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ビルディングブロック型開発とは、39.5%が取り組んでいない
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- 取り組んでいるのは42.3%:362社のうち153社です*2。
- 取り組んでいないが39.5%:わからないと合わせて50.0%*2。
- 土台のAPI連携は40.6%:7項目の中で上端です*2。
※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関・ベンダー公式ドキュメント)に基づきます。
遅れているとき、人を足す前にもう1つ選べる手があります。作る量そのものを減らすことです。
既存のサービスや部品を組み合わせて済ませられる範囲があれば、その分の工数は要らなくなります。
IPAのオープンデータを集計すると、この手法に取り組んでいる企業は153社で42.3%でした*1*2。
特に取り組んでいないが143社39.5%、わからないが38社10.5%で、合わせるとちょうど半分の181社です*2。
組み合わせの土台になるAPI連携とマイクロサービスは、導入と試行を合わせて147社40.6%です*2。
目次
立て直しには作る量を減らす選択がある
遅れを立て直す手は3つに分かれます。人を足すか、作る量を減らすか、期限を動かすかです。
このうち2つめは、準備がないと選べません。既存の部品で置き換えられる範囲を、あらかじめ知っている必要があります。
その準備の状況を業界の分布として測れる資料があります*1。IPAの「2025年度ソフトウェア動向調査」で、公開は2025年11月25日、最終更新は2026年5月13日と記されています*1。
回答数も示されています*1。2026年2月9日時点で362件の回答を得たとされています*1。
実施しているのはIPAのデジタル基盤センターです*1。ソフトウェアを取り巻く国内の動向を調査することを目的に、前年度から引き続き実施したと書かれています*1。
調査群の中の位置づけも確かめられます*4。IPAはソフトウェア開発に関する国際動向やアンケート調査のほか、組込みとIoT産業の動向調査、定量データの収集と分析結果を公開していると記しています*4。
先に設問の条件を確かめます*3。今回使うQ3-1、Q8-1、Q13-1には、いずれも回答条件が付いていません*3。
つまり母数は共通です*3。3つとも全回答者が対象で、分母は362社です*3。
同じ調査でも条件付きの設問があります*3。回答企業の種別で絞られる設問は母数が247社になるため、そちらの割合とは並べていません*2*3。
数値の作り方も先に書きます*2*3。設問一覧で列の意味と選択肢を確かめ、調査結果CSVの該当列を数えて件数と割合を出しました*2*3。
IPAが公表した集計値の引用ではありません*2。公開データから筆者が集計した値です*2。
単位も押さえます*2。数えているのは回答した企業の件数と割合で、人数でも工数でもありません*2。
まず手法の定義から見ます*3。
ビルディングブロック型開発とは何か
この言葉は調査の設問文の中で定義されています*3。
設問には注記が付いています*3。SaaS、OSS、パッケージソフト、API、共通モジュールなどの既存のコンポーネントを組み合わせて、短期間で柔軟にシステムを構築する開発手法を指すと書かれています*3。
組み合わせる対象が5種類挙がっています*3。外部のサービス、公開されているソフトウェア、製品として売られているもの、接続の口、そして自社で共通化したものです*3。
目的も定義に含まれています*3。短期間で柔軟に構築することが挙げられており、期間の短縮が手法の狙いとして書かれています*3。
ここが立て直しとつながります。作る対象を部品に置き換えられれば、残りの工程で必要な工数はその分だけ減ります。
ただし、この調査は効果を聞いていません*3。実際に期間が短くなったかどうかは、設問に含まれていないため読めません*3。
設問はQ8-1の1問だけです*3。取組状況を1つ選ぶ形で、対象のシステムや適用範囲は聞いていません*3。
回答は必須でした*3。設問一覧では必須の単一選択と指定されているため、362社すべてがいずれか1つを選んでいます*3。
選択肢は5つです*3。積極的に取り組んでいる、一部で部分的に取り組んでいる、検討している、特に取り組んでいない、わからないです*3。
言葉の定義を先に確認したのは、回答の読み方が変わるためです*3。既存のサービスを使っているだけでは、この手法に取り組んでいるとは限りません*3。
組み合わせを前提にした設計に踏み込むかどうかが分かれ目になります。設問はその踏み込みの度合いを聞いています*3。
次に、実際の分布を見ます*2。
