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開発のアジリティとは、クラウド46.6%と自動テスト7.9%
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- クラウド等が46.6%:372件で上端です*2。
- CICDと自動テストは7.9%:63件で約5.90倍の差です*2。
- 5つの枠を41.2%が使い切る:329件です*2。
※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関・ベンダー公式ドキュメント)に基づきます。
遅れを取り戻す相談が、いつのまにか何を導入するかの話になっている。よくある詰まり方です。
導入の検討は数か月かかります。その間、遅れている工程はそのまま残ります。
手がかりは、アジリティの高い開発で重要だと思うものを企業に聞いた設問です。
IPAの調査データを集計すると、上端は「クラウド、OSS、マイクロサービスなどの利活用」で372件、46.6%でした*2。
一方で「CICDや自動テストの導入による効率化」は63件、7.9%です*2。件数では約5.90倍の差になります*2。
目次
遅れを詰める話が、導入する技術の話になる
納期が動かないなら、どこかの待ち時間を削るしかありません。ところが議題は導入の検討に移ります。
検討している間、待ち時間はそのままです。遅れは詰まりません。
この状況を集計した資料があります*1。IPAの「2024年度ソフトウェア動向調査」です*1。
日付も示されています*1。2025年2月27日公開・最終更新日は2025年4月25日、調査は2024年12月17日から2025年2月14日にかけて実施されました*1。
回答の件数も示されています*1。2025年4月7日時点で企業799件、個人74件の計873件でした*1。この記事は企業向けの799件だけを扱い、個人向けの74件は含めません*1。
データの扱いも書かれています*1。回答を匿名化してオープンデータとして公開し、分析レポートを募集しているとされています*1。
今回見るのはQ2-12です*3。アジリティの高い開発を行う上で重要だと思うものを扱います*3。
母数は799件、5つまで選ぶ形式
数値の出どころを先に決めます*2。この記事の比率は、公開されている調査結果のCSVから筆者が集計した値です*2。
母数を実測します*2。この設問はすべての企業種別が回答対象で、799件が母数になります*2。
設問はアジリティを「俊敏性・適応性」と説明しています*3。
形式も確かめます*3。必須の複数選択で、重要だと思うものを5つまで選ぶ形式です*3。上限が5つであることは設問文に書かれています*3。
複数選択なので、比率は799件に対する割合で足すと100%にはなりません*2。
選んだ個数ごとの分布、差と倍率、3つの束への分け方、中央値と平均はこの記事で計算した値です*2。
同じ799件を母数にした設問はプロジェクト管理の体制|人の割当34.9%と憲章14.1%でも扱っています*2。
上位5つは技術の導入と体制の話
まず上から見ます*2。上端は「クラウド、OSS、マイクロサービスなどの利活用」で372件、46.6%でした*2。
2番目は外部サービスです*2。「AIなどの先進的な外部サービスの導入」が364件で45.6%になります*2。
3番目は作り方を変える側です*2。「ノーコード、ローコードの活用」が290件で36.3%でした*2。
4番目と5番目が並びます*2。「レガシーシステムの脱却」が234件29.3%、「意思決定の高速化」が232件29.0%です*2。
上位5つの重みも出します*2。この5つの延べ1492件は、延べ選択数2745件の54.4%にあたります*2。この割り算はこの記事で行ったものです*2。
読み方はこうです*2。上位5つのうち3つは外から取り入れる技術で、残る2つは持っているものの入れ替えと判断の速さです*2。
下位はテストと運用の自動化
下から見ると形が変わります*2。「DevOpsやDataOpsなどの業務と運用の一体化」が79件9.9%、「CICDや自動テストの導入による効率化」が63件7.9%でした*2。
さらに下も並べます*2。「技術的負債の管理」59件7.4%から下端の「シミュレーション、デジタルツインなどの導入」24件3.0%までが並びます*2。
判断できない側も示します*2。「わからない」は129件16.1%、「その他」は14件1.8%で、自由記述の中身は公開データに含まれません*2。
ここで注意が1つあります*2。「専門部署の設置」129件16.1%と「わからない」129件16.1%は同数ですが、性質が違います*2。並べて順位にはしません*2。
差を計算します*2。上端46.6%と下端3.0%の差は43.6ポイントです*2。上端と「CICDや自動テストの導入による効率化」の差は38.7ポイント、件数では372件を63件で割って約5.90倍になります*2。
