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DXの目標とは、13項目中で業務効率化だけが46%
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- 業務効率化だけが46%:2番目の34%と12ポイント離れます*1。
- 20人以下では1位が入れ替わる:顧客特化44%、業務効率化36%です*1。
- スキルの目標は3割未満:どの規模でも18%から29%でした*1。
※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関・ベンダー公式ドキュメント)に基づきます。
遅れている案件を立て直すとき、何をもって立て直したことにするのかが決まっていない。よくある詰まり方です。
納期に間に合わせるのか、残業を減らすのか、品質を落とさないのか。人を足す前にそこが決まっていないと、増やしたあとの判断も揺れます。
手がかりは、DXについてどんな目標を設定しているかを企業に聞いた調査です。
IPAの調査では、13項目のうち「業務効率化による生産性の向上」だけが46%でした*1。上位2区分の合計で、筆者が算出した値です*1。
2番目は34%です*1。12ポイント離れており、残りは30%を下回ります*1。
目次
立て直しの基準が社内にない
遅れの報告は上がってきます。どの工程が何日遅れているかまでは、たいてい分かります。
決まっていないのは、何をもって立て直したことにするかです。ここが決まらないと、人を足したあとの判断も毎回変わります。
この目標の設定状況を集計した調査があります*1。IPAの「2022年度組込み/IoTに関する動向調査」で、2023年6月12日に発行されました*1。
調査の時期も書かれています*1。2022年11月から12月にかけて実施されたものです*1。
今回見るのはQ12です*1。DXについて設定した目標として、13の項目それぞれの設定状況を尋ねたものです*1。
回答の形も押さえます*1。重点目標として設定している、設定している、設定を検討している、特にしていない、わからないの5つから選びます*1。
この記事では上位2区分を使います*1。重点目標として設定していると、設定しているの合計で、筆者が算出した値です*1。
数値の出所も断っておきます*1。比率は資料の図に示された整数です*1。行ごとに足すと合計は98から101の幅になります*1。
出典はIPA「2022年度組込み/IoTに関する動向調査」です*1。示された値を用いて図と表を作成する編集と加工を筆者が行いました*1。
利用の条件も資料に書かれています*1。政府標準利用規約に準拠する形で、出典の記載と、編集や加工を行った場合はその旨の記載が求められています*1。
集計対象と、13項目の母数
先に母集団を確かめます*1。この設問の集計対象は、回答者の全体ではありません*1。
資料に条件が書かれています*1。Q11のDXの取り組み状況で「非常に活発」「活発」「あまり活発ではない」と答えた企業に絞られています*1。
そのうえでN=849でした*1。取り組んでいないと答えた企業は入っていません*1。
項目ごとの回答数は別に示されています*1。804から832までの幅があり、設問のN=849とは一致しません*1。
理由は資料に記載がありません*1。ですから項目どうしの細かい差は論じず、順位と水準の並びとして扱っています*1。
つまり全企業の割合ではありません*1。「日本企業の46%が業務効率化を目標にしている」とは書けません*1。
業務効率化だけが46%、2番目と12ポイント差
上位2区分で並べます*1。上端は業務効率化による生産性の向上で46%、回答数832でした*1。
2番目は顧客ごとに特化した製品・サービスの提供です*1。34%で回答数819でした*1。
この2つの差は12ポイントです*1。示された整数から算出した値です*1。
3番目以降は29%から続きます*1。項目ごとの値は表にまとめました*1。
下端は規制の枠組みと技術基準の改善です*1。13%で回答数804でした*1。上端との差は33ポイントになります*1。
読み取れる形は1つです*1。13項目のうち1つだけが4割台にあり、残る12項目はすべて3割台以下という並びです*1。
「特にしていない」が4割を超えるのは9項目
設定していない側も見ます*1。「特にしていない」の値です*1。
4割を超える項目が9つありました*1。デジタル技術を活用した地域の活性化が56%、規制の枠組みと技術基準の改善が55%です*1。
残る7項目は41%から50%の範囲でした*1。内訳は表に載せています*1。
下端は業務効率化による生産性の向上でした*1。20%で、ここだけが2割台です*1。
ここで注意が必要です*1。どこから「重点目標」と答えるかの基準は、資料に示されていません*1。
