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2026.09.10 採用支援コラム

IT人材の増減の決め方|足りないスキルの優先順位の付け方

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

並んだコンテナの上面を真上から写したもの

この記事の結論

  • IPAの調査の回答データから計算すると、5つのスキルのどれも、65%台から71%台の企業が人材が足りないと答えています。
  • 今後3年間で人を増やす予定は設計と管理が35%台と高く、運用だけは人数を保つと答えた企業のほうが多くなっています。
  • 人を増やしたい工程を1つに絞り、社員として増やす人と、期間を決めて外部に頼む人を分けると決めやすくなります。

※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

人を増やす話になると、どのスキルの人を増やすかで話が止まってしまう。並べてみるとどこも足りず、順番が付けられない——。エンジニアを抱える会社では、こうした状況が起こりがちです。IT人材の増減とは、設計、管理、データの分析、プログラムの作成、運用といったスキルの種類ごとに、これから人を増やすか、今の人数を保つか、減らすかを決めることです。

スキルの種類ごとの方針を考えるときに手がかりになるのが、IPA(情報処理推進機構)が企業に尋ねた、スキル別の人材の充足状況と今後3年間の増減の方針です。ただし、調査の数字から自社で増やすスキルの順番が決まるわけではありません。本記事では、エンジニアの採用や体制づくりを担う実務担当者に向けて、どのスキルが足りないと答えた企業が多いのか、どのスキルを増やす予定なのか、運用だけ人数を保つ予定が増やす予定を上回る点、そして社員として増やす人と外部に頼む人の分け方を整理します。

IT人材の増減とは

IPAの「2024年度ソフトウェア動向調査」は、2024年12月17日から2025年2月14日にかけて行われ、2025年4月7日時点で企業799件、個人74件の計873件の回答がありました。*1 回答は匿名化したうえで、誰でも使えるデータとして公開されています。本記事では、企業向けの799件の回答データから件数と割合を計算しています。

この調査は、IT人材のスキルを5つの種類に分けて尋ねています。設計を担う「ビジネスアーキテクト、ITアーキテクト」、「プロジェクト管理」、データの分析を担う「データサイエンティスト」、プログラムを作る「製造」、システムを動かし続ける「運用」の5つです。*3 スキルごとに1つの回答を選ぶ形式で、どのスキルでも回答の件数を足すと799件になります。

設問は2つあります。1つは、スキルごとに人材が足りているかを「全体的に不足している」「部分的に不足している」「十分に充足している」「わからない」から選ぶ設問です。もう1つは、今後3年間でそのスキルの人材を「増加させる予定」「現状を維持する予定」「減少させる予定」「わからない」から選ぶ設問です。*3

どのスキルが足りないのか

「全体的に不足している」と「部分的に不足している」の件数を足すと、ビジネスアーキテクト、ITアーキテクトが573件で71.7%、プロジェクト管理が572件で71.6%でした。データサイエンティストが553件で69.2%、運用が539件で67.5%、製造が526件で65.8%と続きます。*2 いちばん高いスキルといちばん低いスキルの差は、5.9ポイントしかありません。

IPA「2024年度ソフトウェア動向調査」企業向けQ4-3とQ4-4の企業799件の回答データから計算した図。5つのスキル種別ごとに1つを選ぶ単一選択。全体的に不足と部分的に不足を足した割合は、ビジネスアーキテクト、ITアーキテクト573件71.7%、プロジェクト管理572件71.6%、データサイエンティスト553件69.2%、運用539件67.5%、製造526件65.8%で、幅は5.9ポイント。十分に充足しているの上端は運用の58件7.3%。今後3年間で増加させる予定は、ビジネスアーキテクト、ITアーキテクト283件35.4%、プロジェクト管理281件35.2%、データサイエンティスト251件31.4%、製造213件26.7%、運用179件22.4%。現状を維持する予定は、運用224件28.0%、製造177件22.2%、プロジェクト管理147件18.4%、データサイエンティスト144件18.0%、ビジネスアーキテクト、ITアーキテクト135件16.9%。増加から維持を引くと、ビジネスアーキテクト、ITアーキテクト18.5ポイント、プロジェクト管理16.8ポイント、データサイエンティスト13.4ポイント、製造4.5ポイントで増加が上回り、運用だけ維持が5.6ポイント上回る。減少させる予定は運用20件2.5%、ビジネスアーキテクト、ITアーキテクト6件0.8%。あわせて、人を増やしたい工程を1つ選ぶ、足りないのが設計する人かプログラムを作る人かを分ける、社員として増やす人と期間を決めて外部に頼む人を分ける、外部に頼む仕事を作業名と期間で書き出して委託する、の4つの手順を示す。

どこか1つのスキルだけが足りないという結果ではありません。ビジネスアーキテクト、ITアーキテクトとプロジェクト管理の差は1件、0.1ポイントです。どのスキルから人を増やすかの順番は、調査の数字からは決まらず、自社の工程を見て決めることになります。

