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エンジニア採用コストの内訳と4つの採用手段|担当者向けの比べ方
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論
- エンジニアの採用コストは、求人広告や紹介手数料など外部に払う費用と、選考にかかる社内の工数を合わせて見ます。
- 厚生労働省の委託調査では、正社員1件あたりの平均が紹介会社85.1万円、求人サイト28.5万円で、払い方も手段ごとに違います。
- 採れない期間の作業は業務委託で進める手もあり、範囲・期間・費用の決まり方を決めてから採用と並べて比べます。
※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
エンジニアを1人採るのに、結局いくらかかっているのか分からない。紹介会社の請求書は見えても、面接に使った時間まで含めると全体がつかめない——。エンジニア採用を任された担当者には、こうした迷いが起こりがちです。エンジニアの採用コストとは、1人を採用するまでにかかった費用のことで、外部に払う費用と社内の工数の2つからできています。
手段によって、いつ・何に対して払うかが違うため、請求額だけを並べても比べられません。本記事では、エンジニアを採る側の担当者に向けて、厚生労働省の調査をもとに求人広告・人材紹介・スカウト・リファラルの4つの手段を1件あたりの費用と払い方で比べ、社内の工数の見積もり方、採れない期間を業務委託で埋める選択肢までを整理します。
エンジニアの採用コストとは
採用コストは、大きく2つに分かれます。1つは求人広告の掲載料や紹介手数料のように、外部に払う費用です。もう1つは、求人票を書き、書類を読み、面接をする社員の時間です。こちらは給与の中に紛れてしまい、数えないと見えません。
公的な統計にも、企業が払った募集費の数字はあります。厚生労働省の就労条件総合調査では、令和2年(または会計年度)の募集費は常用労働者1人1か月平均718円でした。*3 ただしこれは全従業員の人数で割った値で、1人を採るのにかかった費用とは別物です。エンジニア採用の計画には、手段ごとに「かかった費用を採れた人数で割った値」を見る必要があります。
4つの採用手段の費用の比較
手段ごとの1人あたりの費用には、厚生労働省が2021年6月に求人企業へ尋ねた委託調査(有効回答1,142社)があります。正社員1件あたりの平均採用コストは、民間の紹介会社が85.1万円、スカウトサービスが91.4万円、インターネットの求人情報サイトが28.5万円、知り合い・社員等からの紹介(縁故)が4.4万円でした。*1 職種を分けていない平均なので、エンジニアに限った値ではありません。

| 手段 | 費用の払い方 | 1件あたりの平均 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 求人広告(求人情報サイト) | 掲載の期間や情報量に応じた掲載料が中心。応募数や採用数に応じて払う型もある | 28.5万円 | 応募を広く集め、選考を自社で回せる |
| 人材紹介 | 採用が決まったときに手数料を払う | 85.1万円 | 求める経験がはっきりしていて、候補者探しの手間を減らしたい |
| スカウト | 定額の利用料のほか、就職の件数や送信数に応じた料金がある | 91.4万円 | 転職を急いでいない人にも自社から声をかけたい |
| リファラル(社員の紹介) | 紹介した社員に報奨金を賃金として払う | 4.4万円(縁故の値) | 社員の人脈に合う職種で、時期に余裕がある |
| 業務委託(採用しない選択肢) | 採用の費用ではなく、委託料を稼働時間や成果物に応じて払う | 調査の対象外 | 採れるまでの間に、決まった範囲の作業を進めたい |
エンジニアに近い数字としては、人材紹介の公的な集計があります。令和6年度の職業紹介事業報告書(速報)では、有料の職業紹介で常用就職1件あたりの手数料は約103万円でした。*2 ソフトウェア開発の情報処理・通信技術者に限って、手数料の合計を常用就職件数で割ると約151万円です(臨時の就職分の手数料も含む概算)。*2 紹介手数料の率の比べ方は、人材紹介会社の手数料と返戻金の比べ方で扱っています。
同じ広告でも、払うタイミングは違います。求人情報サイトを運営する事業者の料金の取り方は、広告掲載料が58.9%で、応募件数に応じた型と採用件数に応じた型がそれぞれ7.1%でした。*1 スカウトのように求職者の情報を企業に渡すサービスでは、定額制が29.0%、就職件数に応じた型が17.7%です。*1 掲載型は採れなくても費用が出て、成功報酬型は採れたときにまとめて出ます。
リファラルは外部に払う費用が小さい手段です。縁故を使う理由は「採用に係るコストが安い」が60.8%、「就職後の離職率が低い」が44.8%でした。*1 報奨金を払う場合は、職業安定法が募集に従事する社員へは賃金などを支払う場合を除いて報酬を与えてはならないとしているため、賃金として払います。*4 詳しくはリファラル採用の報奨金を賃金として払う理由をご覧ください。
社内の工数の見積もり方
外部に払う費用が小さい手段ほど、選考の作業を自社で抱えます。調査では自社のホームページなどからの直接応募は1件あたり2.8万円でしたが、*1 募集文づくりから日程調整までは自社の仕事です。エンジニア採用では面接に現場のエンジニアが入ることが多く、その時間は開発から抜けます。工数は次の単位で数えます。
- 求人票と募集文:書く人と確かめる人の時間
- 書類選考とスカウトの文面:1件あたりの時間×件数
