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2026.10.06 採用支援コラム

外部人材活用の年度計画、年度末までに決める4つのこと

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

打ち合わせの準備が整った会議室。木の天板の長机を茶色と白の椅子が囲み、机の上にはペン立て、水のペットボトル、書類を入れるトレー、リモコンが置かれ、奥にはフリップチャートが立っている。人は写っていない

この記事の結論

  • 年度末に決めることは予算・契約・引き継ぎ・次年度の要員の4つで、別々に決めずに一続きの判断として扱います。
  • 短観では2026年度のソフトウェア投資計画が6月調査で上方、9月調査で下方に修正されており、予算は見直しの条件と一緒に書きます。
  • 受注ソフトウェアの売上は年度で3月が最も大きく、引き継ぎや受け入れの段取りはその月に入る前に済ませておきます。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

来年度も今の委託先に続けてもらうのか、まだ決めきれていない。年度末の慌ただしい時期に、担当者の交代まで重なってしまった——。外部人材と一緒に開発を進めている会社では、年度の終わりが近づくと、こうした判断が一度に押し寄せます。外部人材活用の年度計画とは、社外の技術者に任せる作業、その費用、契約の期間、次の年度の体制を、会社の年度の区切りに合わせて決めておく計画のことです。

本記事では、開発の現場を預かるマネージャーに向けて、日本銀行の短観と経済産業省の特定サービス産業動態統計調査の数字を手がかりに、年度末までに決めておきたい4つのこと(予算、契約、引き継ぎ、次年度の要員)を、決める順番とともに整理します。費用の会計や税の処理は扱いません。

年度末に決める4つのこと

外部人材にかかわる年度計画は、年度の初めに一度決めれば終わり、というものではありません。年度末が近づくと、今年度の計画を締めくくる判断と、次年度の計画を始める判断が同じ時期に重なります。

決めることは4つに分けられます。1つ目は予算で、今年度の外部人材の費用がどこまで使われたかと、次年度にいくら見込むかです。2つ目は契約で、今の委託先との契約を続けるか、作業の範囲や人数を変えるか、終えるかです。3つ目は引き継ぎで、契約を終える人や交代する人から何を受け取るかです。4つ目は次年度の要員で、社員と外部人材をどう組み合わせて次の年度の作業を担うかです。

この4つは、別々に決めると食い違いが起きます。次年度の予算を前年並みで出したあとで契約を終えると決めれば、引き継ぎにかかる手間や後任を探す費用が予算に入っていないことになります。逆に、契約の更新だけを先に済ませてしまうと、次年度の要員を見直す余地が狭まります。

年度計画は途中で書き換わる

年度の初めに立てた計画が、そのまま年度末まで続くとは限りません。日本銀行の全国企業短期経済観測調査(短観)は、全国の企業を対象に四半期ごとに行われる調査です。2026年9月調査の対象は9,104社で、回答率は99.4%でした。*1 短観は、売上高や設備投資などの年度計画を、調査の回ごとに尋ね直しています。

ソフトウェア投資額を見ると、全規模・全産業の2026年度の計画は、2026年6月調査では前年度比13.5%増で、前回の3月調査から6.8%の上方修正でした。*2 それが9月調査では前年度比10.3%増となり、今度は前回調査との対比で2.9%の下方修正です。*1 大企業に限ると、9月調査の修正率はマイナス4.6%でした。*1 同じ年度の同じ項目でも、調査の回が変わるたびに数字が上にも下にも動いています。

終わった年度の数字も、年度末の時点ではまだ固まっていません。2025年度のソフトウェア投資額の実績は前年度比7.5%増で、6月調査の時点で前回の3月調査から2.7%の下方修正でした。*2 年度末を迎えた段階の見込みと、確定した実績とのあいだにも差が出ていたことになります。

外部人材の費用も、この動きと無関係ではありません。ソフトウェアへの投資計画が年度の途中で見直されれば、開発を担う外部人材の人数や期間も、それに合わせて変わることがあります。年度末は、計画と実績のずれをまとめて確かめ、次年度に持ち越すものと持ち越さないものを分ける場面だと捉えると、決めることが整理しやすくなります。

年度末は委託先も忙しい

年度末に判断が重なるのは、発注する側だけではありません。経済産業省の特定サービス産業動態統計調査で、情報サービス業の「受注ソフトウェア」の月別売上高を2023年度(2023年4月から2024年3月まで)について並べると、2024年3月が1兆5,794億円で最も大きく、年度の合計の15.2%を占めていました。*3 12か月の平均と比べると約1.8倍です。

情報サービス業の受注ソフトウェアの月別売上高(2023年度)を示した棒グラフ。4月6,584億円、5月6,625億円、6月1兆232億円、7月6,674億円、8月6,807億円、9月1兆2,068億円、10月6,803億円、11月7,062億円、12月1兆1,157億円、1月6,861億円、2月7,464億円、3月1兆5,794億円で、3月が最も大きく年度合計の15.2%を占める。四半期の終わりの6月・9月・12月も前後の月より大きい。経済産業省 特定サービス産業動態統計調査の長期データをもとに作成。

