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2026.09.01 採用支援コラム

エンジニアの有効求人倍率の読み方|売り手市場と数字が合わない理由

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

エンジニアが並んで働く開発オフィス

この記事の結論

  • エンジニア(情報処理・通信技術者)の有効求人倍率は令和8年8月で1.33倍と、全職業の1.06倍を上回ります。
  • 技術職の中では高くなく、建築・土木・測量技術者の5.71倍や専門的・技術的職業従事者の1.73倍を下回ります。
  • ハローワークの求人と求職から計算した数字で、前年同月より0.09ポイント下がり、求職者は6.4%増えています。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

エンジニアの有効求人倍率は、厚生労働省の「一般職業紹介状況」令和8年8月分で、職業分類「情報処理・通信技術者」の1.33倍です。同じ表の全職業(職業計)は1.06倍で、エンジニアはそれを0.27ポイント上回っています。*2 どちらもハローワークで受け付けた求人と求職から計算した数字です。

「エンジニアは売り手市場」と聞く一方で、ニュースの有効求人倍率は1倍をわずかに超える程度——。数字をどう読めばよいのか、迷うところです。本記事では、エンジニアを採用する企業の担当者に向けて、最新の有効求人倍率と全職業・ほかの技術職との差、前年からの動き、この統計で分からないこと、そして採用計画での読み方を整理します。

エンジニアの有効求人倍率は何倍か

厚生労働省が毎月公表する一般職業紹介状況には、職業別の求人と求職をまとめた参考統計表が付いています。エンジニアに当たるのは、職業分類の「情報処理・通信技術者」の欄です。令和8年8月分の常用(パート含む)では、この欄の有効求人倍率が1.33倍、新規求人倍率が2.88倍でした。

同じ表の職業計、つまり全職業の合計は、有効求人倍率1.06倍、新規求人倍率1.98倍です。 エンジニアの有効求人倍率は全職業を0.27ポイント上回り、仕事を探している人1人に対して求人が1.33人分ある計算になります。実数では、月間有効求人数51,958人に対して、月間有効求職者数は39,174人でした。*2

報道でよく目にする「有効求人倍率1.18倍」は、全職業を合わせた季節調整値です。*1 職業別の表は季節調整をしていない原数値で、系列が違うため、1.18倍とエンジニアの1.33倍をそのまま並べることはできません。エンジニアの水準を全体と比べるときは、同じ表にある職業計の1.06倍を相手にします。

令和8年8月分は、令和8年10月2日に公表されました。厚生労働省は、公共職業安定所(ハローワーク)における求人、求職、就職の状況をとりまとめて求人倍率などの指標を作成し、毎月公表しているとしています。 数えているのはハローワークで受け付けた分で、民間の求人サイトや人材紹介会社の求人は入っていません。この点は後の節で詳しく見ます。

有効求人倍率とは

有効求人倍率は、仕事を探している人1人あたりに求人がいくつあるかを表す指標です。厚生労働省の用語の解説では、「月間有効求人数」を「月間有効求職者数」で除して得たものとされています。*3 1倍を上回れば求人のほうが多く、1倍を下回れば仕事を探している人のほうが多い状態です。

「有効」は、求人票や求職票の有効期限が切れていないことを指します。月間有効求人数は、前月から繰り越された未充足の求人数に、その月の新規求人数を足したものです。月間有効求職者数も同じく、前月から繰り越された就職未決定の求職者数と、当月の新規求職申込件数の合計です。

もう1つの新規求人倍率は、その月に新しく受け付けた求人数を、新規求職申込件数で割ったものです。 新規はその月に入った分だけを数え、有効は繰り越し分も含めた全体を数えます。エンジニアの欄は新規2.88倍、有効1.33倍で、新規のほうが大きく出ています。その月に出た求人に対して、新しく登録した求職者が少ない月だったということです。

表の区分にも決まりがあります。参考統計表の職業は、平成21年12月改定の「日本標準職業分類」に基づく区分です。 「情報処理・通信技術者」より細かい区分はないため、プログラマーやインフラエンジニアといった職種ごとの倍率は、この統計からは出せません。

全職業・ほかの技術職との比較

同じ表で、エンジニアの位置を確かめます。下の図は、令和8年8月の常用(パート含む)の有効求人倍率を、技術職の各区分と職業計、一般事務従事者で並べたものです。

職業別の有効求人倍率を並べた横棒グラフ。令和8年8月の全国計・常用(パート含む)・原数値で、建築・土木・測量技術者5.71倍、その他の技術者2.34倍、製造技術者(開発)1.92倍、専門的・技術的職業従事者(計)1.73倍、情報処理・通信技術者1.33倍、職業計(全職業)1.06倍、製造技術者(開発を除く)0.74倍、一般事務従事者0.29倍。ハローワークで受け付けた求人・求職の集計。出典は厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)」参考統計表7-1。