束ね方で順位が入れ替わる
並べ方を変えてみます*1。「重点目標として設定している」だけで並べる場合です*1。
上端は業務効率化の18%、2番目が顧客特化の14%、3番目がデータ保護の9%でした*1。
その次で並びが止まります*1。顧客中心主義、インフラ整備、企業文化の根本的変革、革新的なビジネスモデルの実装が、いずれも8%で同じ値です*1。
上位2区分にすると差がつきます*1。顧客中心主義が29%、インフラ整備が27%、企業文化の根本的変革が26%になります*1。
一方でビジネスモデルの実装は21%です*1。「重点目標」では4つ同値のうちの1つでしたが、上位2区分では3つより下になります*1。
つまり束ね方で順位が入れ替わります*1。この記事では上位2区分を主に使い、区分ごとの値も表に残しました*1。
差の幅にも注意しておきます*1。行の合計が98から101になる資料なので、1から2ポイントの差は差がついたと扱っていません*1。
20人以下では1位が入れ替わる
従業員数別の集計も載っています*1。上位2区分で見ます*1。
業務効率化から追います*1。20人以下が36%で回答数261、21人から100人が40%で回答数302、101人以上が62%で回答数269でした*1。
この並びは単調に上がります*1。36%、40%、62%で、上端と下端の差は26ポイントです*1。差は示された整数から算出しました*1。
次に顧客特化です*1。20人以下が44%で回答数257、21人から100人が26%で回答数297、101人以上が36%で回答数265でした*1。
ここで順位が変わります*1。20人以下では顧客特化の44%が上端で、業務効率化の36%を上回ります*1。
全体では業務効率化46%、顧客特化34%の順でした*1。規模を絞ると1位が入れ替わることになります*1。
理由は資料に記載がありません*1。ですから、小さい会社は顧客に寄るとも書けません*1。
インフラ整備は24%、21%、38%です*1。企業文化の根本的変革は19%、22%、36%でした*1。
1つ扱えない値があります*1。21人から100人の規制の枠組みは、重点目標の値が図に示されておらず、残る4区分の合計が98になります*1。ですから上位2区分は出していません*1。
スキルの目標はどの規模でも3割未満
要員に近い項目も見ておきます*1。教育システムを変更して新しいスキルと将来の方向性を提供です*1。
全体では上位2区分が21%でした*1。13項目のうち、ビジネスモデルの実装と並んで8番目です*1。
規模別も同じ水準です*1。20人以下が18%、21人から100人が18%、101人以上が29%でした*1。
3つとも3割に届きません*1。101人以上でも29%です*1。
設定していない側も添えます*1。全体では「特にしていない」が42%でした*1。4割を超える9項目のうちの1つです*1。
この項目の水準が低いことは、立て直しの手順に効いてきます。誰にどの作業を任せられるようにするかが目標に入っていないと、要員の話は毎回その場の判断になります。
ただし資料からは、目標がないから要員が足りないとは書けません*1。目標と成果の関係を尋ねた設問ではないためです*1。
この集計から読めないこと
使う前に、限界を並べておきます*1。
第一に、集計対象が絞られています*1。DXに取り組んでいると答えた企業だけが対象で、取り組んでいない企業は含まれません*1。
第二に、基準が示されていません*1。どこから「重点目標」と答えるかは回答者の判断に任されています*1。
第三に、目標の中身が含まれません*1。何をどこまで上げるのかを尋ねた設問ではありません*1。
第四に、達成状況もありません*1。設定した目標がどうなったかは示されていません*1。
第五に、母数が一致しません*1。設問のN=849に対し、項目ごとの回答数は804から832の幅があります*1。
第六に、位置づけ別は扱えませんでした*1。この設問の位置づけ別ではユーザー企業の回答数が8から30と小さく、比率を並べられる件数ではありません*1。
第七に、欠けている値があります*1。21人から100人の規制の枠組みは重点目標の値が図に示されておらず、残る4区分の合計は98でした*1。
第八に、各区分は別々の企業です*1。同じ企業の変化ではないため、規模が変わると目標も変わる、とは書けません*1。
第九に、範囲があります*1。この調査は組込みやIoTの分野が対象で、2022年11月から12月に実施されたものです*1。ほかの分野や、それより後の傾向は読めません*1。
立て直しの基準を1つ決める4段
ここまでの分布を、自社の手順に落とします*1。
