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人材確保の課題はなぜ入れ子になるのか、担当者の確保が74%
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- 課題の首位は74%:担当する人材の確保が挙がりました*1。
- 雇用は実施中55%:取り組みの中で最も多い区分です*1。
- 知識を残す仕組みは12%:9つの取り組みで最も少ない区分でした*1。
※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関・ベンダー公式ドキュメント)に基づきます。
担当者が抜けたあと、補充の話が進まないことがあります。
予算がないのでも、候補がいないのでもなく、動かす人がいないという形です。
手がかりは、人材の確保における課題を聞いた調査です。
IPAの調査では、課題の首位が「担当する人材の確保」でした*1。当てはまる43%とやや当てはまる31%で、合わせて74%です*1。
つまり補充の作業そのものに人手が要る、という入れ子の構造になります*1。
目次
つなぐ作業をする人がいない
離脱の穴を埋める話は、たいてい候補者の有無から始まります。ところが現場では、その前で止まっていることがあります。
その形を集計した調査があります*1。IPAの「2022年度組込み/IoTに関する動向調査」で、2023年6月12日に発行されました*1。
改版もされています*1。2023年7月25日に一部の設問の記載が改められたと記録されています*1。
調査の時期も示されています*1。2022年11月から12月にかけて実施されたものです*1。
規模も書かれています*1。調査票の配布は7,864件で、回答は1,214件でした*1。
回答者の立場も示されています*1。企業の経営層や事業部門の責任者を対象としたとされています*1。
配布先も書かれています*1。組込みやIoTに関する協会や団体に加盟している企業などに配られたとされています*1。
調査項目の狙いも示されています*1。企業活動の状況のほか、組込みやIoTの産業の動向を把握するためのものとされています*1。
対象の区分も4つに分かれています*1。組込みやIoTの製品を利用する側、開発して提供する側、部品やサブシステムを提供する側、サービスを提供する側です*1。
つまり作る側と使う側の両方が入っています*1。メーカーの開発部門も、受託する側も含まれる集計です*1。
表記について1つ書いておきます*1。選択肢名に短縮した表記が使われているため、この記事では言い換えて記載しています*1。
数値の扱いも書きます*1。比率は調査結果に示された値をそのまま引き、2つの区分を足した合計は示された比率から筆者が算出しました*1。
丸めについても押さえます*1。比率は整数に丸められているため、行によっては合計が99%や101%になります*1。
出典の記載も条件になっています*1。この資料の利用ルールでは、出典を書くことと、編集や加工を行った場合はその旨を書くことが求められています*1。
だからここに明記します*1。出典はIPA「2022年度組込み/IoTに関する動向調査」で、示された値を用いて図と表を作成する編集と加工を筆者が行いました*1。
利用ルールの位置づけも書かれています*1。政府標準利用規約の第2.0版に準拠し、表示4.0国際の利用許諾条件と互換性があるとされています*1。
まず課題の側を見ます*1。
いちばんの課題は「担当する人材の確保」で74%
調査のQ25は、人材の確保や強化における課題を5段階で聞いています*1。Nは1,064です*1。
選択肢は5つに分かれます*1。当てはまる、やや当てはまる、あまり当てはまらない、当てはまらない、わからないです*1。
首位は「人材の確保・強化を担当する人材の確保」でした*1。当てはまるが43%、やや当てはまるが31%です*1。
合わせると74%になります*1。この行の回答数は1,034でした*1。
ここが入れ子の構造です。人を確保するための作業を、誰がやるのかが決まらない形になります*1。
離脱の場面では特に起きます。抜けた人の仕事を回しながら、後任を探す作業も同じ人に乗るためです。
残りの選択肢も出ています*1。あまり当てはまらないが10%、当てはまらないが10%、わからないが6%でした*1。
つまり否定側は2割です*1。4社に3社は、この課題に当てはまる側に立っていることになります*1。
ただし自己申告です*1。何をもって担当する人材が足りないとするかの基準は、調査結果には示されていません*1。
資料は理由も説明していません*1。なぜこの項目が首位になるのかは書かれていません*1。
読めるのは分布です*1。5つの課題の中で、この項目だけが7割を超えているという点までです*1。
