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2026.11.02 採用支援コラム

業務委託の管理方法|複数のエンジニアをまとめる管理表の作り方

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

開発部の課長がホワイトボードに貼った業務委託の管理表に手のひらを添えて確かめる

この記事の結論

  • 業務委託のエンジニアが複数いるなら、人ではなく契約ごとに1行を取り、契約・稼働・支払・アカウント・期限・評価の列を1枚に並べます。
  • 期限の列には、受け取った日から60日以内の支払期日、6か月以上続く契約の30日前の予告の期限、アカウントの停止日を日付で入れます。
  • 表を直す担当を1人決めて月1回、契約書・稼働の報告・アカウントの一覧と照らし、契約の実施状況を評価して更新の判断につなげます。

※ 本記事は2026年11月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

業務委託で加わっているエンジニアが4人になった。契約の満了日は人ごとにばらばらで、更新するかを決める日も、アカウントを止める日も、担当者の記憶に頼っている。先月は、契約が終わった人のIDが残っているのを後から見つけた——。そんな状況で、業務委託の管理方法を見直したい開発の現場は少なくありません。

本記事は、複数の業務委託エンジニアを同時に受け入れている開発マネージャーや情報システム責任者に向けて、契約・稼働・支払・アカウント・期限・評価を1枚の管理表にまとめる手順を、列のひな形の表つきで示します。根拠は、経済産業省のシステム管理基準、フリーランス法と関係する政令・Q&A、個人情報保護委員会のガイドラインです。

業務委託の管理方法とは

業務委託のエンジニアが1人か2人のうちは、契約書と担当者の記憶で回ります。3人、4人と増えて、開始日も満了日もばらばらになると、更新の判断、支払、アカウントの停止がそれぞれ別の場所の情報に頼るようになり、どれかが漏れます。業務委託の管理方法として勧めたいのは、この情報を1枚の管理表に集めることです。

経済産業省の「システム管理基準」は、外部委託管理の達成目標に、契約に基づいて外部委託業務が提供されていることと、契約に基づいて支払等の外部委託先に対する義務が果たされていることを挙げています。*1 管理活動の例には、外部委託契約の実施状況を評価し、契約に基づいて外部委託が行われるように維持することが並びます。*1 管理表は、この2つを1枚で確かめる道具です。

  • 契約どおりに作業と納品が行われているか
  • 条件の明示や支払など、発注側の義務を果たしているか
  • 終わるときの予告とアカウントの停止が間に合うか

表の1行は、人ではなく契約ごとに取ります。期間も支払期日も契約ごとに決まるからです。同じ人と2本の契約を結んでいれば2行にします。人を追加するかを決めるための稼働と空きの表は人的リソースの管理で扱っています。本記事は、契約を漏れなく回すための表です。

管理表の列のひな形

次の表が、業務委託のエンジニアを複数受け入れるときの管理表の列のひな形です。記入の例は一般的な形で、「〇〇」は自社の名前や日付に置き換えます。

夕方の自席で担当者が契約書を見ながら管理表のマスに書き入れる

業務委託の管理表の列のひな形(1行=1つの契約)
列の項目 書く中身 記入の例 よくある抜け
契約:相手の名称と形 相手の名称、個人か会社か、従業員を使っているか 〇〇さん(個人・従業員なし) 個人か会社かを書かず、フリーランス法の対象か分からない
契約:業務の内容 条件を示した書面にある業務の内容 〇〇システムの画面の改修 社内の呼び名で書き、契約書の言葉と食い違う
契約:期間と更新 最初の開始日、今の契約の満了日、更新の定め 〇年4月1日〜〇年9月30日・更新は協議 更新のたびに開始日を上書きし、通算の期間が分からなくなる
契約:条件を示した日 取引条件を示した日と方法 〇年3月25日・電子メール 条件を変えたのに、示し直した日を書いていない
稼働:契約上の目安 契約で決めた稼働の目安と作業の場所 週〇日程度・リモート 社内の都合で変えた日数を、契約を直さずに表だけで直す
稼働:報告の受け取り 稼働の報告を受け取った日と、相手側の窓口 毎月〇日・〇〇さん 報告を受け取る社内の担当が決まっていない
支払:検収と支払期日 検査を終える期日と支払期日 月末締め・翌月〇日払い 受け取った日から60日を超える支払日が入っている
アカウント:発行したもの 使っているIDと付けた権限の範囲 ソース管理・チャット・検証環境(閲覧と更新) 後から足した権限や共用のIDを書いていない
アカウント:停止の予定 止める予定の日と止める担当 〇年9月30日・情報システム部の〇〇 契約を延ばしたのに停止の予定日を直していない
情報:個人データ 個人データに触れる作業か、再委託があるか 触れない・再委託なし 不具合の調べで本番のデータを見せたのに表が「触れない」のまま
期限:判断日と予告の期限 続けるかを決める日と、更新しないときの予告の期限 判断〇年8月中旬・予告8月31日まで 通算6か月を超えたのに予告の期限が空欄
評価:契約の実施状況 契約どおりに作業と納品が行われたかを確かめた日と所見 〇月〇日確認・成果物は期日どおり 契約の中身ではなく、人柄の感想を書く

