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エンジニア人材紹介で紹介されない|条件は規模の大きい順に絞る
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- 記入する企業が書ける技術の数には上限がある:IPAの資料では、システムの構成方式(アーキテクチャ)は3つまで、開発言語は5つまでと決められています。*1
- 選ぶ順番は開発規模の大きい順:記入する企業は、どちらの項目も開発規模の大きい順に選びます。*1
- 条件の数と候補者数の関係は書かれていない:この資料が定めているのは、記録するときの上限までです。
※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
エンジニア人材紹介の会社に依頼したのに、候補者の履歴書が届かない。届いても「条件に合いません」という返事が続く。こうして紹介されない状態が長引くとき、まず見直したいのは、自社が渡した案件の条件の書き方です。
手がかりになるのが、IPA(独立行政法人情報処理推進機構。情報処理の分野で国が設立した法人)が公開している「ソフトウェア開発分析データ集2022」です。*1 企業から提供された開発案件の実績をまとめた資料で、案件がどんなシステムを作るものかを記録する項目と書き方が決められており、一部の項目には「いくつまで選んでよいか」という上限が付いています。*1
この上限の付け方は、案件の条件をいくつまで書くかを考えるときの手がかりになります。ただし、条件をいくつに絞れば候補者が増えるという話は、今回参照した資料には書かれていません。本記事は、開発の現場を回しているマネージャに向けたものです。前半でIPAが記録している技術条件の項目と上限の付き方を見て、後半で条件の絞り方、つまずきやすい点、外部に頼むときの確認事項を整理します。
目次
IPAが記録している案件の技術条件
この「ソフトウェア開発分析データ集2022」は、複数の企業から集めた開発案件の実績を、同じ形で比べられるようにまとめた資料です。*1 そのため、項目ごとに定義と選択肢があらかじめ決められています。*1
案件がどんなシステムを作るものなのかを書き入れる欄が集まっているのが、「システム特性」という節です。*1 この節には13の項目がありますが、*1 案件の技術条件に直結するのは次の6つです。システムの種別(業務用のアプリなのか、WindowsやLinuxのような基本ソフトなのか)、処理形態(まとめて一括で処理するのか、画面を操作しながら処理するのか)、アーキテクチャ(システム全体をどんな構成で組むかという方式)、プラットフォーム(プログラムを動かす土台になる基本ソフト。WindowsやLinuxなど)、主開発言語、そしてDBMS(データベース管理システム。データを整理してためておくソフト)を使ったかどうか。*1
エンジニア人材紹介の会社に条件を渡すときも、この6つの項目に沿って書けば、案件の技術条件はひととおりそろいます。「Java(プログラムを書くための言語)で、Linux(サーバでよく使われる基本ソフト)の上で動き、PostgreSQL(データをためておくソフト)を使い、画面・処理・データの3つに分けて組んだ業務システム」という具合です。
| 項目 | 資料の定義 | 選択肢の数 |
|---|---|---|
| 301_システムの種別 | 開発した情報システムの種別 | 5 |
| 307_処理形態 | 開発した情報システムの処理形態 | 4 |
| 308_アーキテクチャ | アーキテクチャの種類。※複数ある場合は、開発規模の大きい順に3つまで選択 | 6 |
| 309_開発対象プラットフォーム | 主たる開発対象プラットフォーム | 7 |
| 312_主開発言語 | 主たる開発言語。※規模の大きい順に5つまで選択 | 22 |
| 313_DBMSの利用 | 当該プロジェクトにおいてDBMSを使用したか否か | 13 |
項目名の頭に付いている3桁の数字は、資料が項目を区別するために振っている通し番号です。表を見ると、選び方に個数の上限が付いている項目があることがわかります。*1 アーキテクチャは「複数ある場合は、開発規模の大きい順に3つまで選択」、主開発言語は「規模の大きい順に5つまで選択」と決められています。*1
上限がある項目と、上限がない項目の違い
上限が付いている2つの項目には、共通点があります。どちらも「規模の大きい順に」という条件が一緒に書かれていることです。*1 つまり資料は、記入する企業に対して選ぶ順番まで指定しています。なお、ここでいう開発規模が作業量を指すのか、プログラムの量を指すのかについて、資料のこの節に説明はありません。自社で並べ替えるときは、作業量とプログラムの量のどちらで見るかを、先に決めておいてください。
主開発言語として選べる言語は、資料に22並んでいます。*1 実際の開発でも、画面を作る言語、処理を書く言語、データを取り出す言語というように、3つ以上を使い分ける案件はあります。それでも記入する企業は、開発規模の大きい順に上位5つまでしか書きません。*1 資料が問うているのは「その案件を代表する技術は何か」であって、使った技術を全部並べることは求めていません。*1
