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2026.09.29 採用支援コラム

リモート採用のオンボーディング、貸与PCの発送から返却までの手順




監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論

  • 貸与PCは台帳に登録し、データの暗号化と、紛失時に遠隔で初期化できる設定を済ませてから発送します。
  • 届いた日に本人と製造番号を照らし合わせ、紛失したときの連絡先を端末に貼っておいてもらいます。
  • 返却された貸与PCは専用のソフトウェアでデータを消去し、台帳の利用者と所在を書き換えます。

※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

入社日の直前になって、どのパソコンを誰に送ったのか一覧が無いと気づいた。退職した人から戻ってきたパソコンを、初期化しただけで次の人に送ってしまった——。リモートで採用した人の受け入れでは、こうした端末の扱いの抜けが起こりがちです。貸与PCとは、会社が所有したまま社員に使ってもらうパソコンを指します。

リモート採用のオンボーディング(入社した人を受け入れて仕事を始めてもらうまでの段取り)では、この貸与PCを宅配で届け、ビデオ会議で説明しながら使い始めてもらうことになります。発送の前に設定を済ませておけば、入社初日から作業を始めてもらえます。ただし万能ではなく、端末を整えても、使い方の決まりを本人が知らなければ紛失や情報漏えいは防げません。本記事では、エンジニアを採用する実務担当者に向けて、発送から返却までの準備と、貸与と支給の違い、そして外部に委託するときに確認したい点を整理します。

倉庫の高い棚に、ラップで包まれた段ボール箱がパレットごと並んでいる写真。天井に照明が一列に続いている。人は写っていない

リモート採用の貸与PCとは

総務省の「中小企業等担当者向けテレワークセキュリティの手引き(チェックリスト)」は、テレワークの方式を、端末が会社支給か個人所有かでまず分けています。会社支給の端末には、VPN(暗号化した通信で社内につなぐ仕組み)で社内につなぐ方式やクラウドサービスに直接つなぐ方式など4つがあり、端末にデータを保存する方式ほど紛失への備えが要ります。

総務省が2025年2〜3月に行った実態調査では、テレワークを導入している653社のうち80.6%が、通常職場で使っている会社支給のパソコンをテレワークでも使ってよいとしていました。テレワーク用に別に用意した会社支給のパソコンは47.3%、従業員の私用のパソコンは17.3%です(複数回答)。*3 会社のパソコンを使ってもらう形が大半を占めています。

リモートで採用した人に貸与PCを届けるまでの作業は、発送の前、初期設定、受け取り、返却の4つに分けると整理しやすくなります。入社初日のログインや本人確認の設定は「リモート採用のオンボーディング、入社初日の作業環境の不備を防ぐ」で扱ったので、ここでは端末そのものの準備に絞ります。

発送の前に決めること

最初に用意するのは、端末を管理する台帳です。総務省の「テレワークセキュリティガイドライン(第5版)」は、システム・セキュリティ管理者の基本対策として台帳を整え、シリアルナンバー(製造番号)、OS(端末を動かす基本ソフト)の種別とバージョン、使っているアプリケーション、更新プログラムの適用状況、利用者、所在を必要に応じて把握するよう求めています。*1 入社する人の名前と送り先は、発送の前にこの台帳へ書き込んでおきます。

次に、その端末で業務に使ってよいソフトウェアとクラウドサービスを決めます。ガイドラインは、業務上利用できるハードウェア、ソフトウェア、クラウドサービスなどを定めてルールとして周知し、ルールで許可していないものは事前の申請を求め、問題がないと確認できたものだけ利用を許可するとしています。入社前に本人が使う予定の開発ツールを聞き、許可するものは初期設定の段階で入れておくと、入社後の申請が減ります。

発送の日は、初期設定にかかる日数と配送の日数を入社日から逆算して決めます。受け取りの確認に1日使えるようにしておくと、届かなかったときに入社日までに送り直せます。送り先は本人の自宅にし、受け取りの記録が残る配送方法を選んでおくと、台帳の所在と合わせやすくなります。

初期設定で済ませておくこと

ガイドラインは対策に「管理者B-1」のような番号を振り、まず取り組む「基本対策」と、余力があれば進める「発展対策」に分けています。発送の前に済ませておきたいものを並べると次のようになります。表のMDMは、端末をまとめて遠隔で管理する仕組みです。

