LASSIC Media らしくメディア
スキルマップの整備の違い、未対応42.8%と整備済み33.7%
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- 未対応が42.8%:342件で上端です*2。
- 整備済みは33.7%:269件です*2。
- 規模差は57.9ポイント:8.5%から66.4%です*2。
※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関・ベンダー公式ドキュメント)に基づきます。
社員に残す工程と外に出す工程を決めるとき、判断のもとになる基準がありません。よくある詰まり方です。
誰が何をどこまでできるかが1枚になっていないと、外部要員に渡す範囲も決まりません。
手がかりは、スキルマップやラーニング制度の整備状況を企業に聞いた設問です。
IPAの調査データを集計すると、上端は「特に対応していない」で342件、42.8%でした*2。
整備している側は2つ合わせて269件、33.7%です*2。未対応との差は9.1ポイントになります*2。
目次
基準がないまま、すみ分けを決めている
この工程は社員、この工程は外部要員。そう決めるとき、根拠を聞かれると答えに詰まります。
誰が何をできるかが1枚になっていないためです。結果として、手が空いている人に割り振ることになります。
この状況を集計した資料があります*1。IPAの「2024年度ソフトウェア動向調査」です*1。
日付も示されています*1。2025年2月27日公開・最終更新日は2025年4月25日、調査は2024年12月17日から2025年2月14日にかけて実施されました*1。
回答の件数も示されています*1。2025年4月7日時点で企業799件、個人74件の計873件でした*1。この記事は企業向けの799件だけを扱い、個人向けの74件は含めません*1。
データの扱いも書かれています*1。回答を匿名化してオープンデータとして公開し、分析レポートを募集しているとされています*1。
今回見るのはQ4-2です*3。人材育成制度としてスキルマップやラーニング制度をどこまで整備しているかを扱います*3。
母数は799件、1社が1つを選ぶ形式
数値の出どころを先に決めます*2。この記事の比率は、公開されている調査結果のCSVから筆者が集計した値です*2。
母数を実測します*2。この設問はすべての企業種別が回答対象で、799件が母数になります*2。
形式には注意が要ります*3。設問文には「当てはまるものを全てお選びください」と書かれていますが、回答種別は単一選択とされています*3。
CSVでも確かめました*2。1社につき1つしか値が入っていないため、この記事では単一選択として扱います*2。
丸めも確かめます*2。丸めた比率を足すと100.0になります*2。補数は使いません*2。
表記も1つ決めます*3。選択肢の文言は、意味を変えずに言い換えて表記します*3。
この記事で計算した値も分けて書きます*2。整備している2つを足した値、従業員数別と企業種別の集計、差と倍率はこの記事で計算したものです*2。
特に対応していないが42.8%
まず全体を見ます*2。上端は「特に対応していない」で342件、42.8%でした*2。
2番目は社内で作っている側です*2。「社内で作ったスキルマップやラーニング制度を整備している」が196件で24.5%になります*2。
3番目は手前の段階です*2。「スキルマップやラーニング制度の導入を検討している」が95件で11.9%でした*2。
残りも並べます*2。「わからない」が75件9.4%、「IPAのデジタルスキル標準を参考にスキルマップやラーニング制度を整備している」が73件9.1%、「その他」が18件2.3%です*2。
整備している側を足します*2。社内で作った196件と、デジタルスキル標準を参考にした73件で269件、33.7%になります*2。この足し算はこの記事で行ったものです*2。
未対応との差も出します*2。42.8%から33.7%を引くと9.1ポイントです*2。
2つの整備の仕方も比べます*2。社内で作った側24.5%と、デジタルスキル標準を参考にした側9.1%の差は15.4ポイント、件数では196件を73件で割って約2.68倍でした*2。
1つ断りを入れます*2。269件33.7%という値は、同じ799件を母数にした別の設問にも現れますが、指すものは違います*2。開発のアジリティとは、クラウド46.6%と自動テスト7.9%で扱った束と数が一致しているだけです*2。
整備は従業員数で単調に上がる
従業員数で分けます*2。この集計はこの記事で数え直したもので、資料が示している表ではありません*2。
回答数を先に置きます*2。30人以下153件、31人から100人133件、101人から300人171件、301人から1,000人141件、1,001人から2,000人70件、2,001人以上125件、「わからない」6件です*2。
整備している割合を出します*2。30人以下は13件8.5%、31人から100人は23件17.3%、101人から300人は42件24.6%でした*2。