2021年度と2022年度も、3月の割合はどちらも15%台で、3年度とも3月が年度で最も大きい月でした。*3 6月・9月・12月も前後の月より大きく、四半期の終わりの月に売上が集まる形は3年度とも同じです。一方で、同じ統計の「システム等管理運営受託」は2023年度の3月の割合が10.1%で、月ごとの差は受注ソフトウェアより小さめでした。*3

統計は理由までは示していませんが、受託開発では、年度末の月に納品の区切りを置く案件が重なっていることがうかがえます。発注する側から見ると、年度末の月は委託先の技術者も手が空きにくい時期だということです。引き継ぎ、新しい人の受け入れ、契約条件の話し合いをこの月にまとめて入れると、相手の都合がつかない場面が出てきます。年度末に向けた判断は、この月に入る前に済ませる段取りにしておくと進めやすくなります。

今年度の残りと次年度の予算

予算で最初に確かめるのは、今年度の外部人材の費用が、計画に対してどこまで使われたかです。年度の途中で人数を増やしたり減らしたりしていれば、当初の計画とは差が出ています。差が出た理由を「作業が増えた」「作業が後ろにずれた」「任せる範囲を変えた」のように分けて書いておくと、次年度の見積りの根拠にそのまま使えます。

次に、次年度に持ち越す費用を分けます。今年度の途中から加わった人が次年度も続けるなら、次年度はその人の費用が年度を通してかかります。反対に、年度末で終わる作業の分は次年度の予算から外します。費用の分け方と予算編成での説明の仕方は、外部人材活用を年度計画に書くと、予算編成で費用を説明しやすいで詳しく扱っています。

年度の途中で計画が変わる前提に立つなら、次年度の予算は1本の数字で終わらせず、見直しの条件をあわせて書いておく方法があります。「上期の進み具合を見て下期の人数を決める」「新しい機能の開発に入ると決まったら、その時点で追加を申請する」のように、増減を判断する場面と、そのときに誰が決めるかを書いておきます。短観で見たとおり、ソフトウェアへの投資計画は年度の途中で上にも下にも動きます。予算を書いた時点の数字が動きうることを決裁者と最初から共有しておけば、途中の見直しも説明しやすくなります。

契約を続けるか変えるか終えるか

今の委託先との契約は、そのまま続ける、作業の範囲や人数を変えて続ける、終える、の3つから選びます。判断の材料になるのは、今年度に任せた作業がどこまで進んだか、次年度にも同じ作業が残るか、担当している人の技能が次年度の作業に合っているか、の3点です。

続ける場合でも、年度の区切りは条件を見直すよい機会です。次年度の作業の内容が変わるなら、契約書や発注書に書く作業の範囲も書き換えます。人数を減らすなら、誰が残り、抜ける人の担当を誰が受け持つのかを先に決めておきます。

終える場合に大事なのは、相手に伝える時期です。更新しないと伝える期限は、契約書の更新や解約の条項に書かれている場合があります。年度末が近づいてから読み直すと、期限がすでに過ぎていた、ということにもなりかねません。期限は契約ごとに違うため、自社の契約書で確かめ、判断に迷う点は法務の担当者や専門家に相談してください。更新の単位と終了の予告の決め方はSESの契約期間と長期参画、更新の単位と終了の予告で整理しています。

引き継ぎを年度末に重ねない

契約を終える人がいるなら、その人が担当していた作業を誰が受け持つかを決め、引き継ぎの段取りを組みます。引き継ぐものは、作業の手順、設定や権限の一覧、作りかけの成果物、関係者とのやり取りの記録などです。

前に見たとおり、受注ソフトウェアの売上は年度末の月に集まっていました。*3 その月は納品や確認の作業が立て込み、引き継ぐ側も受け取る側も時間を取りにくくなるおそれがあります。引き継ぎの終わりを年度の最終日に合わせると、作業の締めと引き継ぎが同じ時期に重なります。終わりの日から逆算して、本人がまだいるうちに後任が実際に作業してみる時間を取っておくと、手順書だけでは気づけない漏れが見つかりやすくなります。

次年度の初めから新しい人を受け入れる場合も同じ考え方です。アカウントの発行、作業環境の準備、最初に任せる作業の説明は、年度末の月に入る前に段取りを済ませておきます。離任のときに引き継ぎが漏れる理由と防ぎ方は業務委託エンジニアの離任で引き継ぎが漏れる理由と防ぎ方で扱っています。

次年度の要員を決める順番

次年度の要員は、人からではなく作業から決めます。次年度に予定している開発や改修を書き出し、それぞれに要る技能と、おおよその作業量を見積もります。そのうえで、社員で担える作業と、外部人材に任せる作業を分けます。

外部人材に任せる作業は、さらに今の委託先に続けてもらうものと、新しく人を探すものに分けます。新しく探す作業は、求める技能と作業の範囲を書き出した段階で探し始められます。始めたい日から逆算して、探す、会って確かめる、契約する、受け入れる、の段取りを組んでおきます。

