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開発案件の種別の違い、改修・保守51.5%と新規開発29.1%
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- 改修・保守が51.5%:761件です*1。
- 新規開発は29.1%:430件です*1。
- 平均は中央値の約4.79倍:規模は平均で語れません*1。
※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関・ベンダー公式ドキュメント)に基づきます。
遅れている案件に人を足すか。判断のために相場と比べようとします。よくある手順です。
ところがその相場が、どんな案件の集まりから出た値かを確かめていないことがあります。
手がかりは、IPAが収集した開発プロジェクトのプロファイルです。
資料を見ると、収集されたプロジェクトの51.5%が改修・保守で、新規開発は29.1%でした*1。
規模は中央値31.8KSLOCですが、平均は152.2KSLOCで約4.79倍になります*1。
目次
相場と比べる前に、その相場の中身を見る
遅れている工程に人を足すか。判断の材料に業界の相場を使うことがあります。
ただし相場は、どんな案件を集めた値かで変わります。そこを見ないと当てはめを誤ります。
収集したプロジェクトのプロファイルを載せた資料があります*1。IPAの「ソフトウェア開発分析データ集2022」です*1。
発行元も示されています*1。独立行政法人情報処理推進機構の社会基盤センターです*1。
規模も書かれています*1。表紙に「5,546プロジェクトの定量データからソフトウェアの信頼性を中心に分析」と記されています*1。
分析の対象年度も示されています*1。2016年度から2021年度で、2014年度から2019年度と比較されています*1。
扱いにも決まりがあります*1。本書の著作権はIPAが保有し、無断の改変や公衆送信などは禁じられているとされています*1。この記事は資料に示された数値を引用したもので、資料の図表そのものを複製したものではありません*1。
資料の構成も示されています*1。第1章はソフトウェア開発データのプロファイルで、1.2節は主要なプロファイルを紹介し、その他のプロファイルはA3.1節に掲載されているとされています*1。
今回見るのは3つです*1。開発プロダクトの種別、プラットフォーム、SLOC規模です*1。
案件の半分は改修・保守
まず種別を見ます*1。上端は「改修・保守」で761件、51.5%でした*1。
2番目が新規開発です*1。430件で29.1%になります*1。
残りも並べます*1。「拡張」が123件8.3%、「再開発」が107件7.2%、「パッケージ利用開発」が48件3.2%、「OSSを含む流用開発」が10件0.7%です*1。
合計を確かめます*1。6つを足すと1,479件、丸めた比率を足すと100.0になります*1。補数は使いません*1。
上の2つも足します*1。改修・保守761件と新規開発430件で1,191件、80.5%です*1。この足し算はこの記事で行ったものです*1。
資料は経年でも見ています*1。2014年度から2019年度と比べて、新規開発が32.5%から29.1%へ、改修・保守が45.8%から51.5%へ動いています*1。
差も出しておきます*1。新規開発が3.4ポイント減り、改修・保守が5.7ポイント増えました*1。この引き算はこの記事で行ったものです*1。
資料は傾向も書いています*1。以前から同じ傾向で、新規開発が減り改修・保守が増えつつあるとされています*1。
集計の対象も示されています*1。資料は「103_開発プロジェクトの種別」を集計対象データとしています*1。
読み方はこうです*1。この母集団は改修・保守が半分を占めます*1。新規開発の相場として読むと、ずれます*1。
Linux系とWindowsのサーバ系で6割
次にプラットフォームです*1。資料は第1回答の件数と比率を示しています*1。
上端はLinux系でした*1。427件で30.7%です*1。
2番目がWindowsのサーバ系です*1。415件で29.9%になります*1。
残りも並べます*1。WindowsのPC系が220件15.8%、メインフレーム系が129件9.3%、UNIX系が116件8.3%、その他が83件6.0%でした*1。
合計は1,390件で100.0%です*1。種別の1,479件とは件数が違います*1。設問ごとに答えのある件数が違うためです*1。
束ねた値も出します*1。Windowsの2つを足すと635件45.7%、Linux系とUNIX系を足すと543件39.1%です*1。この束ね方はこの記事の側で、資料が分類しているわけではありません*1。
こちらも集計の対象が示されています*1。「309_開発対象プラットフォーム1」で、第1回答だけを数えたものです*1。
読み替えに注意が要ります*1。第1回答なので、複数のプラットフォームを使う案件でも1つだけが数えられています*1。
読み方はこうです*1。メインフレーム系は9.3%で、母集団の大半はサーバ系とPC系です*1。
規模は中央値31.8KSLOC、平均は約4.79倍
3つ目は規模です*1。資料はSLOC規模の代表値を表で示しています*1。
表記を1つ決めます*1。資料の表の列名は下端と上端を別の語で示していますが、この記事では下端・上端と表記します*1。
件数と代表値です*1。Nは1,350件、下端0.0、P25が9.9、中央値が31.8、P75が96.1、上端が21,759.0、平均が152.2、標準偏差が790.9で、単位はKSLOCです*1。
