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エンジニアの通年採用のメリット・デメリット|向く会社と抑え方
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論
- 情報通信業の一般労働者の入職率は4月が6.55%と高い一方、ほかの11か月も0.74〜2.04%あり、離職も毎月起きています。
- 通年採用は欠員や転職の時期に合わせて募集できる反面、母集団の途切れ、面接官の負担、1人ずつの受け入れ、予算のぼやけが出ます。
- 面接の枠と月の上限、月1回の入社日、充足の期限と年間の上限を決めて抑え、欠員の出方と面接官の余力で向き不向きを判断します。
※ 本記事は2026年11月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
4月入社に合わせて採用を進めてきたのに、秋に開発のリーダーが辞めると決まった。次の募集は来年の春まで待つしかないのか——。中途のエンジニアを、時期を決めずに年中募集する通年採用に切り替えるかどうかで迷っている採用担当者は少なくありません。
本記事は、エンジニアの中途採用を任された人事担当者や開発マネージャーに向けて、通年採用のメリットとデメリットを同じ形の表で並べ、デメリットごとの抑える方法と、通年採用が向く会社の条件を示します。根拠は、厚生労働省の毎月勤労統計調査と令和7年転職者実態調査です。
目次
エンジニアの通年採用とは
通年採用は、募集する時期を決めずに、年間を通して応募を受け付けて選考する採り方です。新卒の一括採用のように、春に入社する人をまとめて採る形と対になります。エンジニアの中途採用は、欠員が出たときや、新しい技術を扱う人が必要になったときに募集することが多く、もともと時期が決まりにくい採用です。
- 時期を決めた採用:募集する期間と入社日を先に決め、まとめて選考する
- 通年採用:募集を年中開いておき、応募が来た順に選考する
- 間の形:募集は年中開け、入社日だけを月1回などにそろえる
本記事では、中途のエンジニアを通年で採る場合を扱います。4月入社や10月入社に合わせた日程の組み方は、4月入社の採用スケジュールと10月入社の採用スケジュールで整理しています。
入職と離職は毎月起きている
厚生労働省の毎月勤労統計調査から、情報通信業の一般労働者(パートタイム労働者でない常用労働者)の入職率と離職率を、2025年9月から2026年8月までの12か月分並べました。入職(離職)率は、前月末の労働者数に対する、その月の入職(離職)者数の割合です。*1 入職者には、同じ企業の中で事業所を移った人も含みます。*1
| 月 | 入職率 | 離職率 |
|---|---|---|
| 2025年9月 | 0.98% | 0.96% |
| 2025年10月 | 1.24% | 1.37% |
| 2025年11月 | 1.01% | 1.07% |
| 2025年12月 | 0.78% | 0.81% |
| 2026年1月 | 0.90% | 1.19% |
| 2026年2月 | 0.74% | 1.08% |
| 2026年3月 | 0.87% | 1.28% |
| 2026年4月 | 6.55% | 3.07% |
| 2026年5月 | 1.44% | 1.52% |
| 2026年6月 | 1.01% | 1.12% |
| 2026年7月 | 2.04% | 2.14% |
| 2026年8月 | 1.03% | 1.02% |
入職率は2026年4月が6.55%と飛び抜けて高く、ほかの11か月は0.74〜2.04%でした。*2 4月の値には新卒の入社や社内の異動が含まれるので、中途の採用だけの数ではありません。それでも、4月以外の月にも毎月1%前後の人が新しく職に就いています。
離職率は12か月とも0.81%以上で、0になる月はありません。*2 欠員は、採用の時期を待たずに出ます。通年採用は、この動きに募集を合わせる考え方です。
通年採用のメリット・デメリット
通年採用のメリットとデメリットを、同じ数の行で並べます。メリットには根拠を、デメリットには抑える方法を添えました。どちらか一方だけを見て決めると、始めてから困ります。

| メリット | 起きること | 根拠 |
|---|---|---|
| 欠員が出た月に募集を始められる | 退職の申し出を受けたら、次の採用の時期を待たずに求人を出せる | 離職は12か月とも起きている(前の節の表) |
| 転職を考え始めた人にその時期に会える | 候補者が活動を始めたときに、自社の求人が開いている | 情報通信業から転職した人の81.8%は在職中に活動を始めた*3 |
| 入社が4月に集まらない | 中途の受け入れの担当が、新卒の研修の時期と重ならない | 入職率は4月が6.55%、ほかの月は0.74〜2.04%*2 |
| 必要な技術が決まった時点で採れる | 新しい技術を扱う人を、年度の計画を待たずに探せる | 専門的・技術的な仕事で転職者を採った理由は「経験を活かし即戦力になるから」が64.1%*4 |
デメリットは、どれも募集が年中続くことから出ます。抑える方法は、続け方に上限と区切りを置くことです。
| デメリット | 起きること | 抑える方法 |
|---|---|---|
| 応募が少ない月が出る | 応募してくる候補者の集まり(母集団)が途切れ、選考が止まる | 求人を出す経路を月ごとに決め、応募の数を月単位で見る |
| 面接官の負担が年中続く | 現場のエンジニアが毎月面接に呼ばれ、開発の時間が削られる | 面接する曜日と月の上限の枠を決め、書類選考の基準を先に共有する |
| 受け入れの準備が1人ずつになる | 研修・端末・アカウントを、入社のたびに用意し直す | 1人分の受け入れ手順を表にし、入社日を月1回にそろえる |
| 予算と終わりの時点がぼやける | 採用費が出る月が読めず、いつまでに何人採るかがあいまいになる | 職種ごとに充足の期限と人数、年間の上限を決め、四半期ごとに見直す |
4つ目の抑え方は、採用の日程と予算を同じ時期に組む考え方と同じです。費用が出る月の置き方は採用スケジュールと予算策定の進め方で、面接の回数の決め方は選考期間と面接回数で詳しく扱っています。