「その他」の区分もあります*1。回答数は14で、当てはまるが29%、当てはまらないが50%でした*1。件数が少ないので参考の範囲にとどめます*1。
要員が足りない状態で刷新に踏み込んだ場合の集計は別にあります。レガシー刷新を止めるのは理解不足ではなく要員の不足で扱っています。
次に、ほかの課題と並べます*1。
時間59%、情報51%、資金49%
2番目は「時間の確保」でした*1。当てはまるが24%、やや当てはまるが35%です*1。
合わせると59%になります*1。この行の回答数は984でした*1。
3番目は「人材に関する情報の入手」です*1。17%と34%で合わせて51%、回答数は981でした*1。
4番目が「資金の確保」です*1。24%と25%で合わせて49%、回答数は989になります*1。
5番目は「外部の人材チャネルとの連携」でした*1。17%と31%で合わせて48%、回答数は978です*1。
並べると首位の突出が見えます*1。2番目の59%に対して、首位は74%です*1。
ただし差の大きさは論じません*1。行ごとに回答数が978から1,034まで違うためです*1。
読めるのは順序です*1。担当する人材、時間、情報、資金、外部との連携という並びになります*1。
資金が最下位ではない点も押さえます*1。5つのうち4番目で、外部との連携より上に来ています*1。
つまり予算が理由の全部ではありません*1。予算を付けても、動かす人と時間が足りなければ進まない形です*1。
「当てはまる」だけで見ても順序は変わります*1。時間と資金がどちらも24%で、情報と外部連携が17%です*1。
その場合も首位は同じです*1。担当する人材の確保が43%で、ほかの4つより高い値になります*1。
次に、実際の取り組みを見ます*1。
取り組みは「不足人材の雇用」が実施中55%
調査のQ24は、人材の確保や強化で何をしているかを5段階で聞いています*1。Nは1,062です*1。
選択肢は実施中、準備中、検討中、実施も検討もしていない、わからないの5つです*1。
実施中でいちばん多いのは「不足している人材の雇用」でした*1。55%で、回答数は1,030です*1。
準備中を足すと65%になります*1。ほかの取り組みとは水準が違う形です*1。
2番目は「社内人材の配置転換」でした*1。実施中が28%、準備中が7%で回答数は972です*1。
3番目は「外部の専門家の活用」です*1。実施中が26%、準備中が6%で回答数は969になります*1。
同率で「就労条件の多様化」も26%でした*1。準備中が6%で回答数は958です*1。
つまり外に出す選択は3割前後です*1。実施中と準備中を足すと32%になります*1。
裏返すと4割近くが手を付けていません*1。外部の専門家の活用は、実施も検討もしていないが39%でした*1。
公的な支援制度の活用も並べておきます*1。実施中が20%、準備中が5%、回答数は950です*1。
資料は成果を書いていません*1。それぞれの取り組みで人が足りたかどうかを示す集計は、今回参照した資料に記載はありません*1。
この設問にも「その他」の区分があります*1。回答数は10で、実施中が10%、検討中が40%、実施も検討もしていないが50%でした*1。
組込みやファームウェアの側を外に出す進め方は別に整理されています。組込み/ファームウェア開発の外注が参考になります。
次に、いちばん少ない取り組みを見ます*1。
知識を残す仕組みは実施中12%で最も少ない
9つの取り組みで実施中がいちばん少なかったのは「スキル標準と知識管理の仕組みの導入」でした*1。12%です*1。
回答数は949でした*1。準備中が9%、検討中が26%、実施も検討もしていないが40%です*1。
つまり4割が手を付けていません*1。実施中と準備中を足しても21%にとどまります*1。
下から2番目は「自動化やAIなどの道具の活用」でした*1。実施中が14%、回答数は952です*1。
3番目に少ないのは「組織の改革」です*1。実施中が16%、回答数は955になります*1。
「社内人材の学び直し」も低めです*1。実施中が18%、準備中が9%で回答数は963でした*1。
並べると形が見えます*1。人を入れる取り組みは実施中55%、知識を残す取り組みは実施中12%という順序です*1。
ただし差の大きさは論じません*1。この2つは別の設問行で、回答数も1,030と949で違います*1。
ここで因果も書きません*1。知識を残す仕組みがないから離脱の穴が埋まらない、という関係を示すクロス集計は記載がありません*1。
それでも順序は読めます*1。補充のほうが先に進み、残す仕組みは後ろに置かれている形です*1。
つなぎの観点ではここが重い数字になります。担当者が抜けたときに読める記録が用意されていない案件が多い、という前提で動くことになります*1。
