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紹介予定派遣とは?最長6か月で働きぶりを見てから雇う仕組み
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- 紹介予定派遣は、派遣元が派遣した人を派遣先へ職業紹介することを予定した労働者派遣で、労働者派遣法第2条第4号が定めています。
- 同じ人を受け入れられるのは6か月までで、通常の派遣と違い、派遣の前に面接や履歴書の確認をして受け入れる人を選べます。
- 雇った後の業務と労働条件を契約に定め、雇わないと決めたときは派遣元の求めに応じて理由を書面などで示します。
※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
紹介予定派遣とは、派遣元の会社が、派遣した人を派遣先に職業紹介することを予定して行う労働者派遣です。労働者派遣法第2条第4号が定めていて、同じ人を受け入れられる期間は、厚生労働省の指針で6か月までとされています。派遣で働いてもらう間に仕事ぶりを確かめ、本人と派遣先が合意すれば、派遣先がその人を直接雇用する、という流れです。
本記事では、エンジニア採用の方法として紹介予定派遣を考える企業の担当者に向けて、紹介予定派遣の決まりを条文と指針から確かめます。そのうえで、通常の派遣や人材紹介との違い、契約や書面に加わること、来てもらう人を選ぶときの決まり、つまずきやすい点を順に整理します。
紹介予定派遣とは
労働者派遣法第2条第4号は、紹介予定派遣を、派遣元事業主が労働者派遣の役務の提供の開始前又は開始後に、派遣労働者と派遣先について、職業安定法その他の法律の規定による許可を受けて、又は届出をして、職業紹介を行い、又は行うことを予定してする労働者派遣と定めています。*1 派遣先はエンジニアに来てもらう自社で、派遣元事業主はそのエンジニアを雇って送り出す会社です。派遣元事業主は、同法第5条第1項の許可を受けています。
この定義から読み取れる点は2つあります。1つめは、職業紹介を実際にしていなくても、行うことを予定していれば紹介予定派遣に当たることです。紹介は派遣の開始前でも開始後でもかまいません。2つめは、派遣が終わる前に、本人が派遣先に雇用される旨を本人と派遣先の間で約束する形も含むことです。
受け入れる期間には上限があります。厚生労働省の「派遣先が講ずべき措置に関する指針」は、派遣先は紹介予定派遣を受け入れるに当たって、6か月を超えて同じ派遣労働者を受け入れないこととしています。*3 6か月のうちに、派遣先は仕事ぶりを、本人は職場や仕事の中身を確かめ、雇用に進むかどうかを決めることになります。
許可や届出を求められているのは派遣元事業主の側で、派遣先の側の要件はこの定義には出てきません。派遣元が職業紹介の許可を受けるか届出をしていることが前提なので、紹介予定派遣を頼む段階で派遣元に確かめておきます。
通常の派遣や人材紹介との違い
通常の派遣との一番の違いは、派遣先が来てもらう人を選べるかどうかです。労働者派遣法第26条第6項は「労働者派遣(紹介予定派遣を除く。)の役務の提供を受けようとする者は、労働者派遣契約の締結に際し、当該労働者派遣契約に基づく労働者派遣に係る派遣労働者を特定することを目的とする行為をしないように努めなければならない」と定めています。*1 かっこ書きのとおり、紹介予定派遣はこの項の対象から外れています。
どんな行為が特定に当たるかは、派遣先指針が例を挙げています。派遣先は、紹介予定派遣の場合を除き、派遣に先立って面接すること、履歴書を送付させること、若年者に限ることなどをしないこととされています。*3 紹介予定派遣にはこの定めが当てはまらないので、派遣の前に面接をしたり履歴書を見たりしたうえで、受け入れる人を決める進め方がとれます。エンジニアであれば、使ってきた言語や担当した工程を面接で聞いてから受け入れられます。ただし、選ぶときの年齢や性別の扱いには別の定めがあり、後の節で触れます。
第26条第6項の書き方は「努めなければならない」で、「しなければならない」ではありません。守るよう努めることを求める、努力義務と呼ばれる書き方です。
人材紹介との違いは、働いてもらう間に誰が雇っているかです。職業安定法第4条第1項は、職業紹介を、求人及び求職の申込みを受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあっせんすることと定めています。*4 人材紹介では、紹介を受けた会社が求職者を直接雇うことになり、その前に派遣で働いてもらう期間は含まれません。
