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2026.10.02 採用支援コラム

外部人材活用で退職者の後任を探す注意点、元社員の派遣は1年不可




監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論

  • 辞めた社員を派遣で後任として受け入れることは、離職の日から1年を経過する日まで法律で禁じられています。
  • 禁止は会社単位で、別の事業所でも当てはまり、正社員に限らず契約社員やアルバイトだった人も含まれます。
  • 派遣会社から届く派遣労働者の氏名で元社員かどうかを照らし、当たるなら速やかに書面などで派遣会社へ知らせます。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

退職が決まった社員の後任を、社内の異動でも採用でも間に合わず、外部の人材で埋めたい。派遣会社に頼んだら、提案された人が数か月前に辞めた元社員だった——。外部人材活用で退職者の後任を探すときには、こうした場面が起こりえます。業務をよく知る人なので歓迎したくなりますが、派遣で受け入れる場合には、労働者派遣法が離職から1年の間は受け入れを禁じています。

この決まりを知っていれば、後任の候補が元社員だったときに慌てずに済みます。本記事では、開発の現場を預かるマネージャーや人事の担当者に向けて、後任を外部人材で埋める形の違い、1年の禁止の中身、対象になる人と例外、派遣先がすべき通知、後任を派遣にするときの期間、実際にどのくらい起きるのか、つまずきやすい点を整理します。

白い棚の下に並ぶ真ちゅうのコートフック。一つに上着が掛かり、ほかのフックは空いている

後任を外部人材で埋める3つの形

社員の退職で空いた席を外部人材で埋めるとき、使われる形は大きく3つです。派遣会社に雇われた人に自社で働いてもらう派遣、仕事の一部を社外の会社や個人に任せる業務委託、そして紹介会社を通じて自社で雇う採用です。どれも外部の力を借りる点は同じですが、誰が雇い、誰が仕事の指示を出すかが違うため、従う決まりも変わります。

退職者の後任を外部人材で埋める3つの形(労働者派遣法と厚生労働省の業務取扱要領をもとに作成)
形 雇う会社 仕事の指示 後任を決めるときの主な決まり
派遣 派遣会社 自社が出す 辞めた本人を1年は受け入れられない。受け入れる期間にも上限がある
業務委託 委託先(個人なら雇用ではない) 委託先が自分で進める 任せる範囲と成果を契約で決める
紹介で採用 自社 自社が出す ふだんの採用と同じ手続き

このうち、辞めた本人が後任の候補として戻ってくる場面に法律が直接の決まりを置いているのは派遣です。以下では派遣を中心に見ていきます。

元社員を派遣で戻せない1年

労働者派遣法の第40条の9は、派遣を受ける会社(派遣先)に向けた決まりです。派遣労働者がその派遣先を離職した者であるときは、「当該離職の日から起算して一年を経過する日までの間」は、その人の派遣を受けてはならないとしています。*1 同じ法律の第35条の5は、派遣会社(派遣元)の側にも、派遣先がこの決まりに触れることになる派遣をしてはならないと定めています。受け入れる側と送り出す側の両方に、同じ禁止がかかっているわけです。

社員が辞めた日から1年を経過する日までの間に、その人を後任として受け入れられるかを形ごとに示した図。左端が離職の日、右端が1年を経過する日の横長の帯で、派遣で受け入れることは、この間はできない。ただし60歳以上の定年で退職し、派遣会社に雇われている人は例外。同じ会社の別の事業所でもできないが、グループ会社は対象外。下の帯には、業務委託や直接雇用はこの条文の対象ではないが、契約の形と働き方は別に確かめると書かれている。労働者派遣法 第40条の9・第35条の5、同施行規則 第33条の10、厚生労働省の労働者派遣事業関係業務取扱要領をもとに作成。

なぜこうした決まりがあるのか。厚生労働省の「労働者派遣事業関係業務取扱要領」(以下、要領)は、派遣の制度は常用雇用の代替防止を前提に作られており、ある企業を離職した労働者をその企業で派遣労働者として受け入れ、同じ企業の業務に就かせることは法の趣旨から見て適当ではない、と説明しています。*2 社員として雇っていた人を、いったん辞めてもらって派遣で戻すという置き換えを防ぐための決まりと読めます。

