードと要件定義の文書に分かれます。どちらを頼むのかが決まっていれば、求める経験の条件も書き出せます。

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よくある質問

この資料のカバレッジの項目は、IPAが決めた基準ですか

基準ではありません。IPAが開発案件のデータを集めるときに使う項目の一覧で、記入するのはデータを提供する企業です。*1 自社がこの項目に従うというより、外部エンジニアとの間で依頼の言葉をそろえるために借りる使い方になります。

C0カバレッジ、C1カバレッジとは何ですか

コードカバレッジの別名です。資料の補足説明では、命令網羅のコードカバレッジを「C0カバレッジとも言う」、分岐網羅のコードカバレッジを「C1カバレッジとも言う」としています。*1 外部エンジニアの報告書にこの呼び方が出てきたら、コードのどの単位で測ったのかを表しています。

どの水準を目標にすればよいですか

資料に載っているのは項目の定義と選択肢までで、目標とする水準は示されていません。6項目の回答を集計した結果も、この資料には載っていません。水準は、システムの使われ方や納期を踏まえて発注する側が決めることになります。

測る対象と水準が決まったら相談

「機能カバレッジを80%以上まで」という形で測る対象と水準が決まっていれば、そのままご相談いただけます。まだ決めきれていない段階でも構いません。

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出典

  1. *1 参考:IPA「ソフトウェア開発分析データ集2022」(PDF)(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/metrics/hjuojm000000c6it-att/000102171.pdf)。出典:IPA「ソフトウェア開発分析データ集2022」。独立行政法人情報処理推進機構 社会基盤センター発行。データ項目433から438のカバレッジの定義、補足説明、選択肢を参照。表と図は資料の内容をもとに作成し、資料の図表そのものは写していない(2026年9月確認)




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