反対に「十分に充足している」と答えた企業は、いちばん多い運用でも58件、7.3%で、1割に届きません。製造が36件で4.5%、プロジェクト管理が22件で2.8%、ビジネスアーキテクト、ITアーキテクトが15件で1.9%、データサイエンティストが14件で1.8%です。*2

「わからない」も少なくありません。製造で237件29.7%、データサイエンティストで232件29.0%、ビジネスアーキテクト、ITアーキテクトで211件26.4%、プロジェクト管理で205件25.7%、運用で202件25.3%でした。*2 どのスキルでも、4社に1社を超える企業が、人材が足りているかどうかを答えられていないことになります。

どのスキルを増やす予定なのか

今後3年間で「増加させる予定」と答えた割合は、ビジネスアーキテクト、ITアーキテクトが283件で35.4%、プロジェクト管理が281件で35.2%でした。データサイエンティストが251件で31.4%、製造が213件で26.7%、運用が179件で22.4%と続きます。*2 ビジネスアーキテクト、ITアーキテクトとプロジェクト管理の差は0.2ポイントです。

増やす予定の割合は設計と管理のスキルで高く、製造と運用では低くなっています。足りないと答えた割合では5つのスキルにほとんど差がなかったのに対し、増やす予定ではスキルによって開きが出ています。

運用はどう違うのか

「現状を維持する予定」と答えた割合は、運用が224件で28.0%といちばん高く、製造が177件で22.2%、プロジェクト管理が147件で18.4%、データサイエンティストが144件で18.0%、ビジネスアーキテクト、ITアーキテクトが135件で16.9%でした。*2 4つの選択肢の回答をまとめると、次の表のようになります。

今後3年間のスキル別の人材の増減の方針(企業799件、公開されている回答データから計算)
スキル種別 増加させる予定 現状を維持する予定 減少させる予定 わからない
ビジネスアーキテクト、ITアーキテクト 283件/35.4% 135件/16.9% 6件/0.8% 375件/46.9%
プロジェクト管理 281件/35.2% 147件/18.4% 5件/0.6% 366件/45.8%
データサイエンティスト 251件/31.4% 144件/18.0% 4件/0.5% 400件/50.1%
製造 213件/26.7% 177件/22.2% 15件/1.9% 394件/49.3%
運用 179件/22.4% 224件/28.0% 20件/2.5% 376件/47.1%

「増加させる予定」から「現状を維持する予定」を引くと、差はビジネスアーキテクト、ITアーキテクトが18.5ポイント、プロジェクト管理が16.8ポイント、データサイエンティストが13.4ポイント、製造が4.5ポイントで、いずれも増加のほうが多くなります。運用だけは逆で、維持の28.0%が増加の22.4%を5.6ポイント上回ります。

「減少させる予定」はどのスキルでも少数ですが、ここでも運用が20件、2.5%でいちばん多くなっています。製造が15件で1.9%、ビジネスアーキテクト、ITアーキテクトが6件で0.8%、プロジェクト管理が5件で0.6%、データサイエンティストが4件で0.5%です。*2

運用は足りないと答えた企業が67.5%あり、数字の上では、足りないまま人数を据え置く形になっています。なぜそうするのかは、この調査では尋ねていません。

先の方針を決めていない企業

今後3年間の増減を「わからない」と答えた企業は、データサイエンティストで400件50.1%、製造で394件49.3%、運用で376件47.1%、ビジネスアーキテクト、ITアーキテクトで375件46.9%、プロジェクト管理で366件45.8%でした。*2 どのスキルでも、半分近くの企業が今後3年間の増減を「わからない」と答えています。

3年後にそのスキルの人を何人置くかが決まっていないうちは、社員の人数を先に増やすより、いま足りない作業に期間を決めて外部の人材に加わってもらうほうが進めやすくなります。3年後の方針が決まった時点で、社員として増やすのか、外部への委託を続けるのかを選び直せるためです。

どう決めるのか

どのスキルから人を増やすかを自社の工程から決めていくには、次の4つの手順に分けると進めやすくなります。

  1. 人を増やしたい工程を1つ選ぶ
  2. その工程で足りないのが、設計する人か、プログラムを作る人かを分ける
  3. 社員として増やす人と、期間を決めて外部に頼む人を分ける
  4. 外部に頼む仕事を作業名と期間で書き出し、その単位で委託する

手順1では、5つのスキルを並べて比べる前に、いま作業が止まっている工程か、遅れている工程を1つに絞ります。どこも足りない状態から順番を付けるには、自社の工程を手がかりにするのが近道です。例えば、運用の作業が遅れているなら、ほかのスキルより先に運用の人を増やすことを考えます。

手順2では、その工程で足りないのが、何をどう作るかを決める設計の人なのか、決まった設計どおりにプログラムを作る人なのかを分けます。設計の人と、プログラムを作る人では、求める経験も、任せる作業の中身も変わります。