技術者の区分では、建築・土木・測量技術者が5.71倍で飛び抜けて高く、その他の技術者2.34倍、製造技術者(開発)1.92倍が続きます。*2 情報処理・通信技術者の1.33倍はその下で、製造・建築・情報処理などの技術者として表に並ぶ5つの区分のうち4番目です。ひとつ上の階層にあたる専門的・技術的職業従事者の計1.73倍も下回っています。

差が生まれているのは、求職者の数です。建築・土木・測量技術者は有効求人60,206人に対して有効求職者10,552人ですが、情報処理・通信技術者は有効求人51,958人に対して有効求職者39,174人でした。 求人の量は近いのに、エンジニアの仕事を探してハローワークに登録している人は3倍を超えます。

一方、全職業と比べれば高い水準です。職業計の1.06倍に対し、一般事務従事者は0.29倍で、こちらは求職者のほうがずっと多い状態でした。*2 「エンジニアは採りにくい」という実感は、全職業や事務職と比べた場合には数字と合っています。ただし技術職の中で特に高いわけではない、というのが職業別の表から読める位置です。

前年からの動き

参考統計表には前年同月との比較も載っています。令和8年8月の情報処理・通信技術者は、有効求人が前年同月比0.8%減、新規求人が3.4%減でした。求職の側は、有効求職者が6.4%増、新規求職申込が11.1%増です。*2 求人がわずかに減るなかで、仕事を探す人が増えています。

その結果、倍率は下がりました。前年同月との差は、有効求人倍率が0.09ポイント、新規求人倍率が0.43ポイントの低下です。職業計の低下幅は有効0.03ポイント、新規0.15ポイントで、エンジニアの欄のほうが大きく下がっています。 1年前と同じ感覚で「求職者がいない」と考えると、実際の動きとずれるおそれがあります。

産業の側から見ると、別の動きもあります。8月の新規求人を産業別にみると、全体が前年同月比3.4%減のなかで、情報通信業は3.3%増えました。*1 産業別は会社の業種、職業別は仕事の種類で分けた数字です。情報通信業の会社が出す事務職の求人も、製造業の会社が出すエンジニアの求人もあるため、2つの数字がそろって動くとは限りません。

紹介と就職の件数も同じ表にあります。情報処理・通信技術者の紹介件数は5,593件で前年同月比10.8%増、就職件数は361件で2.0%増でした。*2 これはハローワークを通じた分の件数で、その月にエンジニアとして就職した人の全体ではありません。民間の求人サイトや人材紹介を通じた就職は、ここには含まれていません。

パートを除いた数字

参考統計表には、パートタイムの求人と求職を除いた表もあります。常用(パート除く)で見ると、情報処理・通信技術者の有効求人倍率は1.48倍、新規求人倍率は3.13倍でした。職業計は有効1.17倍、新規2.06倍です。*2 パートを含む表より、どちらも高く出ます。

エンジニアの欄は、パートを除いても求人の数がほとんど変わりません。有効求人数は51,958人から51,139人になるだけです。一方、有効求職者数は39,174人から34,589人に減ります。 パートタイムを希望する求職者が分母から抜けるためで、フルタイムの採用を考えるなら、比べる相手としてはこちらの1.48倍が合っています。

報道発表には正社員有効求人倍率も載っており、令和8年8月は全職業で1.00倍(季節調整値)でした。 この値は、分母のパートタイムを除く常用の求職者に派遣労働者や契約社員を希望する者も含まれるため、「厳密な意味での正社員有効求人倍率より低い値となる」と注記されています。*1 職業別の正社員の倍率は、参考統計表には載っていません。

この数字に入っていないもの

有効求人倍率は手軽に使える指標ですが、数えている範囲は限られます。集計の対象はハローワークで受け付けた求人と求職なので、民間の求人サイト、人材紹介、社員からの紹介、自社の採用サイトからの応募は対象の外です。エンジニア市場の全体ではなく、ハローワークという窓口から見えている部分の数字として扱います。

ただし範囲は少しずつ広がっています。令和3年9月以降の数値には、ハローワークに来所せずオンライン上で求職登録した求職者数や、ハローワークインターネットサービスの求人に直接応募した就職件数等が含まれています。*1 数年をまたいで比べるときは、この変更の前後で数えている人が変わっている点に注意が要ります。

地域別の数字もありますが、全職業を合わせたものです。8月の都道府県別の有効求人倍率(季節調整値)は、就業地別でいちばん高いのが福井県の1.72倍、いちばん低いのが大阪府の0.95倍、受理地別でいちばん高いのが東京都の1.70倍でした。*1 職業別の表は全国計だけなので、「東京のエンジニアの倍率」はこの資料からは出ません。

職種の粒度も限られます。使用する言語、経験年数、年収の帯といった切り口はなく、自社が探しているエンジニアに絞った倍率は分かりません。この数字は市場全体の向きを見るために使い、自社の求人がどれだけ見られ、応募されているかは、自社の応募データで確かめるのが確実です。