通年採用が向く会社の条件
通年採用が合うかどうかは、会社の規模よりも、欠員の出方と、面接官を毎月出せるかで決まります。次の表で、自社に近い列を確かめてください。

| 条件 | 通年採用が向く | 時期を決めた採用が向く |
|---|---|---|
| 採る人数 | 1人ずつ、欠員の分だけ採る | チームをまとめて立ち上げる |
| 欠員の出方 | いつ出るか読めない | 異動や退職の時期が年度でそろう |
| 面接官 | 毎月一定の枠を出せる | 繁忙期は面接に出られない |
| 受け入れ | 1人ずつ迎える手順がある | 新卒の研修とまとめて迎えたい |
| 予算 | 四半期ごとに見直せる | 年度の初めに固める |
どちらの列にも当てはまる行があるときは、間の形から始める方法があります。募集は年中開けておき、入社日を月1回にそろえ、面接は決めた曜日だけにします。
令和7年の転職者実態調査では、今後3年間に転職者を採る予定がある情報通信業の事業所は72.6%でした。*5 中途の採用が続く前提なら、先に面接の枠と受け入れの手順を決めてから募集を開けると、デメリットの多くを始める前に抑えられます。
外部人材に頼むときに確認しておきたい点
通年採用でも、応募が少ない月や、急ぎの欠員が出た月は、自社の求人だけでは候補者が集まらないことがあります。そうした月は、人材紹介や、リモートワークで働く社員の候補者を探すサービスを併用する方法があります。頼む前に、次の点を確かめておくと相談が早く進みます。
- 範囲:採りたい職種、任せる作業、必要な技術
- 期間:入社してほしい月と、待てる期限
- 体制:面接に出るエンジニアと、出られる曜日
- 費用の決まり方:紹介の手数料がいつ、何に対して出るか
- 引き継ぎ:入社までの間、欠員の作業をだれが受け持つか
入社までの間に欠員の作業を受け持つ人が社内にいなければ、その期間だけ業務委託で開発に加わる専門人材を探す方法もあります。社員で採るか、期間を区切って頼むかは、待てる期限から決めます。
まとめ:エンジニアの通年採用
エンジニアの通年採用で押さえたい点は3つです。第一に、入職は4月に集まるものの、ほかの月にも入職と離職が毎月起きていること。第二に、欠員や候補者の転職の時期に合わせて募集できる反面、母集団の途切れ、面接官の負担、1人ずつの受け入れ、予算のぼやけというデメリットがあり、それぞれに上限と区切りを置いて抑えること。第三に、欠員の出方と面接官を毎月出せるかで向き不向きを判断し、迷うときは入社日を月1回にそろえる間の形から始めることです。
よくある質問
通年採用にするなら新卒の一括採用はやめるべきですか
やめる必要はありません。新卒は時期を決めた採用、中途のエンジニアは通年採用、と採る相手ごとに分ける考え方もあります。4月に受け入れが重ならないよう、中途の入社日をずらすとよいでしょう。
通年採用の求人は出したままでよいですか
職種ごとに充足の期限と人数を決め、満たしたら閉じます。開けたままにすると、給与や任せる作業の条件が古くなります。四半期ごとに中身を見直します。
面接に出られるエンジニアが少ないときはどうしますか
面接する曜日と月の上限の枠を先に決め、書類選考の基準を共有して面接に進む人を絞ります。技術の確認は1回の面接にまとめ、ほかの回は人事が受け持つ形もあります。
リモートワークで働くエンジニアの候補者を探す
採りたい職種と入社してほしい時期が分かっていれば、そのままご相談いただけます。通年で募集するか時期を決めるかを迷っている段階でも構いません。
Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も探せます。
Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。
出典
- *1 参考:厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和8年8月分結果確報」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r08/2608r/2608r.html)。出典:厚生労働省。用語の説明(一般労働者、入職(離職)率の定義と、同一企業内での事業所間の異動者を含むこと)を参照(確認日2026年11月2日)(2026年11月確認)
- *2 参考:厚生労働省「毎月勤労統計調査(全国調査)結果の概要」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/30-1a.html)。出典:同調査の月別結果の一覧。2025年9月分から2026年8月分までの各月確報の第3表 常用雇用及び労働異動率(事業所規模5人以上、情報通信業の一般労働者の入職率と離職率)を参照(確認日2026年11月2日)(2026年11月確認)
- *3 参考:e-Stat「令和7年転職者実態調査」個人票 第26表(https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000040505236&fileKind=4)。出典:厚生労働省「令和7年転職者実態調査」個人票 第26表(直前の勤め先を離職する前の転職活動開始の有無別転職者割合)。直前の勤め先の産業が情報通信業の行を参照(確認日2026年11月2日)(2026年11月確認)
- *4 参考:厚生労働省「令和7年転職者実態調査の概況」事業所調査 2 転職者の採用状況(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/6-18c-r07-1-02.pdf)。出典:厚生労働省。表4 職種「専門的・技術的な仕事」の転職者を採用した理由(3つまでの複数回答)の総数の行を参照(確認日2026年11月2日)(2026年11月確認)
- *5 参考:厚生労働省「令和7年転職者実態調査の概況」事業所調査 4 今後3年間の転職者の採用予定(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/6-18c-r07-1-04.pdf)。出典:厚生労働省。今後3年間に転職者を採用する予定がある事業所割合(産業別)の本文を参照(確認日2026年11月2日)(2026年11月確認)