LASSIC Media らしくメディア
フリーランス活用とデータ基盤、人材が最上位の設問は2つ
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- 課題を聞いた設問は2つある:図表3-30がデータ整備・管理・流通の課題、図表3-33がデータ連携推進の課題です。*1 報告書の中で、データ基盤づくりの困りごとを正面から聞いているのはこの2つだと読みました。これはこの記事の読み方です。
- どちらも最も高い項目が人材:図表3-30は人材の確保が難しいで51.2%、図表3-33は社内にデータ連携を企画・推進・実装できる人材が不足しているで45.7%です。*1 報告書はどちらもまとめて人材不足と呼んでいますが、*1 選択肢そのものは、確保が難しいと、社内にいない、で書き分けられています。*1
- 上位3つの2番目と3番目は人材以外:図表3-30はデータの標準化が難しいで36.8%と管理システムが整備されていないで32.6%、図表3-33はセキュリティ対策やプライバシー保護の負荷が高いで38.7%とデータ連携による具体的な費用対効果が見込めない・不明確であるで38.4%です。*1 人を増やしたときにこの4項目がどう動くかは、今回参照した資料には書かれていません。
※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
データ基盤を作る話になると、まず人が足りないという話になります。その実感が調査の数字にも出ているのかを確かめようとすると、データ基盤の課題を聞いた設問が2つあることに気づきます。
この記事で読むのはIPAの「DX動向2026」です。*1 2026年7月30日に公開された報告書とデータ集で、日本企業1,799社の回答をまとめたものです。*1 調査対象数は10,000社、調査期間は2026年4月17日から6月12日まで、設問は60問です。*1
報告書は本文の中で、この調査を「2025年度調査」と呼んでいます。*1 実施したのは2026年で、表題も「DX動向2026」なので、この記事では表題のほうで書きます。なぜ2025年度と呼ぶのかは、今回参照した資料には書かれていません。これはこの記事の言い方です。
どの会社がよいかという話や、フリーランス活用の契約の進め方は、この記事では書きません。扱うのは、2つの設問が何を聞いていて、どこまで読めるかだけです。
目次
データ基盤の課題は2つの設問で聞かれている
1つめが図表3-30、データ整備・管理・流通の課題です。報告書は、人材の確保が難しいが51.2%と最も高く、次いでデータの標準化が難しいが36.8%、管理システムが整備されていないが32.6%となっており、人材不足や仕組みが重要な課題となっている、と書いています。*1
報告書はこの設問について、人材不足や仕組みが重要な課題となっている、とまとめています。*1 つまり報告書の側では、人材の確保が難しいも人材不足のひとくくりに入っています。仕組みにあたるのが、データの標準化と管理システムの2つだと読めます。
2つめが図表3-33、データ連携推進の課題です。社内にデータ連携を企画・推進・実装できる人材が不足しているが45.7%と最も高く、次いでセキュリティ対策やプライバシー保護の負荷が高いが38.7%、データ連携による具体的な費用対効果が見込めない・不明確であるが38.4%となっている、と書かれています。*1
| 並び | データ整備・管理・流通の課題(図表3-30) | データ連携推進の課題(図表3-33) |
|---|---|---|
| 最も高い項目 | 人材の確保が難しい 51.2% | 社内にデータ連携を企画・推進・実装できる人材が不足している 45.7% |
| 2番目 | データの標準化が難しい 36.8% | セキュリティ対策やプライバシー保護の負荷が高い 38.7% |
| 3番目 | 管理システムが整備されていない 32.6% | データ連携による具体的な費用対効果が見込めない・不明確である 38.4% |
どちらの設問でも、最も高い項目が人材の話です。*1 報告書はこの2つをまとめて人材不足と呼びますが、*1 フリーランス活用を当てはめるときに効いてくるのは選択肢のほうの書かれ方です。これはこの記事の読み方です。
確保が難しいのか、社内にいないのか