列は12あります。列を増やすより、空欄を作らないことを優先します。特に「期間と更新」「アカウント:停止の予定」「期限」の3つは、1つの日付が変わると残りも直す必要がある列です。

稼働の列には、契約で決めた目安と受け取った報告だけを書きます。業務委託では作業の進め方を受注側が決めるのが前提なので、日々の作業の割り振りを書き込んで、表が指示の記録にならないようにします。

  • 表に書く:契約の目安、報告を受け取った日、確かめた所見
  • 表に書かない:毎日の作業の順番、始業と終業の時刻、本人への細かい指示

管理表を作る5つの手順

表は、いま手元にある書類から作ります。新しく何かを聞き取るのは、書類に無い項目だけにします。

業務委託の管理表を作る5つの手順の図。1 契約を書き出す:契約書と発注書から1つの契約を1行に。2 相手の形を確かめる:個人か会社か、フリーランス法の対象か。3 アカウントと突き合わせる:契約の無いIDと切れた契約のIDを探す。4 期限を日付で埋める:支払期日、予告の期限、停止日。5 月1回見直す:担当1人が契約書、報告、一覧と照らす。

  • 手順1:契約書、発注書、条件を示したメールを集め、1つの契約を1行に書き出す
  • 手順2:相手が個人で従業員を使っていないか、会社でも代表者1人だけで役員も従業員もいないかを確かめ、フリーランス法の対象かを書く
  • 手順3:アカウントを付けた一覧と行を突き合わせ、契約の無いIDや期限の切れた契約のIDを探す
  • 手順4:期限の列を日付で埋める(次の節)
  • 手順5:表を直す担当を1人決め、月1回の見直しの日を決める

手順2の確かめ方は、フリーランス法の定義によります。同法は、従業員を使わない個人と、代表者1人のほかに役員がおらず従業員も使わない法人を「特定受託事業者」としています。*2 対象なら、業務を委託したときは直ちに、給付の内容、報酬の額、支払期日などを書面か電磁的方法で示します。*2 表の「条件を示した日」の列は、この記録になります。

情報システム部の担当者がタブレットを見て課長が管理表にチェックを入れる

手順5の月1回の見直しでは、表を契約書、稼働の報告、アカウントの一覧と照らします。個人データを扱う作業を任せているなら、個人情報保護委員会のガイドラインが、委託先での取扱状況を定期的に監査を行う等により調べ、委託の内容の見直しも含めて評価することが望ましいとしています。*4 同じガイドラインは、委託する業務に必要のない個人データを渡さないことも求めています。*4 見直しの結果は「情報:個人データ」と「評価」の列に残します。

期限の列の日付の決め方

期限の列は、いちばん漏れやすい列です。相手がフリーランス法の対象なら、次の2つの決まりが日付に関わります。

  • 支払期日:従業員を使う会社などの発注者は、給付を受け取った日(役務なら提供を受けた日)から60日以内の、できる限り短い期間で支払期日を決めます*2
  • 予告の期限:6か月以上続く業務委託(更新で6か月以上になるものを含む)を解除するときや、満了で更新しないときは、少なくとも30日前までに予告します*2*3

月単位で続けて役務を受けている場合は、条件を満たせば、月ごとの締め期間の末日から60日(2か月)以内に払う形も認められています。*5 30日前の数え方は、予告した日から満了日の前日までで30日をとる形です。8月31日に満了するなら8月1日までに予告すると、厚生労働省のQ&Aが例を示しています。*6 期間は、初日を1日目として数えます。*6

次の表は、仮の契約(4月1日開始、9月30日満了)で期限の列を埋めた例です。日付は説明のための仮の数です。

期限の列の決め方と仮の例
列 決め方 仮の例
契約期間 最初の開始日から今の満了日まで(初日を1日目として数える) 4月1日〜9月30日(通算6か月)
予告の期限 満了日の30日前。予告した日から満了日の前日までで30日をとる 8月31日までに予告
更新の判断日 予告の期限より前に、社内で決める 8月中旬
支払期日 受け取った日(役務なら提供を受けた日)から60日以内 4月分は〇月〇日(60日以内の日)
アカウントの停止日 契約の満了日にそろえる 9月30日