貸与PCの発送前に済ませる設定(テレワークセキュリティガイドライン第5版の管理者向け対策から抜き出した例)
済ませておく設定 対策の番号 区分
台帳への登録(製造番号・OS・利用者・所在など) 管理者B-1 基本対策
業務に使ってよいソフトウェアを決めて周知する 管理者B-3 基本対策
OSとソフトウェアを最新の状態に更新する 管理者C-1 基本対策
利用者には必要最小限の権限(例:ソフトウェアを自由に入れられないユーザ権限)を付ける 管理者D-1 基本対策
内蔵の記録装置を暗号化し、利用者が設定を変えられないようにする 管理者E-8 発展対策
MDMを導入し、遠隔での初期化などを有効にする 管理者E-9 基本対策
紛失したときに位置を調べられるようにする 管理者E-10 基本対策

MDMについて、ガイドラインは紛失や盗難に備えて導入し、遠隔でのデータとアカウントの初期化、ログイン時のパスワード認証の強制、ハードディスクの暗号化などの機能を有効にするよう求めています。*1 配送中の紛失に備え、暗号化と遠隔での初期化は、端末が会社を出る前に有効にしておきます。

中小企業向けの手引きは、会社支給の端末でVPNを使う方式について、優先度の高い対策として、ウイルス対策ソフトの導入と常時の検査の有効化、メーカーのサポートが終わったOSやアプリケーションを使わないこと、離席するときの画面のロック、のぞき見防止フィルタの貼り付けなどを挙げています。*2 フィルタは、発送の前に貼っておけば本人の作業が一つ減ります。

総務省の2024年度テレワークセキュリティ実態調査で、テレワークを導入している653社のうち、端末に関わる7つの対策を十分に実施していると答えた企業の割合を並べた横棒グラフ。利用者や利用端末の把握・管理60.5%、サポート切れのOS・アプリケーションを利用しない56.5%、ソフトウェアへの最新セキュリティアップデートの適用54.4%、管理者権限についての作業制限44.4%、アプリケーションのインストール制限43.5%、テレワーク端末の紛失対策33.2%、のぞき見防止対策20.5%。

こうした対策が実際にどこまで進んでいるかは、先の実態調査で分かります。テレワークの利用者や利用端末の把握・管理を「十分に実施している」企業は60.5%でしたが、テレワーク端末の紛失対策は33.2%、のぞき見防止対策は20.5%にとどまりました。*3 端末の把握はしていても、紛失に備えた対策までは十分でない会社が多いことになります。

受け取りの確認

貸与PCが届いたら、その日のうちに本人と一緒に中身を確かめます。本体の裏などにある製造番号を読み上げてもらい、台帳の番号と同じかを見ます。付属品もそろっているかを確かめ、受け取った旨をメールで返してもらえば受領の記録になります。台帳の所在は、このとき本人の自宅に書き換えます。

このとき本人に伝えておきたいのは、貸与PCは会社が守るべき情報を扱う財産だということです。ガイドラインも、そう認識して適切に管理し、盗難や紛失の防止に努めることを、テレワーク勤務者の基本対策にしています。*1 家族と共用しない、外出先に置いたままにしないなど、具体的な場面を挙げて話しておきます。

もう一つは、なくしたときの連絡先です。手引きは、セキュリティ上の事故が起きたときの対応手順と連絡体制を決め、従業員に緊急連絡先を周知することを、優先度の高い対策にしています。*2 あわせて総務省は、困ったときに最優先ですべき行動を書いた「緊急時対応カード」をシールの形で公開しており、テレワークを行う従業員に配ってパソコンなどの端末に貼るよう勧めています。連絡先を書き込んだカードを、発送の段階で端末に貼っておく方法もあります。

貸与と支給の違い

会社のパソコンを渡す形には、会社が所有したまま使わせる貸与と、所有権ごと社員に渡す支給があります。厚生労働省の「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」は、物品の貸与の状況などによって費用負担の扱いはさまざまだとし、労使でよく話し合ってルールを決め、就業規則などに書いておくことが望ましいとしています。*4