取り組んでいるのは42.3%
いちばん多い回答は、取り組んでいないことでした*2。
「特に取り組んでいない」が143件、39.5%です*2。5社に2社という水準になります*2。
次が部分的な取組です*2。「一部のシステムやプロジェクトで部分的に取り組んでいる」が105件、29.0%でした*2。
踏み込んでいる企業は少数です*2。「積極的に取り組んでおり、複数のシステムで実践している」は48件、13.3%にとどまります*2。
2つを合わせると153件になります*2。取り組んでいる計は42.3%です*2。
この42.3%は実数から出しています*2。13.3%と29.0%という丸めた割合を足したものではありません*2。
検討の段階も見ます*2。「現在、導入や適用を検討している」は28件、7.7%でした*2。
「わからない」は38件10.5%です*2。回答者の位置から見えていない場合が想定されますが、資料に理由の記載はありません*2*3。
取り組んでいないとわからないを合わせると181件です*2。母数362社に対して50.0%で、ちょうど半分になります*2。
5つを足すと母数に戻ります*2。合計は362社です*2。
読み方が決まります。作る量を減らす選択は、業界の半分ではまだ手元にない状態です*2。
次に、その土台になる技術を見ます*2。
土台のAPI連携は導入と試行で40.6%
Q13-1は、7つの技術それぞれについて導入状況を1つ選ぶ設問です*3。
対象は決まっています*3。クラウドネイティブ、API連携とマイクロサービス、グラフデータベース、エッジコンピューティング、セキュリティ・バイ・デザイン、SBOM、エンタープライズアーキテクチャーの7つです*3。
選択肢は5つです*3。導入している、試行している、検討中、導入していない、わからないです*3。
この設問も必須でした*3。必須のマトリクス選択と指定されており、7項目それぞれについて362社が1つを選んでいます*3。
ここでは導入と試行を合わせて数えます*2。部品を組み合わせる前提が実際に動いているかを見るためです*2。
上端はAPI連携とマイクロサービスでした*2。導入が101件27.9%、試行が46件12.7%で、合わせて147件40.6%です*2。
次がクラウドネイティブです*2。導入88件24.3%と試行42件11.6%で、合わせて130件35.9%でした*2。
ここから下は大きく離れます*2。セキュリティ・バイ・デザインが65件18.0%、エッジコンピューティングが45件12.4%です*2。
エンタープライズアーキテクチャーは44件12.2%でした*2。SBOMが32件8.8%、グラフデータベースが29件8.0%で下端です*2。
組み合わせの土台になるのは上の2つです。接続の口があり、動かす基盤が整っていれば、既存の部品を差し込む余地が生まれます。
移行の分割や費用の考え方は別に整理されています。マイクロサービス移行の分割・外注費用と委託先の選び方が参考になります。
全体像を整える側の話はエンタープライズアーキテクチャ(EA)整備を外注で進めるのほうが近いでしょう。
「導入していない」と「わからない」の読み方
同じ設問の反対側も見ておきます*2。
「導入していない」が最も多いのはグラフデータベースでした*2。204件、56.4%です*2。
次がエッジコンピューティングです*2。194件53.6%で、SBOMが192件53.0%と続きます*2。
エンタープライズアーキテクチャーは178件49.2%、セキュリティ・バイ・デザインは151件41.7%でした*2。
土台の2つは低くなります*2。クラウドネイティブが121件33.4%、API連携とマイクロサービスが107件29.6%です*2。
「わからない」の並びも押さえます*2。セキュリティ・バイ・デザインが93件25.7%で上端、API連携とマイクロサービスが60件16.6%で下端でした*2。
間の項目も同じ幅です*2。グラフデータベースが91件25.1%、SBOMが90件24.9%、エッジとエンタープライズアーキテクチャーが89件24.6%、クラウドネイティブが73件20.2%です*2。
この2割から2割半という水準には注意が要ります*2。回答者が把握していない技術については、導入の有無そのものが分からないという状態です*2。
資料は理由を説明していません*3。なぜ把握されていないのか、どの立場の回答者が答えたのかは、この設問からは読めません*3。
実務では、まず自社がどちらに入るかを確かめることになります。API連携の状況を答えられないなら、部品で置き換える見積もりも立てられません。
要員が足りない状態で刷新に踏み込んだ場合の集計は別にあります。レガシー刷新を止めるのは理解不足ではなく要員の不足で扱っています。
次に、速さがどこまで重視されているかを見ます*2。
速さを重要に挙げたのは6.9%