図表3-30の選択肢は、人材の確保が難しい、です。*1 どこから確保するかは書かれていません。
図表3-33の選択肢は、社内にデータ連携を企画・推進・実装できる人材が不足している、です。*1 こちらは社内、と場所が書かれていて、企画・推進・実装という3つの動きも並んでいます。*1
フリーランス活用は、社内にいないという書かれ方のほうに当てはめやすくなります。確保が難しいという書かれ方は、外から連れてくること自体が難しいという意味にも読めます。外部に頼めば解ける、とは今回参照した資料からは言えません。これはこの記事の読み方です。
なお、2つの選択肢のどちらを選んだ企業が重なっているかは、今回参照した資料からは分かりません。
報告書は、確保の先がどこかまでは書いていません。*1 人材の確保が、採用のことなのか、外部への委託も含むのかは、選択肢の文言だけでは決まりません。
この2つには対象を絞る注記が付いていない
この報告書は、対象を絞った図表にはその旨の注記を付けています。図表3-27から図表3-29には、データ利活用の状況に関する設問で、3つの選択肢のいずれでもない回答をした企業が対象、という注記が付いています。*1 除かれる3つは、過去に検討・導入または実証実験を行ったが現在は取組んでいない、関心はあるがまだとくに予定はない、今後も取組む予定はない、です。*1
図表3-32にも、データ連携の形態の設問でいずれかの項目で実施している、実施を検討している、を選択した企業が対象、という注記が付いています。*1
図表3-30と図表3-33には、この注記がありません。*1 絞ったときに注記を付けるという書き方からすると、有効回答の1,799社を分母にした割合だと読めます。ただし報告書はそう書いてはいません。社内の資料に引くときは、分母が書かれていない数字だと添えることになります。10,000社に配って1,799社が答えた調査なので、*1 どの割合も答えた側の中での割合です。これはこの記事の読み方です。これはこの記事の読み方です。
2番目と3番目に並ぶのは人材以外の項目
図表3-33で次に高いのは、セキュリティ対策やプライバシー保護の負荷が高い、で38.7%です。*1 最も高い項目が人材でも、2番目は人材の話ではありません。*1
3番目が、データ連携による具体的な費用対効果が見込めない・不明確である、で38.4%です。*1 報告書はさらに、データ連携を活用したビジネスモデルや収益化の仕組みが描けないが31.8%であることから、費用や収益といった面も大きな課題となっている、と書いています。*1
上位3つのうち、最も高い項目は人材ですが、2番目と3番目は人材以外です。*1 報告書が名前を挙げている4番目までを見ても、人材の項目はここだけです。*1 5番目から下がどうなっているかは、今回参照した資料には出てきません。人を増やしたときにこの2項目がどう動くかも書かれていません。
図表3-30の2番目と3番目も、データの標準化と管理システムで、人材ではありません。*1
フリーランス活用を考えるときに確かめること
この2つの図表から、フリーランス活用の検討で確かめることを3つ挙げます。この整理はこの記事のものです。
1つめは、自社の困りごとが、社内に人がいないことなのか、採ること自体が難しいことなのかです。前者なら外に頼む話につながります。後者だと、外に頼む相手を探すところで同じ壁に当たることがあります。どちらなのかは自社で切り分けることになります。これはこの記事の読み方です。
2つめは、2番目と3番目の項目です。セキュリティ対策やプライバシー保護の負荷と、費用対効果が見込めないという項目が並んでいます。*1 人を増やしたときにこれらがどう動くかは資料に書かれていないので、別に見ることになります。
3つめは、分母です。図表3-30と図表3-33には対象を絞る注記がないので、*1 有効回答の1,799社を分母にした割合だと読めます。報告書にそう書かれてはいないので、引くときはその旨を添えることになります。
あわせて、図表3-33の選択肢には企画・推進・実装の3つが1つにまとめて入っています。*1 どの段が足りないのかは設問からは分かれないので、頼む範囲を決めるときは自社で分けることになります。これはこの記事の読み方です。
