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エンジニア採用の採用失敗を3つに分ける原因分析の手順
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- 採用失敗は、採用人数が足りない・採用した人の仕事ぶりが期待と違う・定着しない、の3つに分けてから原因を探します。
- 厚生労働省の委託調査では、高度専門職を採用した企業の42.0%が採用数の目標を達成できなかったと答えています。
- 原因分析では、応募から入社までの段階ごとの人数の記録と、面接した人・配属先・採用された本人の話を突き合わせます。
※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
求人を出しても予定していた人数が採れない。採用はできたものの、入社した人が早くに辞めてしまった——。エンジニア採用では、「今回はうまくいかなかった」という感想だけが残り、次の募集でも同じ進め方を繰り返してしまうことが起こりがちです。採用失敗の原因分析とは、採用がうまくいかなかったときに、どの段階で何が起きたのかを記録と関係者の話から確かめ、次の募集で変えることを決める作業です。
原因分析をしておくと、次の募集で何を変えるかを、担当者の感覚ではなく記録をもとに絞って決められます。ただし万能ではなく、エンジニアの応募者そのものが少ないときは、分析しても、応募者の数を自社の工夫で増やせる幅は限られます。本記事では、エンジニアの中途採用を担う開発部門の責任者と採用担当者に向けて、採用失敗の分け方、人数が採れなかったときと入社後に合わなかったときの調べ方、原因分析の進め方、そしてつまずきやすい点を整理します。
採用失敗の原因分析とは
採用がうまくいかなかったと感じるとき、実際に起きていることは一つではありません。予定の人数が採れなかったのか、採用した人の仕事ぶりが期待と違ったのか、採用した人が辞めてしまったのか。どれに当たるかで、調べる記録も、話を聞く相手も変わります。原因分析の最初の作業は、今回の採用失敗がこの3つのどれなのかを決めることです。
この3つの分け方は、厚生労働省が外部に委託して行った調査(以下、委託調査)が、採用の成功を測るときに使った指標と同じです。調査は、中途採用の成功の度合いを「採用者の仕事のパフォーマンスへの満足度」「採用数の目標の達成度」「採用者の定着状況への満足度」の3つで見ています。*1 採用失敗を振り返るときも、この3つを別々に扱うと、原因の候補を絞りやすくなります。
原因分析は、失敗した人を探す作業ではありません。面接をした人の判断が誤っていた、と個人の問題にすると、次の募集で変えることが決まらないまま終わります。調べるのは、募集の出し方、選考の手順、入社後の受け入れ方といった、次の募集で変えられる進め方です。
失敗の3つの分け方
この調査は、2025年1月から2月にかけて、企業と、中途採用で入社した労働者の両方にアンケートを行ったものです(企業の有効回収2,417社)。*1 採用する人材を4つのタイプに分けており、そのうち「高度専門職」は、特定の分野で高度な専門性が求められる仕事を担当する人材を指します。エンジニアの中途採用は、このタイプに近い採用です。過去3年間に高度専門職を採用した企業611社の答えを、3つの指標で並べると次のようになります。
採用数の目標については、「あまり達成しなかった」27.8%と「達成しなかった」14.2%を合わせて42.0%です。*1 定着状況に「あまり満足していない」「満足していない」と答えた企業は合わせて28.2%、仕事のパフォーマンスについては合わせて20.8%でした。*1 回答を4段階で点数にした平均点(4点満点)で見ても、採用数の目標の達成度は2.56点と、定着状況の2.86点、仕事のパフォーマンス(仕事ぶり)の2.97点を下回ります。*1
調査は、どの人材タイプでも採用数の目標の達成度が他の2つの指標を下回ると述べています。*1 一方で、採用した人の仕事ぶりに不満があるという高度専門職の答え(20.8%)は、管理職・総合職・現業職を含めた4つのタイプの中で最も高い割合でした。
人数が採れなかったとき
人数が採れなかったときは、募集から入社までを段階に分けて、それぞれの人数を書き出します。求人を見た人の数が分かれば表の先頭に書き、応募した人、書類選考を通った人、面接に進んだ人、内定を出した人、内定を受けた人、入社した人と続けます。段階ごとに次へ進んだ人の割合を出すと、どこで人数が大きく減っているかが見えます。
応募の段階ですでに少ないなら、見直すのは求人の条件と募集の経路です。応募は集まるのに書類選考でほとんどが落ちているなら、求人票に書いた条件と選考で求めている条件が食い違っている可能性があります。内定を出しても受けてもらえないなら、提示した処遇や選考中の説明に理由があるかもしれません。どの段階で減っているかによって、次に確かめる記録が変わります。