資料の読みも引きます*1。100KSLOC以下のものがおよそ4分の3を占め、中央値は2014年度から2019年度の32.6KSLOCとほとんど変わらないとされています*1。
集計対象の定義も引きます*1。資料は「実効SLOC実績値」を使っており、コメント行と空行を除外したSLOC実績値と説明されています*1。
分布の刻みも示されています*1。図は200KSLOC以下を10KSLOC刻みで並べたものです*1。
ここで比を出します*1。平均152.2は中央値31.8の約4.79倍、標準偏差790.9は中央値の約24.87倍です*1。
比を自分で出した理由も書いておきます*1。資料は代表値を並べていますが、平均と中央値の比は印字されていません*1。
四分位の幅も出します*1。P75の96.1はP25の9.9の約9.71倍でした*1。いずれもこの記事で計算した値です*1。
読み方はこうです*1。上端が21,759.0KSLOCまで伸びているため、平均が中央値から大きく離れます*1。規模の相場を平均で語ることはできません*1。
実務での意味はこうです。自社の案件を当てはめるときは、中央値とP25・P75の3つの点で位置を確かめます。
この集計から読めないこと
使う前に、限界を並べておきます*1。
第一に、種別ごとの規模や工期が読めません*1。ここで見たのは全体のプロファイルです*1。
第二に、遅延の有無が読めません*1。収集したプロジェクトの属性を示す節です*1。
第三に、プラットフォームと種別の組み合わせが読めません*1。それぞれ別の表で、掛け合わせてはいません*1。
第四に、件数の違いが残ります*1。種別は1,479件、プラットフォームは1,390件、SLOC規模は1,350件で、同じ母集団の同じ部分ではありません*1。
第五に、提供企業の偏りが残ります*1。IPAにデータを提供した企業のプロジェクトであり、業界全体を代表する抽出ではありません*1。
第六に、この母集団が自社に当てはまるかは分かりません*1。当てはめる前に、種別とプラットフォームを確かめる必要があります*1。
第七に、1.2節は主要なプロファイルだけを扱っています*1。その他のプロファイルは別の節に置かれており、この記事はそこまで見ていません*1。
第八に、束ねた値と比はこの記事で計算したものです*1。資料が印字している値ではありません*1。
相場と比べる4段
ここまでの分布を、自社の手順に落とします*1。
| 開発プロダクトの種別 | 件数 | 比率 |
|---|---|---|
| 改修・保守 | 761件 | 51.5% |
| 新規開発 | 430件 | 29.1% |
| 拡張 | 123件 | 8.3% |
| 再開発 | 107件 | 7.2% |
| パッケージ利用開発 | 48件 | 3.2% |
| OSSを含む流用開発 | 10件 | 0.7% |
1段目は、遅れている案件の種別を1つ選ぶことです。改修・保守か新規開発かで相場が変わります。
2段目は、その案件の規模を中央値と四分位のどこに置くかを見ることです。3つの点で挟みます。
3段目は、平均ではなく中央値と四分位で比べることです。平均は上端に引っ張られます。
4段目は、相場から外れている分だけを人か期間で埋めることです。全体を積み増しません。
1段目を先に置く理由は、分布に出ています*1。母集団の51.5%が改修・保守で、新規開発は29.1%です*1。種別を決めずに相場を引くと、半分は別の種別の値を見ることになります*1。
種別ごとの数字は別の資料節にあります*1。月あたりの要員数の違い、新規開発7.7人と改修・保守5.6人と改良開発と新規開発のテスト量の違い、中央値で1.8倍で扱っています。
2段目で3つの点を使う理由は幅です*1。P25の9.9とP75の96.1で約9.71倍の開きがあります*1。1点では位置が決まりません*1。
3段目で平均を外す理由は上端です*1。上端21,759.0KSLOCに引かれて、平均152.2は中央値31.8の約4.79倍になります*1。標準偏差も790.9で中央値の約24.87倍です*1。
4段目で差分だけを埋める理由は、当てはまるかどうかが分からないためです*1。プラットフォームはLinux系30.7%とWindowsのサーバ系29.9%が中心で、自社の環境と違えば前提も変わります*1。
実務では、4段目で足りないと判断した分が外部要員の枠になります。フリーランスを含む業務委託は、この枠と相性があります。差分を範囲と期間で区切って渡せるためです。
逆に、1段目の種別の判定と3段目の比べ方を外へ出すと、どこから足りないかの決めが外に出ます。ここは社内に置きます。
体制の相場は外部委託工数比率とは、中央値63.4%が示す体制の相場で同じ資料の別の節を扱っています。
規模ごとの生産性はFP生産性とは、規模が大きいほど中央値が下がる指標で整理しています。
最後に範囲を添えておきます*1。この資料は2016年度から2021年度を分析対象とし、表紙に5,546プロジェクトの定量データと記されています*1。
まとめ:種別を決めてから、中央値と四分位で位置を確かめる
