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2026.09.04 採用支援コラム

改良開発と新規開発のテスト量の違い|改修でも軽くならない理由

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

柵と小道が続くなだらかな草地の丘

この記事の結論

  • IPAの資料では、1,000行あたりの結合テストのケース数の中央値は、改良開発が67.91件、新規開発が37.63件でした。
  • 総合テストでも改良開発は24.84件で、新規開発の9.41件を上回ります。
  • 改修の案件を新規開発と同じ人数で組むと、資料にある改良開発の水準までテストケースを作りきれなくなりがちです。

※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

改修の案件だから、テストは軽く済むはずだ。新規開発と同じ人数を付けておけば足りるだろう——。テスト工程の体制を決める場面では、こうした考えで人数を決めてしまうことがあります。ところがIPAの資料では、1,000行あたりの結合テストのケース数の中央値が、改良開発で67.91件、新規開発で37.63件でした。*2 改良開発とは、すでに動いているシステムに機能を加えたり直したりする開発で、新規開発はシステムを一から作る開発を指します。

種別ごとのテスト量を知っておくと、テスト工程に何人を割くかを見積もる手がかりになります。ただし、この値は万能ではありません。同じ種別の中でも案件ごとの差は大きく、資料も2022年に公開されたものです。本記事では、開発チームの体制を決める担当者に向けて、種別ごとのテスト量の違い、平均ではなく中央値で見る理由、見積もりの手順、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。

改良開発・新規開発・再開発とは

IPA(情報処理推進機構)の「ソフトウェア開発分析データ集2022」は、開発の種別を新規開発、改良開発、再開発の3つに分け、種別ごとにテストの値を表にしています。*2 再開発は、既存のシステムを作り直す開発です。同じ「既存のシステムに関わる仕事」でも、機能を加える改良開発と、作り直す再開発は別の種別として集計されています。

この資料は2022年9月26日に公開され、2025年8月28日に最終更新されました。これまでに収集した5,546プロジェクトの定量データから分析したもので、「事業終了に伴い今後の発行予定はございません」と明記されています。*1 新しい版が出ない資料なので、最新の水準を示すものではなく、種別どうしを比べる基準として使います。

テスト量の単位は件/KSLOC(1,000行あたりの件数)です。プログラム1,000行あたり、何件のテストケースを作ったかを表します。*2 行数で割っているので、規模の違う案件どうしでもテストの手厚さを比べられます。

結合テストのケース数

結合テスト(部品を組み合わせて動きを確かめるテスト)のケース数の中央値は、改良開発が67.91件、再開発が39.30件、新規開発が37.63件でした。*2 N(集計に使われたプロジェクト数)は改良開発が393、再開発が56、新規開発が209です。

IPA「ソフトウェア開発分析データ集2022」の表から作成した図。公開2022年9月26日・最終更新2025年8月28日、これまでに収集した5,546プロジェクトから分析されており事業終了に伴い今後の発行予定はないと明記されていること、単位は件毎KSLOCで対象は開発5工程のフェーズ有無がすべてそろったプロジェクトであること、同じ5.1節には全開発種別をまとめた表もあるが図では開発種別ごとの3表に絞ること、この節の工程名には短縮した表記が使われているため図では言い換えて記載していること、四分位は本編の表に示された値で倍率と換算は表の値から計算し行ごとにNが違うこと、Copyright 2022 IPAであること、テストケース数は表5-1-2から表5-1-4で結合テストの改良開発がP25 29.52・中央67.91・P75 159.51で5.40倍のN393・結合テストの再開発が18.53と39.30と71.22で3.84倍のN56・結合テストの新規開発が17.84と37.63と79.84で4.48倍のN209・総合テストの改良開発が8.54と24.84と56.75で6.65倍のN378・総合テストの再開発が4.13と13.45と27.29で6.61倍のN54・総合テストの新規開発が4.69と9.41と21.57で4.60倍のN182であること、10KSLOCに換算すると結合テストが改良679件と再開発393件と新規376件で総合テストが改良248件と再開発134件と新規94件であること、中央値どうしを割ると結合1.81倍で総合2.64倍だがNが違うので差の大きさは論じず順序だけを読むこと、平均は根拠にしないこととして総合テストの改良開発が平均1026.89で中央値24.84の41.3倍で標準偏差12534.04・上端219000.0であり結合テストの改良開発も上端100000.0で平均は中央値の9.7倍になること、検出バグ数の中央値はケース数と順序が逆になり結合テスト検出バグ数の現象が新規開発1.565のN156・改良開発0.976のN296・再開発1.091のN49で結合テスト検出バグ数の原因が新規開発1.154のN100・改良開発0.996のN263・再開発0.593のN22であること、本編が現象数と原因数についてプロジェクト群の重なりが少ないため数だけのデータでは比較できないと明記していること、種別に合わせて体制を置く順番は案件の種別を先に確定し種別の行の中央値を規模に掛けP25とP75で上下の幅を持たせて結合と総合を分けて人を割り当てる4段であること、改修の案件を新規と同じ厚さで組むと規模あたりのケース数の水準に届かない形になること、この集計から読めないのはケース1件あたりの重さ・ケース数あたりのバグ数・種別ごとに水準が違う理由・自動化しているかどうか・2022年より後の傾向であること、本編の過去比較が新規開発は35.70から37.63などあまり差はないで改良開発は62.43から67.91などあまり差はないで再開発は43.21から39.30で多少の上下はあるがあまり差はないであること、図表の対応は表5-1-2がデータ白書2018の図表7-5-27で表5-1-3が7-5-33で表5-1-4が7-5-39であることをまとめた図