| 項目 | 重点目標 | 設定している | 上位2区分 | 検討している | 特にしていない | 回答数 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 業務効率化による生産性の向上 | 18% | 28% | 46% | 31% | 20% | 832 |
| 顧客ごとに特化した製品・サービスの提供 | 14% | 20% | 34% | 19% | 41% | 819 |
| デジタルデータの保護・透明性・自律性・信頼の強化 | 9% | 20% | 29% | 31% | 35% | 811 |
| 顧客中心主義の企業文化の定着 | 8% | 21% | 29% | 22% | 42% | 812 |
| インフラ整備による製品・サービスの価値向上 | 8% | 19% | 27% | 24% | 43% | 819 |
| 企業文化や組織マインドの根本的変革 | 8% | 18% | 26% | 31% | 38% | 814 |
| デジタルサービスの接続性と品質の向上 | 7% | 18% | 25% | 31% | 38% | 815 |
| 革新的なビジネスモデルの実装 | 8% | 13% | 21% | 26% | 47% | 810 |
| 教育システムを変更して新しいスキルと将来の方向性を提供 | 6% | 15% | 21% | 31% | 42% | 814 |
| より革新的で協調的な産業の発展の促進 | 5% | 14% | 19% | 24% | 48% | 809 |
| より革新的で協調的な社会の発展の促進 | 5% | 11% | 16% | 26% | 50% | 810 |
| デジタル技術を活用した地域の活性化 | 5% | 10% | 15% | 22% | 56% | 816 |
| 規制の枠組みと技術基準の改善 | 3% | 10% | 13% | 23% | 55% | 804 |
1段目は、止まっている案件で測る数字を1つ選ぶことです。工数でも日数でも件数でもかまいませんが、1つに絞ります。
2段目は、その数字を毎週数えることです。月末にまとめて出す形だと、途中で打ち手を変えられません。
3段目は、数字を動かす作業を判断と手に分けることです。決めが必要な作業と、量をこなす作業を切り離します。
4段目は、手の側を期間で区切って外へ出すことです。作業量が読める部分から動かします。
1段目で1つに絞る理由は、分布に出ています*1。13項目のうち4割台にあるのは業務効率化の46%だけで、ほかは3割台以下でした*1。
取り組んでいる企業でも、目標は1つに寄っている形です*1。数を増やすより、測る数字を決めるほうが先になります。
規模別の並びも同じ方向を指します*1。業務効率化は36%、40%、62%と規模とともに上がっていました*1。
逆に、人数が少ないうちは顧客特化の44%が上端でした*1。どちらを基準にするかは自社の並びで決めることになります*1。
実務では、3段目と4段目が外部要員の枠になります。フリーランスを含む業務委託は、この枠と相性があります。範囲と期間を区切って渡し、片づいたら戻せるためです。
逆に、1段目と2段目を渡すと、基準の決めが外に出ます。どの数字で見るかは社内に置きます。
取り組みの段階そのものの分布はDXの取り組み11項目の違い、実施中は38.8%から8.6%で扱っています。
決めを文書に残す側の分布はDXの行動指針の策定は11%|規模別は4%から21%で出しています。
5年後にどの役回りを狙うかから決める場合は、デジタル産業の企業類型、変革パートナーは5年後40%が下敷きになります。
枠を人数に置き換える段では、要員計画に必要な4つの数字と決める順番を使います。
最後に範囲を添えておきます*1。この調査は組込みやIoTの分野が対象で、2022年11月から12月に実施されたものです*1。ほかの分野やそれより後の傾向は読めません*1。
まとめ:測る数字を1つ決めてから人を足す
第一に、資料です。IPAの「2022年度組込み/IoTに関する動向調査」は2023年6月12日に発行され、2023年7月25日に一部が改版されています。調査期間は2022年11月から12月で、調査票の配布は7,864件、回答は1,214件でした。回答者は企業の経営層や事業部門の責任者です。第二に、集計対象です。Q12は回答者の全体ではなく、Q11のDXの取り組み状況で「非常に活発」「活発」「あまり活発ではない」と答えた企業に絞られており、N=849でした。項目ごとの回答数は804から832の幅があり、設問のNとは一致しません。理由は資料に記載がありません。第三に、数値の扱いです。比率は資料の図に示された整数で、行ごとに足すと合計は98から101になります。上位2区分は「重点目標として設定している」と「設定している」の合計で、差とあわせて筆者が算出しました。第四に、全体の並びです。