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エンジニア人材紹介に求人依頼する前に確かめたい3つの点
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- 人材紹介会社全体で、ソフトウェア開発の求人数(常用)は令和6年度に71.8%増え、就職件数は11.4%増えました。
- 厚生労働省の報告書は、同じ求人を複数の紹介会社に出した分の重複が求人数に含まれると注記しています。
- 求人依頼の前に、同じ候補者が別の紹介会社からも来たときの扱い、就職実績、手数料表の3点を確かめます。
※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
エンジニアの募集を人材紹介会社に頼んだのに、なかなか紹介が来ない。いくつかの紹介会社に同時に頼んだら、同じ候補者が別々の会社から紹介されてきた——。エンジニアの中途採用では、こうした戸惑いが起こりがちです。エンジニア人材紹介の求人依頼とは、手数料を受け取って職業紹介を行う人材紹介会社に、エンジニアの求人を申し込むことを指します。
紹介会社全体でエンジニアの求人依頼がどれだけ出ているかは、厚生労働省の「令和6年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報)」で確かめられます。紹介会社の事業所ごとの報告を集計した資料で、令和8年(2026年)3月31日に公表されました。*1 ただし、この求人数には重複が含まれます。本記事では、エンジニアを採用する実務担当者に向けて、求人依頼の仕組み、統計に表れた求人数と就職件数、数字を読むときの注意点、そして依頼する前に確かめたい点を整理します。
目次
エンジニア人材紹介の求人依頼とは
職業安定法第4条第1項は、職業紹介を、求人と求職の申込みを受けて、求人者と求職者の間で雇用関係が成り立つよう仲立ちすることと定めています。会社が人材紹介会社に出す求人依頼は、この求人の申込みに当たります。同じ条は、名目を問わず手数料や報酬を受けないで行うものを無料の職業紹介、それ以外を有料の職業紹介としています。*2 手数料を受け取る人材紹介会社は、有料の職業紹介を行う事業者です。
報告書は、求人数を常用求人と臨時日雇求人に分けて数えています。常用とは、4か月以上の期間を定めて雇用されるもの、または期間の定めなく雇用されるものです。*1 臨時日雇は数え方の単位が違うため、本記事では常用の数字だけを見ていきます。
報告書の区分は職業ごとで、「エンジニア」という名前の区分はありません。近いのは「情報処理・通信技術者(ソフトウェア開発)」と「情報処理・通信技術者(ソフトウェア開発を除く)」の2つです。本記事では前者を中心に見て、後者も並べます。無料の職業紹介の数字は扱いません。
求人数と就職件数はどう変わったか
有料職業紹介の「情報処理・通信技術者(ソフトウェア開発)」の常用求人数は、令和5年度の75万2,416人から、令和6年度には129万2,806人に増えました。対前年度の増減率は71.8%です。ソフトウェア開発を除く区分も、55万8,328人から75万4,162人へ35.1%増えています。*1 2つの区分を合わせて計算すると、131万744人から204万6,968人で、56.2%の増加になります。
就職件数も見ておきます。ソフトウェア開発の区分の常用就職件数は、令和5年度の3万5,709件から令和6年度の3万9,780件へ、11.4%の増加でした。ソフトウェア開発を除く区分は、2万4,102件から2万6,882件へ11.5%増えています。*1 どちらの区分でも、就職件数の伸びは求人数の伸びよりずっと小さくなっています。
| 区分 | 項目 | 令和5年度 | 令和6年度 | 対前年度増減率 |
|---|---|---|---|---|
| ソフトウェア開発 | 常用求人数 | 752,416人 | 1,292,806人 | 71.8% |
| ソフトウェア開発 | 常用就職件数 | 35,709件 | 39,780件 | 11.4% |
| ソフトウェア開発を除く | 常用求人数 | 558,328人 | 754,162人 | 35.1% |
| ソフトウェア開発を除く | 常用就職件数 | 24,102件 | 26,882件 | 11.5% |
なぜ求人数をそのまま比べられないのか
