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デジタル産業の企業類型、変革パートナーは5年後40%
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- 変革パートナーは5年後40%:現在の25%から15ポイント上がります*1。
- 「わからない」は動かない:14%から15%で横ばいでした*1。
- 発注側は9%から10%:ユーザー企業は提供主体と見ていません*1。
※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関・ベンダー公式ドキュメント)に基づきます。
5年後にうちが何をやっている会社なのか、社内で答えが揃わない。体制の話になると毎回そこで止まります。
決まらないまま人を採ると、入った人の役回りも決まりません。案件が来たときに誰を当てるかも、その場の判断になります。
手がかりは、デジタル産業の中で自社がどの類型に当てはまるかを、現在と5年後で聞いた調査です。
IPAの調査では、企業の変革を共に推進するパートナーに当てはまる割合が現在25%、5年後40%でした*1。上位2区分の合計で、筆者が算出した値です*1。
一方で「わからない」は動きません*1。現在14%、5年後15%でした*1。
目次
5年後の役回りが決まらないまま人を採る
採用の要件を書く段になって止まることがあります。どの技術を持った人が要るかは、5年後に何をやっているかで変わるからです。
その答えが社内で揃っていないと、要件は今の案件の写しになります。入った人の役回りも、そのつど決めることになります。
この見通しを集計した調査があります*1。IPAの「2022年度組込み/IoTに関する動向調査」で、2023年6月12日に発行されました*1。
調査の時期も書かれています*1。2022年11月から12月にかけて実施されたものです*1。
今回見るのはQ14です*1。デジタル産業を構成する企業類型として、4つの類型が自社にどれだけ当てはまるかを尋ねたものです*1。
4つの名前も確かめておきます*1。「企業の変革を共に推進するパートナー」「DXに必要な技術を提供するパートナー」「共通プラットフォームの提供主体」「新ビジネス・サービスの提供主体」です*1。
回答の形も押さえます*1。それぞれについて、ほぼ全事業に当てはまる、半数以上の事業に当てはまる、一部の事業に当てはまる、ほぼ全事業に当てはまらない、わからないの5つから選びます*1。
数値の出所も断っておきます*1。比率は資料の図に示された整数です*1。行ごとに足すと合計は99から101の幅になります*1。
上位2区分の合計と差は、その整数から筆者が算出しました*1。資料に載っている数字ではありません*1。
出典はIPA「2022年度組込み/IoTに関する動向調査」です*1。示された値を用いて図と表を作成する編集と加工を筆者が行いました*1。
利用の条件も資料に書かれています*1。政府標準利用規約に準拠する形で、出典の記載と、編集や加工を行った場合はその旨の記載が求められています*1。
集計対象と、母数の読み方
先に母集団を確かめます*1。この設問の集計対象は、回答者の全体ではありません*1。
資料に条件が書かれています*1。Q11のDXの取り組み状況で「非常に活発」「活発」「あまり活発ではない」と答えた企業に絞られています*1。
設問のNは時点で違います*1。現在がN=839、5年後がN=837でした*1。
ところが行ごとの回答数は同じです*1。4つの類型それぞれで、現在も5年後も820、810、814、814でした*1。
理由は資料に記載がありません*1。ですからこの記事では、設問のNと行の回答数を別の数として並べ、どちらかに寄せた読み方はしていません*1。
つまり全企業の割合ではありません*1。「日本企業の25%が変革パートナーである」とは書けません*1。
対象の区分も示されています*1。全体の集計はユーザー企業、メーカー企業、サブシステム提供企業、サービス提供企業、その他の5区分です*1。
位置づけ別だけ範囲が違います*1。こちらは「その他」を含まない4区分でした*1。
4つの類型の定義は示されていません*1。名前だけなので、中身の説明はしていません*1。
上位2区分は現在25%から5年後40%へ
現在の分布から見ます*1。企業の変革を共に推進するパートナーは、ほぼ全事業に当てはまるが13%、半数以上の事業に当てはまるが12%でした*1。回答数は820です*1。
この2つを足した上位2区分は25%です*1。示された整数から算出した値になります*1。
DXに必要な技術を提供するパートナーは10%と10%で20%、回答数810でした*1。
共通プラットフォームの提供主体は8%と9%で17%です*1。回答数は814でした*1。
