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2026.10.02 採用支援コラム

エンジニア採用の採用チャネル、ダイレクトリクルーティングの役割




監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論

  • ダイレクトリクルーティングは、求める経験がはっきりした職種で、会社から候補者に直接声をかける経路として使います。
  • 厚生労働省の委託調査では、スカウトサービスを使う理由に「希望する能力を持った求職者を採用できる」を挙げた企業が66.0%でした。
  • 始める前に声をかける職種、文面を書く人、返信後の流れを決め、紹介会社や社員紹介と役割を分けて組み合わせます。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

求人を出しても、求める経験を持ったエンジニアからの応募が来ない。紹介会社から届く候補者を待つだけでは、採用の計画が立てにくい——。エンジニア採用でこうした状況に置かれ、会社の側から候補者に声をかける方法を検討する企業もあるでしょう。ダイレクトリクルーティングとは、転職を考える人が登録した経歴を企業が自ら読み、自社に合いそうな人に直接連絡する採用の方法です。

待っているだけでは出会えない人に届く一方で、誰に何を送るかを自社で決め、返信に応える手間がかかります。本記事では、エンジニア採用の採用チャネルを見直す人事や開発の責任者に向けて、厚生労働省の委託調査をもとに、企業と求職者の利用状況、企業がこの方法を使う理由、始める前に決めること、運用と組み合わせ方を整理します。

暗い空と山の稜線を背にした大型のパラボラアンテナを白黒で写した写真。白い反射面の中央へ給電部を支える支柱が伸び、下には鉄骨の架台が見える。人も文字も写っていない

ダイレクトリクルーティングとは

採用チャネルは、求人を出し、候補者と出会うための経路です。ハローワーク、求人サイト、紹介会社、自社の採用ページ、社員や知人からの紹介などがあります。求人サイトや自社の採用ページは、求人を見た人が応募してくるのを待つ経路です。紹介会社は、登録している求職者の中から条件に合う人を選んで推薦してくれます。

ダイレクトリクルーティングは、企業が自分で候補者を探して連絡する点で、これらと違います。厚生労働省が2021年度に委託して行った「採用における人材サービスの利用に関するアンケート調査」は、こうした仕組みをスカウトサービスと呼び、「求職者個人が自分の情報を登録すると、企業や職業紹介事業者から直接オファーが届くもの」と説明しています。*1 本記事では、この調査の「スカウトサービス」の数字を、ダイレクトリクルーティングの利用状況を知る手がかりとして読みます。

同じ調査の職業紹介事業者向けの設問には、「サーチ型:いわゆるスカウト型の職業紹介を行うもの」という区分もあります。*1 こちらは紹介会社が候補者を探して企業に推薦する形で、候補者を選ぶのも連絡するのも紹介会社です。ダイレクトリクルーティングでは、経歴を読む人も文面を書く人も自社の社員になります。

採用チャネル全体の見方と、紹介会社と組み合わせる経路の決め方はエンジニア採用の採用チャネル、人材紹介と併用する経路を決める手順で扱いました。

企業の利用状況

この調査は、民間のデータベースから無作為に抽出した12,800社に調査を依頼し、1,142社から回答を得ています。*1 回答期間は2021年6月です。人材確保の方法を複数回答で尋ねた設問では、「インターネットの求人情報サイト」が33.1%、「民間職業紹介事業者(紹介会社)」が26.8%で、スカウトサービスは5.8%でした。*1 「上記のようなサービスは使ったことがない」も50.9%あり、民間の人材サービスを使っていない企業も少なくありません。

過去3年間に紹介会社や求人情報の事業者を利用したことがある561社に絞ると、過去1年間に正社員の求人を出した手段は、「公共職業安定所(ハローワーク)」が57.4%、「インターネットの求人情報サイト」が45.3%、「民間職業紹介事業者(紹介会社)」が31.2%でした。*1 スカウトサービスは9.1%で、「自社HP」の26.7%や「知り合い・社員等からの紹介(縁故)」の17.6%を下回ります。

