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エンジニア人材紹介の乗り換え|離職者数で比べるときの注意点
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- 紹介会社が公表する人数は職種で分かれておらず、エンジニアの紹介だけの就職者数や離職者数は取り出せません。
- 離職者数の対象は期間の定めのない契約で就職した人だけで、解雇と就職から6か月より後の離職は除かれます。
- 離職者数は雇用主への調査で数えるのが原則で、返戻金制度の免除事由に当たった人数で集計する方法なら調査は要りません。
※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
いま使っているエンジニア人材紹介の会社から、別の会社に乗り換えたい。比べる材料として、各社が公表している就職者数や離職者数を並べてみたい——。紹介会社を見直す場面では、こうした比べ方がまず思い浮かびます。公表される離職者数とは、紹介で期間の定めのない契約を結んで就職した人のうち、就職した日から6か月がたつ前に辞めた人の数です。ただし、解雇で辞めた人は数えません。数える対象とやり方は、職業安定法の施行規則が決めています。
公表された数字は、乗り換え先を探すときの手がかりになります。ただし万能ではなく、数える対象が絞られているうえ、事業者によって数え方が違うこともあります。本記事では、エンジニア人材紹介の乗り換えを考える採用担当者に向けて、公表される人数の中身、離職者数に入らない人、2通りの数え方、数字が指す年度のずれ、そして乗り換えの前に確かめたい点を整理します。
目次
公表される人数とは
人材紹介の会社のうち、厚生労働大臣の許可を受けて有料で職業紹介をする会社を、職業安定法は有料職業紹介事業者と呼んでいます。法第32条の16第3項は、この事業者に、紹介で就職した人の数、そのうち離職した人の数、手数料に関する事項などの情報を提供するよう義務づけています。*1 中身を決めているのは施行規則第24条の8第3項で、インターネットで提供する事項として次の5つを挙げています。*2
| 号 | 提供する情報 |
|---|---|
| 第1号 | 紹介により就職した者の数、及びそのうち期間の定めのない労働契約を締結した者の数 |
| 第2号 | 無期雇用就職者のうち、離職した者の数(解雇により離職した者と、就職した日から6月経過後に離職した者を除く) |
| 第3号 | 無期雇用就職者のうち、第2号に該当するかどうか明らかでない者の数 |
| 第4号 | 手数料に関する事項(取扱職種ごとの常用就職1件当たりの平均手数料率の実績を含む) |
| 第5号 | 返戻金制度に関する事項 |
第1号から第3号までが人数、第4号が手数料、第5号が返戻金制度です。返戻金制度とは、紹介で就職した人が早く辞めたときなどに、紹介会社が雇用主から受け取る手数料の全部か一部を返す制度のことです。*2 5つの事項のうち、「取扱職種ごと」という言葉が入っているのは第4号の手数料だけです。第1号から第3号までの人数は職種で分かれていないので、エンジニアの紹介だけの就職者数や離職者数は、公表された数字からは取り出せません。
離職者数に入らない人とは
第1号は、紹介で就職した人の数と、そのうち期間の定めのない労働契約を結んだ人の数の2つです。条文は後者を無期雇用就職者と呼び、第2号の離職者数はこの無期雇用就職者だけを対象にしています。*2 契約の期間が決まっている有期の契約で就職した人は、第2号の数には入りません。有期の契約で採用するつもりなら、その形で就職した人の離職は第2号の数には表れません。
第2号は、無期雇用就職者の中からも2種類の人を除いています。解雇により離職した人と、就職した日から6か月を過ぎてから離職した人です。*2 第2号に残るのは、解雇以外の理由で、就職した日から6か月がたつ前に辞めた人になります。退職を勧められて辞めた場合が解雇に当たるかどうかは、この条文だけでは決まりません。
図は、無期雇用就職者の数からどの人が第2号の離職者数から除かれ、残った人がどう数えられるかを並べたものです。数え方の2通りと、確認できなかった人の扱いは、次の2つの節で見ていきます。
離職者数の2つの数え方
数え方は、規則第24条の8の第5項と第6項が決めています。第5項が原則で、事業者は、無期雇用就職者が第2号の離職者に当たるかどうかを確かめるため、その人を雇った雇用主に必要な調査をしなければならないとしています。*2 紹介会社が紹介先の会社に問い合わせて、紹介した人が辞めたかどうかを確かめるやり方です。
第6項は例外です。返戻金制度を設けている事業者が、返戻金制度に基づいて手数料を免除する事由に当たった人の数を集計する方法で第2号の数を出す場合は、第5項の調査をしなくてよいとしています。*2 条文の作りは原則と例外で、2つから自由に選べる形ではありません。返戻金制度があるかどうかは第5号として公表されるので、そこに制度が載っていなければ、例外は使えず、調査で数えていることになります。
気をつけたいのは、免除の事由をどう決めるかが、法律にも規則にも定められていない点です。返戻金制度で集計した事業者では、免除の事由の決め方によって、第2号に入る人が変わることになります。同じ第2号の数でも、事業者どうしで数えている中身がそろっているとは限りません。
確認できなかった人の数
第3号は、無期雇用就職者のうち、第2号に当たるかどうかが明らかでない人の数です。*2 雇用主に調査をしても、辞めたかどうかを確認できなかった人がここに入ります。返戻金制度で集計する方法をとった場合に誰が第3号に入るかは、条文に定めがありません。