一方、労働者派遣法第2条第1号は、労働者派遣を、自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることと定めています。*1 紹介予定派遣の間は、派遣元が雇い、派遣先が仕事の指示を出します。職業紹介を経て派遣先に雇用されると、そこから派遣先との雇用関係になります。3つの形を表に並べました。
| 項目 | 通常の派遣 | 紹介予定派遣 | 人材紹介 |
|---|---|---|---|
| 根拠 | 労働者派遣法第2条第1号 | 労働者派遣法第2条第4号 | 職業安定法第4条第1項 |
| 働いてもらう間の雇い主 | 派遣元 | 派遣の間は派遣元、雇用された後は派遣先 | 紹介を受けた会社 |
| 派遣の前の面接・履歴書の送付 | 派遣先はしないこととされる | 特定を目的とする行為の定めから除かれている | 労働者派遣ではないため対象外 |
| 同じ人を受け入れる期間 | 本記事では扱わない | 6か月を超えない | 労働者派遣ではないため対象外 |
契約・書面・台帳に加わること
紹介予定派遣にすると、労働者派遣契約に定める事項が1つ増えます。第26条第1項は、派遣元と派遣先が契約を結ぶときに定める事項を並べていて、その第9号が「労働者派遣契約が紹介予定派遣に係るものである場合にあつては、当該職業紹介により従事すべき業務の内容及び労働条件その他の当該紹介予定派遣に関する事項」です。*1
同じ項の第1号は、派遣で従事する業務の内容を定めるものです。第9号で定めるのは、職業紹介の後、つまり社員になってから従事する業務の内容と労働条件です。エンジニアであれば、派遣の間に担当する開発の作業と、社員になった後に任せる仕事を分けて書いておくと、本人にも派遣元にも伝わりやすくなります。
書面にも記載する事項が加わります。労働者派遣法施行規則第22条の2第1号は、紹介予定派遣の場合に、契約に関する書面へ次の旨を記載するとしています。派遣先が職業紹介を受けることを希望しない場合や、紹介を受けた人を雇用しない場合には、派遣元事業主の求めに応じ、派遣先がその理由を派遣元事業主に明示する、という旨です。*2 派遣先指針も、この場合に派遣先が理由を書面、ファクシミリ又は電子メール等により明示することとしています。*3
記載するのは理由そのものではなく、求められたら理由を示すという約束です。派遣の間に何を見て判断するかを先に決めておくと、求められたときに理由を説明しやすくなります。
働く人への明示は派遣元事業主の義務です。第32条第1項は、労働者を派遣労働者として雇い入れようとするときに、あらかじめその旨を本人に明示するとし、紹介予定派遣に係る派遣労働者として雇い入れる場合はその旨も含めるとしています。*1 派遣先にとっても、本人が社員化の前提をどう聞いているかは気になる点なので、派遣元に確かめておくと行き違いを防げます。
台帳にも欄があります。派遣先が作る派遣先管理台帳は第42条第1項第9号、派遣元管理台帳は第37条第1項第12号が、紹介予定派遣に関する事項を記載事項にしています。*1 派遣先管理台帳は自社で作るものなので、紹介予定派遣で来てもらう人がいる場合は、その欄が埋まっているかを担当者が確かめます。
来てもらう人を選ぶときの決まり
紹介予定派遣では面接などで来てもらう人を選べますが、選び方には決まりがあります。派遣先指針は、紹介予定派遣に係る派遣労働者を特定することを目的とする行為と派遣労働者の特定をまとめて「特定等」と呼び、そのときに派遣先が講ずる措置を定めています。*3
まず年齢です。派遣先は、指針が挙げる場合を除き、派遣労働者の年齢を理由として、特定等の対象から排除しないこととされています。年齢による制限が認められる場合として、指針は、定年の年齢を下回ることを条件とし、期間の定めのない労働契約を結ぶ予定のときなどを挙げています。「若手のエンジニアに限りたい」と考えたときは、指針が挙げる場合に当たるかどうかを派遣元と確かめます。
あわせて派遣先は、特定等に係る職務の内容、その職務に必要な適性、能力、経験、技能の程度などを、できる限り明示することとされています。エンジニアの場合は、担当するシステムや工程、求める言語やクラウドの経験を具体的に書いておくと、派遣元も候補を探しやすくなります。
性別についても定めがあります。派遣先は、特定等の対象から男女のいずれかを排除すること、条件を男女で異なるものとすること、選考の方法や基準を男女で異なる扱いにすることなどを行わないこととされています。
つまずきやすい点
1つめは、6か月を超えて同じ人に来てもらう前提で計画を立てることです。紹介予定派遣で受け入れる期間は6か月までなので、雇用に進むかどうかを決める時期を、その内側に置いておきます。
2つめは、通常の派遣の契約のまま、社員化を前提に面接して来てもらう人を選ぼうとすることです。第26条第6項の対象から外れるのは紹介予定派遣だけなので、選考をしたいなら、最初から紹介予定派遣として契約を結ぶかどうかを派遣元と話し合っておきます。
