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移住支援金の対象求人|地方の採用で使える枠の作り方
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- 掲載は無料で全国に配信される:都道府県のマッチングサイトが起点です*2。
- 対象求人は週20時間以上の無期雇用:勤務地の条件もあります*2。
- 採用側の助成金は令和7年度で終了:リーフレットの記載は古くなっています*3。
※ 本記事は2026年8月時点の公式情報(省庁・公的機関・ベンダー公式ドキュメント)に基づきます。
地方で人が採れないとき、募集の届く範囲を広げる方法のひとつが、都道府県のマッチングサイトに求人を載せることです。
内閣府の地方創生移住支援事業は東京23区に在住または通勤する方が、東京圏外へ移住し、起業や就業等を行う方に、都道府県・市町村が共同で交付金を支給する事業です*1。
支給額は世帯の場合は100万円以内(18歳未満の世帯員を帯同して移住する場合は18歳未満の者一人につき100万円を上限に加算)、単身の場合は60万円以内で都道府県が設定する額とされています*1。
本記事では、支援金を受け取る側の条件、企業が対象法人になる要件、対象求人の要件、掲載の流れ、そして採用側の助成金の現在地を整理します。
目次
支給するのは国ではなく都道府県・市町村
まず、制度の主体からです。ここを取り違えると問い合わせ先を間違えます。
内閣府は本事業は、地方公共団体が主体となって実施するものですと明記しています*1。国が直接支給する制度ではありません*1。
そのため中身も一律ではありません。実施期間、支給額等の制度の詳細は地方公共団体により異なりますとされ、事業を実施する都道府県・市町村が公表する情報を確認するよう案内されています*1。
実施していない自治体もあります*1。内閣府は、実施している都道府県・市町村の一覧を公開しています*1。
金額の枠は共通の目安が示されています。世帯で100万円以内、単身で60万円以内という範囲で、都道府県が額を設定します*1。
子育て世帯への加算もあります。18歳未満の世帯員を帯同して移住する場合、18歳未満の者一人につき100万円を上限に加算されます*1。
返還の定めがある点も押さえておく必要があります。移住支援金の申請から5年以内に、移住先から転出した場合や虚偽の申請をした場合などが挙げられています*1。
受け取る側にとっては、5年という時間の重みがある制度です*1。採用する側も、その前提で候補者と話すことになります*1。
地域を軸にした採用の考え方は地域雇用活性化推進事業の3つのメニューと企業の関わり方でも扱いました。自治体の事業を使う場面は複数あります。
移住者が満たす3つの条件
次に、支援金を受け取る側の条件です。企業側も知っておく必要があります。
内閣府は3つすべてに該当する方が対象になるとしています*1。移住元、移住先、そして就業等の3つです*1。
移住元の条件は細かく決まっています。移住直前の10年間で通算5年以上、東京23区に在住または東京圏(条件不利地域を除く)に在住し、東京23区へ通勤している者で、直近1年以上は、東京23区に在住または通勤していることが求められます*1。
通勤については限定があります。雇用者としての通勤の場合にあっては、雇用保険の被保険者としての通勤に限ります*1。
学生時代の期間も算入できます。東京圏に在住しつつ東京23区内の大学等へ通学し、区内の企業等へ就職した場合、通学期間も移住元としての対象期間に加算できるとされています*1。
移住先の条件は、東京圏以外の道府県または東京圏の条件不利地域への移住です*1。ただし移住支援事業を実施している都道府県・市町村に限られます*1。
時期の条件もあります。移住支援金の申請が転入後1年以内であること、申請後5年以上、継続して移住先市町村に居住する意思があることなどです*1。
3つ目の就業等には4つの道が用意されています。地域で中小企業等へ就業、テレワークによる業務継続、市町村ごとの独自要件、地方創生起業支援事業の活用です*1。
このうち企業の採用に直結するのが1つ目です。移住支援金の対象として道府県のマッチングサイトに掲載されている求人に就業すること、またはプロフェッショナル人材事業か先導的人材マッチング事業を利用して就業することとされています*1。
対象法人になるための要件
企業側の話に移ります。マッチングサイトに載せるには、法人としての要件があります。
内閣府の企業向けリーフレットは、対象法人の主な要件を挙げています*2。掲載を希望する都道府県への確認が前提ですが、共通の枠として参考になります*2。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 組織 | 官公庁等でないこと |