体制の相場そのものは別の指標で測れます。外部委託工数比率とは、中央値63.4%が示す体制の相場で別の資料の指標を扱っています。
次に、どんな人材を求めているかを見ます*1。
確保したい人材は設計より上流に寄る
調査のQ23は、確保や強化をしたい人材を6段階で聞いています*1。Nは1,059です*1。
最優先で確保・強化したいと、確保・強化したいを足して並べます*1。合計は筆者が算出しました*1。
いちばん上は「ビジネスをデザインし構築できる人材」でした*1。75%で、最優先だけでも21%です*1。回答数は983でした*1。
2番目は「システム全体を俯瞰して思考できる人材」です*1。74%で最優先は19%、回答数は967になります*1。
3番目は「複数の応用分野をまたいでとりまとめができる人材」でした*1。72%で最優先は16%、回答数は971です*1。
4番目はプロジェクトを管理する人材です*1。69%で最優先は20%、回答数は967でした*1。
同率で「設計技術者」も69%です*1。最優先は18%で、回答数は976になります*1。
実装技術者はここより下です*1。合計が55%で、最優先は11%、回答数は954でした*1。
つまり上流に寄っています*1。手を動かす人よりも、まとめる人や設計する人を求める回答が多い形です*1。
調達の側にはここが効いてきます。まとめる役割は社内に残し、手を動かす部分を外に出す組み合わせが、分布と合う形になります*1。
ただし理由は書かれていません*1。なぜ上流に寄るのかを示す説明は、今回参照した資料に記載はありません*1。
行ごとに回答数も違います*1。903から983まで幅があるため、割合の差を細かく論じることはしません*1。
下位の区分も並べておきます*1。モデリングの技術者が最優先3%、モデルベース開発の技術者と設計や応用の分野に詳しい人材とUXの設計者がそれぞれ4%でした*1。
これらは「わからない」も多い区分です*1。モデリングの技術者とモデルベース開発の技術者がそれぞれ27%、UXの設計者が24%でした*1。判断そのものが定まっていない形です*1。
工程ごとに内製と委託を分ける実態は別に整理されています。工程別の内製化|設計開発テストだけ委託が34.4%で扱っています。
つなぎを止めない4段
ここまでの分布を、自社の手順に落とします*1。
| 課題 | 当てはまる | やや当てはまる | 合計 | 回答数 |
|---|---|---|---|---|
| 人材の確保・強化を担当する人材の確保 | 43% | 31% | 74% | 1,034 |
| 時間の確保 | 24% | 35% | 59% | 984 |
| 人材に関する情報の入手 | 17% | 34% | 51% | 981 |
| 資金の確保 | 24% | 25% | 49% | 989 |
| 外部の人材チャネルとの連携 | 17% | 31% | 48% | 978 |
1段目は担当を決めることです。補充を進める役割を1人に置き、名前を書きます。
2段目は作業を書き出すことです。要件の整理、候補の洗い出し、面談の設定、記録の整備を並べます。
3段目は分けることです。判断が要る作業と、手が要る作業を一覧の上で切り分けます。
4段目は出すことです。手が要る側を外に出し、期間を区切って入れます。
この順番が要るのは、補充の作業そのものに人手がかかるからです*1。調査でも課題の首位がここでした*1。
担当を決めるだけでは動きません。決めた人の手が空いていなければ、そこで止まります*1。
時間も課題の2位でした*1。59%が当てはまる側に立っています*1。
並行して記録も残します*1。知識を残す仕組みは実施中12%と少ないため、後任が読めるものが用意されていない前提で進めることになります*1。
実務では、判断と作業を分けることになります。誰を採るかの決めは社内が持ち、候補の洗い出しや記録の整備は外部の要員に任せる形が取れます。
期間を区切って入れるなら、フリーランスを含む業務委託の使い方が合います。つなぎの数か月だけ人を足し、後任が立ったら戻す形にします。
分布とも合います*1。外部の専門家の活用は実施中26%、準備中を足すと32%で、3社に1社は動かしている形です*1。
最後に範囲を添えておきます*1。この調査は組込みやIoTの分野が対象で、2022年11月から12月に実施されたものです*1。ほかの分野やそれより後の傾向は読めません*1。
まとめ:補充の作業に人を割く
