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2026.09.19 採用支援コラム

エンジニア採用か外注依存か|ベテランの技能を引き継ぐ選び方

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

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この記事の結論

  • 技能継承の取組で最も多いのは中途採用の56.2%で、事業所外への外注は10の取組のうち6番目の16.3%です。
  • 16.3%は技能継承の方法として外注を挙げた事業所の割合で、外注そのものの利用率ではありません。
  • 採用か外注かを選ぶ前に、その技能を社内に残すかどうかを決めておくと整理しやすくなります。

※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

ベテランが持っている技能を、誰に引き継げばよいのか分からない。中途採用で人を増やすべきか、社外の会社に任せたほうが早いのか——。開発の現場を預かるマネージャーの間では、こうした迷いが起こりがちです。ここでいう外注依存とは、開発の仕事のうち社外の会社に委託している割合が高い状態を指します。

採用と外注のどちらを選ぶかを考えるとき、手がかりになるのが「技能をどう引き継ぐか」という視点です。技能を社内に残したいのか、作業が終わればよいのかで、選ぶ方法は変わります。ただし万能な答えはなく、両方を組み合わせる会社もあります。本記事では、開発の現場を預かるマネージャーに向けて、技能継承の取組の広がり、事業所が選んでいる方法、採用と外注の切り分け方、そして外部に委託するときに確認したい点を整理します。

技能継承の取組とは

技能継承とは、ベテランが持っている技能やノウハウを、若手や中堅、新しく加わった人へ引き継ぐことです。厚生労働省の「令和7年度能力開発基本調査」は、この技能継承の取組を行っている事業所の割合を83.7%としています。*1 この調査は毎年行われ、結果が公開されています。*3

産業別に見ると、「製造業」が92.9%でいちばん高く、「建設業」と「学術研究,専門・技術サービス業」がどちらも90.6%で続きます。「情報通信業」は89.7%で、全体の83.7%を上回りました。いちばん低いのは「宿泊業,飲食サービス業」の67.8%です。*1 いちばん高い製造業の92.9%との差は、20ポイントを超えます。

企業規模別では「300〜999人」が90.2%でいちばん高く、いちばん低い「30〜49人」でも75.9%です。*1 規模は会社全体の人数で分けていますが、割合は事業所の数で出しています。事業所とは、工場や支店のように場所ごとに分けた単位のことで、1つの会社が複数の事業所を持つこともあります。調査の対象は常用労働者を30人以上雇用する民営の事業所で、全国の約24万事業所から約7,200事業所を選んで尋ねています。*2

事業所が選んでいる方法

では、取組を行っている事業所は、具体的に何をしているのでしょうか。調査は10の選択肢を示し、当てはまるものをいくつでも選べる形(複数回答)で尋ねています。*1 割合は、技能継承に取り組んでいる事業所を100としたときの値です。

技能継承の取組の内容(出典:厚生労働省「令和7年度能力開発基本調査」図64。単位は%、複数回答。取組の名前と並びは資料のまま)
取組の内容 割合
中途採用を増やしている 56.2%
退職者の中から必要な者を選抜して雇用延長、嘱託による再雇用を行い、指導者として活用している 54.7%
新規学卒者の採用を増やしている 30.0%
不足している技能を補うために契約社員、派遣社員を活用している 22.5%
退職予定者の伝承すべき技能・ノウハウ等を文書化、データベース化、マニュアル化している 22.0%
事業所外への外注を活用している 16.3%
技能継承のための特別な教育訓練により、若年・中堅層に対して技能・ノウハウ等を伝承している 15.6%
伝承すべき技能・ノウハウ等を絞り込んで伝承している 12.4%
高度な技能・ノウハウ等が不要なように仕事のやり方、設計等を変更している 10.7%
その他の取組 5.9%

いちばん多いのは「中途採用を増やしている」の56.2%で、ベテランの退職者を雇用延長や再雇用で残し、指導者として活用する取組の54.7%がほぼ同じ水準で続きます。*1 3番目は「新規学卒者の採用を増やしている」の30.0%でした。上位3つは、いずれも人を新しく採用するか、ベテランに残ってもらう方法です。