第一に、資料です。IPAの「ソフトウェア開発分析データ集2022」は独立行政法人情報処理推進機構の社会基盤センターが発行し、表紙に「5,546プロジェクトの定量データからソフトウェアの信頼性を中心に分析」と記されています。分析対象は2016年度から2021年度で、2014年度から2019年度と比較されています。本書の著作権はIPAが保有し、無断の改変や公衆送信などは禁じられています。この記事は資料に示された数値を引用したもので、資料の図表そのものを複製したものではありません。第二に、開発プロダクトの種別です。改修・保守が761件51.5%、新規開発が430件29.1%、拡張が123件8.3%、再開発が107件7.2%、パッケージ利用開発が48件3.2%、OSSを含む流用開発が10件0.7%で、合計1,479件・100.0%でした。上の2つを足すと1,191件80.5%です。2014年度から2019年度と比べて新規開発が3.4ポイント減り、改修・保守が5.7ポイント増えています。第三に、プラットフォームです。第1回答はLinux系427件30.7%、Windowsのサーバ系415件29.9%、WindowsのPC系220件15.8%、メインフレーム系129件9.3%、UNIX系116件8.3%、その他83件6.0%で、合計1,390件・100.0%でした。Windowsの2つで635件45.7%、Linux系とUNIX系で543件39.1%になります。第四に、SLOC規模です。Nは1,350件で、下端0.0、P25が9.9、中央値が31.8、P75が96.1、上端が21,759.0、平均が152.2、標準偏差が790.9、単位はKSLOCです。100KSLOC以下がおよそ4分の3を占め、中央値は2014年度から2019年度の32.6KSLOCとほとんど変わりません。第五に、比です。平均は中央値の約4.79倍、標準偏差は中央値の約24.87倍、P75はP25の約9.71倍でした。第六に、件数の違いです。種別は1,479件、プラットフォームは1,390件、SLOC規模は1,350件で、同じ部分を見ているわけではありません。
よくある質問
収集されたプロジェクトはどんな種別が多いのですか。
IPAの「ソフトウェア開発分析データ集2022」では、改修・保守が761件51.5%、新規開発が430件29.1%でした。以下、拡張が123件8.3%、再開発が107件7.2%、パッケージ利用開発が48件3.2%、OSSを含む流用開発が10件0.7%で、合計1,479件です。上の2つで1,191件80.5%を占めます(確認日2026年9月15日)。
新規開発と改修・保守の割合は変わっているのですか。
資料は2014年度から2019年度と比較しています。新規開発が32.5%から29.1%へ、改修・保守が45.8%から51.5%へ動いており、差は新規開発が3.4ポイント減、改修・保守が5.7ポイント増です。資料は以前から同じ傾向だとしています。
プロジェクトの規模はどれくらいですか。
SLOC規模はNが1,350件で、中央値が31.8KSLOCでした。P25が9.9、P75が96.1で、100KSLOC以下がおよそ4分の3を占めます。中央値は2014年度から2019年度の32.6KSLOCとほとんど変わりません。
平均を使ってはいけないのですか。
この分布では使えません。平均は152.2KSLOCで中央値31.8KSLOCの約4.79倍、標準偏差は790.9で中央値の約24.87倍です。上端が21,759.0KSLOCまで伸びているため、平均が中央値から大きく離れます。中央値とP25・P75の3つの点で位置を確かめてください。
この相場を自社にそのまま当てはめてよいですか。
当てはまるかどうかは分かりません。母集団はIPAにデータを提供した企業のプロジェクトで、業界全体を代表する抽出ではありません。プラットフォームはLinux系30.7%とWindowsのサーバ系29.9%が中心で、メインフレーム系は9.3%です。種別と環境を確かめてから使うことになります。
出典
- *1 参考:IPA「ソフトウェア開発分析データ集2022」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/metrics/metrics2022.html)。出典:IPA「ソフトウェア開発分析データ集2022」。独立行政法人情報処理推進機構 社会基盤センター発行。表紙の「5,546プロジェクトの定量データからソフトウェアの信頼性を中心に分析」、分析対象が2016年度から2021年度で2014年度から2019年度と比較されていること、1.2.1の開発プロダクトの種別、1.2.4のプラットフォーム、1.2.5のSLOC規模の一次情報として。本書の著作権はIPAが保有し無断の改変や公衆送信などは禁じられているため、この記事は示された数値を引用し、図と表は数値をもとに筆者が作成した。資料の図表そのものは複製していない(2026年9月確認)
- *2 参考:IPA「ソフトウェア開発分析データ集2022」本編(PDF)(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/metrics/hjuojm000000c6it-att/000102171.pdf)。1.2.1の開発プロダクトの種別(累積件数と比率)、1.2.4のプラットフォーム(第1回答の件数と比率)、1.2.5のSLOC規模(N・下端・P25・中央値・P75・上端・平均・標準偏差)を読んだ資料本体として(2026年9月確認)
- *3 参考:IPA「ソフトウェア開発分析データ集」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/metrics/index.html)。この資料が置かれている調査群の構成と、年度ごとに公開されていることの確認として(2026年9月確認)
- *4 参考:IPA「ソフトウェア開発関連調査」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/index.html)。IPAが公開している開発関連の調査群の構成の確認として(2026年9月確認)