| 資本金 | 資本金10億円以上の営利を目的とする私企業でないこと(資本金おおむね50億円未満の法人で知事が認める場合は対象とできる) |
| 資本関係 | みなし大企業でないこと |
| 所在地 | 本店所在地が東京圏のうち条件不利地域以外の地域にある法人ではないこと |
| 保険 | 雇用保険の適用事業主であること |
| その他 | 風俗営業者、反社会勢力または反社会勢力と関係を有する法人でないこと |
内閣府「マッチングサイトに求人情報を掲載し、東京圏からの移住者を採用しませんか」(R3.4月版)より作成*2。
みなし大企業にも定義があります。発行済株式の総数または出資価格の総額の2分の1以上を同一の資本金10億円以上の法人が所有している資本金10億円未満の法人などが該当します*2。
ほかに、3分の2以上を資本金10億円以上の法人が所有している場合や、資本金10億円以上の法人の役員・職員を兼ねている者が役員総数の2分の1以上を占める場合も挙げられています*2。
所在地の要件には例外があります。勤務地限定型社員を採用する法人は除かれ、東京圏以外の地域または東京圏内の条件不利地域を勤務地とする場合に限るとされています*2。
本店が東京にある企業でも、地方の勤務地で採る枠であれば道が残る形です*2。ただし判断は都道府県によります*2。
条件不利地域の範囲は、現在は「過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法」「山村振興法」「離島振興法」「半島振興法」「小笠原諸島振興開発特別措置法」の対象地域を有する市町村(政令指定都市を除く。)及び平成22年から令和2年の人口減少率が10%以上の市町村とされています*1。
根拠法の名称は改正で変わっています*1*2。リーフレットの記載と現行ページで表記が異なるため、範囲は内閣府のページ側で確認するのが確かです*1。
対象求人は2つの条件で決まる
法人が要件を満たしても、求人の中身が合わなければ対象になりません。
リーフレットが挙げる対象求人の主な要件は2つです*2。
- 週20時間以上の無期雇用契約の求人であること*2
- 勤務地が東京圏以外の地域、または東京圏内の条件不利地域の求人であること*2
1つ目が実務では効いてきます*2。有期雇用の求人や、週20時間に届かない求人は対象から外れます*2。
試用期間を設けること自体は妨げになりませんが、契約そのものが有期であれば要件を満たしません*2。募集要項の書き方を確認する必要があります*2。
2つ目は勤務地です*2。本店が東京にあっても、勤務地が地方であれば道が残るのは前節のとおりです*2。
逆に、地方の企業でも東京の事業所での勤務を想定した求人は対象になりません*2。テレワーク前提の募集では、勤務地の書き方が判断に影響します*2。
登録の費用はかかりません。リーフレットはマッチングサイトへの登録は無料とし、掲載された求人情報は全国に配信されるとしています*2。
配信先も示されています。地域の就業を応援する民間求人サイトへ自動で掲載される仕組みで、応募者はどのサイトから見ても構わないという設計です*2。
求人票そのものの書き方はエンジニア求人票の書き方と必須14項目にまとめました。掲載先が増えるほど、記載の精度が問われます。
支給までの流れは移住後3か月から
採用が決まってから支給までには、いくつかの段階があります。
リーフレットが示す流れは、都道府県が移住支援事業の詳細を公表し、マッチングサイトに対象求人が掲載され、対象企業へ就職活動、内定、就業と続きます*2。
そのうえで時間の条件が入ります。移住(住民票の異動)を経て就業後3か月以上経過し、移住後3か月以上かつ移住後1年以内に、移住先市町村へ申請する形です*2。
つまり、入社してすぐに受け取れる制度ではありません*2。候補者に説明するときは、この時間差を伝えておく必要があります*2。
申請先も企業ではありません。移住先の市町村です*2。企業側は求人を掲載し、対象であることを示すところまでが役割になります*1*2。
掲載方法は都道府県ごとに異なります。リーフレットはその他の要件や具体的な登録方法は、掲載を希望する都道府県にご確認くださいとしています*2。
内閣府は、各都道府県のマッチングサイトの一覧を公開しています*4。自社の所在地の都道府県から入るのが早い道です*4。
マッチングサイト以外の道もあります。プロフェッショナル人材事業または先導的人材マッチング事業を利用して就業する場合も、支援金の対象になり得ます*1。
市町村が関係人口として認める独自要件による道もあります*1。要件は市町村によって異なるため、移住希望先へ直接の確認が案内されています*1。
採用側の助成金は令和7年度で終了した
ここで、情報の鮮度に関わる注意点があります。
内閣府のリーフレットには移住者の採用活動に要した経費に応じて100万円を上限とする助成があるという記載があり、注記で中途採用等支援助成金(UIJターンコース)が挙げられています*2。