一方、「事業所外への外注を活用している」は16.3%で、10のうち6番目でした。*1 退職予定者の技能やノウハウを文書化・データベース化・マニュアル化する取組は22.0%、若手や中堅に向けた特別な教育訓練は15.6%です。引き継ぐ内容そのものを絞り込む方法は12.4%、高度な技能が要らないように仕事のやり方や設計を変える方法は10.7%の事業所が選んでいます。

外注の割合をどう受け止めるか

外注を選んだ事業所が16.3%にとどまるからといって、外注が劣った方法だということにはなりません。調査が数えているのは、技能継承という目的に対して何をしているかです。日々の開発を社外の会社に委託しているかどうかや、外注の良し悪しは尋ねていません。この調査から分かるのは、技能を社内に残す方法として採用を選ぶ事業所が多いことまでです。

10の選択肢のうち、社外の会社に委ねる方法は外注の1つだけです。4番目の「不足している技能を補うために契約社員、派遣社員を活用している」の22.5%には、自社が直接雇う契約社員も含まれます。*1 そのため、外注の16.3%と足し合わせて「社外の人材に頼っている事業所の割合」とみなすことはできません。

自社の外注依存が高いのか低いのかを知りたいときは、この調査の数字と比べるより、自社の開発のどの作業を誰が担っているかを書き出してみるほうが確かです。委託先だけが担っている作業や、担当者が決まっていない作業があれば、それが社内に技能が残っていない作業です。

採用か外注かをどう切り分けるのか

エンジニア採用と外注をどう使い分けるかは、次の3つを順に決めていくと整理しやすくなります。

エンジニア採用と外注の使い分けで決める3つを箱で示した図。1つ目は技能を社内に残すかどうかを先に決めること。2つ目は文書にする作業を誰の仕事にするか決めること。3つ目は外注を使うなら何を受け取るかを決めること。22.0%は厚生労働省「令和7年度能力開発基本調査」図64の値。

1つ目は、その技能を社内に残すかどうかを先に決めることです。残したい技能であれば、中途採用や再雇用といった方法が候補になります。残さなくてよい作業であれば、外注や派遣で進める形も考えられます。この判断を後回しにすると、採用した人に何を引き継ぐのか、委託先から何を受け取るのかが決まりません。

2つ目は、技能を文書にする作業を誰の仕事にするかです。調査の選択肢には、退職予定者の技能やノウハウを文書化・データベース化・マニュアル化という取組があり、22.0%の事業所が選んでいます。*1 これは人の採用とは別の取組で、社内の担当者が進めても、委託先に手伝ってもらってもかまいません。誰が書くのかを早めに決めておくと、ベテランが退職する前に作業を始めやすくなります。

3つ目は、外注を使うなら、委託先から何を受け取るかを決めることです。作業の結果だけを受け取るのか、手順の説明や設計の理由まで文書で受け取るのかで、契約が終わったあとに社内に残るものが変わります。技能を社内に残したい場合は、手順の説明まで受け取る形にしておくと、社員への引き継ぎを進めやすくなります。

つまずきやすい点

一つ目は、16.3%を外注の利用率として使ってしまうことです。この割合は、技能継承の取組として外注を挙げた事業所の割合です。日々の開発を社外に委託しているかどうかは、この調査からは分かりません。社内の資料で「外注を使っている会社は少ない」のように書くと、調査の意味とずれてしまいます。

二つ目は、取組の内容を情報通信業の数字として受け取ることです。産業別に示されているのは、取組を行っているかどうかの割合までです。取組の内容は産業別に分かれておらず、中途採用の56.2%も外注の16.3%も、全産業の事業所を分母にした値です。IT企業に絞った数字ではない点に気をつけます。

三つ目は、中途採用と外注の差を「採用を選んだ事業所は外注を選ばなかった」と受け取ることです。複数回答なので、中途採用を増やしながら外注も使っている事業所も含まれます。2つの割合が示しているのは、それぞれの方法を選んだ事業所の多さで、どちらか一方を選ばせた結果ではありません。