募集の経路ごとに分けることも欠かせません。別の委託調査は、ハローワークや職業紹介など6つの採用経路ごとに、目標に比べてどの程度採用できたかを企業に尋ねています。*2 その結果、職業紹介(人材紹介会社が求人に合う人を紹介する経路)は、高度専門職のうち、すぐに活躍できる人材と、将来の活躍が見込める人材のどちらでも、採用できた度合いの点数が他の採用経路より高くなりました。*2 自社の採用でも、経路ごとに応募から入社までの人数を分けておけば、どの経路が合っていたかを比べられます。
応募が集まらないときの求人条件の見直し方は「エンジニア採用が応募不足で採用できない理由と、求人条件の見直し方」で、内定を受けてもらえなかったときの調べ方は「エンジニア中途採用の内定辞退、辞退理由を入社した人の回答から探る」で扱っています。
入社後に合わなかったとき
入社後に合わなかったときは、仕事ぶりの問題なのか、定着の問題なのかを先に分けます。仕事ぶりの問題は、任せた作業に必要な経験や技能が足りなかった、あるいは社内の仕事の進め方になじめなかった場合です。定着の問題は、仕事はできていても、処遇や働き方、入社前に聞いていた話との違いから辞めてしまう場合です。両方が重なることもありますが、どちらが先に起きたかを確かめておくと、選考を見直すのか、入社後の受け入れを見直すのかが決まります。
ここで欠かせないのが、採用された本人の話です。先の調査は、募集のときに企業が示した情報(仕事の内容や賃金など)と、採用の結果との関係も分析しています。企業の回答では関係が十分に確認できなかった一方、労働者の回答では、情報を示されていた方が入社後の満足度などがよいという差が確認されました。*1 回答が食い違った理由として、報告書は、人事担当者が多くの採用をまとめて判断して答えているのに対し、労働者は自分の例だけで答えていることを挙げ、人事担当者の立場からは採用した一人ひとりの状況までは把握できていないとも述べています。*1
採用した側の記録と感想だけで原因分析を進めると、本人が入社後に何に困ったかが抜け落ちます。在籍している人には入社後の面談で、辞めた人には退職の手続きの中で、入社前に聞いていた話と実際の仕事の違いを尋ねておくと、原因の候補が具体的になります。どちらも答えてもらえる範囲で構いません。
採用要件の書き方からミスマッチを防ぐ方法は「エンジニア採用のミスマッチを採用要件で防ぐ」に、入社後のスキル不足の見分け方は「エンジニア中途採用の入社後のスキル不足、進め方の違いを先に疑う」にまとめています。
原因分析の進め方
ここまでの内容を手順にすると、次のようになります。1回の募集だけで判断せず、同じ職種で何回か続けた採用をまとめて見ると、偶然の結果に引きずられにくくなります。
| 手順 | すること | 使う記録・聞く相手 |
|---|---|---|
| 1. 失敗の種類を決める | 採用人数・仕事ぶり・定着のどれが起きたかを決める | 採用計画の人数、入社後の評価、退職の記録 |
| 2. 段階ごとの人数を並べる | 応募から入社までの人数を、採用経路ごとに書き出す | 求人ごとの応募の記録、選考の結果 |
| 3. 関係者の話を聞く | 人数が減った段階や、入社後に起きたことを具体的に聞く | 面接した人、配属先の上司、採用された本人 |
| 4. 原因の候補を確かめる | 話から出た候補を、記録と照らして裏づけのあるものに絞る | 求人票、面接の評価票、処遇を示した書面 |
| 5. 変えることを決める | 次の募集で変える点を1〜2つに絞り、同じ人数の記録を取る | 次回の採用計画 |
手順2と3の順番には理由があります。先に人数を並べておくと、話を聞くときに「書類選考でほとんどが落ちたのはなぜか」のように、尋ねることを絞れます。反対に、話を先に聞くと、発言の多い人の印象がそのまま原因として扱われやすくなります。
手順5で変える点を1〜2つに絞るのは、次の採用の結果と比べるためです。求人票の書き方と採用経路と面接の回数を一度に変えると、結果がよくなっても悪くなっても、どれが効いたのかが分かりません。変えた点と、段階ごとの人数を次の募集でも同じ形で記録しておけば、原因分析の結果を次の採用で確かめられます。
つまずきやすい点
一つ目は、1人の例から結論を出すことです。採用した1人が早く辞めたからといって、すぐに面接の手順を作り直すと、その人に固有の事情まで仕組みの問題として扱ってしまいます。同じ段階で同じことが何回か起きているかを、記録で確かめてから変える点を決めます。