第一に、資料です。IPAの「2022年度組込み/IoTに関する動向調査」は2023年6月12日に発行され、2023年7月25日に一部が改版されています。調査期間は2022年11月から12月で、調査票の配布は7,864件、回答は1,214件でした。回答者は企業の経営層や事業部門の責任者です。対象は組込みやIoTの製品を利用する側、開発して提供する側、部品を提供する側、サービスを提供する側の4区分に分かれています。第二に、数値の扱いです。比率は調査結果に示された値で、2つの区分を足した合計は示された比率から筆者が算出しました。比率は整数に丸められているため、行によって合計が99%や101%になります。出典はIPA「2022年度組込み/IoTに関する動向調査」で、示された値を用いて図と表を作成する編集と加工を筆者が行いました。第三に、課題です。首位は担当する人材の確保で、当てはまるが43%、やや当てはまるが31%、合わせて74%でした。回答数は1,034です。第四に、ほかの課題です。時間の確保が59%、人材に関する情報の入手が51%、資金の確保が49%、外部の人材チャネルとの連携が48%でした。行ごとに回答数が978から1,034まで違うため、差の大きさは論じていません。第五に、取り組みです。実施中でいちばん多いのは不足している人材の雇用で55%、回答数は1,030でした。外部の専門家の活用は実施中26%、準備中を足すと32%です。第六に、いちばん少ない取り組みです。スキル標準と知識管理の仕組みの導入が実施中12%で、回答数は949でした。実施も検討もしていないが40%です。第七に、求める人材です。最優先と確保・強化したいを合わせると、ビジネスを設計できる人材が75%、システム全体を俯瞰できる人材が74%、複数の分野をまたいでまとめられる人材が72%で、実装技術者は55%でした。課題と取り組みの組み合わせや、取り組みの成果は今回の内容には含まれていません。
よくある質問
人材の確保でいちばん多い課題は何ですか。
IPAの2022年度組込み/IoTに関する動向調査のQ25では、担当する人材の確保が首位でした。当てはまるが43%、やや当てはまるが31%で合わせて74%、回答数は1,034です。Nは1,064でした(確認日2026年9月4日)。
予算が理由ではないのですか。
資金の確保は5つの課題のうち4番目でした。当てはまるが24%、やや当てはまるが25%で合わせて49%です。上には担当する人材の確保が74%、時間の確保が59%、人材に関する情報の入手が51%が並びます。ただし行ごとに回答数が違うため差の大きさは論じられません。
実際に何をしている企業が多いのですか。
Q24では不足している人材の雇用が実施中55%で最も多く、回答数は1,030でした。社内人材の配置転換が28%、外部の専門家の活用と就労条件の多様化がそれぞれ26%と続きます。外部の専門家の活用は準備中を足すと32%です。
知識を残す取り組みはどれくらい進んでいますか。
スキル標準と知識管理の仕組みの導入は実施中12%で、9つの取り組みの中で最も少ない区分でした。回答数は949で、実施も検討もしていないが40%です。ただし人を入れる取り組みとは別の設問行なので、差を引き算することはできません。
どんな人材を求める回答が多いのですか。
Q23で最優先と確保・強化したいを合わせると、ビジネスを設計できる人材が75%、システム全体を俯瞰できる人材が74%、複数の分野をまたいでまとめられる人材が72%でした。実装技術者は55%です。合計は示された比率から筆者が算出しました。
出典
- *1 参考:IPA「2022年度組込み/IoT産業の動向把握等に関する調査」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/kumikomi/kumikomi-iot2022.html)。発行日・改版日・調査期間・配布数7,864件・回答数1,214件の一次情報として(2026年9月確認)
- *2 参考:IPA「組込み/IoTに関する動向調査」調査結果(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/kumikomi/ps6vr7000001tewn-att/kumikomi-iot2022.pdf)。Q23からQ25の比率・回答数・選択肢・対象区分の定義・利用ルールの一次情報として。示された値を用いた図表の作成という編集・加工を筆者が実施(2026年9月確認)
- *3 参考:IPA「組込み/IoT産業の動向把握等に関する調査」一覧(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/kumikomi/index.html)。2018年度から2022年度まで年度ごとに調査が公開されているという構成の確認として(2026年9月確認)
- *4 参考:IPA「アンケート調査票」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/kumikomi/ps6vr7000001tewn-att/kumikomi-iot2022-chousahyou.xlsx)。設問の並びと選択肢の確認として(2026年9月確認)