この助成金は、その後に名称が変わりました。厚生労働省のページは早期再就職支援等助成金(UIJターンコース)として掲載しています*3。
そして現在は終了しています。同ページは本助成金は令和7年度をもって終了しましたと明記しています*3。
制度の中身も記録として残っています。東京圏からの移住者を雇い入れた事業主に対し、その採用活動に要した経費の一部を助成する仕組みでした*3。
助成率は中小企業が2分の1、中小企業以外が3分の1で、いずれも上限は100万円とされていました*3。対象経費には、募集・採用パンフレット等の作成・印刷、自社ホームページ・自社PR動画の作成・改修、就職説明会・面接会・出張面接等、外部専門家によるコンサルティングが挙げられています*3。
手続にも順番がありました。採用活動に係る計画書を事業所の所在地を管轄する労働局に提出し、労働局長の認定を受けていることが受給要件の1つ目でした*3。
計画期間は6か月以上12か月以内で、始期は計画書を提出した日の翌日から3か月以内に設定するものとされていました*3。
つまり、リーフレットだけを見て採用経費の助成を前提に計画を立てると、実態と合いません*2*3。支援金(移住者向け)と助成金(企業向け)は別の制度であり、後者は終了したという整理になります*1*3。
使うかを決める3点
ここまでを、判断の順番に落とします。
1点目:自社が対象法人に当たるか——官公庁等でないこと、資本金10億円以上でないこと、みなし大企業でないこと、雇用保険の適用事業主であることなどが挙がっています*2。
2点目:出す求人が週20時間以上の無期雇用か——有期雇用や短時間の求人は対象から外れます*2。勤務地が東京圏以外または条件不利地域であることも要ります*2。
3点目:都道府県の実施状況と登録方法を確認する——実施の有無も支給額も自治体により異なり、登録方法も都道府県ごとです*1*2。
3点が揃うなら、登録は無料で、掲載した求人は全国に配信されます*2。候補者にとっては、同じ仕事でも移住支援金の対象かどうかで条件が変わります*1。
一方で、採用側の経費を助成する仕組みは令和7年度で終わっています*3。費用面の見通しは、支援金とは切り離して立てることになります*3。
地方での採り方から相談したい方へ
移住を前提にするか、稼働の形を変えるか。任せたい職責と必要な稼働の形から、担当が一緒に整理できます。
最後に、移住を前提にすると候補が集まりにくいと判断したときの分岐を1つだけ挙げておきます。住む場所を動かす採用は、決まるまでの期間が長くなりがちです。
その期間の実務を、勤務地の条件に縛られない業務委託で受け持たせるという順番も現実的な選択肢です。枠を立てる前の検討として有効でしょう。
まとめ:移住支援金と対象求人の要点
第一に、制度の主体と金額です。地方創生移住支援事業は、東京23区に在住または通勤する方が東京圏外へ移住し、起業や就業等を行う場合に、都道府県・市町村が共同で交付金を支給する事業です。国が直接支給するものではなく、実施期間や支給額等の詳細は地方公共団体により異なります。支給額は世帯の場合100万円以内、単身の場合60万円以内で都道府県が設定し、18歳未満の世帯員を帯同する場合は一人につき100万円を上限に加算されます。申請から5年以内に移住先から転出した場合などには返還の定めがあります。第二に、企業側の要件です。内閣府の企業向けリーフレットは、対象法人の主な要件として、官公庁等でないこと、資本金10億円以上の営利を目的とする私企業でないこと、みなし大企業でないこと、本店所在地が東京圏のうち条件不利地域以外の地域にある法人ではないこと、雇用保険の適用事業主であること、風俗営業者や反社会勢力等でないことを挙げています。対象求人の主な要件は、週20時間以上の無期雇用契約であること、勤務地が東京圏以外の地域または東京圏内の条件不利地域であることの2つです。マッチングサイトへの登録は無料で、掲載された求人情報は全国に配信されます。第三に、時間と情報の鮮度です。支給までの流れは、就業後3か月以上を経過し、移住後3か月以上かつ移住後1年以内に移住先市町村へ申請する形になります。また、企業の採用活動経費を助成していた早期再就職支援等助成金(UIJターンコース)は、厚生労働省のページで令和7年度をもって終了したと明記されています。
よくある質問
移住支援金はどこが支給する制度ですか。
地方公共団体です。内閣府は、地方創生移住支援事業について本事業は地方公共団体が主体となって実施するものであるとし、実施期間や支給額等の制度の詳細は地方公共団体により異なるとしています。東京23区に在住または通勤する方が東京圏外へ移住し起業や就業等を行う場合に、都道府県・市町村が共同で交付金を支給する仕組みです。実施している都道府県・市町村の一覧は内閣府が公開しています。
支給額はいくらですか。