職種別の集計では、「専門的・技術的職業従事者」の正社員の求人を出した138件のうち、スカウトサービスを使ったのは12件、8.7%でした。*1 この区分には研究者や製造技術者のほか、医師や看護師、教員なども入るので、エンジニアだけの数字ではありません。件数も少ないため、目安として見るのがよいでしょう。ダイレクトリクルーティングは、多くの企業が主に使う経路というより、ハローワークや求人サイト、紹介会社に加えて使われている経路だといえます。

企業がこの方法を使う理由

同じ調査は、採用手段ごとに利用する理由を主なもの3つまで尋ねています。スカウトサービスについての53件では、「希望する能力を持った求職者を採用できる(マッチングの的確性)」が66.0%で最も多く、「専門性の高い人材や熟練した人材の紹介を受けることができる」が39.6%で続きました。*1

他の手段と並べると、経路ごとの性格の違いが見えてきます。紹介会社では、マッチングの的確性が64.5%、専門性の高い人材の紹介が48.2%で、「迅速に求職者を確保することができる(採用に至るまでのスピード)」も37.1%でした。自社HP等からの直接応募では「採用に係るコストが安い」が74.4%、知り合い・社員等からの紹介では同じ項目が60.8%で、紹介では「就職後の離職率が低い」も44.8%を占めます。*1

企業が採用手段を利用する理由(主なもの3つまで)のうち、4つの手段と3つの理由を抜き出した横棒グラフ。単位は%。民間職業紹介事業者(紹介会社、197件)は、希望する能力を持った求職者を採用できるが64.5、専門性の高い人材や熟練した人材の紹介を受けることができるが48.2、採用に係るコストが安いが6.6。スカウトサービス(53件、強調)は66.0、39.6、1.9。自社HP等からの直接応募(168件)は16.1、3.6、74.4。知り合い・社員等からの紹介(縁故、125件)は35.2、17.6、60.8。厚生労働省委託調査「採用における人材サービスの利用に関するアンケート調査 報告書」(令和4年3月)図表IV-16をもとに作成。

スカウトサービスで「採用に係るコストが安い」を挙げたのは1.9%、「迅速に求職者を確保することができる」は7.5%にとどまりました。*1 企業はこの方法を、安く早く採るための経路としてではなく、求める能力を持つ人に絞って会うための経路として使っています。この位置づけを先に社内でそろえておくと、応募の数や決まるまでの早さだけで評価せずに済みます。

求職者の側から見た使われ方

この調査は、過去2年以内に仕事を探した経験のある2,560人にも、直近の求職活動で利用した方法を尋ねています。現在または直前の仕事が正社員だった1,122人では、スカウトサービスを使った人が11.1%で、正社員以外だった1,438人の4.2%を上回りました。*1

スカウトサービスを使った184人に理由を尋ねると、「希望に合った求人を紹介してもらえる」が36.4%で最も多く、「求人企業の詳しい情報を知ることができる」が27.7%、「手軽に利用することができる」が25.0%でした。*1 候補者は、自分の経歴に合った話が届くことを期待して登録しています。

一方、スカウトサービスを使わなかった2,376人の理由では、「その方法を知らなかった」が34.8%、「利用するのが面倒である」が20.0%でした。*1 登録している人は求職者の一部にとどまるので、ダイレクトリクルーティングだけで候補者の母集団をまかなうのは難しいでしょう。届く相手が限られる経路だと分かったうえで、他の経路と組み合わせて使います。

始める前に決めること

使い始める前に決めておきたいことは4つあります。1つ目は、声をかける職種と、求める経験の範囲です。求人サイトや紹介会社では応募が集まりにくい職種、たとえば特定のクラウドでの設計経験や、決まった言語での開発経験を求める職種に絞ると、経歴を読むときの基準を立てやすくなります。

