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採用難を測る指標|外部人材活用を考える前に見る数字
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- 労働力調査は、失業者のほかに、もっと働きたい就業者や、働けるのに仕事を探していない人も数えた指標を4つ公表しています。
- 失業者だけで見るLU1は2.9%、もっと働きたい就業者なども含めたLU4は6.4%です。
- 外部人材活用の前に、どの指標を見ているかと、新しく採用する話か、働く人の時間を増やす話かを分けます。
※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
求人を出しても応募が来ない。募集する地域を広げても、条件に合う人が見つからない——。中途採用の現場では、こうした悩みがよく聞かれます。採用難を労働市場の数字で確かめるとき、まず思い浮かぶのは失業者の数です。総務省の労働力調査は、失業者のほかに、もっと長く働きたい就業者や、すぐ働けるのに仕事を探していない人も数えています。こうした人たちをまとめて「未活用労働」と呼び、その大きさを割合で示したものが未活用労働指標です。
未活用労働指標は4つあり、どれを見るかで採用難の大きさの見え方が変わります。この指標を使うと、外部人材活用を考える前に、社内で話している採用難が労働市場のどの数字に当たるのかを確かめられます。ただし万能ではなく、全国の数字なので、自社が探す職種の状況まではこの指標に出てきません。本記事では、エンジニアを採用する実務担当者に向けて、未活用労働の3つの層、4つの指標の違い、失業者の数え方と仕事につけない理由、そして外部人材活用の前に確かめたい点を整理します。
目次
未活用労働とは
総務省統計局の「労働力調査(詳細集計)」の2026年4〜6月期平均(2026年8月10日公表)は、未活用労働を「労働需給のミスマッチなどにより、就業に関するニーズが満たされていない状態」と説明しています。数えられているのは、追加就労希望就業者、失業者、潜在労働力人口の3つの層です。全体の人数で見ると、15歳以上人口10,944万人のうち、労働力人口が7,080万人、非労働力人口が3,864万人で、労働力人口は就業者6,872万人と失業者208万人を合わせた数です。*1
1つめの追加就労希望就業者は、就業時間が週35時間未満で、就業時間の追加を希望しており、追加できる就業者を指します。すでに働いていて、実際に働く時間を増やせるものの、もっと長く働きたい人たちです。2026年4〜6月期平均で209万人と、前年同期より17万人増えました。*1
2つめの失業者は、仕事をしておらず、1か月以内に求職活動を行っていて、すぐに仕事につける人です。208万人で、前年同期より4万人増えました。3つめの潜在労働力人口は、働いておらず失業者にも数えられない人のうち、近いうちに仕事につける人で、38万人と前年同期と同じ数でした。内訳は、1か月以内に求職活動をしており、すぐではないが2週間以内なら仕事につける「拡張求職者」が8万人、求職活動はしていないが仕事を希望しており、すぐに仕事につける「就業可能非求職者」が30万人です。*1
3つの層を並べると、追加就労希望就業者と失業者はほぼ同じ人数で、潜在労働力人口はそれよりずっと少ない数です。採用の話で見落とされやすいのは、失業者と同じくらいの人数がいる追加就労希望就業者のほうです。
4つの指標はどう違うのか
4つの指標は、3つの層のうちどれを分子に入れるかで分かれています。LU1は失業者だけ、LU2は失業者に追加就労希望就業者を加えたもの、LU3は失業者に潜在労働力人口を加えたもので、LU4は3つの層をすべて入れます。LU3とLU4は、分母の労働力人口にも潜在労働力人口を加えています。*1
| 指標 | 式 | 男女計の値 |
|---|---|---|
| LU1 | 失業者÷労働力人口×100 | 2.9% |
| LU2 | (失業者+追加就労希望就業者)÷労働力人口×100 | 5.9% |
| LU3 | (失業者+潜在労働力人口)÷(労働力人口+潜在労働力人口)×100 | 3.5% |