上端は業務効率化による生産性の向上の46%、2番目は顧客ごとに特化した製品・サービスの提供の34%で、差は12ポイントでした。下端は規制の枠組みと技術基準の改善の13%で、上端との差は33ポイントです。13項目のうち4割台は1つだけでした。第五に、設定していない側です。「特にしていない」が4割を超える項目が9つあり、地域の活性化56%、規制55%、社会の発展50%が上側でした。業務効率化は20%で、この欄では下端になります。第六に、束ね方です。「重点目標として設定している」だけで並べると顧客中心主義、インフラ整備、企業文化の根本的変革、ビジネスモデルの実装がいずれも8%で同値になりますが、上位2区分にすると29%、27%、26%、21%と分かれ、ビジネスモデルの順位が下がります。第七に、規模別です。業務効率化は20人以下36%、21〜100人40%、101人以上62%と単調に上がり、差は26ポイントでした。一方で顧客特化は44%、26%、36%で、20人以下では顧客特化が上端になり全体とは1位が入れ替わります。第八に、要員に近い項目です。教育システムを変更して新しいスキルと将来の方向性を提供は全体21%、規模別で18%、18%、29%と、どの規模でも3割に届きません。
よくある質問
DXの目標として多いのは何ですか。
IPAの2022年度組込み/IoTに関する動向調査のQ12では、上位2区分(重点目標として設定している+設定している)の合計が「業務効率化による生産性の向上」で46%、回答数832でした。2番目は「顧客ごとに特化した製品・サービスの提供」の34%で、差は12ポイントです。合計と差は示された整数から算出しました(確認日2026年9月8日)。
この数字は企業全体の割合ですか。
違います。Q12の集計対象は回答者の全体ではなく、Q11のDXの取り組み状況で「非常に活発」「活発」「あまり活発ではない」と答えた企業に絞られており、N=849です。項目ごとの回答数は804から832の幅があり、設問のNとも一致しません。
目標を設定していない企業はどれくらいありますか。
「特にしていない」が4割を超える項目が9つあります。デジタル技術を活用した地域の活性化が56%、規制の枠組みと技術基準の改善が55%、より革新的で協調的な社会の発展の促進が50%でした。業務効率化による生産性の向上は20%で、この欄では下端です。
会社の規模で目標は違いますか。
業務効率化は20人以下36%、21〜100人40%、101人以上62%と単調に上がり、差は26ポイントです。一方で顧客ごとに特化した製品・サービスの提供は44%、26%、36%で、20人以下では顧客特化が上端になり全体とは1位が入れ替わります。理由は資料に記載がありません。
人材やスキルの目標はどうなっていますか。
「教育システムを変更して新しいスキルと将来の方向性を提供」の上位2区分は全体で21%、規模別では20人以下18%、21〜100人18%、101人以上29%でした。どの規模でも3割に届きません。「特にしていない」は全体で42%です。ただし目標と成果の関係は資料に示されていません。
出典
- *1 参考:IPA「2022年度組込み/IoT産業の動向把握等に関する調査」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/kumikomi/kumikomi-iot2022.html)。発行日・改版日・調査期間・配布数7,864件・回答数1,214件の一次情報として(2026年9月確認)
- *2 参考:IPA「組込み/IoTに関する動向調査」調査結果(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/kumikomi/ps6vr7000001tewn-att/kumikomi-iot2022.pdf)。Q12の比率・回答数・集計対象の絞り込み条件・13の項目名・5段階の選択肢・従業員数別・位置づけ別の一次情報として。示された値を用いた図表の作成という編集・加工を筆者が実施(2026年9月確認)
- *3 参考:IPA「アンケート調査票」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/kumikomi/ps6vr7000001tewn-att/kumikomi-iot2022-chousahyou.xlsx)。Q12の項目名と選択肢の並びの確認として(2026年9月確認)
- *4 参考:IPA「組込み/IoT産業の動向把握等に関する調査」一覧(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/kumikomi/index.html)。2018年度から2022年度まで年度ごとに調査が公開されているという構成の確認として(2026年9月確認)