中央値どうしを割ると、改良開発は新規開発の1.81倍になります。ただし、Nが393と209で違い、同じプロジェクトの集まりを比べたものではありません。1.81倍という倍率よりも、「改良開発のほうが多い」という順序として受け止めます。

1万行(10KSLOC)の案件に当てはめて計算すると、結合テストのケース数は改良開発で679件、再開発で393件、新規開発で376件になります。テストの自動化から整える場合は「QAテスト自動化を外注する基盤構築ガイド」で進め方を扱っています。

総合テストのケース数

総合テスト(システム全体を通して確かめるテスト)でも、並びは同じです。中央値は改良開発が24.84件、再開発が13.45件、新規開発が9.41件でした。*2 中央値どうしを割ると改良開発は新規開発の2.64倍で、結合テストの1.81倍より開きが大きくなります。

1万行の案件に当てはめて計算すると、総合テストのケース数は改良開発で248件、再開発で134件、新規開発で94件です。どの種別でも、結合テストのほうが総合テストより中央値が高くなっています。テスト工程の人員は、結合テストと総合テストで分けて見積もると、実際の作業量に近づけやすくなります。

ここでもNが違うため、2.64倍という値は目安にとどめます。受け入れる側のテストについては「システム開発の検収・受入テストの進め方」で整理しています。

なぜ平均ではなく中央値で見るのか

平均を使わないのは、ごく一部の極端な案件に値が引っ張られるためです。総合テストの改良開発は、平均が1,026.89件で、中央値24.84件の41.3倍でした。いちばん大きい案件は219,000.0件/KSLOCに達しています。*2 平均で見積もると、ほとんどの案件にとって現実離れした人数になります。

結合テストも同じ傾向です。改良開発は平均661.59件で中央値の9.7倍、新規開発も平均258.33件で中央値の6.9倍です。*2 そのため、中央値と、小さいほうから4分の1の位置の値(P25)、4分の3の位置の値(P75)だけを見ます。

多めの案件(P75)が少なめの案件(P25)の何倍かを計算すると、結合テストは改良開発が5.40倍、新規開発が4.48倍、再開発が3.84倍でした。総合テストは改良開発が6.65倍、再開発が6.61倍、新規開発が4.60倍です。極端な案件を除いても3.8倍から6.7倍の開きがあり、種別を決めても案件ごとの差は大きく残ります。

検出バグの数との違い

同じ表には、テストで見つかったバグの数も載っています。結合テストで見つかったバグの件数(現象数)の中央値は、新規開発が1.565件、再開発が1.091件、改良開発が0.976件でした。*2 ケース数では改良開発が上でしたが、バグの数では新規開発が上に来ており、順序が逆になっています。

バグの原因の件数(原因数)で見ても、新規開発が1.154件、改良開発が0.996件、再開発が0.593件で、新規開発が上です。*2 ただし、ケース数の行とバグ数の行はNが違うため、2つを割ってケース1件あたりのバグ数を出すことはできません。順序が逆になる理由も、資料には示されていません。

現象数と原因数どうしも比べられません。本編も、現象数と原因数の両方のデータを出しているプロジェクトの重なりが少なく、そのまま比べることはできないと注意しています。バグの数は、それぞれの行の中で種別の順序を見るための値で、テストの人員を決める根拠には使わないほうが無難です。

テスト体制の見積もり方

ここまでの値を使うと、テスト工程の体制は次の4段で見積もれます。表の値は本編の表5-1-2から表5-1-4をまとめたものです。

1,000行あたりのテストケース数(IPA「ソフトウェア開発分析データ集2022」表5-1-2〜表5-1-4。単位は件/KSLOC。P75÷P25は表の値から計算。行ごとにNが違う。Copyright 2022 IPA)
工程と種別 P25 中央値 P75 P75÷P25 N
結合テスト・改良開発 29.52 67.91 159.51 5.40倍 393
結合テスト・再開発 18.53 39.30 71.22 3.84倍 56
結合テスト・新規開発 17.84 37.63 79.84 4.48倍 209
総合テスト・改良開発 8.54 24.84 56.75 6.65倍 378
総合テスト・再開発 4.13 13.45 27.29 6.61倍 54
総合テスト・新規開発 4.69 9.41 21.57 4.60倍 182
  • 1段目:案件が改良開発か、新規開発か、再開発かを、規模を出す前に決める
  • 2段目:種別と工程が合う行の中央値に、対象の行数(KSLOC)を掛ける
  • 3段目:P25とP75も掛けて、少ない場合と多い場合の見込みを作る
  • 4段目:結合テストと総合テストで、別々に人を割り当てる