外部に委託するときに確認しておきたい点

外部の専門人材に開発に加わってもらうときは、技能を社内に残すかどうかを、委託先に最初に伝えておきます。何を、いつまでに受け取るのかを契約の段階で決めておかないと、作業が終わってから改めて依頼することになります。

正社員として採用するか、外注にするかは、技能を社内に置きたいかどうかで分かれます。どちらが優れているということではなく、残したい技能は社員が引き継ぎ、それ以外の作業は社外の専門人材に任せる、という組み合わせも考えられます。採用が決まるまでの間だけ外部の専門人材に加わってもらい、その間に手順の文書を整えておく方法もあります。

中途で入った人が早く辞めてしまう理由は「なぜ中途エンジニアは早期に離職するのか」で、入社後の育成の進め方は「エンジニア中途採用の入社後、育成の4つとも新卒より低い」で扱っています。委託先の会社に何を求めるかは「SESパートナー選定の注意点|経産省の基準が挙げる26項目」にまとめました。

まとめ:採用と外注で確かめておきたい3つの点

エンジニア採用と外注を使い分けるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、引き継ぎたい技能を社内に残すのかどうかを、採用か外注かを選ぶ前に決めること。第二に、技能やノウハウを文書にする作業を、誰がいつまでに進めるのかを決めること。第三に、外注を使うなら、作業の結果だけでなく手順の説明まで受け取るのかを、契約の段階で取り決めることです。この3点を踏まえておけば、「ベテランが辞めたあと、委託先に聞かないと社内の誰もシステムの作りが分からない」という事態を避けやすくなります。技能の引き継ぎ方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

技能を社内に残すかどうかが決まれば、加わってもらう人に求める条件もそこから決まります。手順の説明まで文書で受け取るのか、作業の結果だけでよいのかで、書き出す条件が変わります。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材が必要になった時点から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で実際の業務開始まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

中途採用と再雇用は、どちらを先に考えればよいですか

どちらが先という決まりはありません。調査でも、中途採用は56.2%、再雇用による指導者としての活用は54.7%とほぼ並んでいます。*1 ベテランが退職する前であれば、再雇用で残ってもらい、その間に中途採用で加わった人へ引き継ぐという組み合わせも考えられます。

従業員が30人未満の会社にも当てはまりますか

この調査の対象は常用労働者を30人以上雇用する民営事業所なので、30人未満の事業所は含まれていません。*2 小さな会社では、割合をそのまま自社と比べるより、採用と外注の切り分け方の考え方を参考にするとよいでしょう。

技能を文書にする作業は、委託先に頼んでもよいですか

頼んでもかまいません。その場合は、何をどの形式で、いつまでに受け取るかを契約で決めておきます。あわせて、受け取った文書を社内の担当者が読み、実際の作業と合っているかを確かめる手順も用意しておくと、引き継ぎに使える文書になります。

外注依存を減らすには、何から始めればよいですか

開発の作業を書き出し、それぞれを社員と委託先のどちらが担っているかを一覧にするところから始めます。そのうえで、社内に残したい技能がかかわる作業から順に、社員が引き継ぐ時期を決めていくと進めやすくなります。すべての作業を社内に戻す必要はありません。

技能の引き継ぎ方を相談したいとき

社内に残す技能と、外部に任せる作業の切り分けからご相談いただけます。まだ決めていない段階でも承ります。

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出典

  1. *1 参考:厚生労働省「令和7年度能力開発基本調査」結果の概要(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/104-07b.pdf)。出典:厚生労働省「令和7年度能力開発基本調査」。図63(技能継承の取組を行っている事業所、産業・企業規模別)と図64(技能継承の取組の内容、複数回答)の一次情報として。取組の名前と並びは資料の表記に従った(2026年9月確認)
  2. *2 参考:厚生労働省「能力開発基本調査の標本設計」(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/001510152.pdf)。調査の範囲(常用労働者を30人以上雇用する民営事業所)、母集団の大きさ(事業所調査 約24万事業所)、標本の大きさ(約7,200事業所)の一次情報として(2026年9月確認)
  3. *3 参考:厚生労働省「能力開発基本調査」(調査の概要ページ)(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/104-1.html)。調査が毎年実施され、結果が公開されていることの確認として(2026年9月確認)




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