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2026.09.10 採用支援コラム

事業に必要な技術と社内の強みの差、外部に頼む技術の決め方

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

草地に積まれた石垣

この記事の結論

  • IPAの調査では、要素技術21項目のすべてで、強みとする企業の割合が必要とする企業の割合を下回りました。
  • 開発技術で強みが必要を上回ったのは設計・実装技術だけで、要件定義や評価・検証は下回りました。
  • 差の大きいクラウドやセキュリティなどは、期間と成果物を決めて外部に頼む候補になります。

※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

次の案件でクラウドもセキュリティも必要だと分かっている。けれども、社内にそれを強みと言える人がいるかと聞かれると答えに詰まる——。システム開発を進める企業では、こうした食い違いが起こりがちです。事業に必要な技術とは、自社の製品やサービスを作り、動かし続けるために欠かせない技術のことで、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の調査では要素技術と開発技術に分けて整理されています。

必要な技術を書き出して社内の強みと比べておくと、どの技術を社内で育て、どの技術を外部に頼むかを決めやすくなります。ただし万能ではなく、この比較だけでは、誰にどれだけの作業を頼めばよいかまでは分かりません。本記事では、エンジニアを採用・手配する実務担当者に向けて、調査に見る必要な技術と強みの差、差の大きい技術、外部に頼む技術を決める手順、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。

事業に必要な技術とは

IPAの「2022年度組込み/IoTに関する動向調査」は、機器に組み込むソフトウェアや、IoT(機器をネットにつなぐ仕組み)に関わる製品・サービスの事業者と利用者を対象にした調査で、2023年6月に公開されました。調査票を郵送で7,864件配布し、有効回答は1,214件でした。*1 このうちQ21という設問が、事業を推進するための技術を「現在必要な技術」と「強みとしている技術」に分けて尋ねています。

技術は2種類に分かれています。要素技術は、クラウド活用技術、セキュリティ技術、AI技術、センサ技術など、製品やサービスに使う個々の技術で、21項目あります。開発技術は、要求獲得・要件定義、設計・実装、評価・検証、運用・保守の4項目です。要求獲得・要件定義は、利用する人の要望を聞き出して、何を作るかを決める作業を指します。開発技術は、作る仕事の段階ごとの技術だと考えると分かりやすいでしょう。

集計の対象は、製品を利用する企業や作る企業など、資料が分けた5つの業態すべてです。「現在必要な技術」には841件、「強みとしている技術」には727件の回答があり、どちらも複数回答です。*1 必要と強みは別々に集計した割合なので、本記事で2つの割合から計算した差は、「必要なのに強みではない」と答えた企業の割合ではありません。

開発技術の必要と強み

開発技術の4項目では、必要とする割合がいちばん高いのは設計・実装技術の57%でした。強みとする割合も、同じ設計・実装技術が62%でいちばん高くなっています。強みが必要を上回ったのは、4項目のうちこの1項目だけです。*1

残る3項目は、強みが必要を下回りました。要求獲得・要件定義技術は必要49%に対して強み33%、評価・検証技術は44%に対して36%、運用・保守技術は40%に対して32%です。*1 差を計算すると、要求獲得・要件定義技術が16ポイント、評価・検証技術と運用・保守技術がそれぞれ8ポイントになります。

何を作るかを決める要件定義と、作ったものを確かめる評価・検証は、強みとする企業が少ない側です。プログラムを書ける人を探す前に、要件を固める人と、出来上がったものを確かめる人をどう確保するかを考えておくと、案件を進めやすくなります。

要素技術の必要と強み

要素技術の21項目では、すべての項目で強みとする割合が必要とする割合を下回りました。*1 必要とする割合がいちばん高いのはクラウド活用技術の48%で、強みとする割合は20%です。続いて、無線通信・ネットワーク技術が必要40%・強み28%、セキュリティ技術が必要39%・強み16%でした。

その下には、センサ技術(必要32%・強み21%)、IoTシステム構築技術(31%・18%)、AI(機械学習、ディープラーニング等)技術(30%・13%)などが並びます。21項目のうち11項目は、必要とする割合が20%以下でした。*1 すべての項目の値は、次の節の表にまとめています。

IPA「2022年度組込み/IoTに関する動向調査」のQ21の値を用いて作成した図。現在必要な技術はN841件、強みとしている技術はN727件の複数回答で、差は2つの比率から計算した値。開発技術4項目は、設計・実装技術が必要57・強み62、要求獲得・要件定義技術が49と33、評価・検証技術が44と36、運用・保守技術が40と32で、設計・実装技術だけが強みが必要を5ポイント上回る。要素技術は、クラウド活用技術48と20、無線通信・ネットワーク技術40と28、セキュリティ技術39と16、センサ技術32と21、IoTシステム構築技術31と18、AI技術30と13、デバイス技術29と20、画像・音声認識技術/合成技術27と17、ビッグデータの収集・分析・解析技術23と10、リアルタイム技術22と15で、21項目すべてで強みが必要を下回る。差はクラウド活用技術28ポイント、セキュリティ技術23ポイント、AI技術17ポイント、要求獲得・要件定義技術16ポイントの順に大きく、10ポイント以上は9項目、最小は制御系プラットフォーム技術の3ポイント。あわせて、外部に頼む技術を決める4つの手順(必要な技術を要素技術と開発技術に分けて書き出す、社内で強みと言えるかを書き込む、社内で育てるか外部に頼むかに分ける、外部に頼む技術だけ期間と成果物を決めて委託する)を示す。