3つめは、契約に派遣の間の業務しか書いていないことです。紹介予定派遣では、職業紹介の後に従事する業務の内容と労働条件も定めることになっています。社員になった後の仕事や処遇が決まっていないと、本人も判断しにくくなります。
なお、通常の派遣で来ている人を後から直接雇用に切り替えたい場合は、紹介予定派遣とは別の条文が関わります。その場合の派遣元と派遣先の義務は「SESから自社雇用への切り替えを4つの条文で確かめる」で扱っています。派遣元との契約に直接雇用についてどんな取り決めがあるかは契約ごとに違うので、契約書でも確かめておきます。
まとめ:紹介予定派遣で確かめておきたい3つの点
紹介予定派遣でエンジニアを採用するときに確かめておきたい点は、3つに整理できます。第一に、派遣元が職業紹介の許可を受けるか届出をしていて、受け入れる期間が6か月の内側に収まっていること。第二に、職業紹介の後の業務内容と労働条件を契約に定め、雇用しない場合に理由を明示する旨を書面に記載すること。第三に、面接などで来てもらう人を選ぶときに、年齢や性別について派遣先指針の定めを守ることです。契約の形や手続の整理に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。
よくある質問
紹介予定派遣とは、どんな仕組みですか
派遣元の会社が、派遣した人を派遣先に職業紹介することを予定して行う労働者派遣です。派遣の間は派遣元が雇い、派遣先が仕事の指示を出します。職業紹介を経て本人と派遣先が合意すれば、派遣先がその人を直接雇用します。
紹介予定派遣で受け入れる期間を6か月より長くできますか
派遣先指針は、派遣先は紹介予定派遣を受け入れるに当たって、6か月を超えて同じ派遣労働者を受け入れないこととしています。*3 期間はこの上限の内側で派遣元と決めます。
雇用しないと決めたとき、理由はいつ、どのように伝えますか
派遣元事業主から求められたときに、派遣先が伝えます。施行規則第22条の2第1号は、派遣元事業主の求めに応じて、書面の交付等により理由を明示するとしており、書面の交付等には書面の交付のほか、ファクシミリや電子メール等による送信が含まれます。*2
社員化の段取りを整理したいとき
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出典
- *1 参考:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号)(e-Gov法令検索)(https://laws.e-gov.go.jp/law/360AC0000000088)。出典:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号)。第2条第1号(労働者派遣の定義)及び第4号(紹介予定派遣の定義)、第5条第1項(許可)、第26条第1項第1号及び第9号並びに第6項(契約の内容等)、第32条第1項及び第2項(派遣労働者であることの明示等)、第37条第1項第12号(派遣元管理台帳)、第42条第1項第9号(派遣先管理台帳)の一次情報として参照(2026年10月確認)
- *2 参考:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則(昭和61年労働省令第20号)(e-Gov法令検索)(https://laws.e-gov.go.jp/law/361M50002000020)。出典:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則(昭和61年労働省令第20号)。第22条の2第1号(契約に係る書面の記載事項、書面の交付等)の一次情報として参照(2026年10月確認)
- *3 参考:厚生労働省「派遣先が講ずべき措置に関する指針」(平成11年労働省告示第138号)(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/000717005.pdf)。出典:厚生労働省「派遣先が講ずべき措置に関する指針」(平成11年労働省告示第138号)。第2の3(派遣労働者を特定することを目的とする行為の禁止)、第2の18(紹介予定派遣:受け入れる期間、理由の明示、特定等に当たり講ずべき措置)の一次情報として参照(2026年10月6日確認)(2026年10月確認)
- *4 参考:職業安定法(昭和22年法律第141号)(e-Gov法令検索)(https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000141)。出典:職業安定法(昭和22年法律第141号)。第4条第1項(職業紹介の定義)の一次情報として参照(2026年10月確認)