新ビジネス・サービスの提供主体は10%と8%で18%でした*1。回答数は814です*1。
次に5年後です*1。変革パートナーは19%と21%で40%になりました*1。
技術提供パートナーは15%と20%で35%です*1。共通プラットフォームは12%と16%で28%でした*1。
新ビジネス・サービスは14%と16%で30%です*1。4つとも現在より上がっています*1。
差も出しておきます*1。変革パートナーが15ポイント、技術提供パートナーが15ポイント、新ビジネス・サービスが12ポイント、共通プラットフォームが11ポイントでした*1。差は算出した値です*1。
下がる側も見ます*1。「ほぼ全事業に当てはまらない」は、変革パートナーが23%から15%、技術提供が28%から19%になりました*1。
共通プラットフォームは38%から26%、新ビジネス・サービスは32%から21%です*1。いずれも現在のほうが高い値でした*1。
「わからない」は動かない
ここで動いていない区分があります*1。「わからない」です*1。
変革パートナーは現在14%、5年後15%でした*1。技術提供パートナーは16%と16%で同じ値です*1。
共通プラットフォームは16%から17%、新ビジネス・サービスも16%から17%でした*1。4つとも1ポイント以内です*1。
上位2区分が11から15ポイント上がる一方で、この区分は横ばいのままです*1。整数で示された値どうしの比較なので、1ポイントの動きは差として扱っていません*1。
理由は資料に記載がありません*1。ですから、判断がつかないままだとも、答えを保留しているだけだとも書けません*1。
束ね方で2番目が決まる
並べ方を変えてみます*1。「ほぼ全事業に当てはまる」だけで現在を並べると、変革パートナーが13%で上端です*1。
2番目は決まりません*1。技術提供パートナーが10%、新ビジネス・サービスも10%で同じ値でした*1。
上位2区分にすると差がつきます*1。技術提供パートナーが20%、新ビジネス・サービスが18%になります*1。
つまり束ね方で2番目が入れ替わります*1。この記事では上位2区分を主に使い、区分ごとの値も表に残しました*1。
5年後は並びが変わりません*1。「ほぼ全事業に当てはまる」で19%、15%、14%、12%、上位2区分で40%、35%、30%、28%と、どちらも同じ順です*1。
発注側は自分を提供主体と見ていない
位置づけ別の集計も示されています*1。「その他」を含まない4区分です*1。
ユーザー企業から見ます*1。現在の上位2区分は、変革パートナーが19%で回答数215でした*1。
残る3つは低い値です*1。技術提供パートナーが9%で回答数209、共通プラットフォームが10%で回答数210、新ビジネス・サービスが10%で回答数208でした*1。
「ほぼ全事業に当てはまらない」も見ておきます*1。ユーザー企業では変革パートナーが30%、技術提供が42%、共通プラットフォームが45%、新ビジネス・サービスが39%です*1。
つまり調達する側は、自社を提供主体とは見ていません*1。当てはまるとしたら変革の相手方という並びになります*1。
提供側の3区分は違います*1。メーカー企業は変革パートナー27%、技術提供23%、共通プラットフォーム15%、新ビジネス・サービス18%でした*1。
同じ並びでサブシステム提供企業は28%、26%、23%、21%です*1。サービス提供企業は30%、24%、21%、24%でした*1。
4区分すべてで変革パートナーが上端です*1。立場が違っても、この類型が先に来る並びになります*1。
規模別は単調にならない
従業員数別の集計も載っています*1。現在の変革パートナーで見ます*1。
20人以下は上位2区分が27%で、回答数256でした*1。21人から100人は23%で回答数301です*1。
101人以上は27%で、回答数263でした*1。20人以下と同じ値になります*1。
並びは単調ではありません*1。27%、23%、27%で、規模が上がるにつれて増える形にも減る形にもなっていません*1。
下端は21人から100人でした*1。上下の区分より4ポイント低い値です*1。差は示された整数から算出しました*1。
理由は資料に記載がありません*1。ですから、中規模で見通しが立てにくいとは書けません*1。
この集計から読めないこと
使う前に、限界を並べておきます*1。
第一に、集計対象が絞られています*1。DXに取り組んでいると答えた企業だけが対象で、取り組んでいない企業は含まれません*1。
第二に、基準が示されていません*1。どこから「ほぼ全事業に当てはまる」と答えるかは回答者の判断に任されています*1。
第三に、5年後の根拠が含まれません*1。何をもってそう見通したのかを尋ねた設問ではありません*1。
第四に、類型の定義がありません*1。4つの名前は挙げられていますが、意味の説明はありません*1。