要素技術のうち、強みとする割合がいちばん高い無線通信・ネットワーク技術でも28%にとどまります。自社の案件でも、社内に得意な人がいない技術を前提に計画が組まれていないかを、一度確かめておくとよいでしょう。

差が大きい技術はどれか

必要と強みの割合の差を計算して並べると、いちばん大きいのはクラウド活用技術の28ポイントです。次いでセキュリティ技術が23ポイント、AI技術が17ポイント、開発技術の要求獲得・要件定義技術が16ポイントでした。差が10ポイント以上ある技術は、要素技術8項目と開発技術1項目の、合わせて9項目あります。

差がいちばん小さいのは制御系プラットフォーム技術で、必要12%・強み9%の3ポイントです。差は3ポイントから28ポイントまで開いているので、技術ごとに、社内で育てるか外部に頼むかを分けて考えられます。

事業を推進するための技術の必要と強み(IPA「2022年度組込み/IoTに関する動向調査」Q21の値を用いて筆者が作成。差は2つの割合から計算)
技術 必要(841件) 強み(727件) 差
設計・実装技術(開発技術) 57% 62% 強みが5ポイント上
要求獲得・要件定義技術(開発技術) 49% 33% 16ポイント
評価・検証技術(開発技術) 44% 36% 8ポイント
運用・保守技術(開発技術) 40% 32% 8ポイント
クラウド活用技術 48% 20% 28ポイント
無線通信・ネットワーク技術 40% 28% 12ポイント
セキュリティ技術 39% 16% 23ポイント
センサ技術 32% 21% 11ポイント
IoTシステム構築技術 31% 18% 13ポイント
AI(機械学習、ディープラーニング等)技術 30% 13% 17ポイント
デバイス技術 29% 20% 9ポイント
画像・音声認識技術/合成技術 27% 17% 10ポイント
ビッグデータの収集・分析・解析技術 23% 10% 13ポイント
リアルタイム技術 22% 15% 7ポイント
ユーザーインタフェース技術/フィジカルコンピューティング 20% 14% 6ポイント
モデリング技術 18% 12% 6ポイント
シミュレーション技術 18% 10% 8ポイント
エッジコンピューティング/フォグコンピューティング 15% 8% 7ポイント
セーフティ技術 14% 6% 8ポイント
仮想化技術への取り組み 13% 7% 6ポイント
制御系プラットフォーム技術 12% 9% 3ポイント
ユーザーエクスペリエンス技術 12% 7% 5ポイント
アクチュエータ技術 11% 7% 4ポイント
低遅延技術 11% 7% 4ポイント
更新技術 9% 4% 5ポイント

差の大きいクラウド、セキュリティ、AI、要件定義は、いずれも案件ごとに求められる作業の中身が変わる分野です。社員を常に置いておくより、案件に合わせて専門の人に加わってもらうほうが進めやすい技術だといえます。

外部に頼む技術をどう決めるのか

調査の結果を自社に当てはめるには、次の4つの手順で整理します。

  1. 次の案件で必要な技術を、要素技術と開発技術に分けて書き出す
  2. それぞれについて、社内で強みと言えるかを書き込む
  3. 必要だが強みでない技術を、社内で育てるか外部に頼むかに分ける
  4. 外部に頼む技術だけ、期間と成果物を決めて委託する

1つ目で要素技術と開発技術を分けるのは、2つの間で強みと必要の関係が違うからです。開発技術では設計・実装技術の強みが必要を上回っていましたが、要素技術は21項目すべてで下回っていました。*1 分けて書き出しておくと、社内で得意な作業と苦手な作業を見分けやすくなります。

2つ目の強みの判断は、自社で基準を決めます。調査の中に、何をもって強みとするかの基準は示されていません。「その技術で担当できる社員の名前を書ける」ことを強みとみなす、といった決め方にしておくと、書き込む人によって判断が分かれにくくなります。

3つ目では、1つの技術を「育てる」と「外部に頼む」の両方にしないことが大切です。調査で差の小さい技術は社内で育てる側に、差が大きく案件ごとに中身が変わる技術は外部に頼む側に置くと考えやすくなります。4つ目では、「クラウドに詳しい人」のように技術名だけで頼まず、いつまでに何を作ってもらうかを決めます。そうしないと、何が届けば作業が終わったといえるのかが決まりません。