税の扱いも、貸与か支給かで変わります。国税庁の「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」は、企業が所有するパソコンなどの事務用品を従業員に貸与する場合は給与として課税する必要はないが、支給して所有権が従業員に移る場合は、物で渡した給与(現物給与)として課税する必要があるとしています。*5 「支給」という形で配っても、従業員が自由に処分できず、業務に使わなくなったときに返却を要するものは、貸与とみて差し支えないとされています。

この扱いは、ディスプレイや椅子、机のような作業環境を整える物品でも同じです。貸与PCと一緒にこうした物品を送るなら、会社の所有であることと、使わなくなったら返すことを、本人に渡す貸与の誓約書などに書き、台帳にも載せておきます。

返却とデータの消去

貸与PCは、退職のほか故障による交換や機種の入れ替えでも戻ってきます。届いたときの箱と緩衝材は取っておいてもらい、返送用の送り状は会社が用意します。届いたら、受け取りのときと同じく製造番号を台帳と照らし合わせます。

戻った端末のデータの扱いについて、ガイドラインは、端末を廃棄するときは内蔵のHDDやSSD(データを記録する装置)を、データ消去専用のソフトウェアを使うか物理的に壊すなどして、完全に復元できない状態にするよう求めています。通常のフォーマットや初期化をしただけでは専門の技術で復元できることにも注意するよう書いています。*1 次の人に貸し出すときも、同じ消去をしてから初期設定をやり直しておくと、前の利用者のデータが残りません。

本人が返送できない事情があるときは、MDMの遠隔での初期化を使います。アカウントの削除や資料の引き継ぎは「外部人材活用で退職者の引き継ぎを進める、アカウントと資料の渡し方」で扱っています。端末について最後にするのは、台帳の利用者の欄を空欄にし、所在を会社の保管場所に書き換えることです。

つまずきやすい点

一つ目は、紛失への備えを入社後に回してしまうことです。先の実態調査で、テレワークのセキュリティの課題として最も多く挙がったのは「情報端末の紛失に関するリスク」で48.2%でした。次いで、テレワーク中に機密情報を閲覧してよいか、端末に保存してよいかの判断が45.2%です(複数回答)。*3 宅配で送る貸与PCは、会社を出た時点から紛失の心配が始まります。

二つ目は、台帳を作っても書き換えないことです。利用者や利用端末の把握・管理を「実施しているが不十分」とした企業も29.9%ありました。*3 発送、受け取り、交換、返却のたびに誰が書き換えるかを決めておかないと、どの端末がどこにあるのかがすぐに分からなくなります。

三つ目は、エンジニアから管理者権限を求められたときの扱いを決めていないことです。開発ではツールの導入や設定の変更が多く、ユーザ権限だけでは作業が止まる場面があります。申請を受けて許可したソフトウェアを会社側で入れる手順か、期限を決めて権限を付ける手順のどちらかを、入社前に決めておきます。

外部に委託するときに確認しておきたい点

業務委託で開発に加わる外部の専門人材には、自社の貸与PCを使ってもらう場合と、委託先が用意した端末を使ってもらう場合があります。自社の端末を貸すなら、社員と同じ台帳に載せ、同じ初期設定で送り、契約が終わる日に合わせて返送の手配をしておきます。貸与と支給の税の扱いは従業員についての話なので、委託先との間では、端末の返却と消去を契約でどう定めるかが要点になります。

委託先の端末を使ってもらうなら、暗号化や更新の状況を誰がどう確かめるかを、作業を始める前に決めておきます。受け入れの手続き全体は「業務委託エンジニアの受け入れで決める5つの手続き」、アカウントと権限の管理は「業務委託エンジニアの受け入れ時の権限管理、付与から削除までの手順」にまとめました。

まとめ:貸与PCで確かめておきたい3つの点

リモート採用のオンボーディングで貸与PCを準備するうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、台帳に登録し、暗号化とMDM、ユーザ権限などの初期設定を済ませてから発送すること。第二に、届いた日に製造番号を台帳と照らし合わせ、端末を情報資産として扱うことと紛失時の連絡先を本人に伝えること。第三に、返却された端末は専用のソフトウェアなどでデータを消去し、台帳を書き換えることです。この3点を踏まえておけば、「退職した人のパソコンがどこにあるのか、誰も答えられない」という事態を避けやすくなります。端末の準備や受け入れの体制づくりに迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