一方、上限が書かれていない項目もあります。システムの種別と処理形態には、いくつまでという断りがありません。*1 選択肢はそれぞれ5つと4つです。*1 いくつ選ぶかが書かれていない点が、上限のある2項目との違いです。プラットフォームの定義には「主たる」という語が入っており、*1 複数あっても中心のものを書く欄だと読めます。
DBMSの利用は、定義が「使用したか否か」なのに選択肢が13あります。*1 使った場合には製品名まで記入させる作りのためで、13のうち12が製品名、残りの1つが「無し」です。*1
ここまでを通してわかるのは、この資料が案件を「代表する技術の組み合わせ」として記録しているということです。どれを上位に選ぶかの基準として資料が示しているのは、「開発規模の大きい順」だけです。*1 細かい技術を全部書き出す作りにはなっていません。
なぜ条件を全部並べると紹介されにくくなるのか
条件を全部並べると、当てはまる人が減ります。仮に、言語を5つ、データベースを2つ、アーキテクチャを2つ書いて、すべて必須と伝えたとします。このとき対象になるのは、9つ全部の経験がある人だけです。候補者の経験が1つでも欠けていれば、その人は必須の条件を満たさないことになります。
これは資料に書かれていることではなく、必須の条件を重ねるほど当てはまる人が減るという、数の上での話です。ただし、資料は上限を設けたうえで「規模の大きい順に」と決めています。*1 ここからは、案件を代表する技術だけ書けば足りる、という考え方が読み取れます。これも資料が述べていることではなく、上限の付け方からこの記事で導いた見方です。
そこで、紹介されない理由を確かめるときは、求人票や案件の説明文から、必須と書いた技術の名前だけを抜き出して並べてください。Java、Spring(Javaで開発するときによく使う部品のまとまり)、PostgreSQL——そのうえで、並べた全部の経験を持つ人が自社の開発チームに何人いるかを数えます。
自社はその技術で実際に開発している集団ですから、そこで1人しか満たしていない組み合わせなら、社外ではもっと見つけにくいと考えておいてください。いくつ以下なら良いという数の基準は、今回参照した資料にはありません。資料の上限をそのまま条件の数にしてよいわけでもありません。自社の人数で確かめるのが、いま手元でできるやり方です。
条件をどう絞って伝えるか
絞り方は3つの手順に分かれます。第1に、いまエンジニア人材紹介の会社に渡している条件を、先ほどの表と同じ6つの項目に分けて書き出します。システムの種別、処理形態、アーキテクチャ、開発対象プラットフォーム、主開発言語、DBMSの利用です。
第2に、開発規模の大きい順に並べ替えます。その案件で開発規模の大きい部分を占めている技術はどれか、その次に大きいのはどれか、という順です。資料は「規模の大きい順に」と書いているので、*1 上から順に選んでいって、アーキテクチャなら3つ、主開発言語なら5つで打ち切ることになります。
第3に、必須にするものと、あれば望ましいものに分けて伝えます。「Javaは必須。PostgreSQLは望ましい。Linuxの操作は入社後に覚えてもらう」——このくらいはっきり書ければ、紹介する側も候補者を選びやすくなります。どちらに入れるかは、「その技術を知らない人が入った場合、ひとりで作業できるようになるまで何日かかるか」で決められます。1週間ほどで追いつけるなら望ましい条件、数か月かかるなら必須の条件です。中間に入るものは、望ましい条件のほうに入れます。習得に時間のかかる技術ほど、入ってから覚えてもらう余裕がないためです。この決め方は資料に書かれているものではなく、条件を分けるときの一つの考え方です。
分け終わったら、必須の条件だけを並べた一文を作ってみてください。「Javaでの業務システム開発の経験」といった形です。この一文に並ぶ条件が多いほど、当てはまる人は少なくなります。逆に条件を1つ外せば、その条件だけを満たしていなかった人も候補に入ります。
つまずきやすい難所
一つめは、使う技術を全部そろえて必須にすることです。記録用の資料でさえ、IPAは書ける技術の数に上限を設けています。*1 実際に使う技術の一覧と、人に求める条件の一覧は、別々に作ってください。
二つめは、上限の数字をそのまま条件の数として使うことです。アーキテクチャ3つ、言語5つというのは、資料に記録するときの上限です。*1 求人の条件をいくつにすべきかを示した数字ではありません。
三つめは、紹介されない原因を条件の書き方だけに求めることです。条件の書き方と候補者が来ることの関係について、今回参照した資料に記載はありません。報酬、勤務地、契約の期間といった条件でも候補者の数は変わりますし、エンジニア人材紹介の会社に登録している人の職種や経験にもよります。
外注時に確認しておきたい点
エンジニア人材紹介の会社に依頼するときは、必須の条件と望ましい条件を分けて渡してください。「Javaは必須、それ以外は望ましい」という一文で構いません。そのとき、望ましい条件をどう扱うかも一緒に伝えます。「望ましい条件を満たしていなくても、まず会ってみたい」のか、「必須の条件を満たす人が複数いたときの判断材料にする」のか。ここを書いておかないと、エンジニア人材紹介の会社が望ましい条件まで必須として扱い、結果として紹介されない候補者が出ます。