2つ目は、経歴を読み、文面を書く人です。人事の担当者だけでは技術の経歴を読み切れない場面があるので、開発の現場のエンジニアに候補者の選定を手伝ってもらう方法があります。その場合は、週に何人分の経歴を見るかを決めておくと、開発の仕事と時間を取り合いにくくなります。

3つ目は、文面の材料です。任せる仕事の内容、使っている技術、チームの規模、働き方など、候補者が返事を決めるのに要る情報を、職種ごとにそろえておきます。候補者の経歴のどこを見て声をかけたのかを一文添えると、一斉に送った文面との違いが伝わります。

4つ目は、返信が来たあとの流れです。最初の面談を誰が受け持つか、労働条件をどの時点で示すか、選考に進むときの連絡の期日をどうするかを決めておきます。面談の時点で伝える内容はカジュアル面談と面接の違い、義務はどこからで、応募者の個人情報の扱いは応募者の個人情報で収集してはいけない3つの事項で扱いました。法令の扱いで迷う点は、社内の担当部署や専門家に確かめてください。

運用の回し方

運用は、送る、返信に応える、記録する、見直すの繰り返しです。送る段階では、職種ごとに週あたりの送信数を決めておき、担当者の手が空いたときだけ送る状態を避けます。返信が来たら、日を置かずに面談の候補日を返します。

記録には、送った相手の職種と経験、送った日、返信の有無、面談や選考に進んだかどうかを残します。数か月分がたまれば、返信が来やすい職種や面談につながった文面を比べられます。返信が少ない職種では、求める経験の範囲や文面の材料を見直します。

文面づくりを事業者に手伝ってもらう方法もあります。同じ調査では、求職者の情報を企業に提供している事業者62社のうち、「スカウトメールの作成支援、代送」を行っている事業者が21.0%、「希望する条件に合致した求職者をリコメンドする」が27.4%でした。*1 外部の手を借りる場合も、誰に声をかけるかの基準と返信後の面談は自社で受け持つと、候補者に伝わる中身がぶれにくくなります。

他の採用チャネルとの組み合わせ

ダイレクトリクルーティングは、他の採用チャネルと役割を分けて使うと生きてきます。企業が挙げた利用の理由をもとに、役割の分け方を整理します。

採用チャネルの役割の分け方の例(理由の割合は厚生労働省委託調査の図表IV-16、役割の例はこの記事で作成)
経路 企業が挙げた理由で多いもの 組み合わせるときの役割の例
ダイレクトリクルーティング(スカウトサービス) 希望する能力を持った求職者を採用できる(66.0%) 求める経験がはっきりした職種で、応募を待たずに候補者と会う
紹介会社 希望する能力を持った求職者を採用できる(64.5%)、専門性の高い人材や熟練した人材の紹介を受けることができる(48.2%) 採用の期限が近い職種や、自社で候補者を探す手が回らない職種を任せる
自社HP等からの直接応募 採用に係るコストが安い(74.4%) 声をかけた候補者が、仕事の中身や開発の体制を確かめる受け皿にする
知り合い・社員等からの紹介 採用に係るコストが安い(60.8%)、就職後の離職率が低い(44.8%) 社員のつながりを通じて、転職サービスに登録していない人に届ける

組み合わせるときは、同じ職種で経路どうしが重ならないようにします。たとえば、紹介会社に出している求人と同じ職種の候補者に自社からも声をかけると、候補者がどちらの経路で応募したのかが分かりにくくなります。紹介会社との契約の内容によって扱いが変わることもあるので、職種ごとに主に使う経路を決め、契約の取り決めも確かめておきます。

自社の採用ページは、ダイレクトリクルーティングの受け皿にもなります。求職者の調査でも、企業のホームページなどから情報を得て直接応募した180人が利用の理由に「求人企業の詳しい情報を知ることができる」を挙げた割合は49.4%でした。*1 任せる仕事や開発の体制が採用ページで分かれば、文面に書ききれない情報を補えます。社員紹介に報奨金を設けるときの決まりはなぜリファラル採用の報奨金は賃金として払うのかで扱いました。