| LU4 | (失業者+追加就労希望就業者+潜在労働力人口)÷(労働力人口+潜在労働力人口)×100 | 6.4% |
LU2の5.9%とLU3の3.5%の差は、分母の違いではなく、分子に入れる人数の違いから来ています。分母に加わる潜在労働力人口は38万人で、労働力人口の7,080万人に比べると小さな数です。一方、分子には、LU2では追加就労希望就業者の209万人が、LU3では潜在労働力人口の38万人が入ります。
前年同期と比べると、LU1は0.0ポイントで横ばい、LU2は0.3ポイント、LU3は0.1ポイント、LU4は0.3ポイントの上昇でした。*1 失業者だけの割合は変わっていないのに、もっと長く働きたい就業者まで含めると上がっています。資料は、3つの層をすべて含むLU4を、最も包括的に未活用労働を捉えた指標としています。
失業者と完全失業者の違い
ニュースでよく目にするのは完全失業率ですが、LU1の分子に入る失業者と、完全失業者は同じではありません。この調査でいう失業者は1か月以内に求職活動を行った人で、完全失業者はそのうち1週間以内に求職活動を行った人です。2026年4〜6月期平均では、失業者208万人のうち、完全失業者は185万人でした。*1
差の23万人は、最後に求職活動をしたのが1週間より前で、1か月以内の人たちです。この人たちも労働力人口に含まれています。LU1の2.9%は完全失業率と同じ数ではないので、社内の資料で使うときは、どちらの数字を使っているのかを書き添えておきます。
失業している期間で見ると、3か月未満が100万人、3か月以上が105万人です。3か月以上の内訳は、3〜6か月未満が25万人、6か月〜1年未満が21万人、1年以上が58万人でした。*1 3か月以上の人のうち、半分を超える人が1年以上仕事につけていません。これらを足し合わせても208万人にならないのは、四捨五入のほか、総数に失業期間を分類できない人や不詳の人が含まれているためです。
仕事につけない理由
失業者が仕事につけない理由を見ると、「その他」の61万人を除けば、「希望する種類・内容の仕事がない」が54万人で最も多く、「勤務時間・休日などが希望とあわない」が29万人、「求人の年齢と自分の年齢とがあわない」が22万人と続きます。さらに、「賃金・給料が希望とあわない」が17万人、「自分の技術や技能が求人要件に満たない」が12万人、「条件にこだわらないが仕事がない」が11万人でした。*1
仕事の中身、働く時間や休日、年齢、賃金、技能と、理由はいくつにも分かれています。採用難とひとことで言っても、仕事を探す人が合わないと感じている条件は一つではありません。
自社の求人に当てはめるなら、まず仕事の中身と、勤務時間や休日の条件の書き方を見直します。どちらも、技能が足りないことよりも多くの人が理由に挙げている項目です。応募が来ない原因を「技術者がいない」の一言で片づけず、条件のどこに食い違いがあるかを1つずつ確かめていきます。
年齢や男女でどう違うのか
追加就労希望就業者209万人を年齢階級別に見ると、45〜54歳が50万人で最も多く、35〜44歳が37万人、55〜64歳が35万人と続きます。年齢階級別の合計に占める割合では、45〜54歳が23.9%、35〜44歳が17.7%、55〜64歳が16.7%です。*1
一方、LU4を年齢階級別に見ると、15〜24歳が11.6%で最も高く、65歳以上が6.3%、25〜34歳が6.1%、35〜44歳が5.9%と続き、45〜54歳と55〜64歳が5.7%で最も低くなっています。*1 追加就労希望就業者の人数が最も多い45〜54歳が、LU4では最も低い階級に入ります。人数の割合は209万人をどの年齢階級が占めるかを示し、LU4はその年齢階級の中で未活用労働に当たる人がどれだけいるかを示すため、順位が入れ替わります。
男女別のLU4は、男性が5.1%、女性が7.9%で、差は2.8ポイントです。*1 年齢階級では、最も高い11.6%と最も低い5.7%の差が5.9ポイントあり、男女よりも年齢のほうが大きく分かれています。
外部人材活用の前に確かめたい点