こうして条件を分けて書いた文書は、外部の要員(自社で雇わず、作業ごとに契約して働いてもらう人。個人のフリーランスのほか、開発を請け負う会社に所属している人も含みます)に頼むときにもそのまま使えます。一方、どの技術が開発規模の大きい部分を占めているかは、その案件の設計を担当している人でなければ判断できません。ここまで社外に任せると、条件が実際の開発とずれたまま候補者を探すことになります。
正社員を採用するのか、外部の要員に頼むのか。この判断にも、条件を分けて書いた文書がそのまま使えます。必須の条件が多い案件ほど当てはまる人は減るので、作業を切り分けて一部だけを別の人に任せる進め方も取れます。「Javaの改修だけを頼み、データベースの移行は社内で進める」という分け方なら、外に頼む側の必須の技術はJavaだけになります。
求人票の業務内容そのものの書き方はエンジニア採用の求人票、IPAの4項目で業務内容を書くで扱っています。
採用が決まらないことが開発のどこに表れるかはエンジニア採用できない要因とは?工期・品質・予算で確かめるにまとめました。
採用以外で人を確保するやり方は欠員補充はエンジニア中途採用だけ?選択肢は9つで整理しています。
入ってもらう人のスキルの確かめ方は外部エンジニアのスキル確認、4つの軸で評価するにあります。
まとめ:条件を渡す前に知っておく3つのこと
エンジニア人材紹介の会社に依頼しても紹介されない状態が続くときは、案件の条件の書き方から見直せます。知っておきたいことは3つです。第一に、IPAは案件の技術を記録するとき、アーキテクチャは3つまで、主開発言語は5つまでという上限を設けています。*1 第二に、どちらの項目も「規模の大きい順に」選ぶと決められており、その案件を代表する技術だけを書く形になっています。*1 第三に、条件をいくつに絞れば候補者が増えるという基準は、今回参照した資料には書かれていません。この3点を踏まえて、必須の条件と、あれば望ましい条件に分けて書き直してみてください。書き直したうえでも候補者が来ないなら、報酬や勤務地など、条件の書き方以外を見直す番です。分けるところまでは社内でできます。その先、必須の条件を満たす人が社内にも社外にも見つからなければ、作業を切り分けて外部の要員に頼むのも一つの選択肢です。
よくある質問
IPAは案件の技術条件をどう記録していますか
「ソフトウェア開発分析データ集2022」のシステム特性という節で、システムの種別、処理形態、アーキテクチャ、開発対象プラットフォーム、主開発言語、DBMSの利用などを記録しています。*1 確認日は2026年9月19日です。
選べる数に上限はありますか
あります。アーキテクチャは「複数ある場合は、開発規模の大きい順に3つまで選択」、主開発言語は「規模の大きい順に5つまで選択」と決められています。*1 確認日は2026年9月19日です。
条件をいくつに絞れば候補者が増えますか
今回参照した資料に記載はありません。資料が定めているのは案件を記録するときの上限までで、求人の条件の数は扱っていないためです。確認日は2026年9月19日です。
上限の数字をそのまま求人の条件にしてよいですか
その使い方は資料の想定ではありません。3つまで、5つまでというのは記録するときの上限であり、求人の条件をいくつにすべきかを示した数字ではありません。*1 確認日は2026年9月19日です。
どの技術を上位に選べばよいですか
資料は「規模の大きい順に」と定めています。*1 その案件で開発規模の大きい部分を占める技術から選ぶことになります。確認日は2026年9月19日です。
必須の条件が決まったら相談
「Javaは必須、それ以外は望ましい」という形で条件を分けられていれば、そのままご相談いただけます。まだどの技術を必須にするか決めきれていない段階でも構いません。
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出典
- *1 参考:IPA「ソフトウェア開発分析データ集2022」(PDF)(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/metrics/hjuojm000000c6it-att/000102171.pdf)。出典:IPA「ソフトウェア開発分析データ集2022」。独立行政法人情報処理推進機構 社会基盤センター発行。A5.2.4「システム特性」のデータ項目301、307、308、309、312、313の定義と選択肢の一次情報として。本書の著作権はIPAが保有し無断の改変や公衆送信などは禁じられているため、この記事は示された定義を引用し、表と図は内容をもとに筆者が作成した。資料の図表そのものは複製していない(2026年9月確認)
- *2 参考:IPA「ソフトウェア開発分析データ集2022」(公開ページ)(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/metrics/metrics2022.html)。本編と業種編・サマリー版という構成と、収録されている指標の範囲の確認として(2026年9月確認)
- *3 参考:IPA「ソフトウェア開発分析データ集」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/metrics/index.html)。年度ごとに公開されていることの確認として(2026年9月確認)