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フリーランス活用で補うデータ基盤の構築範囲|社内に人がいない場合
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- IPAの調査でデータ基盤の課題を聞いた2つの設問では、どちらも人材の項目が最も多く、51.2%と45.7%でした。
- 人材の選択肢は「確保が難しい」と「社内にいない」に分かれ、「社内にいない」場合はフリーランスで補いやすくなります。
- 回答の多い順で2番目と3番目には、データの標準化やセキュリティ対策の負荷など、人材以外の課題が並んでいます。
※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
データ基盤を作りたいのに、社内に担当できる人がいない。募集を出しても、データの整備や連携を経験した人がなかなか応募してこない——。データ活用を進めようとする企業では、こうした悩みが起こりがちです。データ基盤とは、社内に散らばったデータを集めて整え、部門をまたいで使えるようにする仕組みのことです。IPA(情報処理推進機構)の「DX動向2026」でも、データを整え、管理し、必要な部署へ渡すうえでの課題として「人材の確保が難しい」を挙げた企業が51.2%で、最も多くなっています。*1
人が足りないなら、フリーランスのエンジニアに加わってもらう方法があります。必要な技能を持つ人に、必要な期間だけ作業を任せられます。ただし万能ではなく、人材の課題の中身によっては、社外の人に頼むだけでは解決しないことがあります。調査の選択肢も、「確保が難しい」と「社内にいない」の2種類に分かれています。本記事では、データ基盤づくりを担当する方に向けて、調査で挙がった課題、2つの選択肢の違い、人材以外の課題、そしてフリーランスに委託するときに確認したい点を整理します。
目次
データ基盤の人材の課題とは
IPAの「DX動向2026」は、日本企業のDX(デジタル技術による業務や事業の変革)の状況を調べた報告書で、2026年7月30日に公開されました。10,000社を対象に調査し、1,799社が回答しています。*1 この中に、データ基盤づくりの課題を尋ねた設問が2つあります。
1つめは、データの整備・管理・流通の課題を尋ねた設問(図表3-30)です。データを整え、管理し、必要な部署やシステムへ渡すまでの課題を聞いています。2つめは、データ連携の推進の課題を尋ねた設問(図表3-33)です。データ連携とは、あるシステムや組織が持つデータを、別のシステムや組織とつないで使うことを指します。
どちらの設問でも、最も多く選ばれたのは人材の項目でした。ただし選択肢の書き方は同じではありません。データ整備・管理・流通のほうは「人材の確保が難しい」、データ連携のほうは「社内にデータ連携を企画・推進・実装できる人材が不足している」です。*1 この違いによって、フリーランスで補えるかどうかが変わります。
調査で多く挙がった課題
データ整備・管理・流通の課題では、「人材の確保が難しい」が51.2%で最も高く、次いで「データの標準化が難しい」が36.8%、「管理システムが整備されていない」が32.6%でした。報告書はこの結果を、人材不足や仕組みが重要な課題となっている、とまとめています。*1 ここでいう仕組みに当たるのが、データの標準化と管理システムの2つです。
データ連携の推進の課題では、「社内にデータ連携を企画・推進・実装できる人材が不足している」が45.7%で最も高く、「セキュリティ対策やプライバシー保護の負荷が高い」が38.7%、「データ連携による具体的な費用対効果が見込めない・不明確である」が38.4%と続きます。*1 2つの設問の上位3項目を並べると、次の図のようになります。
図の左右は別々の設問の結果です。
「確保が難しい」と「社内にいない」の違い
データ整備・管理・流通の設問の選択肢は「人材の確保が難しい」です。どこから人を確保するのかは書かれていません。社員を採用することを指すのか、社外の人に作業を委託することまで含むのかは、選択肢の文言だけでは決まりません。報告書も、確保の方法までは示していません。
一方、データ連携の設問の選択肢は「社内に」人材が不足している、と場所をはっきり書いています。さらに、企画・推進・実装という3つの役割も並んでいます。社内にその役割を担える人がいない、という困りごとであれば、社外の人に加わってもらうことで補える余地があります。フリーランスで補いやすいのは、こちらの困りごとです。
反対に「確保が難しい」は、社外から人を探すこと自体が難しいという意味も含みえます。その場合、フリーランスに頼もうとしても、条件に合う人がやはり見つからないおそれがあります。外部に委託すれば人材の課題が解けるとは限りません。なお、2つの選択肢の両方を選んだ企業がどれだけあるかは公表されていません。
人材以外に挙がった課題
上位3項目のうち、人材の項目は1つだけです。データ整備・管理・流通の設問では、2番目がデータの標準化、3番目が管理システムの整備でした。データの標準化とは、部署ごとにばらばらな項目名や形式をそろえることです。どちらも、担当者がいれば自然に片づくものではなく、どの形式にそろえるか、どのシステムで管理するかを会社として決める必要があります。
データ連携の設問では、2番目がセキュリティ対策やプライバシー保護の負荷、3番目が費用対効果の見込みでした。報告書はさらに、「データ連携を活用したビジネスモデルや収益化の仕組みが描けない」が31.8%であることから、費用や収益といった面も大きな課題となっている、と書いています。*1