後任探しの場面では、退職した社員が派遣会社に登録し、その派遣会社から同じ職場の後任として提案される、という形で起こりえます。本人も職場も業務をよく知っているので話が進みやすいのですが、離職から1年がたつまでは、この形では迎えられません。

同じ会社と元社員の範囲

迷いやすいのは、どこまでを「同じ派遣先」と見るかです。要領は、派遣先は事業者単位でとらえるとしています。例として、ある会社のA事業所を離職した労働者を、同じ会社のB事業所へ派遣することも、離職後1年を経過しない場合は認められないと書いています。*2 東京の開発部を辞めた人を大阪の拠点の後任に迎える、という形も同じ扱いになります。

一方で、グループ企業への派遣は同一の事業者に当たらないため、この禁止の対象にはならないとしています。親会社を辞めた人が子会社に派遣で入るといった場合です。ただ、グループの中で人の行き来が多い会社では、どの会社の名前で受け入れるのかを先に確かめておくと、判断に迷わずに済みます。

元社員の範囲も広くとられています。要領は、ここでいう労働者は正社員に限られず、非正規労働者も含まれるとしています。契約社員やアルバイトとして働いていた人が辞め、派遣で戻ってくる場合も対象です。退職者の記録を正社員の分しか見ていないと、こうした人を見落としかねません。

60歳以上の定年退職者という例外

この禁止には例外が1つあります。施行規則の第33条の10は、除かれる人を「六十歳以上の定年に達したことにより退職した者」であって、その派遣をしようとする派遣元に雇われている人と定めています。*3 60歳以上の定年で退職した人が派遣会社に雇われ、元の会社に派遣で戻るのであれば、1年を待たずに受け入れられます。

要領は、この「60歳以上の定年退職者」には、継続雇用(勤務延長や再雇用)が終わった後に離職した人や、再雇用の契約期間が満了する前に離職した人なども含まれるとしています。*4 定年の後に再雇用で働き、その期間を終えて辞めたベテランの技術者も、例外に入りうるということです。

当てはまるかの確認は、労働基準法第22条第1項の退職証明や雇用保険法施行規則第16条の離職証明書などで行うとされています。書類での確認が難しい場合は本人の申告でも差し支えないが、申告を受けるときは誓約書などの書面によることが望ましい、とも書かれています。 例外に当たるかどうかは、個別の事情を派遣会社や専門家と確かめながら決めます。

なお、定年退職者に派遣ではなく業務委託で後任を頼む形については、外部人材活用で定年退職者に業務委託する、計画と同意の手順で扱っています。

派遣先が出す通知と違反したとき

受け入れる人が元社員かどうかは、どの時点で分かるのでしょうか。派遣法の第35条は、派遣元が派遣をするとき、派遣労働者の氏名などを派遣先に通知しなければならないと定めています。*1 この通知が、元社員かどうかを照らし合わせる最初の機会になります。

第40条の9の第2項は、派遣先がこの通知を受けて、その派遣を受ければ禁止に触れることになるときは、速やかにその旨を派遣元に通知しなければならないとしています。知らせ方について、施行規則の第33条の10第2項は書面の交付等によるとし、要領は書面の交付、ファクシミリ、電子メール等の送信を挙げています。*5 口頭で伝えただけで済ませず、記録の残る形で知らせることになります。

禁止に触れて受け入れた場合の扱いも、法律に書かれています。第49条の2は、厚生労働大臣が派遣先に対し、是正のために必要な措置をとるよう勧告でき、勧告に従わなかったときはその旨を公表できると定めています。要領も、離職して1年を経過していない労働者を派遣労働者として受け入れた場合の取扱いとして、この勧告と公表を挙げています。*5