合計も出しておきます*2。延べ選択数は2745件で、母数で割ると343.6です*2。表示した18の比率を足すと343.7になります*2。
読み方はこうです*2。待ち時間を直接削る手段であるテストと運用の自動化は、1割前後にとどまります*2。
5つの枠を4割が使い切る
項目ごとの比率だけでは選び方が見えません*2。そこで、16項目のうち何個を選んだかで企業を分けます*2。
上限まで使う側が最も多いです*2。5個が329件、41.2%でした*2。
次に多いのは3個です*2。137件、17.1%になります*2。
残りも並べます*2。0個が136件17.0%、4個が94件11.8%、2個が67件8.4%、1個が36件4.5%です*2。
丸めも確かめます*2。この6区分は1社が1つの区分にしか入らず、丸めた比率を足すと100.0になります*2。補数は使いません*2。
平均も出しますが、そのままは使えません*2。選んだ個数は中央値が4個、平均が3.26個です*2。上限に寄った分布なので、平均は真ん中を表しません*2。
0個の内訳も分けます*2。136件は「わからない」を選んだ128件と、「その他」だけを選んだ8件です*2。128件のうち2件は「その他」も選んでいます*2。
排他ではない点も書いておきます*2。「わからない」129件のうち1件は項目も選び、「その他」14件のうち4件も項目を選んでいます*2。
1個だけの中身も見ます*2。36件のうち「クラウド、OSS、マイクロサービスなどの利活用」が9件で上端、「専門部署の設置」が7件で続きます*2。
読み方はこうです*2。4割が5つの枠を使い切っており、重要なものを絞る形にはなっていません*2。
3つの束に分けると重なりが出る
16項目を3つの束に分けます*2。この分け方はこの記事の側で、資料が分類しているわけではありません*2。
1つ目は取り入れる技術の4項目です*2。クラウドなどの利活用、AIなどの外部サービス、ノーコード・ローコード、シミュレーションやデジタルツインです*2。
2つ目は進め方と自動化の6項目です*2。CICDや自動テスト、DevOpsやDataOps、アジャイル開発の推進、モデリングの活用、技術的負債の管理、プラットフォーム・エンジニアリングの推進です*2。
3つ目は体制と判断の6項目です*2。開発内製化、レガシーシステムの脱却、意思決定の高速化、将来ニーズ調査や分析の強化、専門部署の設置、外部企業との協力強化です*2。
束ごとに数えます*2。1つ以上選んだ企業は、取り入れる技術が579件72.5%、体制と判断が592件74.1%、進め方と自動化が332件41.6%でした*2。
延べでも見ます*2。取り入れる技術が1050件、体制と判断が1089件、進め方と自動化が463件です*2。
重なりも出します*2。取り入れる技術と進め方と自動化で分けると、技術だけが282件35.3%、両方が297件37.2%、進め方だけが35件4.4%、どちらもなしが185件23.2%でした*2。
丸めも書いておきます*2。この4区分の丸めた比率を足すと100.1になります*2。
読み方はこうです*2。技術を挙げた579件のうち282件は進め方と自動化を1つも挙げていません*2。取り入れる話と回し方の話が、半分ほどで切れています*2。
ただし資料からは、項目どうしの因果は読めません*2。同じ企業が何を選んだかを数え直した結果です*2。
この集計から読めないこと
使う前に、限界を並べておきます*2。
第一に、実際に導入しているかどうかが読めません*3。重要だと思うものを選ぶ設問で、導入の有無は示されていません*3。
第二に、アジリティが上がったかどうかが読めません*3。成果を尋ねた設問ではありません*3。
第三に、重要と思う理由が読めません*3。選んだ理由を尋ねた設問はありません*3。
第四に、項目どうしの因果が読めません*2。3つの束や282件という数はこの記事で数え直した結果で、資料が解釈を示しているわけではありません*2。
第五に、3つの束への分け方はこの記事のものです*2。取り入れる技術、進め方と自動化、体制と判断という区分は資料の分類ではありません*2。
第六に、産業別や規模別の内訳を出していません*2。799件全体の分布までです*2。
第七に、回答企業の偏りが残ります*1。任意の回答であり、母集団を代表する抽出ではありません*1。
第八に、時期の範囲があります*1。2025年4月7日時点の回答であり、それより後の傾向は読めません*1。
遅れを詰める順番を1つ決める4段
ここまでの分布を、自社の手順に落とします*2。
| 選択肢 | 件数 | 799件に対する比率 |
|---|---|---|
| クラウド、OSS、マイクロサービスなどの利活用 | 372件 | 46.6% |
| AIなどの先進的な外部サービスの導入 | 364件 | 45.6% |
| ノーコード、ローコードの活用 | 290件 | 36.3% |