社員の採用計画とも並べて考えます。次年度に社員を採用する予定があるなら、採用できた場合とできなかった場合の両方で、外部人材をどこに置くかを決めておきます。採用が予定どおりに進まなかったとき、その作業を誰が担うのかが決まっていれば、年度の途中で慌てて人を探さずに済みます。年度の後半に人を増やす場合の段取りは外部人材活用の年度計画|下期増員に向けて上期に固めておくことで扱っています。

つまずきやすいのは、予算と契約と要員を、別の人が別の時期に決めてしまうことです。予算は経理と相談して決まり、契約は現場の担当者が委託先と話し、要員は部門の責任者が考える、という分担のままだと、3つの数字がそろいません。年度末に向けては、この3つを1枚の表に並べ、作業ごとに「誰が担うか」「いくらかかるか」「契約をどうするか」が埋まっているかを見比べるのが近道です。

外部に委託するときに確認しておきたい点

次年度に新しく外部人材を探すなら、任せる作業、求める技能、始めたい時期、予算の見込みを1枚にまとめておきます。この4つがそろっていれば、相談を受ける側も候補者を絞り込みやすくなります。

社内の決裁で費用の根拠を求められる場合は、外部人材活用の稟議書は見積りの根拠を添えると通りやすいも参考にしてください。

まとめ:年度末までに決めておく4つのこと

外部人材活用の年度計画で、年度末までに決めておきたいことは4つです。第一に予算で、今年度の計画と実績のずれを理由ごとに分け、次年度は見直しの条件と一緒に書くこと。第二に契約で、続ける・変える・終えるを選び、終えるなら契約書の期限を早めに確かめること。第三に引き継ぎで、作業が立て込む年度末の月に重ねず、後任が実際に作業してみる時間を取ること。第四に次年度の要員で、作業から先に決め、社員の採用がうまくいかなかった場合の置き方まで考えておくことです。短観に表れたとおり、年度計画は途中で書き換わるものだと考えておくと、年度末の判断も無理なく進められます。任せたい作業に合う人の探し方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

次年度に任せたい作業と、求める技能、始めたい時期が書き出せたら、次はその作業を担う人を探す段階です。作業の範囲と予算の見込みが決まっていれば、求める経験がはっきりし、年度の初めから作業に入ってもらえる候補者を探しやすくなります。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材が必要になった時点から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で実際の業務開始まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

年度末の判断は、いつごろから始めればよいですか

決まった時期はありません。目安にしやすいのは、契約書に書かれた更新や解約の申し出の期限と、社内で次年度の予算を締める期限です。2つのうち早いほうから逆算して、作業の書き出し、予算の見込み、契約の判断の順に進めると、どちらの期限にも間に合わせやすくなります。

年度の途中で外部人材の予算が足りなくなりそうなときは、どうすればよいですか

まず、足りなくなる理由が作業の増加なのか、作業の遅れなのかを分けて確かめます。そのうえで、予算を書いたときに決めておいた見直しの条件と手続きに沿って、追加の申請か、作業の優先順位の入れ替えかを決めます。見直しの条件を書いていなかった場合は、次年度の予算で書き足しておくと、同じ場面で迷わずに済みます。

年度が4月から始まらない会社でも、同じ考え方が使えますか

使えます。本記事の統計は3月に年度が終わる区切りで見ていますが、予算・契約・引き継ぎ・次年度の要員を一続きで決めるという考え方は、年度の区切りがどこにあっても同じです。ただし、委託先の会社の年度末が自社と違う場合は、相手の忙しい時期も違ってくるので、引き継ぎや受け入れの日程を決めるときに相手の事情も聞いておきます。

次年度に任せる作業が見えてきたら相談

次年度に外部人材に任せたい作業と、おおよその時期が分かっていれば、そのままご相談いただけます。今の委託先との契約を続けるかどうか決めきれていない段階でも構いません。

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出典

  1. *1 参考:日本銀行「短観(概要)2026年9月」(PDF)(https://www.boj.or.jp/statistics/tk/gaiyo/2026/tka2609.pdf)。出典:日本銀行調査統計局「第210回 全国企業短期経済観測調査」(2026年10月1日公表)。調査対象企業数・回答率と、ソフトウェア投資額(前年度比・修正率)を参照(確認日2026年10月6日)(2026年10月確認)
  2. *2 参考:日本銀行「短観(概要)2026年6月」(PDF)(https://www.boj.or.jp/statistics/tk/gaiyo/2026/tka2606.pdf)。出典:日本銀行調査統計局「第209回 全国企業短期経済観測調査」(2026年7月1日公表)。ソフトウェア投資額の2025年度実績と2026年度計画(前年度比・修正率)を参照。修正率は前回調査との対比(確認日2026年10月6日)(2026年10月確認)
  3. *3 参考:経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」長期データ 情報サービス業(XLS)(https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/tokusabido/result/result_1/xls/hv14301j.xls)。出典:経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」長期データ。シート「月・実数」の受注ソフトウェアとシステム等管理運営受託の月別売上高(2021年4月〜2024年3月)から、年度合計に占める3月の割合と12か月平均との比を筆者が計算(確認日2026年10月6日)(2026年10月確認)




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