つまずきやすい点

1つ目は、送る数だけを目標にしてしまうことです。数を追うと経歴を読む時間が減り、候補者が期待する「希望に合った求人」から外れた文面が増えます。送信数とあわせて、返信や面談につながった割合も見ておきます。

2つ目は、現場のエンジニアに頼りきりになることです。候補者の選定を現場に任せたまま期限を決めずにいると、開発が忙しい時期に止まってしまいます。人事と現場のどちらが何を受け持つかを、始める前に決めておきます。

3つ目は、返信のあとに候補者を待たせることです。面談の日程の調整に時間がかかると、候補者は他社の選考を先に進めます。返信を受けてから連絡するまでの期日も、運用の決まりに入れておきます。

4つ目は、ダイレクトリクルーティングだけで採用の計画を立てることです。調査で見たとおり、この方法を使う企業も求職者もまだ一部です。採用が決まるまでの開発の体制が心配な場合は、業務委託で専門人材に加わってもらう方法も含めて計画を組んでおきます。

まとめ:ダイレクトリクルーティングで決めること

エンジニア採用の採用チャネルにダイレクトリクルーティングを加えるとき、決めておきたい点は3つに整理できます。第一に、声をかける職種と求める経験を絞り、求める能力を持つ人に会うための経路として位置づけること。第二に、経歴を読む人、文面を書く人、返信後の面談を受け持つ人を決め、送信数と連絡の期日を運用の決まりにすること。第三に、紹介会社、自社の採用ページ、社員紹介と職種ごとに役割を分けて組み合わせることです。採用が決まるまでの開発の体制に不安があるときは、外部の専門人材の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

声をかける職種と運用の決まりを整えても、返信や面談につながるまでには時間がかかることがあります。採用が決まるまでの開発を、業務委託で加わる専門人材に任せる方法も、選択肢に入れておけます。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材が必要になった時点から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で実際の業務開始まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

ダイレクトリクルーティングとスカウト型の人材紹介はどう違いますか

候補者を探して連絡するのが自社か紹介会社かが違います。ダイレクトリクルーティングでは自社の社員が経歴を読み、文面を書いて送ります。スカウト型の人材紹介では、紹介会社が候補者を探し、企業に推薦します。

人事の担当者だけで運用できますか

運用はできますが、技術の経歴を読み取る場面で開発の現場の協力があると進めやすくなります。現場に頼む範囲を週ごとの人数で決めておくか、求める経験を書き出した基準を人事と現場で共有しておくと、担当者が1人でも判断しやすくなります。

返信が来ない職種はどうすればよいですか

求める経験の範囲、文面に入れている情報、送る相手の選び方を順に見直します。それでも返信が少ない場合は、その職種では紹介会社など他の経路を主にし、ダイレクトリクルーティングは補う役に回す方法もあります。

エンジニア採用の採用チャネルを相談したいとき

ダイレクトリクルーティングを含めた採用チャネルの組み合わせや、声をかける職種の整理からご相談いただけます。

Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も探せます。

Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。

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出典

  1. *1 参考:厚生労働省委託調査「採用における人材サービスの利用に関するアンケート調査 報告書」(令和4年3月)(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000956216.pdf)。出典:令和3年度厚生労働省委託調査。調査概要(求人企業12,800社抽出・有効回答1,142件、求職者2,560名、令和3年6月実施)、図表II-12(職業紹介の形態)、図表III-41(求職者情報の提供に付随して行っているサービス、n=62)、図表IV-5(人材確保の方法)、図表IV-6(過去1年間に求人を出した採用手段、n=561)、図表IV-12(過去1年間に求人を出したことのある手段・正社員・職種別)、図表IV-16(各種採用手段を利用する理由)、図表V-16(直近の求職活動で利用している(いた)方法)、図表V-17(その方法を利用する理由)、図表V-18(その方法を利用しない理由)を参照(確認日2026年10月2日)(2026年10月確認)




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