後任を派遣にするときの期間

元社員かどうかとは別に、派遣で後任を置く場合は受け入れる期間にも上限があります。派遣法の第40条の2は、事業所ごとの業務について派遣を受けられる期間(派遣可能期間)を3年とし、第40条の3は、その期間を延長した場合でも、同じ組織単位で同じ派遣労働者を受け入れられるのは3年までとしています。*1 退職者の後任として派遣で来てもらった人に、そのまま長く担ってもらうつもりなら、どこかで直接の雇用や別の形を考える時期が来ます。

ただし、無期雇用の派遣労働者や、一定の期間内に終わることが予定されている事業の開始・転換・拡大・縮小・廃止のための業務などは、この期間の制限から外れます。期間の数え方と延長の手続きは、労働者派遣法の抵触日とはと派遣期間の延長で残す書面にまとめています。

実際にどのくらい起きるのか

厚生労働省は、この禁止の見直しを話し合う審議会の資料で、委託調査の結果を示しています。資料出所は「労働者派遣法施行状況調査(令和元年度実施)」です。派遣元の事業所への調査(回答1,527)では、2019年の実績で、離職後1年以内の派遣禁止に当たる人が「あった」が9.7%、「なかった」が90.3%でした。*6 1割ほどの派遣元が、元の職場へ戻ろうとする人に出会っていたことになります。

当たった人(回答148、複数回答)の離職前の雇用形態は、正社員が30.4%、正社員以外が77.7%でした。*6 前の節で触れたとおり、契約社員やアルバイトだった人のほうが多く当たっています。

派遣先への調査(回答3,452)では、当たる人が「あった」は0.3%、「なかった」が92.4%、「わからない」が7.3%でした。この禁止への考えは、「今のままでよい」が34.1%、「わからない」が37.0%、「禁止すべきでない」が15.2%、「制限は必要だが期間は1年より短くすべき」が11.5%、「制限は必要で期間は1年より長くすべき」が2.1%です。*6 派遣先の側では、そもそも当たる人がいたかを把握していない会社も一定数あると読めます。

つまずきやすい点

一つめは、照らし合わせを派遣会社に任せきりにすることです。第35条の5があるので派遣元も確かめるはずですが、本人が前の勤め先を詳しく伝えていなければ、派遣元では気づけません。派遣先にも第40条の9の禁止と通知の義務がかかっているので、届いた氏名を自社の退職者の記録と照らすのは受け入れる側の仕事でもあります。退職者の氏名と離職の日を1年分すぐに引ける形にしておくと、後任の提案が来たときに確かめやすくなります。その記録は個人情報なので、見られる人を受け入れの担当者に絞ります。

二つめは、別の部署や別の拠点なら構わないと思い込むことです。前に見たとおり、禁止は事業者単位でかかります。辞めたのが別の事業所であっても、同じ会社であれば1年の間は受け入れられません。

三つめは、派遣がだめなら業務委託で、と形だけ変えることです。第40条の9は派遣を受け入れる場面の決まりで、業務委託や直接の雇用は対象にしていません。ただ、辞めた本人に業務委託で同じ席の仕事を頼む場合、契約の形と実際の働き方が合っているかは別に問われます。後任をどの形で迎えるかは、契約書の案ができた段階で専門家に確かめておくのが確実です。

退職者が持っていたアカウントや資料を後任に渡す手順は、退職者の引き継ぎを進める、アカウントと資料の渡し方で整理しています。

まとめ:退職者の後任で確かめておきたい3つの点

外部人材活用で退職者の後任を探すうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、辞めた社員を派遣で後任に迎えることは、離職の日から1年を経過する日まで禁じられていること。第二に、その禁止は会社単位で別の事業所にも及び、契約社員やアルバイトだった人も含まれる一方、60歳以上の定年で退職した人には例外があること。第三に、派遣元から届く氏名を自社の退職者の記録と照らし、当たるなら速やかに書面などで派遣元に知らせることです。この3点を押さえておけば、「業務をよく知る元社員だからと受け入れたら、法律に触れていた」という事態を避けやすくなります。後任に任せる仕事と期間が決まっていれば、どの形で誰を探すかも選びやすくなります。