二つ目は、関係があることと原因を取り違えることです。先の調査は、オンボーディング(入社した人が職場になじみ、仕事を覚えるための受け入れの取り組み)の施策の数と、採用の成功の度合いとの間に正の相関(施策が多い企業ほど成功の度合いが高い傾向)があることを確認しています。*1 ただ、施策が多い企業は採用の体制そのものが整っていることも考えられ、施策を増やせば自社でも同じ結果になるとまでは言えません。自社で施策を増やしたときは、次の採用で定着の記録を取り、前回と比べます。
三つ目は、分析を人事だけで進めることです。エンジニア採用では、任せる仕事の中身を知っているのは配属先の責任者で、面接で技術を確かめたのも現場のエンジニアです。人事が段階ごとの人数をまとめ、配属先の責任者が仕事の中身と入社後の様子を補う、という分担で進めると、原因の候補が偏りにくくなります。
まとめ:採用失敗で確かめておきたい3つの点
エンジニア採用の採用失敗を原因分析するうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、今回の失敗が採用人数・仕事ぶり・定着のどれに当たるかを先に決めること。第二に、応募から入社までの人数を採用経路ごとに並べ、どの段階で減っているかを確かめること。第三に、面接した人と配属先の上司だけでなく、採用された本人の話も聞き、次の募集で変える点を1〜2つに絞ることです。この3点を踏まえておけば、「募集を出し直しても、毎回同じ段階で候補者がいなくなる」という事態を避けやすくなります。分析してもエンジニアの採用が間に合わないと分かったときは、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。
よくある質問
原因分析では、どのくらいの期間の採用を振り返ればよいですか
1回の募集だけでなく、同じ職種で続けた何回かの採用をまとめて見るのがおすすめです。厚生労働省の委託調査も、企業に過去3年間の採用の結果を尋ねています。*1 期間を区切ったら、その間の応募から入社までの人数を同じ形で並べます。
採用した人がすでに辞めている場合も、話を聞けますか
退職の手続きの中で、入社前に聞いていた話と実際の仕事の違いを尋ねる方法があります。答えるかどうかは本人に任せ、答えてもらえた範囲を記録します。聞いた内容は、在籍している人から聞いた話と合わせて原因の候補を絞るのに使います。
採用にかけた費用も原因分析の対象になりますか
対象にしておくと、採用経路を比べるときに役立ちます。別の委託調査では、中途採用を行っている企業が1人採用するのにかける費用は「30万円未満」が43.7%で最も多い結果でした。*2 経路ごとに1人あたりの費用を出しておくと、人数だけでは分からない違いが見えます。
原因分析の結果は、誰に伝えればよいですか
次の募集に関わる人すべてに伝えます。面接をする人には評価基準の変更を、求人票を作る人には条件の書き方の変更を、人材紹介会社を使うなら担当者にも変えた条件を伝えておくと、次の募集で同じ段階の人数を比べられます。
エンジニア採用の進め方を見直したいとき
採用がうまくいかなかった理由の整理や、採用と並行して開発を進める方法からご相談いただけます。
Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も探せます。
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出典
- *1 参考:厚生労働省「中途採用・経験者採用者が活躍する企業における情報公表その他取組に関する調査研究 結果報告書」(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001489721.pdf)。出典:厚生労働省委託の調査研究 結果報告書(2025年3月)。アンケートは2025年1月16日から2月14日、企業アンケートの有効回収2,417社。人材タイプの分類(P.14)、図36〜図39(過去3年間に採用した採用者の仕事のパフォーマンスへの満足度、採用数の目標の達成度、採用者の定着状況への満足度、総合パフォーマンス)、第3章第4節(オンボーディングとパフォーマンスの関係性)、第5章第1節(アンケート調査結果のまとめ)を参照。否定的な回答の割合は、2つの選択肢の値を足し合わせた(2026年9月確認)
- *2 参考:厚生労働省「企業における採用経路の選択動向等に関する調査研究事業 結果報告書」(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001491079.pdf)。出典:厚生労働省委託の調査研究事業 結果報告書(2025年3月)。アンケートは2025年1月23日から2月14日、1,270社が回答。第3章第2節(図18 1人採用するのにかける費用の目安)、第4節第3項(採用の成功度からみた評価)の本文と、人材タイプの定義(脚注5)を参照(2026年9月確認)