外部人材活用を考える前に、この数字から確かめておきたいことは3つあります。1つめは、どの指標を見ているかです。LU1の2.9%とLU4の6.4%は、同じ調査の同じ時期の値ですが、分子も分母も違います。社内で採用難の話をするときは、どの指標の値なのかを添えて話すと、人によって思い浮かべる数字が食い違うのを防げます。
2つめは、新しく採用する話と、もっと働いてもらう話を分けることです。仕事をしていないのは失業者208万人と潜在労働力人口38万人で、新しく人を採用する話につながるのはこちらです。追加就労希望就業者209万人はすでにどこかで働いている人なので、働く時間を増やせる人の数として見ることになります。この人たちに外部人材として加わってもらえるかどうかは、資料には示されていません。
3つめは、全国の数字だという点です。総務省の今回の結果の概要には、産業別や職業別の未活用労働指標は載っておらず、示されているのは男女別と年齢階級別です。自社が探しているエンジニアの職種の状況は、別の統計で確かめます。情報通信業に絞って入職と離職の差を見る方法は、「情報通信業の入職超過率3.2ポイントを自社と比べる手順」で扱っています。
まとめ:採用難の数字で確かめておきたい3つの点
採用難を労働市場の数字で見るうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、失業者だけのLU1と、もっと長く働きたい就業者なども含めたLU4のどちらを見ているかを確かめること。第二に、仕事をしていない人を新しく採用する話と、すでに働いている人に働く時間を増やしてもらう話を分けること。第三に、全国の数字なので、自社が探す職種の状況は別の統計で確かめることです。この3点を踏まえておけば、「同じ採用難の話をしていたのに、人によって見ていた数字が違っていた」という事態を避けやすくなります。外部人材活用をどう進めるかに迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。
よくある質問
詳細集計と基本集計で、数値が違うことはありますか
あります。詳細集計は基本集計の約4分の1の世帯を対象にしているため、同じ時期でも数値が必ずしも一致しません。*1 未活用労働指標は詳細集計で公表されているので、ほかの数字と並べるときは、どちらの集計の値かをそろえておきます。
内訳を足しても総数にならないのはなぜですか
統計表の数値は、表に載せる桁より下の位で四捨五入されているためです。*1 失業期間別のように、総数に分類できない人や不詳の人を含む表もあります。内訳を足して計算に使うときは、総数との差がどちらの理由によるものかを表の注記で確かめておきます。
非労働力人口の「就業希望者」と、潜在労働力人口は同じですか
同じではありません。非労働力人口3,864万人のうち、仕事を希望している就業希望者は205万人で、このうち拡張求職者か就業可能非求職者に当たる人だけが潜在労働力人口に入ります。*1 就業希望者のうち、仕事を探していない理由を「適当な仕事がありそうにない」とした人は79万人でした。
LU4だけを見ておけばよいですか
資料はLU4を最も包括的に未活用労働を捉えた指標としていますが、どれを見るべきかまでは示していません。LU4にはすでに働いている追加就労希望就業者も入っているので、新しく採用できる人の数を知りたいときは、LU1やLU3とあわせて見ると区別しやすくなります。
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出典
- *1 参考:労働力調査(詳細集計)2026年(令和8年)4〜6月期平均 結果の概要(総務省統計局)(https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/4hanki/dt/pdf/gaiyou.pdf)。出典:総務省統計局「労働力調査(詳細集計)2026年(令和8年)4〜6月期平均」(2026年8月10日公表)。未活用労働の3つの層の定義と人数、未活用労働指標LU1からLU4の式と値、失業者と完全失業者の定義の違い、失業期間別と仕事につけない理由別の人数、年齢階級別の追加就労希望就業者数とLU4、利用上の注意を参照(2026年9月確認)