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エンジニア採用の採用チャネル、人材紹介と併用する経路を決める手順
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- IT・デジタル人材を中途採用する企業の38.1%が、民間の職業紹介機関を主な経路に挙げています。
- 転職した人の側では、求人サイト等で勤め先を見つけた人が35.7%と、人材紹介の30.1%を上回ります。
- 会社は人材紹介に頼む求人を決め、求人サイトや社員の紹介、自社の採用ページを同じ求人内容で組み合わせます。
※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
人材紹介会社に求人を出しているのに、推薦がなかなか届かない。求人サイトにも載せてみたら、同じ人が両方から応募してきて扱いに困った——。エンジニアの中途採用では、こうした迷いが起こりがちです。エンジニア採用の採用チャネルとは、会社が求人を知らせて候補者と出会うための経路のことで、人材紹介会社、求人サイト、ハローワーク、社員や取引先からの紹介などを指します。
人材紹介は、紹介会社が求人の条件に合う候補者を選んで推薦するので、採用の担当者が少ない会社でも使いやすい採用チャネルです。ただし万能ではなく、紹介会社に登録していない人とは、人材紹介だけでは出会えません。本記事では、エンジニアを採用する開発現場のマネージャーに向けて、採用チャネルの種類、企業と転職者がそれぞれ使っている経路、人材紹介と組み合わせる経路の決め方、そしてつまずきやすい点を整理します。
目次
採用チャネルの種類
厚生労働省が2023年に行った「IT・デジタル人材の労働市場に関する研究調査事業」は、企業に中途採用の経路を尋ねる設問で、選択肢を8つに分けています。ハローワーク等の公的機関、民間の職業紹介機関、求人サイト・求人情報専門誌、新聞・チラシ等、自社のウェブサイト、取引先や社員等からの紹介、SNS、スカウトの8つです。*1 このうち民間の職業紹介機関が、一般に人材紹介会社と呼ばれている会社に当たります。
人材紹介と求人サイトの違いは、誰が候補者を選ぶかにあります。求人サイトでは、候補者が掲載された求人を自分で探して応募します。人材紹介では、紹介会社の担当者が候補者と面談し、求人の条件に合いそうな人を選んで会社に推薦します。スカウトはその反対で、会社の側から候補者に直接声をかける方法です。
労働政策研究・研修機構(JILPT)が2020年に行った転職者調査も、転職サイトを3つの型に分けて尋ねています。「サイトにある求人を自分で探し応募する」直接応募型、「キャリアアドバイザーと面談をし、いくつか紹介された求人から選んで応募する」エージェント型、「経歴を登録し、企業や提携エージェントからスカウトをもらう」スカウト型の3つです。*2 このうちエージェント型は、紹介会社の担当者と面談して求人を紹介してもらう形で、人材紹介に当たります。
企業が主に使う経路
厚生労働省の同じ調査で、IT・デジタル人材を中途採用している84社に、主な経路を1つだけ選んでもらった結果が次の図の上段です。民間の職業紹介機関が38.1%で最も多く、求人サイト・求人情報専門誌が22.6%、ハローワーク等の公的機関が19.0%、取引先や社員等からの紹介が13.1%と続きました。スカウトは4.8%、自社のウェブサイトは1.2%で、SNSと新聞・チラシ等を選んだ会社はありませんでした。*1
この調査でいうIT・デジタル人材は、IT・デジタル関連の業務を主な業務にしている人のことです。アンケートを送る会社は、情報通信業とそれ以外の業種がおよそ2対1になるように選ばれていて、IT部門を持つ一般の会社も含まれます。企業調査は2,132社に依頼して158社が答え、回答率は約7.4%でした。*1 中途採用の経路を答えたのは84社と少ないので、割合は目安として見るのがよいでしょう。