報告書は概要の注記で、「求人者及び求職者は複数の職業紹介事業者を利用する場合があるため、新規求職申込件数及び求人数は重複計上がある」としています。*1 重複計上とは、同じものを重ねて数えることです。報告は事業所ごとに集計されるので、同じ求人を3社の紹介会社に出せば、3社それぞれの報告に数えられることになります。
そのため、71.8%の増加のうち、求人を出す会社や募集する人数が増えた分と、同じ求人を複数の紹介会社に出したことで重なった分は、分けられません。重複を除いた求人数は報告書に載っていません。ソフトウェア開発の区分は表に2年分しかないので、例年と比べることもできません。求人を出す側としては、この伸びをそのまま「エンジニアを探す会社がこれだけ増えた」と受け取らず、重複を含んだ数として扱っておくと、判断を誤りにくくなります。
就職件数の伸びが小さいからといって、就職に結びつかない求人が増えたとは言い切れません。求人数には重複を含むという注記があり、就職件数には同じ注記がないので、就職件数を求人数で割っても、募集した人のうち就職した人の割合にはなりません。
依頼先の就職実績をどう確かめるのか
令和6年度に事業報告を提出した有料職業紹介事業所は3万561事業所で、そのうち就職実績のあった事業所は1万3,946事業所でした。*1 割合を計算すると45.6%で、半分を下回ります。この数は職業の区分も、常用と臨時日雇の別も分けていません。また、事業所ごとの数なので、1社が複数の事業所を持っていれば紹介会社の数とは一致しません。それでも、事業所の半分以上に令和6年度の就職実績がなかったことは、依頼先の実績を確かめる理由になります。
紹介会社は、実績の一部をインターネットで公開することになっています。職業安定法施行規則は、職業安定法の細かい事項を定めた厚生労働省の規則です。その第24条の8第3項は、有料職業紹介事業者に、紹介により就職した者の数などをインターネットで提供するよう定めています。ただし、取扱職種(扱う職種)ごとに示すとされているのは手数料に関する事項だけで、就職した者の数は職種ごととはされていません。*3 ソフトウェア開発の職種でどれだけ就職が決まったかは、依頼先に直接尋ねて確かめることになります。
尋ねるときは、ソフトウェア開発の職種で就職が決まった件数に加えて、決まった人がどんな仕事を担当しているか、自社と近い規模や業種の会社への紹介があるかも聞いておくと、依頼先どうしを比べやすくなります。答えが職種を分けない全体の数だけであれば、その理由も尋ねておきます。就職者数や離職者数の数え方は、「エンジニア人材紹介の乗り換え、離職者数はなぜ2通りで数えるのか」で扱っています。
手数料表の見方
職業安定法第32条の3第1項は、有料職業紹介事業者が手数料を受け取れる場合を2つに限っています。1つは厚生労働省令で定める種類と額の手数料、もう1つはあらかじめ厚生労働大臣に届け出た手数料表に基づく手数料です。*2 前者については、施行規則の別表が受付手数料や紹介手数料といった種類ごとに額の上限を定めています。*3 報告書の「上限制手数料」が前者、「届出制手数料」が後者に当たると読めます。
令和6年度のソフトウェア開発の区分では、手数料の合計598億7,928万6千円のうち、届出制手数料が596億6,495万9千円、上限制手数料が2億1,432万7千円でした。*1 金額で見ると99.6%が届出制で、手数料の額は、ほとんどが紹介会社ごとの手数料表で決まっています。施行規則第24条の5第4項は、有料職業紹介事業者に、手数料表を事業所内への掲示やインターネットなどで示すよう定めています。*3 求人依頼の前に依頼先の手数料表を見ておくと、採用が決まった後に、手数料の額が想定と違ったという事態を避けやすくなります。手数料の見比べ方は「人材紹介会社の選び方」で扱っています。
つまずきやすい点
一つ目は、依頼先を増やすほど良い紹介が集まると考えてしまうことです。先の注記のとおり、求職者の側も複数の紹介会社を利用する場合があります。依頼先を増やすほど、同じ人が別々の紹介会社から紹介されることもあり得ます。手数料を受け取るのは紹介をした紹介会社なので、どちらの紹介として扱うかで、手数料を支払う相手が変わり得ます。依頼先ごとに、ほかの紹介会社から先に紹介されていた人の扱いを、最初に尋ねておきます。
二つ目は、紹介手数料を「1件いくら」で比べようとすることです。報告書の手数料の表は常用と臨時日雇を分けていないので、手数料の合計を常用就職件数で割っても、1件あたりの手数料にはなりません。依頼先の手数料表と、依頼先がインターネットで示している実績を、それぞれ確かめて比べるほうが確実です。