| レガシーシステムの脱却 | 234件 | 29.3% |
| 意思決定の高速化 | 232件 | 29.0% |
| 開発内製化 | 193件 | 24.2% |
| 外部企業との協力強化 | 179件 | 22.4% |
| アジャイル開発の推進 | 176件 | 22.0% |
| 専門部署の設置 | 129件 | 16.1% |
| 将来ニーズ調査や分析の強化 | 122件 | 15.3% |
| DevOpsやDataOpsなどの業務と運用の一体化 | 79件 | 9.9% |
| CICDや自動テストの導入による効率化 | 63件 | 7.9% |
| 技術的負債の管理 | 59件 | 7.4% |
| プラットフォーム・エンジニアリングの推進 | 51件 | 6.4% |
| モデリングの活用 | 35件 | 4.4% |
| シミュレーション、デジタルツインなどの導入 | 24件 | 3.0% |
| わからない | 129件 | 16.1% |
| その他 | 14件 | 1.8% |
1段目は、遅れている工程を1つ選ぶことです。全体の速度ではなく、いま止まっている場所に絞ります。
2段目は、その工程の待ち時間が人手不足で起きているのか、確認の手順で起きているのかを分けることです。
3段目は、人手不足の側について範囲と期間を決めることです。ここが増員の対象になります。
4段目は、確認の手順の側について自動化を1つだけ入れることです。並べて入れると、どれも終わりません。
1段目を先に置く理由は、分布に出ています*2。5つの枠を41.2%が使い切っており、重要なものを1つに絞る形にはなっていません*2。
2段目で分ける理由もここです*2。上位5つのうち3つは外から取り入れる技術で、延べでは上位5つが54.4%を占めます*2。待ち時間の中身を分けないと、導入の話に寄ります*2。
3段目を範囲と期間で切る理由は下位に出ています*2。「CICDや自動テストの導入による効率化」は63件7.9%で、上端との差は38.7ポイントです*2。自動化が薄い状態では、当面は人手で詰めることになります*2。
4段目を1つだけにする理由は束の切れ方です*2。取り入れる技術を挙げた579件のうち282件は進め方と自動化を1つも挙げていません*2。並行して増やすより、1つ入れて回すほうが動かしやすくなります*2。
実務では、3段目で決めた範囲と期間が外部要員の枠になります。フリーランスを含む業務委託は、この枠と相性があります。遅れている工程だけを区切って渡せるためです。
逆に、1段目と2段目を外へ出すと、どこを詰めるかの決めが外に出ます。工程の選び方は社内に置きます。
リリース前の確認の実態はリリース前の確認事項を決める手順、全項目実施は22.4%で同じ調査の別の設問を扱っています。
レガシーを置いたままの影響はレガシー放置の影響とは、保守性77.3%と人材の欠乏44.8%で整理しています。
不足への対応方針はIT人材不足の対応とは、中途54.2%と外部委託44.1%で扱っています。
最後に範囲を添えておきます*1。この調査は2024年12月17日から2025年2月14日にかけて実施され、企業799件の回答があったものです*1。
まとめ:工程を1つ選び、待ちの中身を分けてから人を足す
第一に、資料です。IPAの「2024年度ソフトウェア動向調査」は2025年2月27日公開・2025年4月25日最終更新で、2024年12月17日から2025年2月14日にかけて実施され、2025年4月7日時点で企業799件・個人74件の計873件の回答がありました。この記事は企業向けの799件だけを扱い、回答は匿名化されてオープンデータとして公開されています。第二に、母数と形式です。Q2-12はすべての企業種別が回答対象で母数799件、必須の複数選択で5つまで選ぶ形式なので比率の合計は100を超えます。設問はアジリティを「俊敏性・適応性」と説明しています。比率は公開されている調査結果のCSVから筆者が集計した値です。第三に、上位5つです。クラウドなどの利活用が372件46.6%、AIなどの外部サービスが364件45.6%、ノーコードとローコードが290件36.3%、レガシーシステムの脱却が234件29.3%、意思決定の高速化が232件29.0%で、この5つの延べ1492件は延べ選択数2745件の54.4%にあたります。第四に、下位です。DevOpsやDataOpsが79件9.9%、CICDや自動テストが63件7.9%、技術的負債の管理が59件7.4%で、下端はシミュレーションやデジタルツインの24件3.0%でした。上端との差は43.6ポイント、CICDや自動テストとの差は38.7ポイントで件数では約5.90倍です。延べ選択数は母数で割ると343.6、表示した18の比率を足すと343.7になります。第五に、選んだ個数です。5個が329件41.2%、3個が137件17.1%、0個が136件17.0%、4個が94件11.8%、2個が67件8.4%、1個が36件4.5%で、丸めた比率を足すと100.0になります。中央値は4個、平均は3.26個でした。第六に、3つの束です。取り入れる技術の4項目を1つ以上選んだのが579件72.5%、体制と判断の6項目が592件74.1%、進め方と自動化の6項目が332件41.6%で、技術だけが282件35.3%、両方が297件37.2%、進め方だけが35件4.4%、どちらもなしが185件23.2%でした。