1つだけ選ぶ設問なので、2番目以降に使っている経路はこの数字には出てきません。人材紹介を主な経路にしている会社が、求人サイトやハローワークを並行して使っていることもありえます。数字から分かるのは、エンジニアの中途採用で、人材紹介を採用の中心に置いている会社が最も多いという点です。
転職した人が勤め先を見つけた経路
同じ調査の個人向けアンケートでは、IT・デジタル関連の職種で働く2,000人のうち、5年以内に転職した342人に、今の勤め先を見つけた経路を複数選択で尋ねています。*1 最も多いのは求人サイト・求人情報専門誌・新聞・チラシ等の35.7%で、民間の職業紹介機関が30.1%、知人や友人等による紹介が17.0%でした。ハローワーク等の公的機関と前職や取引先による紹介はともに14.0%、SNS上の求人広告は12.3%、企業のホームページは11.7%です。*1
342人が選んだ経路を合計すると469件になり、1人あたり平均1.37個です。たとえば求人サイトで見つけた会社に、あとから人材紹介会社を通じて応募した人は、2つの経路を挙げることになります。
企業の側と並べると、違いが2つ見えてきます。一つは、企業の側では民間の職業紹介機関が最も多かったのに対し、転職した人の側では求人サイト等のほうが多いことです。もう一つは、企業のホームページの扱いです。主な経路に自社のウェブサイトを選んだ会社は84社のうち1社でしたが、転職した人の11.7%が、企業のホームページで今の勤め先を見つけたと答えています。*1
企業と個人は回答者が別で、設問も1つ選択と複数選択で違うため、割合をそのまま比べることはできません。それでも、人材紹介だけに頼っていると出会えない候補者がいることは、この2つの結果からうかがえます。
候補者は複数のサービスを使う
JILPTが2020年12月に行った調査は、2017年12月以降に転職した30〜54歳の管理職、専門・技術職、事務職、営業職、販売職の人4,205人に、転職の進め方を詳しく尋ねています。*2 このうち研究者やエンジニア、プログラマーなどを含む専門・技術職は1,458人で、転職サイトに登録した人は604人(41.4%)でした。*3
登録した604人のうち、登録したサイトが1個だけの人は35.4%で、残る64.6%は2個以上のサイトに登録していました。*3 登録したサイトの型を複数回答で見ると、エージェント型が71.9%、直接応募型が54.1%、スカウト型が35.9%です。*3 エージェント型と直接応募型の割合を足すと126.0%になり、登録した人を1人1回ずつ数えた場合より26.0ポイント多くなります。この差は同じ人が両方の型で数えられていることを示すので、少なくとも26.0%の人は両方を使っています。
民間の職業紹介機関に1回以上連絡や面談をした専門・技術職は、1,458人のうち29.1%でした。*3 転職の決め手になった求人情報をどこから得たかを尋ねた設問では、経路の中で民間の職業紹介機関が19.9%と最も多く、仕事上の知人・友人が14.0%、今の勤務先のホームページが12.4%、ハローワークが11.2%と続きます。「どれもない」と答えた人は24.3%でした。*3
この調査は2020年のもので、専門・技術職にはエンジニア以外の職種も含まれます。それでも、候補者の側が人材紹介と求人サイトを並行して使い、会社のホームページからも求人の情報を得ている様子は、この結果から読み取れます。
人材紹介と組み合わせる経路の決め方
ここまでの数字を踏まえて、人材紹介を中心にしながらほかの採用チャネルを組み合わせる手順を、4つに分けて整理します。
1つ目は、人材紹介に頼む求人を決めることです。紹介会社は、登録している候補者の中から求人の条件に合う人を探して推薦します。任せる仕事と必要な経験がはっきりしていて、採用の期限が近い求人は、人材紹介に向いています。紹介会社に渡す求人要件の書き方は「エンジニア人材紹介で紹介されないときに見直す求人要件の4つの点」で扱っています。
2つ目は、同じ求人を求人サイトにも載せるかを決めることです。転職した人が勤め先を見つけた経路では、求人サイト等が民間の職業紹介機関を上回っていました。紹介会社に登録していない人にも求人を知らせたいときは、求人サイトへの掲載を加えます。その際は、紹介会社に渡す求人票と求人サイトに載せる文章の中身をそろえておきます。