世帯の場合は100万円以内、単身の場合は60万円以内で、都道府県が設定する額です。18歳未満の世帯員を帯同して移住する場合は、18歳未満の者一人につき100万円を上限に加算されます。なお、移住支援金の申請から5年以内に移住先から転出した場合や虚偽の申請をした場合などには返還制度があり、詳細は移住希望先市町村へ確認するよう案内されています。
企業が求人を載せるにはどんな要件がありますか。
内閣府の企業向けリーフレットは、対象法人の主な要件として、官公庁等でないこと、資本金10億円以上の営利を目的とする私企業でないこと(資本金おおむね50億円未満の法人で知事が認める場合は対象とできる)、みなし大企業でないこと、本店所在地が東京圏のうち条件不利地域以外の地域にある法人ではないこと、雇用保険の適用事業主であること、風俗営業者や反社会勢力等でないことを挙げています。その他の要件や具体的な登録方法は、掲載を希望する都道府県への確認が案内されています。
どんな求人が対象になりますか。
対象求人の主な要件は2つです。週20時間以上の無期雇用契約の求人であること、勤務地が東京圏以外の地域または東京圏内の条件不利地域の求人であることです。したがって有期雇用の求人や週20時間に満たない求人は対象から外れます。マッチングサイトへの登録は無料で、掲載された求人情報は全国に配信され、地域の就業を応援する民間求人サイトにも自動で掲載される仕組みが案内されています。
採用にかかった費用に対する助成はありますか。
早期再就職支援等助成金(UIJターンコース)がありましたが、厚生労働省のページは本助成金は令和7年度をもって終了したと明記しています。同コースは、東京圏からの移住者を雇い入れた事業主に対し採用活動に要した経費の一部を助成するもので、助成率は中小企業が2分の1、中小企業以外が3分の1、上限はいずれも100万円でした。内閣府のリーフレットには当時の名称で記載が残っているため、費用の見通しは支援金とは切り離して確認する必要があります。
出典
- *1 参考:内閣府 地方創生「移住支援金」(https://www.chisou.go.jp/sousei/ijyu_shienkin.html)。本事業が地方公共団体を主体として実施され実施期間・支給額等が地方公共団体により異なること、東京23区の在住者・通勤者が東京圏外へ移住し起業や就業等を行う場合に都道府県・市町村が共同で交付金を支給する事業であること、世帯100万円以内・単身60万円以内および18歳未満の世帯員への加算、移住元・移住先・就業等の3条件と各要件(10年間で通算5年以上、直近1年以上、雇用保険の被保険者としての通勤に限る旨、通学期間の加算、転入後1年以内の申請、5年以上継続して居住する意思)、就業等の4区分(マッチングサイト掲載求人への就業、プロフェッショナル人材事業・先導的人材マッチング事業の利用、テレワークによる業務継続、市町村ごとの独自要件、起業支援金の活用)、返還制度、東京圏および条件不利地域の定義の一次情報として(2026年8月確認)
- *2 参考:内閣府「マッチングサイトに求人情報を掲載し、東京圏からの移住者を採用しませんか」(R3.4月版)(https://www.chisou.go.jp/sousei/pdf/ijushien_leaflet_r3-4.pdf)。対象法人の主な要件(官公庁等でないこと、資本金10億円以上でないこととその例外、みなし大企業の定義、本店所在地の要件と勤務地限定型社員に関する除外、雇用保険の適用事業主、風俗営業者等の除外)、対象求人の主な要件(週20時間以上の無期雇用契約、勤務地が東京圏以外または東京圏内の条件不利地域)、マッチングサイトへの登録が無料であることと全国配信・民間求人サイトへの自動掲載、移住支援金交付までの流れ(就業後3か月以上経過、移住後3か月以上かつ移住後1年以内の申請)、その他の要件や登録方法を都道府県へ確認する旨の一次情報として(2026年8月確認)
- *3 参考:厚生労働省「早期再就職支援等助成金(UIJターンコース)」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000082805_00002.html)。本助成金が令和7年度をもって終了した旨、東京圏からの移住者を雇い入れた事業主に採用活動経費の一部を助成する制度であったこと、主な受給要件(計画書の提出と労働局長の認定、計画期間内に行う4種類の採用活動、対象労働者の4要件)、計画期間が6か月以上12か月以内で始期は提出日の翌日から3か月以内であること、助成率が中小企業2分の1・中小企業以外3分の1で上限がいずれも100万円であること、助成対象経費と交通費・宿泊費の上限の一次情報として(2026年8月確認)
- *4 参考:内閣府 地方創生「起業支援金・移住支援金 - ふるさと求人を探す」(https://www.chisou.go.jp/sousei/shienkin_map.html)。各都道府県のマッチングサイトの一覧が公開されていることの一次情報として(2026年8月確認)