どの項目も、誰が答えた数字かを見たうえでの話になります。回答したのは、日本標準産業分類の19業種の企業で、対象は経営層またはICT関連事業部門とされています。*1 データ集は想定回答者を、自社内のDXの推進状況を把握している部署の責任者、DXを推進する人材の状況を把握している部署の責任者、と書いています。*1 設問に答えたのは、状況を把握している側の人です。
データを置く場所そのものを誰が把握しているかという話は、記事「データ利活用は74.0%、在り処の管理は20.7%にとどまる」で扱っています。
まとめ:人材という言葉が、2つの設問で違う書かれ方をしている
人が足りないという実感が数字に出ているかについて、今回参照した資料から読み取れることは4つです。第一に、課題を聞いた設問は2つあり、図表3-30がデータ整備・管理・流通の課題、図表3-33がデータ連携推進の課題です。*1 第二に、どちらも最も高い項目が人材で、図表3-30は人材の確保が難しいが51.2%、図表3-33は社内にデータ連携を企画・推進・実装できる人材が不足しているが45.7%です。*1 実感は数字に出ていますが、報告書がまとめて人材不足と呼ぶ2つは、*1 選択肢では確保と社内に分かれています。*1 第三に、上位3つのうち2番目と3番目は人材以外で、図表3-30はデータの標準化が難しいで36.8%と管理システムが整備されていないで32.6%、図表3-33はセキュリティ対策やプライバシー保護の負荷が高いで38.7%とデータ連携による具体的な費用対効果が見込めない・不明確であるで38.4%です。*1 第四に、この2つの図表には対象を絞る注記がなく、*1 絞ったときに注記を付けるという書き方からすると有効回答の1,799社が分母だと読めますが、報告書はそう書いてはいません。以上から、フリーランス活用の検討で確かめるのは、自社の困りごとが社内にいないことなのか採れないことなのか、2番目と3番目の項目、分母の3つです。これはこの記事の読み方です。
よくある質問
人材が最上位なら、外部に頼めば解決しますか
今回参照した資料からはそこまでは言えません。図表3-30の選択肢は人材の確保が難しいで、どこから確保するかは書かれていません。*1 外から連れてくること自体が難しいという意味にも読めるので、外部に頼めば解けるとは限りません。図表3-33の選択肢には社内という場所が書かれているので、*1 そちらには当てはめやすくなります。
51.2%と45.7%は同じ分母の数ですか
報告書は分母を書いていません。ただし図表3-30と図表3-33には対象を絞る注記がなく、*1 絞ったときに注記を付けるという書き方からすると、どちらも有効回答の1,799社が分母だと読めます。そう読むなら同じ分母です。ただし近い図表3-32には、データ連携の形態の設問でいずれかの項目で実施している、実施を検討している、を選択した企業が対象、という注記が付いています。*1 同じ節に絞られた図表があるので、絞られていないと言い切ることもできません。これはこの記事の読み方です。
この調査はいつのものですか
報告書は2026年7月30日に公開され、調査期間は2026年4月17日から6月12日までです。*1 有効回答数は1,799社です。*1 ただし報告書の中では、この調査を「2025年度調査」と呼んでいます。*1
誰が答えた調査ですか
日本標準産業分類の19業種の企業の経営層またはICT関連事業部門が対象です。*1 データ集は想定回答者を、自社内のDXの推進状況を把握している部署の責任者、DXを推進する人材の状況を把握している部署の責任者、としています。*1
データ基盤の体制で迷ったら
内で持つ範囲と外に頼む範囲の整理からご相談いただけます。
Remoguとリラシクなら、必要な期間と範囲を決めたうえで、担当できる方をご提案します。
Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。
出典
- *1 参考:IPA「DX動向2026」(独立行政法人情報処理推進機構)(https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/dx-trend-2026.html)。出典:IPA「DX動向2026」。図表3-30のデータ整備・管理・流通の課題、図表3-33のデータ連携推進の課題、図表3-27から図表3-29及び図表3-32の対象の注記、調査期間と有効回答数の一次情報として(2026年9月確認)