貸与PCの準備が整っても、社員の採用が決まるまでは開発を任せる人がいないことがあります。その期間の作業を、業務委託の専門人材に任せる方法も選択肢に入れておけます。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材が必要になった時点から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で実際の業務開始まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

モニターや椅子を一緒に貸す場合も、貸与PCと同じ扱いになりますか

税の扱いは同じです。国税庁のFAQは、間仕切りやカーテン、椅子、机、空気清浄機など自宅の環境を整える物品についても、企業が所有するものを貸与する場合は給与として課税する必要はなく、所有権が従業員に移る支給なら現物給与として課税するとしています。*5 台帳に載せて返却の対象にしておくと管理しやすくなります。

スマートフォンを貸与する場合も、記録装置の暗号化の設定が要りますか

iPhoneやiPadは、手引きによると初期状態で暗号化されているため、暗号化の作業は要りません。*2 一方で、紛失したときに位置を調べられるようにする設定は、スマートフォンなどの端末について優先度の高い対策に挙がっています。

本人の自宅のWi-Fiルーターも、会社が確かめる必要がありますか

ルーターは本人の持ち物ですが、ガイドラインは、テレワーク勤務者が持つ無線LANルーターなどのファームウェア(機器を動かすソフトウェア)を最新にするよう周知することを管理者の基本対策にしています。*1 手引きも、無線の暗号化方式に「WPA2」か「WPA3」を使い、暗号化のパスワードを推測されにくいものにするよう求めています。受け取りの確認のときに一緒に伝えておくと手間が省けます。

リモートで働くエンジニアの採用を相談したいとき

リモートで働く前提のエンジニア採用と、入社までの開発を任せる人材の確保についてご相談いただけます。

Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も探せます。

Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。

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出典

  1. *1 参考:総務省「テレワークセキュリティガイドライン(第5版)」(PDF)(https://www.soumu.go.jp/main_content/000752925.pdf)。出典:総務省「テレワークセキュリティガイドライン(第5版)」(令和3年5月)。第5章2 資産・構成管理(管理者B-1・B-3、勤務者B-1)、第5章3 脆弱性管理(管理者C-1・C-4)、第5章4 特権管理(管理者D-1)、第5章5 データ保護(管理者E-6・E-8・E-9・E-10と記録媒体の暗号化・廃棄の解説)を参照(2026年9月確認)
  2. *2 参考:総務省「中小企業等担当者向けテレワークセキュリティの手引き(チェックリスト)(第3版)」(PDF)(https://www.soumu.go.jp/main_content/000816096.pdf)。出典:総務省「中小企業等担当者向けテレワークセキュリティの手引き(チェックリスト)(第3版)」(令和4年5月)。第1部 テレワーク方式の分類(会社支給端末の方式①〜④)、第2部 方式①のチェックリスト(2-1・4-1・4-2・5-1・6-2・7-1・8-1・8-3と注2)、付録の緊急時対応カードの説明を参照(2026年9月確認)
  3. *3 参考:総務省「テレワークセキュリティに係る実態調査 調査結果報告書」(PDF)(https://www.soumu.go.jp/main_content/001053494.pdf)。出典:総務省「テレワークセキュリティに係る実態調査 調査結果報告書」(2025年3月、株式会社シード・プランニング)。2025年2月14日〜3月31日のWebアンケート、回答1,541社のうちテレワークを導入している653社。本調査編7 テレワークで利用許可している端末の種類、14 セキュリティ確保に関しての課題点、15 セキュリティ対策実施状況を参照(2026年9月確認)
  4. *4 参考:厚生労働省「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/000759469.pdf)。出典:厚生労働省「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」。4(2) テレワークに要する費用負担の取扱いを参照(2026年9月確認)
  5. *5 参考:国税庁「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」(PDF)(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0020012-080.pdf)。出典:国税庁「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」(令和3年1月、令和8年4月1日更新)。問2 在宅勤務に係る事務用品等の支給、問3 在宅勤務に係る環境整備に関する物品の支給を参照(2026年9月確認)




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