3つ目は、社員や取引先からの紹介と、スカウトの使い方を決めることです。転職した人の側では、知人や友人、前職や取引先からの紹介で勤め先を見つけた人も少なくありませんでした。社員に紹介を頼むときは、どの求人で、どんな経験の人を探しているかを社内で共有します。スカウトは応募を待たずに会社から連絡できる方法ですが、候補者の経歴を読んで文面を書く手間がかかるので、その作業を担当できる人がいるかを先に確かめます。紹介してくれた社員に報奨金を払うときの決まりは「なぜリファラル採用の報奨金は賃金として払うのか」で扱っています。
4つ目は、自社の採用ページを整えることです。専門・技術職の転職者の12.4%は、転職の決め手になった求人情報を今の勤務先のホームページから得ていました。*3 任せる仕事や開発の体制を採用ページに書いておけば、人材紹介から来た候補者にも、求人サイトから来た候補者にも、同じ説明を読んでもらえます。
| 経路 | 会社がすること | 向いている求人の例 |
|---|---|---|
| 人材紹介(民間の職業紹介機関) | 求人票を渡し、推薦された人を見送るときは理由を伝える | 任せる仕事と必要な経験がはっきりしていて、採用の期限が近い求人 |
| 求人サイト | 求人票と同じ中身を掲載し、応募に早く返事をする | 紹介会社に登録していない人にも知らせたい求人 |
| スカウト | 候補者の経歴を読み、任せる仕事を書いた文面を送る | 求める経験を持つ人が少なく、応募を待っても来にくい求人 |
| 社員や取引先からの紹介 | どの求人で、どんな経験の人を探しているかを社内で共有する | 同じ技術を使う知人がいそうな求人 |
| 自社の採用ページ | 任せる仕事と開発の体制を書いておく | すべての求人 |
| ハローワーク | 求人を申し込み、紹介された人を選考する | 勤務地の近くに住む人を探したい求人 |
組み合わせたあとは、経路ごとに応募、書類選考の通過、面接、内定、入社の人数を記録します。どの経路からの応募が多いかだけでなく、どの経路から入社まで進んだかが分かれば、次の求人で採用チャネルを選び直すときの材料になります。業種や職業ごとに入職者がどの経路を通ったかの統計は「エンジニア採用の採用チャネルの基本、入職経路を統計で見る」で扱っています。
つまずきやすい点
一つ目は、同じ候補者が別々の経路から応募してくることです。2個以上の転職サイトに登録する候補者は珍しくないので、紹介会社から推薦された人が、求人サイトからも応募している場合があります。紹介手数料がかかるかどうかにも関わるので、どちらの経路からの応募として扱うかを紹介会社との契約の前に確かめ、社内でも、最初に応募が届いた日時と経路を記録する決まりを作っておきます。
二つ目は、経路ごとに求人の中身がずれることです。紹介会社には口頭で詳しく伝えた条件が、求人サイトの掲載文には書かれていない——こうしたずれがあると、経路によって応募してくる人の経験がばらつきます。任せる仕事と必要な経験は1つの文書にまとめ、各経路にはその文書から写すようにします。
三つ目は、経路を増やしすぎて、応募への返事が遅れることです。採用チャネルを増やすほど、応募の確認や面接の日程調整に時間がかかります。現場のエンジニアが面接に加わる場合は、面接に使える時間をもとに、同時に使う経路の数を決めます。
四つ目は、人材紹介を紹介会社に任せきりにして、推薦された候補者を見送った理由を伝えないことです。理由が伝わらないと、紹介会社の担当者は次にどんな人を推薦すればよいかを判断しにくくなります。見送るときは、どの経験が足りなかったのかを具体的に伝えます。
まとめ:採用チャネルで確かめておきたい3つの点
エンジニア採用で人材紹介とほかの採用チャネルを組み合わせるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、任せる仕事と採用の期限から、人材紹介に頼む求人を決めること。第二に、紹介会社に登録していない人にも知らせたい求人には、求人サイトや社員の紹介、自社の採用ページを加え、どの経路にも同じ中身を示すこと。第三に、同じ候補者が複数の経路から来たときの扱いと、経路ごとの記録の付け方を先に決めることです。この3点を踏まえておけば、「紹介会社に求人を出したまま、何か月も候補者に会えない」という事態を避けやすくなります。採用チャネルの組み合わせ方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。