更新で契約が延びたときは、満了日だけでなく、予告の期限、判断日、アカウントの停止日を同じ日に直します。更新の判断そのものの進め方は業務委託エンジニアの稼働日数とあわせて、契約の中身を見直す場面で決めます。

外部人材に頼むときに確認しておきたい点

これから業務委託のエンジニアを新しく迎えるなら、管理表の行をそのまま相談の準備に使えます。頼む前に、次の点を相手と確かめておくと、最初の1行がすぐに埋まります。

  • 範囲:任せる作業と成果物、個人データに触れるかどうか
  • 期間:開始の時期、最初の契約の長さ、更新の考え方
  • 体制:報告を受ける窓口と、作業の指示を受ける相手側の責任者
  • 費用の決まり方:報酬の計算の仕方、締め日と支払期日
  • 引き継ぎ:終わるときの資料の受け渡しと、アカウントを止める日

アカウントの付け方は業務委託エンジニアの権限管理、個人データの扱いは業務委託エンジニアの情報セキュリティ、評価の中身は業務委託エンジニアの参画後の評価で詳しく整理しています。本記事は法令と公的な資料による一般的な整理です。個別の契約の扱いは弁護士などの専門家に確認してください。

まとめ:業務委託の管理方法

業務委託の管理方法で押さえたい点は3つです。第一に、契約ごとに1行を取り、契約・稼働・支払・アカウント・期限・評価の列を1枚の管理表に並べること。第二に、支払期日、予告の期限、アカウントの停止日を日付で埋め、更新で契約が延びたら同じ日にまとめて直すこと。第三に、表を直す担当を1人決め、月1回、契約書・稼働の報告・アカウントの一覧と照らして契約の実施状況を評価することです。

LASSICに相談するメリット

管理表で契約と期限が見渡せれば、次に人を迎える時期と任せる作業も決めやすくなります。任せたい作業と期間から、業務委託で開発に加わる専門人材の候補を探せます。

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よくある質問

管理表はどんな道具で作ればよいですか

社内でふだん使っている表計算ソフトで足ります。大事なのは、列をそろえることと、表を直す担当を1人決めることです。担当がいないと、日付の列から古くなります。

相手が従業員のいる会社でも同じ列でよいですか

同じ列で構いません。フリーランス法の対象かどうかを列で分け、対象でない相手の支払期日や予告は、契約書の定めに沿って日付を入れます。

作業の進み具合も管理表に書いてよいですか

進み具合は稼働の報告や定例で受け取り、表には受け取った日と確かめた所見だけを残します。日々の作業の割り振りを書き込むと、表が指示の記録になってしまいます。

業務委託で開発に加わるエンジニアを探す

任せたい作業の範囲と始めたい時期が分かっていれば、そのままご相談いただけます。管理の体制を整えている段階でも構いません。

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出典

  1. *1 参考:経済産業省「システム管理基準」(令和5年4月26日)(PDF)(https://www.meti.go.jp/policy/netsecurity/sys-kansa/sys-kanri-2023.pdf)。出典:経済産業省。Ⅱ.2.6 外部委託管理(達成目標、管理活動の例:外部委託契約の維持)を参照(確認日2026年10月28日)(2026年11月確認)
  2. *2 参考:e-Gov法令検索「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(令和5年法律第25号)(https://laws.e-gov.go.jp/law/505AC0000000025)。出典:e-Gov法令検索。第2条(定義)、第3条(給付の内容その他の事項の明示等)、第4条(報酬の支払期日等)、第13条(継続的業務委託)、第16条(解除等の予告)を参照。条文はe-Gov法令APIで確認(確認日2026年10月28日)(2026年11月確認)
  3. *3 参考:e-Gov法令検索「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行令」(https://laws.e-gov.go.jp/law/506CO0000000200)。出典:e-Gov法令検索。第3条(法第13条第1項の期間は6月)を参照。条文はe-Gov法令APIで確認(確認日2026年10月28日)(2026年11月確認)
  4. *4 参考:個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」(https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/guidelines_tsusoku/)。出典:個人情報保護委員会。3-4-4(委託先の監督)を参照(確認日2026年10月28日)(2026年11月確認)
  5. *5 参考:公正取引委員会・厚生労働省「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律の考え方」(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/001572556.pdf)。出典:厚生労働省。役務の提供を委託した場合の「給付を受領した日」(月単位の締切対象期間)を参照(確認日2026年10月28日)(2026年11月確認)
  6. *6 参考:厚生労働省「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)Q&A」(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/001358289.pdf)。出典:厚生労働省(令和8年10月23日時点)。問60(期間の計算は初日を算入)、問107(30日前の数え方)を参照(確認日2026年10月28日)(2026年11月確認)




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