採用計画での読み方

数字を採用計画に使うときは、まず比べる相手をそろえます。社内の資料で「求人倍率1.18倍」と「エンジニア1.33倍」を並べると、季節調整値と原数値が混ざってしまいます。職業別の表の中で、職業計とエンジニアの欄を並べるのが基本で、フルタイムの採用ならパートを除いた表を使います。

次に、向きを見ます。令和8年8月のエンジニアの欄は、前年同月より有効求職者が6.4%増え、有効求人倍率は0.09ポイント下がりました。 ハローワークの範囲では、求人1人分あたりの求職者が1年前より増えていることになります。ただし1か月分の数字なので、同じ表を数か月続けて取り、方向がそろっているかを確かめます。

市場の数字が緩んでいても、自社の求人に応募が来ないことはあります。その場合は、市場よりも自社の求人の書き方や条件を先に疑うほうが近道です。休日や残業時間など、応募を左右する求人の条件は「エンジニアが採用できない理由|まず休日と残業の書き方を見直す」で整理しています。

一般職業紹介状況は毎月公表され、8月分は10月2日に出ました。社内の資料に載せるときは、対象の月、パートを含むかどうか、確認した日を添えておくと、翌月以降の数字と並べやすくなります。採用が決まるまでの開発を外部の専門人材に任せる方法も、計画の選択肢として持っておけます。

まとめ:有効求人倍率で確かめたい3つの点

第一に、最新の値と比べる相手です。厚生労働省の一般職業紹介状況(令和8年8月分)では、エンジニアに当たる情報処理・通信技術者の有効求人倍率は1.33倍、全職業(職業計)は1.06倍でした。報道の1.18倍は全職業の季節調整値で、職業別の原数値とは系列が違います。第二に、技術職の中での位置と向きです。建築・土木・測量技術者の5.71倍や専門的・技術的職業従事者の1.73倍より低く、前年同月より有効求人倍率は0.09ポイント下がりました。第三に、数えている範囲です。ハローワークで受け付けた求人と求職の数字で、民間の求人サイトや人材紹介は含まれず、職種や地域ごとの内訳もありません。市場の向きはこの統計で、自社の状況は自社の応募データで確かめると、数字に振り回されずに採用計画を立てられます。

LASSICに相談するメリット

任せる作業が決まったら、次はその作業を担う人をどこで探すかを決めることになります。

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よくある質問

エンジニアの有効求人倍率は何倍ですか。

厚生労働省の一般職業紹介状況(令和8年8月分)では、エンジニアに当たる情報処理・通信技術者の有効求人倍率は1.33倍で、全職業の1.06倍を上回っています(常用・パート含む)。パートタイムを除くと1.48倍です。ハローワークの求人と求職から計算した数字で、毎月更新されます。

ITエンジニアの有効求人倍率は上がっていますか。

前年同月と比べると下がっています。令和8年8月の情報処理・通信技術者は、有効求人倍率が0.09ポイント、新規求人倍率が0.43ポイント低下しました。有効求人が0.8%減る一方で、有効求職者が6.4%増えたためです。1か月分だけで判断せず、数か月分を並べて向きを確かめてください。

ニュースの1.18倍とエンジニアの1.33倍はどちらが高いといえますか。

そのままでは比べられません。1.18倍は全職業を合わせた季節調整値で、エンジニアの1.33倍は職業別の表の原数値です。比べるときは、同じ職業別の表にある職業計の1.06倍を使います。

プログラマーやインフラエンジニアなど、職種ごとの倍率はありますか。

一般職業紹介状況の職業別の表は「情報処理・通信技術者」までの区分で、それより細かい職種ごとの倍率は載っていません。使用言語や経験年数ごとの数字もないため、自社が探す人材の状況は、求人の閲覧数や応募数など自社のデータで確かめます。

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出典

  1. *1 参考:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)について」報道発表資料(令和8年10月2日公表/確認日2026年10月7日)(https://www.mhlw.go.jp/content/11602000/001753853.pdf)。統計の対象、季節調整値の有効求人倍率・正社員有効求人倍率とその注記、令和3年9月以降の集計範囲、産業別の新規求人、都道府県別の有効求人倍率の一次情報として(2026年10月確認)
  2. *2 参考:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)」参考統計表(確認日2026年10月7日)(https://www.mhlw.go.jp/content/11602000/001753011.pdf)。参考統計表7-1・7-2・8-1(全国計・常用・職業別・原数値)の求人・求職・紹介・就職の実数と倍率、前年同月比・差の一次情報として(2026年10月確認)
  3. *3 参考:厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計):集計結果(用語の解説)」(確認日2026年10月7日)(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/114-1_yougo.html)。有効求人倍率・新規求人倍率、月間有効求人数・月間有効求職者数の定義として(2026年10月確認)




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