よくある質問
人材紹介と求人サイトに、同じ求人を同時に出してもよいですか
出して構いません。候補者の側でも、複数のサイトに登録して転職先を探す人は多くいます。求人の中身がサイトごとにずれないよう、どちらにも同じ文書から写して載せます。
経路ごとの成果は、何で比べればよいですか
応募の数ではなく、入社まで進んだ人数と、そこまでにかかった期間で比べます。応募が多くても書類選考で見送る人ばかりなら、選考にかかる時間が増えるだけです。候補者1人ずつに経路を記録しておくと、あとから集計できます。
採用チャネルを見直すのは、いつがよいですか
求人ごとに採用の期限を決め、その途中で一度、経路ごとの応募と選考の状況を確かめます。推薦も応募もほとんど来ていない経路があれば、求人の中身を見直すか、別の経路を加えます。期限を過ぎてから見直すと、また一から候補者を探し直すことになります。
採用の担当者が1人しかいない場合は、どの経路から始めればよいですか
候補者を探して推薦するところまでを任せられる人材紹介から始め、あわせて自社の採用ページを整えておくと進めやすくなります。スカウトは、候補者の経歴を読んで文面を書く手間がかかるので、担当者の時間に余裕ができてから加えます。
エンジニアの採用チャネルを相談したいとき
人材紹介とほかの経路の組み合わせ方から、ご相談いただけます。
Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も探せます。
Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。
出典
- *1 参考:厚生労働省「IT・デジタル人材の労働市場に関する研究調査事業」調査報告書(令和6年3月)(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001244078.pdf)。出典:アンケート調査の実施概要(企業向けは2,132社に依頼し158社が回答、回答率約7.4%。2023年9月7日〜10月9日。個人向けは2,000人。2023年9月15日〜19日)、別添3 企業アンケート調査票(9)-1-2、別添5 個人アンケート単純集計Q19(現在の勤務先を見つけた経路、複数選択、N=342)、別添6 企業アンケート単純集計(9)-1-2(IT・デジタル人材を中途採用する主な媒体・経路、1つ選択、N=84)を参照(2026年9月確認)
- *2 参考:労働政策研究・研修機構「JILPT調査シリーズNo.215 ミドルエイジ層の転職と能力開発・キャリア形成―転職者アンケート調査結果―」(PDF)(https://www.jil.go.jp/institute/research/2021/documents/215.pdf)。出典:第2章(調査対象。2020年12月1日〜14日、直近の転職が2017年12月以降の30〜54歳のホワイトカラー職種のフルタイム雇用者4,205人、現職は従業員50人以上)、第4章第3節 第4-3-1〜4-3-3表(転職サイトへの登録、登録したサイトの数、サイトの種類)を参照(2026年9月確認)
- *3 参考:労働政策研究・研修機構「調査シリーズNo.215 付属統計表」(PDF)(https://www.jil.go.jp/institute/research/2021/documents/215_tokeihyo.pdf)。出典:専門・技術職1,458人のQ18(1)S11(民間の職業紹介機関へのコンタクト回数)、Q18(2)(転職の決め手になった求人情報を得た経路)、Q19・NQ19・Q19SQ2(転職サイトの登録、登録サイトの数、種類)の人数と割合を参照。1回以上の割合と2個以上の割合は人数から算出(2026年9月確認)