第五に、母数が一致しません*1。設問のNは現在839、5年後837ですが、行ごとの回答数はいずれの時点も820、810、814、814でした*1。
第六に、値は整数です*1。行ごとに足すと99から101になるため、1から2ポイントの差は論じていません*1。
第七に、各区分は別々の企業です*1。同じ企業の変化ではないため、立場や規模が変わると見通しも変わる、とは書けません*1。
第八に、範囲があります*1。この調査は組込みやIoTの分野が対象で、2022年11月から12月に実施されたものです*1。ほかの分野や、それより後の傾向は読めません*1。
5年後の枠を決める4段
ここまでの分布を、自社の手順に落とします*1。
| 類型 | 時点 | ほぼ全事業 | 半数以上 | 上位2区分 | 当てはまらない | わからない | 回答数 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 企業の変革を共に推進するパートナー | 現在 | 13% | 12% | 25% | 23% | 14% | 820 |
| 同(5年後) | 5年後 | 19% | 21% | 40% | 15% | 15% | 820 |
| DXに必要な技術を提供するパートナー | 現在 | 10% | 10% | 20% | 28% | 16% | 810 |
| 同(5年後) | 5年後 | 15% | 20% | 35% | 19% | 16% | 810 |
| 共通プラットフォームの提供主体 | 現在 | 8% | 9% | 17% | 38% | 16% | 814 |
| 同(5年後) | 5年後 | 12% | 16% | 28% | 26% | 17% | 814 |
| 新ビジネス・サービスの提供主体 | 現在 | 10% | 8% | 18% | 32% | 16% | 814 |
| 同(5年後) | 5年後 | 14% | 16% | 30% | 21% | 17% | 814 |
1段目は、5年後に自社が担う役回りを1つ選ぶことです。4つ全部を狙う形にすると、次の段が決まりません。
2段目は、その役回りに要る作業を今の手順に並べることです。今ある工程のどこに足すのかを、行として書き出します。
3段目は、社内で持つ判断と、量をこなす手を分けることです。決めが必要な作業と、手順が決まっている作業を切り離します。
4段目は、手の側を期間で区切って外へ出すことです。作業量が読める部分から動かします。
1段目で1つに絞る理由は、分布に出ています*1。5年後でも上位2区分は40%、35%、30%、28%で、どれも過半には届きません*1。
「わからない」の横ばいも同じ方向を指します*1。14%から15%、16%から16%、16%から17%と、ほとんど動いていません*1。
ここを埋めるのに5年待つ形にすると、採用の要件も体制も決まりません。ですから1つ選んで、その役回りの作業から手を付けます。
実務では、3段目と4段目が外部要員の枠になります。フリーランスを含む業務委託は、この枠と相性があります。範囲と期間を区切って渡し、片づいたら戻せるためです。
逆に、1段目と2段目を渡すと、5年後の決めが外に出ます。どの役回りにするかは社内に置きます。
同じ調査で現在と5年後を聞いた別の設問は、開発スタイルの現在と5年後|首位が入れ替わる見通しで扱っています。
取引の広げ方から決める場合は、垂直統合と水平分業、取引先の広げ方を決める手順が下敷きになります。
決めた形を社内に広げる段の分布はDXの全社展開は26%、一部でのみ実施42%との違いで出しています。
枠を人数に置き換える段では、要員計画に必要な4つの数字と決める順番を使います。
最後に範囲を添えておきます*1。この調査は組込みやIoTの分野が対象で、2022年11月から12月に実施されたものです*1。ほかの分野やそれより後の傾向は読めません*1。
まとめ:4つのうち1つを選んでから人を数える
第一に、資料です。IPAの「2022年度組込み/IoTに関する動向調査」は2023年6月12日に発行され、2023年7月25日に一部が改版されています。調査期間は2022年11月から12月で、調査票の配布は7,864件、回答は1,214件でした。回答者は企業の経営層や事業部門の責任者です。第二に、集計対象です。Q14は回答者の全体ではなく、Q11のDXの取り組み状況で「非常に活発」「活発」「あまり活発ではない」と答えた企業に絞られており、設問のNは現在839、5年後837でした。ただし行ごとの回答数はいずれの時点も820、810、814、814で、理由は資料に記載がありません。第三に、数値の扱いです。比率は資料の図に示された整数で、行ごとに足すと合計は99から101になります。上位2区分の合計と差はその整数から筆者が算出しました。