Q3-1は、ソフトウェアが事業に与える影響のうち最も重要だと思うものを1つ選ぶ設問です*3。
選択肢は11個あります*3。経営判断の支援から労働力不足への対応まで並びます*3。
いちばん多いのは効率化でした*2。「業務プロセスの効率化や高度化」が136件、37.6%です*2。
次が競争力です*2。「ビジネス競争力の維持向上」が85件、23.5%でした*2。
3番目は経営判断です*2。「経営戦略立案や経営判断の支援」が40件、11.0%です*2。
顧客の側も挙がります*2。「付加価値と顧客満足度の向上」が36件、9.9%でした*2。
速さはその下でした*2。「市場変化に対する迅速な適応力の向上」は25件、6.9%にとどまります*2。
残りも押さえます*2。労働力不足への対応が15件4.1%、自社の商品やサービスの提供が10件2.8%、新たな収入源の確保が8件2.2%です*2。
下位も見ます*2。わからないが3件0.8%、多様な働き方の実現とその他が2件0.6%でした*2。11個を足すと362社になります*2。
ここから読めるのは重みの置き方です*2。速く出せることを最も重要とした企業は25社で、効率化の136社とは大きく離れています*2。
ただし設問は1つだけ選ぶ形です*3。速さを重視していない企業が多いという意味ではなく、最も重要な1つには選ばれにくいという意味です*3。
立て直しの順番
ここまでの分布を、自社の手順に落とします*2。
| 技術 | 導入+試行 | 導入していない | わからない |
|---|---|---|---|
| API連携・マイクロサービス | 147件 40.6% | 107件 29.6% | 60件 16.6% |
| クラウドネイティブ | 130件 35.9% | 121件 33.4% | 73件 20.2% |
| セキュリティ・バイ・デザイン | 65件 18.0% | 151件 41.7% | 93件 25.7% |
| エッジコンピューティング | 45件 12.4% | 194件 53.6% | 89件 24.6% |
| エンタープライズアーキテクチャー | 44件 12.2% | 178件 49.2% | 89件 24.6% |
| SBOM | 32件 8.8% | 192件 53.0% | 90件 24.9% |
| グラフデータベース | 29件 8.0% | 204件 56.4% | 91件 25.1% |
1段目は分解です。残っている工程を、作る量という単位で並べ直します。
2段目は置き換えの探索です。並べた量のうち、既存のサービスや公開されている部品で足りる範囲を探します。
ここで分布と比べられます*2。取り組んでいる計が42.3%という並びなので、半分の企業はこの探索を経験していません*2。
3段目は土台の確認です。API連携が動いているか、基盤が整っているかを確かめます。
ここでも比べる材料があります*2。導入と試行を合わせて40.6%と35.9%という水準です*2。
4段目は人を当てることです。置き換えた後に残る量だけを対象に、必要な人数を数えます。
順番を逆にすると進みません。最初に人数を決めると、置き換えられる範囲を探す時間が取れなくなります。
ここで注意が必要です*2。3つは別の設問なので、かけ合わせた集計はしていません*2。
母数が同じ362社であることは確かめました*3。ただし同じ母数であることと、個々の回答が対応することは別です*2*3。
工程ごとにどこを自社に残しているかの分布は別に集計しました。工程別の内製化|設計開発テストだけ委託が34.4%で扱っています。
実務では、置き換えの探索と開発を同時に進めることになります。探索を担う人を短期で入れれば、社員を残る量の実装に寄せられます。
期間を区切って入れるなら、フリーランスを含む業務委託の使い方が合います。立て直しの数か月だけ人を足し、落ち着いたら戻す形が取れます。
この集計から読めないことも押さえます*2。工期や遅延との関係、部品化で減った工数、設問をまたいだかけ合わせは含まれていません*2。
まとめ:作る量から先に決める
第一に、母数です。IPAの「2025年度ソフトウェア動向調査」は2026年2月9日時点で362件の回答を得ています。今回使ったQ3-1、Q8-1、Q13-1はいずれも回答条件が付いておらず、母数は362社で共通です。件数と割合は公開されている調査結果CSVから筆者が集計した値です。第二に、手法の定義です。ビルディングブロック型開発は設問文の注記で、SaaS、OSS、パッケージソフト、API、共通モジュールなどの既存のコンポーネントを組み合わせて短期間で柔軟にシステムを構築する開発手法と定義されています。第三に、取組の分布です。「特に取り組んでいない」が143件39.5%で最も多く、「一部のシステムやプロジェクトで部分的に取り組んでいる」が105件29.0%、「積極的に取り組んでおり複数のシステムで実践している」が48件13.3%でした。