LASSICに相談するメリット

後任に任せる仕事と、受け入れたい期間が書き出せたら、次はその仕事を担う人を探す段階です。辞めた社員の担当範囲と使っていた技術が分かっていれば、求める経験がはっきりし、元社員以外の候補者からも後任を探しやすくなります。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材が必要になった時点から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で実際の業務開始まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

契約社員やアルバイトとして働いていた人も、1年の禁止の対象ですか

対象です。要領は、ここでいう労働者は正社員に限られず、非正規労働者も含まれるとしています。雇用の形にかかわらず、自社を辞めた人かどうかで判断します。

グループ会社を辞めた人を、派遣で後任に迎えることはできますか

要領は、グループ企業は同一の事業者に当たらないため、この禁止の対象にはならないとしています。ただし、辞めたのが自社の別の事業所であれば同じ会社として扱われ、1年の間は受け入れられません。

1年はいつから数えるのですか

第40条の9は「当該離職の日から起算して一年を経過する日までの間」としています。起点は退職を申し出た日ではなく離職の日です。具体的な日付で迷うときは、派遣会社と離職の日を突き合わせて確かめます。

辞めた本人に、業務委託で後任の仕事を頼むことはできますか

第40条の9は派遣を受け入れる場面の決まりで、業務委託はこの条文の対象ではありません。ただ、同じ席で社員のころと同じように指示を受けて働く形になると、契約の形と働き方が合っているかが問われます。契約書の案の段階で、専門家に確かめてから進めます。

後任に任せる仕事が決まったら相談

退職する社員の担当範囲と、後任に来てほしい時期が分かっていれば、そのままご相談いただけます。派遣か業務委託か採用か、形を決めきれていない段階でも構いません。

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出典

  1. *1 参考:e-Gov法令検索「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(昭和60年法律第88号)(https://laws.e-gov.go.jp/law/360AC0000000088)。出典:第35条(派遣先への通知)、第35条の5、第40条の2第1項・第2項、第40条の3、第40条の9、第49条の2を参照。条文はe-Gov法令API(lawdata/360AC0000000088)で取得(確認日2026年10月2日)(2026年10月確認)
  2. *2 参考:厚生労働省「労働者派遣事業関係業務取扱要領」第6 派遣元事業主の講ずべき措置等(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001683275.pdf)。出典:18「離職した労働者についての労働者派遣の禁止」の(2)意義、(3)留意点イ・ロ・ハを参照(確認日2026年10月2日)(2026年10月確認)
  3. *3 参考:e-Gov法令検索「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則」(昭和61年労働省令第20号)(https://laws.e-gov.go.jp/law/361M50002000020)。出典:第33条の10第1項・第2項を参照。条文はe-Gov法令API(lawdata/361M50002000020)で取得(確認日2026年10月2日)(2026年10月確認)
  4. *4 参考:厚生労働省「労働者派遣事業関係業務取扱要領」第4 事業報告等(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001459046.pdf)。出典:2の(2)ロ(「60歳以上の定年退職者」の範囲)・ハ(確認の方法)を参照。第6の18(3)イがこの取扱いと同様とする(確認日2026年10月2日)(2026年10月確認)
  5. *5 参考:厚生労働省「労働者派遣事業関係業務取扱要領」第7 派遣先の講ずべき措置等(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001459049.pdf)。出典:11「離職した労働者についての労働者派遣の役務の提供の受入れの禁止」の(1)概要、(3)通知の方法、(4)受け入れた場合の取扱いを参照(確認日2026年10月2日)(2026年10月確認)
  6. *6 参考:厚生労働省「離職後1年以内の労働者派遣の禁止について」(資料3)(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000640291.pdf)。出典:資料出所は厚生労働省委託「労働者派遣法施行状況調査(令和元年度実施)」。派遣元調査(N=1,527、2019年の実績)と該当者の離職前の雇用形態(N=148、複数回答)、派遣先調査(N=3,452)を参照(確認日2026年10月2日)(2026年10月確認)




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