三つ目は、任せる役割と期間を決めないまま求人依頼を出すことです。人材紹介で採用した人は、自社の社員として雇うことになります。決まった期間の開発を手伝ってほしいのか、長く社員として働いてほしいのかで、求人依頼に書く中身も、そもそも人材紹介を使うかどうかも変わります。依頼の前に、任せる作業と期間を書き出しておくと進めやすくなります。たとえば「既存の販売管理システムの改修を半年ほど」なのか、「自社サービスの開発を長く担当してもらう」なのかが決まっていれば、紹介会社にも条件を正確に伝えられます。
まとめ:人材紹介で確かめておきたい3つの点
エンジニア人材紹介に求人依頼を出すうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、同じ人が別々の紹介会社から紹介されたときの扱いを、依頼先ごとに尋ねておくこと。第二に、依頼先がソフトウェア開発の職種で就職を決めた実績を、直接確かめること。第三に、依頼先の手数料表を見て、手数料がどう決まるかを把握しておくことです。この3点を踏まえておけば、「紹介会社に頼んだものの、実績も手数料もよく分からないまま採用が決まった」という事態を避けやすくなります。求人依頼の出し方や、採用と業務委託のどちらで進めるかに迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。
よくある質問
報告書の「情報処理・通信技術者」には、どんな職種が入りますか
2つの区分にどの職種が入るかの説明は、報告書にはありません。「エンジニア」という区分もないため、本記事ではソフトウェア開発の区分を中心に、ソフトウェア開発を除く区分も並べて見ています。
4か月より短い期間の募集は、統計でどう数えられますか
常用求人には入りません。報告書は求人を常用と臨時日雇に分けており、臨時日雇は求人も就職も人数に日数を掛けた「人日」という延べの単位で数えています。*1 単位が違うため、常用の数字とは並べて比べられません。
エンジニアの紹介手数料は1件いくらですか
報告書からは、ソフトウェア開発の区分の1件あたりの額は出せません。依頼先がインターネットで示す手数料の実績は、施行規則第24条の8第3項第4号が定める、取扱職種ごとの常用就職1件当たりの平均手数料率で、額ではなく率です。平均手数料率は、手数料が、就職した人に1年間に支払われる見込みの賃金の何%に当たるかを、就職1件ごとに平均した値とされています。*3
採用と外部人材を並べて考えたいとき
求人依頼を出す前に、必要な役割と期間を整理するところからご相談いただけます。
リモートワークで働く社員の候補者はリラシクで、業務委託で開発に加わる専門人材はRemoguでお探しいただけます。
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出典
- *1 参考:厚生労働省「令和6年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報)」(https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001683019.pdf)。出典:厚生労働省「令和6年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報)」(令和8年3月31日公表)。概要(重複計上の注記、常用の定義、事業報告を提出した事業所数)、常用求人数・常用就職件数(有料)、臨時日雇の単位、手数料徴収状況(令和6年度)を参照(2026年9月確認)
- *2 参考:職業安定法(昭和22年法律第141号)(e-Gov法令検索)(https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000141)。出典:職業安定法(昭和22年法律第141号)。第4条第1項から第3項(職業紹介、無料の職業紹介、有料の職業紹介)、第32条の3第1項(手数料)を参照(2026年9月確認)
- *3 参考:職業安定法施行規則(昭和22年労働省令第12号)(e-Gov法令検索)(https://laws.e-gov.go.jp/law/322M40002000012)。出典:職業安定法施行規則(昭和22年労働省令第12号)。第20条第1項・第5項と別表(手数料の種類と額、届出制手数料届出書)、第24条の5第4項(手数料表の情報提供)、第24条の8第3項(インターネットによる情報提供、平均手数料率)を参照(2026年9月確認)