手順3では、社員として長く担ってもらう仕事と、期間を決めて外部に頼む仕事を分けます。手順4では、外部に頼む仕事を「結合テストの設計を来月末まで」のように作業名と期間で書き出し、その単位で委託します。フリーランスを含む業務委託は、作業と期間を決めて頼み、終わったら契約を終えられるので、作業名と期間を決めて頼むやり方に合っています。

人材が足りないときに企業がとる対応は、同じ調査の別の設問から「IT人材不足の対応」で整理しています。同じ5つのスキルが、古いシステムを移行するときにどれだけ重要とされているかは「レガシー移行に必要な人材」で扱っています。

つまずきやすい点

一つ目は、手順1と手順2まで委託先に任せてしまうことです。どの工程の、どんなスキルの人を増やすかを委託先が決めることになり、自社で方針を決められなくなります。この2つは社内で決め、外部の人材には手順4で書き出した作業を頼みます。

二つ目は、調査で多かった答えに合わせて、増やすスキルを選んでしまうことです。設計と管理を増やす予定の企業が多いとしても、自社で作業が止まっているのが運用であれば、先に人が要るのは運用です。調査の数字は、他社がどう考えているかを知る材料として使い、増やすスキルは自社の工程で決めます。

三つ目は、人材が足りているかどうかを確かめないまま、増減を決めることです。調査では、人材が足りているかを「わからない」と答えた企業が、どのスキルでも4社に1社を超えていました。担当者ごとに、いま抱えている作業と、手が回っていない作業を書き出しておくと、どのスキルの人が足りないのかを判断しやすくなります。人材の作業時間や契約期間の管理は「人的リソースの管理」で扱っています。

まとめ:IT人材の増減で確かめておきたい3つの点

IT人材の増減を決めるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、調査ではどのスキルも65%台から71%台の企業が足りないと答えており、数字から順番は決まらないため、人を増やしたい工程を自社で1つに絞ること。第二に、その工程で足りないのが設計する人か、プログラムを作る人かを分け、社員として増やす人と外部に頼む人を分けること。第三に、3年後の方針が決まっていないスキルは、作業名と期間を決めて外部の人材に加わってもらうことです。この3点を踏まえておけば、「どこも足りないと言っているうちに、結局だれも増やせなかった」という事態を避けやすくなります。体制の分け方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

社員として増やす人と外部に頼む人を分けたあとは、外部に頼む作業を担う人をどこで探すかが残ります。3年後の増減を決めていない企業が半分近くという段階では、社員の人数を先に増やすより、作業と期間を決めて専門人材に加わってもらうほうが、あとで体制を組み直す手間が少なくなります。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材が必要になった時点から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で実際の業務開始まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

足りない人数や、増やす予定の人数は分かりますか

この調査からは分かりません。どちらの設問も、4つの区分から1つを選ぶ形式で、足りない人数や増やす人数は尋ねていません。*3 自社で人数を見積もるときは、工程ごとに手が回っていない作業を書き出し、そこから必要な人数を考えます。

この調査の結果は、日本の企業全体の傾向と考えてよいですか

そのまま全体の傾向とみるのは避けたほうがよいでしょう。回答は企業が任意で寄せたもので、回答した企業が無作為に選ばれたわけではありません。*1 また、2025年4月7日時点の回答なので、それより後の変化は含まれていません。

調査結果はいつ公開され、どこで見られますか

IPAの公開ページで2025年2月27日に公開され、最終更新日は2025年4月25日です。*1 回答データはCSV、設問の一覧はExcelの形式で公開されています。

人を増やす工程と外部に頼む作業を相談したいとき

社員として増やす人と、期間を決めて外部に頼む作業の分け方からご相談いただけます。

Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も探せます。

Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。

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出典

  1. *1 参考:IPA「2024年度ソフトウェア動向調査」調査結果データの公開と分析レポートの募集(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/software-engineering/result-software2024.html)。出典:IPA「2024年度ソフトウェア動向調査」の公開ページ。公開日2025年2月27日・最終更新日2025年4月25日、調査期間、2025年4月7日時点の回答件数(企業799件・個人74件)、回答を匿名化してオープンデータとして公開し分析レポートを募集していること、任意の回答であることを参照(2026年9月確認)
  2. *2 参考:IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 企業向け 調査結果(選択肢項目文字列)」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/software-engineering/h5f8pg00000028n8-att/software2024-c-result-data-str.csv)。出典:企業向けの回答データ(CSV)。Q4-3とQ4-4の件数と割合、不足している2区分の合計、差と倍率は、このデータから計算した値(2026年9月確認)
  3. *3 参考:IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 企業向け 設問一覧」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/software-engineering/h5f8pg00000028n8-att/software2024-c-questions.xlsx)。出典:企業向けの設問一覧。Q4-3とQ4-4の設問文、5つのスキル種別、4つの選択肢、回答の種別(単一選択)、すべての企業種別が回答対象であることを参照(2026年9月確認)
  4. *4 参考:IPA「ソフトウェア開発関連調査」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/index.html)。出典:この調査が置かれている調査群のページ(2026年9月確認)




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