- 面接:面接官の時間×人数×回数
- 連絡と手続き:日程調整、内定後の連絡、入社の準備
数えた時間に社内の時間単価を掛け、外部に払った費用と合わせて、採れた人数で割ります。採れなかった候補者の選考に使った時間も入れるのが要点です。
採れない期間と業務委託
採用コストの表に出ないのが、採れない期間に止まる仕事です。欠員の間は、今いるメンバーの残業で埋めるか、予定していた開発を後ろへずらすことになります。

この期間を業務委託で埋める方法があります。採用の費用はかからず、委託料を稼働時間や成果物に応じて毎月払う形です。社員とは違い、契約で決めた範囲の作業を任せます。作業の指示の出し方は契約の形で変わるため、契約書と専門家に確かめてから始めます。任せやすい作業と、社内に残したい仕事は次のように分けられます。
- 任せやすい:範囲がはっきりした機能の追加、テストの補強、既存システムの保守の一部
- 社内に残したい:採用や評価の判断、長く続く設計の方針を決める役割
採用と並行して進め、社員が入ったら引き継ぐ形にしておくと、急いで採用の条件を下げずに済みます。
外部に頼むときに確認しておきたい点
採用と業務委託を同じ土俵で比べるには、頼む前に次の5点を社内で決めておきます。
- 範囲:任せる作業と、使ってもらうシステム
- 期間:いつから始め、採用が決まったらいつ終えるか
- 体制:1人か複数か、担当者が交代するときの連絡
- 費用の決まり方:稼働時間で払うか成果物で払うか、月の時間の上限
- 引き継ぎ:社員が入るときに渡す資料と、重ねて働く期間
応募がそもそも集まらない場合は、費用の前に求人の条件を見直すほうが先です。エンジニア採用の母集団形成の見直し方も参考にしてください。
まとめ:採用コストで確かめたい3つの点
エンジニアの採用コストを比べるうえで、確かめておきたい点は3つです。第一に、外部に払う費用と社内の工数を合わせ、採れた人数で割って1人あたりで並べること。第二に、手段ごとに払うタイミングが違うことを踏まえ、掲載型と成功報酬型を同じ表で比べること。第三に、採れない期間に止まる作業を書き出し、業務委託で埋めるかどうかを採用と並べて判断することです。
よくある質問
ハローワークを使えば採用コストはかかりませんか
外部に払う費用はかかりません。職業安定法は、公共職業安定所を無料で公共に奉仕する機関としています。*4 委託調査でも、ハローワークを使う理由は「採用に係るコストが安い」が82.9%でした。*1 ただし求人票の作成や選考にかかる社内の工数は、ほかの手段と同じように発生します。
新卒と中途は分けて計算したほうがよいですか
分けて計算します。本記事で紹介した平均は正社員全体の値で、新卒と中途を分けていません。中途のエンジニア採用を計画するなら、自社の過去の採用を手段ごとに集計し、同じ式で1人あたりを出すのが確かな方法です。
業務委託で来てもらった人を、あとから社員として迎えられますか
できる場合もありますが、契約の内容によります。委託先の会社との契約に直接の雇用についての取り決めが入っていることがあるので、始める前に契約書で確かめておきます。
採れるまでの間の人の確保を相談
採りたい職種と、採れるまでに進めたい作業が分かっていれば、そのままご相談いただけます。社員として採るか業務委託で頼むか、決めきれていない段階でも構いません。
Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も探せます。
Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。
出典
- *1 参考:厚生労働省「令和3年度厚生労働省委託調査 採用における人材サービスの利用に関するアンケート調査 報告書」(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000956216.pdf)。出典:調査概要(求人企業 有効回答1,142件・調査期間令和3年6月16日〜30日)、III-(5)図表III-19、III-(8)図表III-39、IV-(4)図表IV-14(1件あたりの平均採用コスト・正社員)、IV-(5)利用する理由を参照(確認日2026年10月20日)(2026年10月確認)
- *2 参考:厚生労働省「令和6年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報)」(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001683019.pdf)。出典:概要4(常用就職1件あたりの手数料)、3(1)常用就職件数(有料)、4(1)手数料徴収状況の情報処理・通信技術者(ソフトウェア開発)の行を参照。約151万円は手数料合計59,879,286千円を常用就職件数39,780件で割った概算(確認日2026年10月20日)(2026年10月確認)
- *3 参考:厚生労働省「令和3年就労条件総合調査の概況」労働費用(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/21/dl/gaiyou03.pdf)。出典:第17表 常用労働者1人1か月平均現金給与以外の労働費用の募集費を参照(確認日2026年10月20日)(2026年10月確認)
- *4 参考:e-Gov法令検索「職業安定法」(https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000141)。出典:第8条(公共職業安定所)、第40条(報酬の供与の禁止)を参照(確認日2026年10月20日)(2026年10月確認)