第四に、現在の分布です。上位2区分は企業の変革を共に推進するパートナーが25%、DXに必要な技術を提供するパートナーが20%、新ビジネス・サービスの提供主体が18%、共通プラットフォームの提供主体が17%でした。第五に、5年後です。順に40%、35%、30%、28%で、差は15ポイント、15ポイント、12ポイント、11ポイントになります。「ほぼ全事業に当てはまらない」は23%から15%、28%から19%、38%から26%、32%から21%へ下がりました。第六に、動かない区分です。「わからない」は14%から15%、16%から16%、16%から17%、16%から17%で、4つとも1ポイント以内でした。第七に、位置づけ別です。ユーザー企業は変革パートナーが19%で、ほかの3つは9%から10%にとどまります。「ほぼ全事業に当てはまらない」は技術提供42%、共通プラットフォーム45%、新ビジネス39%でした。提供側の3区分では変革パートナーが27%から30%です。第八に、限界です。当てはまると答える基準も、5年後の見通しの根拠も、4つの類型の定義も資料にありません。
よくある質問
デジタル産業の企業類型とは何ですか。
IPAの2022年度組込み/IoTに関する動向調査のQ14では、「企業の変革を共に推進するパートナー」「DXに必要な技術を提供するパートナー」「共通プラットフォームの提供主体」「新ビジネス・サービスの提供主体」の4つが挙げられています。それぞれが自社にどれだけ当てはまるかを、現在と5年後で5段階で答える設問です。各類型の定義は資料に示されていません(確認日2026年9月8日)。
どの類型が多いのですか。
上位2区分(ほぼ全事業に当てはまる+半数以上の事業に当てはまる)の合計は、現在が変革パートナー25%、技術提供パートナー20%、新ビジネス・サービス18%、共通プラットフォーム17%でした。5年後は順に40%、35%、30%、28%です。合計と差は示された整数から算出しました。
この数字は企業全体の割合ですか。
違います。Q14の集計対象は回答者の全体ではなく、Q11のDXの取り組み状況で「非常に活発」「活発」「あまり活発ではない」と答えた企業に絞られており、設問のNは現在839、5年後837です。行ごとの回答数は両時点で820、810、814、814でした。
「わからない」はどれくらいありますか。
変革パートナーが現在14%で5年後15%、技術提供パートナーが16%と16%、共通プラットフォームが16%と17%、新ビジネス・サービスが16%と17%でした。4つとも1ポイント以内で、上位2区分が11から15ポイント上がるのに対して横ばいです。理由は資料に記載がありません。
発注する側の企業はどう答えていますか。
ユーザー企業の現在の上位2区分は、変革パートナーが19%で、技術提供9%、共通プラットフォーム10%、新ビジネス・サービス10%でした。「ほぼ全事業に当てはまらない」は技術提供42%、共通プラットフォーム45%、新ビジネス39%です。提供側の3区分では変革パートナーが27%から30%で、立場によって水準が違います。
出典
- *1 参考:IPA「2022年度組込み/IoT産業の動向把握等に関する調査」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/kumikomi/kumikomi-iot2022.html)。発行日・改版日・調査期間・配布数7,864件・回答数1,214件の一次情報として(2026年9月確認)
- *2 参考:IPA「組込み/IoTに関する動向調査」調査結果(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/kumikomi/ps6vr7000001tewn-att/kumikomi-iot2022.pdf)。Q14の比率・回答数・集計対象の絞り込み条件・4つの類型名・5段階の選択肢・位置づけ別の4区分・従業員数別の一次情報として。示された値を用いた図表の作成という編集・加工を筆者が実施(2026年9月確認)
- *3 参考:IPA「アンケート調査票」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/kumikomi/ps6vr7000001tewn-att/kumikomi-iot2022-chousahyou.xlsx)。Q14の類型名と選択肢の並びの確認として(2026年9月確認)
- *4 参考:IPA「組込み/IoT産業の動向把握等に関する調査」一覧(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/kumikomi/index.html)。2018年度から2022年度まで年度ごとに調査が公開されているという構成の確認として(2026年9月確認)