よくある質問
アジリティの高い開発で重要とされているのは何ですか。
IPAの2024年度ソフトウェア動向調査の公開データを集計すると、母数799件に対して「クラウド、OSS、マイクロサービスなどの利活用」が372件46.6%で上端でした。以下、AIなどの先進的な外部サービスの導入が364件45.6%、ノーコード、ローコードの活用が290件36.3%、レガシーシステムの脱却が234件29.3%、意思決定の高速化が232件29.0%と続きます。5つまで選ぶ形式なので合計は100を超えます(確認日2026年9月10日)。
テストや運用の自動化はどのくらい挙がっていますか。
1割前後です。「DevOpsやDataOpsなどの業務と運用の一体化」が79件9.9%、「CICDや自動テストの導入による効率化」が63件7.9%でした。上端の46.6%との差は38.7ポイント、件数では372件と63件で約5.90倍になります。
いくつまで選べる設問なのですか。
5つまでです。上限が5つであることは設問文に書かれています。16項目のうち何個を選んだかで分けると5個が329件41.2%で最も多く、3個が137件17.1%、0個が136件17.0%でした。選んだ個数は中央値が4個、平均が3.26個です。
何も選んでいない企業もあるのですか。
16項目のどれも選んでいないのは136件17.0%でした。内訳は「わからない」を選んだ128件と、「その他」だけを選んだ8件です。128件のうち2件は「その他」も選んでいます。なお「わからない」129件のうち1件は項目も選んでおり、排他ではありません。
同じ比率が並んでいる項目がありますが、どちらが上ですか。
順位は付けません。「専門部署の設置」129件16.1%と「わからない」129件16.1%は同数ですが、取り組みの項目と判断できない側という性質の違うものなので、並べて順位にはしていません。
出典
- *1 参考:IPA「2024年度ソフトウェア動向調査」調査結果データの公開と分析レポートの募集(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/software-engineering/result-software2024.html)。公開日2025年2月27日・最終更新日2025年4月25日・調査期間2024年12月17日から2025年2月14日・2025年4月7日時点で企業799件と個人74件の計873件の回答・匿名化してオープンデータとして公開し分析レポートを募集しているという方針の一次情報として(2026年9月確認)
- *2 参考:IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 企業向け 調査結果(選択肢項目文字列)」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/software-engineering/h5f8pg00000028n8-att/software2024-c-result-data-str.csv)。Q2-12の回答を集計した元データとして。この記事の件数・比率・差と倍率・延べ選択数・選んだ個数の分布・3つの束の件数・中央値と平均はこのCSVから筆者が集計・計算した値であり、資料に印字された比率ではない。示された値を用いた図表の作成という編集・加工を筆者が実施(2026年9月確認)
- *3 参考:IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 企業向け 設問一覧」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/software-engineering/h5f8pg00000028n8-att/software2024-c-questions.xlsx)。Q2-12の設問文・18の選択肢・5つまでという上限・アジリティを俊敏性・適応性と説明していること・必須である旨・回答種別(複数選択と自由記述)・すべての企業種別が回答対象であることの確認として(2026年9月確認)
- *4 参考:IPA「ソフトウェア開発関連調査」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/index.html)。この調査が置かれている調査群の構成と、年度ごとに調査が公開されていることの確認として(2026年9月確認)