後の2つを合わせた取り組んでいる計は153件42.3%です。第四に、その反対側です。取り組んでいないとわからないを合わせると181件で、母数362社に対してちょうど50.0%になります。第五に、土台です。導入と試行を合わせるとAPI連携とマイクロサービスが147件40.6%で上端、クラウドネイティブが130件35.9%と続き、セキュリティ・バイ・デザイン65件18.0%から下は大きく離れます。SBOMが32件8.8%、グラフデータベースが29件8.0%で下端でした。第六に、把握の状況です。「わからない」はセキュリティ・バイ・デザインの93件25.7%からAPI連携の60件16.6%までで、2割前後の企業が導入の有無を答えられていません。第七に、重みの置き方です。ソフトウェアが事業に与える影響で最も重要なものとして「市場変化に対する迅速な適応力の向上」を選んだのは25件6.9%で、「業務プロセスの効率化や高度化」の136件37.6%とは離れています。第八に、限界です。3つは別の設問なのでかけ合わせた集計はしておらず、工期や遅延との関係、部品化で減った工数は今回の集計に含まれていません。
よくある質問
ビルディングブロック型開発とは何ですか。
IPAの2025年度ソフトウェア動向調査の設問一覧では、SaaS、OSS、パッケージソフト、API、共通モジュールなどの既存のコンポーネントを組み合わせて、短期間で柔軟にシステムを構築する開発手法と定義されています。設問はこの手法への取組状況を1つ選ぶ形で聞いています(確認日2026年9月3日)。
取り組んでいる企業はどれくらいありますか。
「積極的に取り組んでおり、複数のシステムで実践している」が48件13.3%、「一部のシステムやプロジェクトで部分的に取り組んでいる」が105件29.0%で、合わせて153件、362社に対して42.3%です。「特に取り組んでいない」は143件39.5%でした。
組み合わせの土台になる技術はどれくらい入っていますか。
導入と試行を合わせると、API連携とマイクロサービスが147件40.6%で7項目の上端、クラウドネイティブが130件35.9%です。以下はセキュリティ・バイ・デザイン65件18.0%、エッジコンピューティング45件12.4%、エンタープライズアーキテクチャー44件12.2%、SBOM32件8.8%、グラフデータベース29件8.0%でした。
速さは事業の目的として重視されていますか。
「市場変化に対する迅速な適応力の向上」を最も重要と選んだのは25件、6.9%です。首位は「業務プロセスの効率化や高度化」の136件37.6%でした。ただし設問は11個から1つだけ選ぶ形なので、速さを重視していないという意味ではなく、最も重要な1つには選ばれにくいという読み方になります。
この数字から工期が短くなるか分かりますか。
分かりません。この調査は工期も遅延も聞いていないため、部品化によって期間が短くなったかどうかは読めません。分かるのは、作る量を減らす選択がどれくらいの企業で手元にあるかという分布と、その土台の導入状況だけです。
出典
- *1 参考:IPA「2025年度ソフトウェア動向調査」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/software-engineering/software2025.html)。公開日・最終更新日・回答362件・オープンデータ公開の方針の一次情報として(2026年9月確認)
- *2 参考:IPA「2025年度ソフトウェア動向調査 調査結果(選択肢項目文字列)」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/software-engineering/j5u9nn000000hkhs-att/software2025-result-data-str.csv)。Q3-1・Q8-1・Q13-1の回答を集計した元データとして(2026年9月確認)
- *3 参考:IPA「2025年度ソフトウェア動向調査 設問一覧」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/software-engineering/j5u9nn000000hkhs-att/software2025-c-questions.xlsx)。ビルディングブロック型開発の定義・各設問の回答条件・選択肢の確認として(2026年9月確認)
- *4 参考:IPA「ソフトウェア開発関連調査」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/index.html)。この調査が置かれている調査群の構成と公開範囲の記述として(2026年9月確認)