1つ目と2つ目は社内で行います。ここまで委託先に任せると、何を委託するかまで委託先が決めることになるためです。

つまずきやすい点

一つ目は、調査の差をそのまま自社で足りない量と見てしまうことです。調査の差は、回答した企業全体での2つの割合の開きです。自社でどの技術がどれだけ足りないかは、手順の2つ目で自社の強みを書き込んで確かめます。

二つ目は、プログラムを作れる人ばかりを探してしまうことです。要件定義や評価・検証を誰が担当するのかが決まらないまま、案件が始まってしまいます。どの作業の段階を任せたいのかを先に決めておくと、探す人の条件がはっきりします。

外部に委託するときに確認しておきたい点

手順の3つ目で外部に頼むと決めた技術と、4つ目で決めた期間と成果物は、そのまま業務委託の依頼の中身になります。フリーランスを含む業務委託は、技術と期間を決めて依頼できるので、この整理の結果をそのまま依頼の中身にできます。委託先に何を渡し、何を受け取るのかを文書にしておくと、依頼する側と受ける側で認識がずれにくくなります。

あわせて、届いた成果物を社内の誰が確かめるのかも決めておきます。確かめる人が社内にいなければ、その作業も外部に頼む技術の一つとして書き出しておきます。社内のスキルの基準づくりは「スキルマップの整備」を扱った記事で、IT人材が足りないときの対応方針は「IT人材不足の対応」を扱った記事で整理しています。

まとめ:事業に必要な技術で確かめておきたい3つの点

事業に必要な技術を社内の強みと比べるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、必要な技術を要素技術と開発技術に分けて書き出し、社内で強みと言えるかを書き込むこと。第二に、必要なのに強みでない技術を、社内で育てるか外部に頼むかのどちらかに分けること。第三に、外部に頼む技術だけ、期間と成果物を決めて委託することです。この3点を踏まえておけば、「クラウドに詳しい人に来てもらったのに、何を任せるのかが決まっていなかった」という事態を避けやすくなります。どの技術を社内で育て、どれを委託するかの切り分けに迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

外部に頼む技術と期間、成果物を決めたあとは、その作業を誰に任せるかを決めることになります。案件ごとに必要な技術が変わる分野では、社員の枠を常に設けるより、技術と期間を決めて専門の人材に加わってもらうほうが、あとからやり直すことが少なくなります。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材が必要になった時点から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で実際の業務開始まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

この調査には、どのような企業が答えていますか

組込みやIoT関連の協会・団体に加盟している企業と、その他の組込みやIoT関連企業に、調査票が郵送されました。回収数は1,221件、有効回答数は1,214件です。*1 郵送による任意の回答なので、企業全体の縮図になるように選んだ回答ではありません。

5つの業態は、どう分けられていますか

5つの業態は、ユーザー企業、メーカー企業、サブシステム提供企業、サービス提供企業、その他です。ユーザー企業は他社の組込みやIoT関連の製品・サービス等を利用または調達している企業、メーカー企業は組込みやIoT技術を用いた製品・サービスを開発・提供している企業とされています。サブシステム提供企業は、製品・サービスを構成するハードウェアやソフトウェアの部品などを開発・提供する企業です。*1

従業員数別や地域別の結果もありますか

資料には、従業員数別、地域別、事業分野別、DX(デジタル技術による事業の変革)の取り組み状況別などに分けた集計も載っています。*1 本記事では、5つの業態すべてを合わせた全体の値だけを扱いました。

調査の数値を社内の資料に使ってもよいですか

資料は出典の記載を求めており、編集・加工して使う場合はその旨も記載することとされています。*1 表やグラフを作り直して使うときは、出典とあわせて、編集・加工したことを書き添えておきます。

外部に頼む技術を相談したいとき

必要な技術と社内の強みを分けたあと、どの技術をどの期間で外部に頼むかの整理からご相談いただけます。

Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も探せます。

Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。

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出典

  1. *1 参考:IPA「2022年度組込み/IoTに関する動向調査」調査結果(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/kumikomi/kumikomi-iot2022.html)。出典:IPA「2022年度組込み/IoTに関する動向調査」。2023年6月公開、調査票を郵送で7,864件配布・回収数1,221件・有効回答数1,214件。Q21の集計対象は5つの業態すべてで、「現在必要な技術」N841件・「強みとしている技術」N727件の複数回答。比率は資料に印字された整数の値で、差は筆者が計算した値。示された値を用いた図表の作成という編集・加工を筆者が実施(2026年9月確認)
  2. *2 参考:IPA「2022年度組込み/IoTに関する動向調査 調査結果(PDF)」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/kumikomi/ps6vr7000001tewn-att/kumikomi-iot2022.pdf)。Q21の2つのグラフと、調査の概要(公開時期・配布数・回収数・有効回答数・調査対象・業態の定義・クロス集計の構成)を参照(2026年9月確認)




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