順番を逆にして人数を先に決めると、種別によるテスト量の違いが計画に入りません。とくに改修の案件は、規模あたりのケース数が新規開発より高い水準なので、新規開発と同じ人数では足りなくなりがちです。種別を決めても3.8倍から6.7倍の開きは残るため、テストが始まったら実際に作ったケース数を表の値と見比べ、見込みより多いか少ないかを確かめます。

たとえば1万行の改修の案件なら、結合テストのケース数は中央値から679件と計算できます。人数は、この件数と、自社で1人が1日に書いて実行できるケースの数から割り出します。ケース1件あたりの作業の重さは資料に含まれていないので、自社の過去の案件の実績を使います。バグの数は、前の節で見たとおり人数を決める根拠にはしません。

外部に委託するときに確認しておきたい点

テストの作業は、何を確かめるかを決める作業と、ケースを書き起こして実行する作業に分けられます。前者は仕様の判断が要るので社員が担当し、後者は外部の専門人材に任せる、という分け方が取れます。ケースの書き起こしと実行は、人を増やした分だけ進めやすい作業だからです。

委託するときは、「どの機能の結合テストのケースを、何件、いつまでに書いて実行するか」まで決めてから頼むと進めやすくなります。テスト工程の数か月だけ人を追加し、終わったら元の体制に戻すなら、フリーランスを含む業務委託の使い方が合います。工程ごとに内製と委託をどう分けているかは「工程別の内製化」で、同じ資料にある外部委託の工数の割合は「外部委託工数比率とは」で扱っています。

まとめ:テスト量で確かめておきたい3つの点

テスト工程の体制を決めるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、案件が改良開発か新規開発かを先に決め、改修の案件は規模あたりのケース数が多いことを前提にすること。第二に、平均ではなく中央値とP25・P75で、少ない場合と多い場合の見込みを作ること。第三に、結合テストと総合テストで人員を分けて見積もり、テストが始まったら実際のケース数で見込みを確かめることです。この3点を踏まえておけば、「改修だから軽いと思っていたのに、テストが終わらない」という事態を避けやすくなります。テスト工程の人員の確保に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

テストの作業を、社内で決める部分と委託する部分に分けたあとは、その作業を任せる人をどこで探すかが次の問題になります。

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よくある質問

種別ごとのテスト量の違いは、最近の案件でも同じですか

過去の版と比べると大きな変化はありません。本編は結合テストのケース数について、新規開発は35.70件から37.63件、改良開発は62.43件から67.91件、再開発は43.21件から39.30件と比べ、いずれもあまり差はないと記しています。*2 ただし2022年公開の資料で今後の発行予定はないため、それより後の傾向は公表されていません。*1

再開発の値はどう扱えばよいですか

参考にとどめるのが無難です。再開発は結合テストのケース数がN56、総合テストがN54で、バグの原因数はN22と、ほかの種別より集計に使われた案件が少なくなっています。*2 見積もりの軸は改良開発と新規開発の値に置き、再開発はその間の値として見ておくと扱いやすくなります。

総合テストでも、バグの数はケース数と順序が逆になりますか

はい、逆になります。総合テストで見つかったバグの現象数の中央値は、新規開発が0.282件、再開発が0.228件、改良開発が0.164件で、Nは141、48、281でした。*2 結合テストと同じく、ケース数の行とNが違うため、ケース1件あたりの数は出せません。

テスト工程の体制を相談したいとき

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出典

  1. *1 参考:IPA「ソフトウェア開発分析データ集2022」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/metrics/metrics2022.html)。出典:IPA「ソフトウェア開発分析データ集2022」公開ページ。公開日・最終更新日、5,546プロジェクト、事業終了に伴い今後の発行予定がないことを参照(2026年9月確認)
  2. *2 参考:IPA「ソフトウェア開発分析データ集2022」本編(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/metrics/hjuojm000000c6it-att/000102171.pdf)。出典:同本編PDF。5.1節の表5-1-2(新規開発)・表5-1-3(改良開発)・表5-1-4(再開発)の四分位・平均・標準偏差・N、5章の対象条件、現象数と原因数は比較できないとの注記、過去の版との比較を参照(2026年9月確認)
  3. *3 参考:IPA「ソフトウェア開発分析データ集2022グラフデータ」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/metrics/hjuojm000000c6it-att/000103288.zip)。出典:同グラフデータ。表の値の確認に使用。著作権はIPAが保有(Copyright 2022 IPA)(2026年9月確認)




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