フリーランスに加わってもらうと、実際に作業する人は増えます。ただ、どのデータを社外の人に触れさせてよいか、どれだけの効果が見込めれば費用をかけるかは、依頼する会社の側が決めることです。人を増やす計画とは別に、この2点を社内で検討しておくと、委託を進めやすくなります。
調査の数字を引用するときの注意
社内の資料にこの調査の数字を引用するときは、何を分母にした割合かに気をつけます。この報告書は、回答する企業を絞った図表には注記を付けています。たとえば図表3-27から図表3-29には、データ利活用の状況を尋ねた設問で、いま取り組んでおらず予定もないと答えた企業を除いて集計した、という注記があります。*1
データ連携の目的を尋ねた図表3-32にも、データ連携を「実施している」「実施を検討している」を選んだ企業が対象、という注記が付いています。*1 これに対し、図表3-30と図表3-33にはこうした注記がありません。報告書は分母を明記していませんが、注記の付け方からすると、回答した1,799社を分母にした割合と読めます。引用するときは、分母が明記されていない数字であることを添えておくと誤解を防げます。
もう一つ気をつけたいのは、回答したのが誰かです。この調査は、19業種の企業の経営層またはICT(情報通信技術)関連事業部門を対象にしています。*1 また、10,000社のうち答えたのは1,799社なので、どの割合も回答した企業の中での値です。日本企業全体の割合として扱わないようにします。
フリーランスに委託するときに確認しておきたい点
一つ目は、社内に担当できる人がいないのか、社外でも人が見つからないのかを見分けることです。社外でも見つからないのであれば、委託先を探す方法や依頼の条件もあわせて見直します。
二つ目は、企画・推進・実装のどれを任せるかです。データ連携の設問では、この3つが1つの選択肢にまとめられています。*1 実際の依頼では、たとえば「販売データと在庫データをつなぐ処理の設計と実装を3か月」のように、作業の名前と期間まで書いておくと、条件に合う人を探しやすくなります。企画や社内の調整まで社外の人に任せるのか、実装だけを任せるのかで、求める経験も変わります。
三つ目は、社外の人が扱うデータの範囲です。セキュリティ対策やプライバシー保護の負荷は、データ連携の課題の2番目に挙がっています。*1 委託する前に、どのデータに、どの環境から、誰の承認で触れてもらうかを決めておくと、作業を始めてから止まることを防げます。あわせて、どの状態になれば作業が完了したとするかも決めておくと、費用に見合う効果が出たかを確かめやすくなります。データをどこに置き、誰が管理しているかを確かめる手順は、記事「データ利活用は74.0%、在り処の管理は20.7%にとどまる」で扱っています。
まとめ:フリーランス活用で確かめておきたい3つの点
データ基盤づくりにフリーランスの力を借りるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、自社の人材の課題が「社内にいない」ことなのか、人を「確保すること自体が難しい」ことなのかを見分けること。第二に、企画・推進・実装のうちどの作業を任せるのかを、作業の名前と期間で書いておくこと。第三に、社外の人が扱うデータの範囲と、費用に見合う効果の見込みを、依頼する側で先に決めておくことです。この3点を踏まえておけば、「人を増やしたのに、データ基盤づくりが進まない」という事態を避けやすくなります。任せる作業の切り分けに迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。
よくある質問
報告書の中で「2025年度調査」と書かれているのは、この調査のことですか
はい、同じ調査です。報告書は、今回の調査を本文の中で「2025年度調査」と表記しています。*1 調査の期間は2026年4月17日から6月12日まででした。*1 社内の資料では、表題の「DX動向2026」と、調査の期間をあわせて書いておくと混乱を防げます。
この調査に答えたのは、どのような立場の人ですか
報告書に付いているデータ集では、想定する回答者を、自社内のDXの推進状況を把握している部署の責任者と、DXを推進する人材の状況を把握している部署の責任者としています。*1 現場の担当者ではなく、全体の状況を把握している立場の人が答えた数字です。
フリーランスには、データ基盤づくりのどの段階から加わってもらうのがよいですか
社内で足りない役割から決めるのがおすすめです。データの形式や管理の方法など、会社として決めることが固まっていれば、実装から任せても進めやすくなります。まだ決まっていなければ、企画の段階から相談できる人を探す方法もあります。
社員の採用とフリーランス活用は、どちらを先に進めるべきですか
どちらか一方に決める必要はありません。採用を進めながら、急ぐ作業だけをフリーランスに委託する方法もあります。任せた作業の内容や手順を記録に残しておくと、後から入社した社員に引き継ぎやすくなります。
データ基盤の体制で迷ったら
社内で担う作業と、委託する作業の整理からご相談いただけます。
Remoguとリラシクなら、必要な期間と作業を決めたうえで、担当できる方をご提案します。
Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。
出典
- *1 参考:IPA「DX動向2026」(独立行政法人情報処理推進機構)(https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/dx-trend-2026.html)。出典:IPA「DX動向2026」報告書とデータ集。調査の概要(調査対象数、有効回答数、調査期間、設問数、調査対象、想定回答者)、図表3-30(データ整備・管理・流通の課題)、図表3-33(データ連携推進の課題)、図表3-27から図表3-29及び図表3-32の対象の注記を参照(2026年9月確認)