第3号の人数が多いほど、無期雇用就職者のうち、辞めたかどうかが分かっている人は少なくなります。離職者数が少なく見えても、確認できなかった人が多ければ、定着がよいとは言い切れません。第2号だけを取り出して比べず、第1号の無期雇用就職者の数と第3号の数を横に並べて見ておくと、数字の意味を取り違えにくくなります。
何年度分が並ぶのか
第3項は、何年度分の数を出すかも決めています。年度は4月1日から翌年3月31日までです。第1号から第3号までは、原則として前年度の総数と、いまの年度より前の4年度内の各年度の総数を出します。ところが4月1日から9月30日までの間は扱いが変わり、第1号には前年度の総数が含まれますが、第2号と第3号は前年度より前の5年度内の各年度の総数になります。*2
そのため4月1日から9月30日までの間は、同じ事業者のウェブサイトの中でも、第1号と第2号が指している年度がそろいません。第4号の手数料と第5号の返戻金制度は、年度ではなく、その時点の情報です。*2
第4項は、別の出し方も認めています。第1号は4月1日から4月30日までの間、第2号と第3号は10月1日から12月31日までの間、前年度より前の5年度分の総数とすることができます。*2 「することができる」なので、第3項のまま出すこともできます。事業者どうしで並ぶ年度がずれるのは、この選び方の違いからも起こります。
乗り換えの前に確かめたい点
ここまでの条文を踏まえると、エンジニア人材紹介の乗り換えで公表の数字を比べるときに確かめたい点は4つあります。
1つめは、数えている対象です。第2号が対象にしているのは無期雇用就職者だけで、有期の契約で就職した人は入りません。人数は職種でも分かれていないので、エンジニア以外の紹介も混ざっています。エンジニアの紹介について知りたい数があれば、公表の数字とは別に、紹介会社に尋ねることになります。
2つめは、数え方です。雇用主への調査で数えたのか、返戻金制度の免除事由で集計したのかは、第2号の数字には出てきません。第5号に返戻金制度が載っていなければ調査で数えていますが、制度が載っている事業者については、どちらで数えたのかを担当者に聞いておくと、他社の数と並べやすくなります。
3つめは、第3号の人数です。第2号の数を見るときは、第1号の無期雇用就職者の数と第3号の数を一緒に書き出しておきます。4つめは、年度です。事業者どうしを比べるなら、同じ年度の数が並んでいるかを先に確かめます。見ている時期が4月から9月の間であれば、同じウェブサイトの中でも第1号と第2号の年度がずれている点に気をつけます。
手数料や返戻金まで含めた紹介会社の選び方の全体は、記事「人材紹介会社の選び方」で扱っています。
まとめ:乗り換えで確かめておきたい3つの点
エンジニア人材紹介の乗り換えで公表の離職者数を比べるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、人数は職種で分かれておらず、離職者数は無期雇用就職者だけを対象に、解雇と就職から6か月より後の離職を除いた数であること。第二に、その数が雇用主への調査で数えたものか、返戻金制度で集計したものかと、確認できなかった第3号の人数。第三に、並んでいる年度が事業者どうしでそろっているかです。この3点を踏まえておけば、「離職者数が少ない紹介会社に乗り換えたのに、数えている中身が前の会社と違っていた」という事態を避けやすくなります。乗り換え先の比べ方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。
よくある質問
どちらの数え方をしているかは、公表されますか
職業安定法と施行規則には、調査と返戻金制度のどちらで数えたかを公表する定めはありません。規則は、第5項で原則を、第6項で例外を置いているだけです。なお、公表の仕方は職業安定局長の定めにも委ねられています。*2
事業報告書に出す数と同じものですか
インターネットでの情報提供と事業報告書とでは、出し先と期限が違います。事業報告書は事業所ごとに作って厚生労働大臣に提出するもので、*1 期限は毎年4月30日です。*2 インターネットでの情報提供は、規則第24条の8第3項が定める別の義務です。
いまの紹介会社との契約の終わらせ方は、法律で決まっていますか
職業安定法と施行規則には、紹介会社との契約の解約や終わらせ方は出てきません。乗り換えを決めたら、いまの紹介会社と結んだ契約書で、解約の手続きや返戻金の扱いを確かめます。
いまの紹介の形を見直すときは
何を誰に確かめるかの整理からご相談いただけます。
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出典
- *1 参考:職業安定法(e-Gov法令検索)(https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000141)。出典:職業安定法。第30条第1項の許可、第32条の16第1項の事業報告書、同条第3項の情報提供の義務を参照(2026年9月確認)
- *2 参考:職業安定法施行規則(e-Gov法令検索)(https://laws.e-gov.go.jp/law/322M40002000012)。出典:職業安定法施行規則。第24条の5第1項第2号(返戻金制度の定義)、第24条の8第1項(事業報告書の期限)、第3項(5つの号と年度)、第4項、第5項(雇用主への調査)、第6項(返戻金制度による集計)を参照(2026年9月確認)