そこから上は大きく変わります*2。301人から1,000人は67件47.5%、1,001人から2,000人は41件58.6%、2,001人以上は83件66.4%です*2。
並びを確かめます*2。この6区分では、従業員数が多いほど整備している割合が単調に上がります*2。上端66.4%と下端8.5%の差は57.9ポイントでした*2。
参考にしている先も規模で違います*2。デジタルスキル標準を参考にした割合は2,001人以上で39件31.2%、30人以下で3件2.0%です*2。差は29.2ポイント、件数では39件を3件で割って約13.00倍になります*2。
「わからない」の6件は比率を出しません*2。1件で大きく動くためです*2。
実務での意味はこうです。300人以下では整備している側が4社に1社を下回ります*2。基準づくりは、そこから始める前提になります*2。
未対応の側は単調に下がらない
反対側も同じように見ます*2。「特に対応していない」の割合です*2。
下の2区分で逆転します*2。30人以下は101件66.0%、31人から100人は88件66.2%で、少ないほうが低くなります*2。
差はわずかです*2。0.2ポイントなので、どちらが上かは結論にしません*2。
101人以上は下がります*2。101人から300人は82件48.0%、301人から1,000人は46件32.6%、1,001人から2,000人は12件17.1%、2,001人以上は10件8.0%でした*2。
読み方はこうです*2。整備している側は単調に上がりますが、未対応の側は6区分すべてで単調に下がるわけではありません*2。
理由は分布から分かります*2。30人以下では「わからない」が32件20.9%と多く、その分だけ未対応の割合が抑えられています*2。
ただし資料からは、整備していない理由は読めません*3。状況の区分を聞いた設問です*3。
受託開発の側は65.8%が整備済み
企業種別でも分けます*2。件数が確保できる2つだけを出します*2。
1つはユーザー企業662件です*2。整備している側は182件27.5%、「特に対応していない」は326件49.2%でした*2。
もう1つは受託開発ソフトウェアベンダー73件です*2。整備している側は48件65.8%、「特に対応していない」は8件11.0%です*2。
差を計算します*2。整備している側の差は38.3ポイント、未対応の差は38.2ポイントになります*2。
残る4つの企業種別は出しません*2。ユーザー系情報システム子会社20件、パッケージソフトウェアベンダー22件、その他ソフトウェアベンダー15件、組込みソフトウェアベンダー7件で、いずれも件数が小さいためです*2。
実務での意味はこうです。外部要員を出す側にはスキルの基準がある割合が高く、受け入れる側には無いことが多い形になります*2。渡す範囲を決める言葉が、こちらに用意されていない状態です*2。
ただし資料からは、因果の向きは読めません*2。2つの分布を並べただけで、原因は示されていません*2。
この集計から読めないこと
使う前に、限界を並べておきます*2。
第一に、整備している中身や運用の深さが読めません*3。状況の区分を聞いた設問です*3。
第二に、整備していない理由が読めません*3。選ばなかった側に理由を尋ねた設問はありません*3。
第三に、スキルの実態や充足度との関係が読めません*2。この設問と充足状況を掛け合わせてはいません*2。
第四に、因果の向きが読めません*2。従業員数別と企業種別はこの記事で数え直した分布です*2。
第五に、産業別の内訳を出していません*2。従業員数別と企業種別までです*2。
第六に、回答企業の偏りが残ります*1。任意の回答であり、母集団を代表する抽出ではありません*1。
第七に、時期の範囲があります*1。2025年4月7日時点の回答であり、それより後の傾向は読めません*1。
基準を1枚作る4段
ここまでの分布を、自社の手順に落とします*2。
| 選択肢 | 件数 | 799件に対する比率 |
|---|---|---|
| 特に対応していない | 342件 | 42.8% |
| 社内で作ったスキルマップやラーニング制度を整備している | 196件 | 24.5% |
| スキルマップやラーニング制度の導入を検討している | 95件 | 11.9% |
| わからない | 75件 | 9.4% |
| IPAのデジタルスキル標準を参考にスキルマップやラーニング制度を整備している | 73件 | 9.1% |
| その他 | 18件 | 2.3% |
1段目は、社員が持っているスキルを工程の名前で1枚に並べることです。等級ではなく工程で書きます。
2段目は、その1枚に、外部要員へ渡している範囲を重ねることです。いま外に出ている作業を同じ紙に載せます。
3段目は、重なっていない範囲を社員で埋めるか外で埋めるかを決めることです。ここが判断の場になります。
4段目は、外で埋める範囲だけ期間と成果物を決めて渡すことです。範囲を書かずに人数だけ決めません。
1段目を先に置く理由は、分布に出ています*2。「特に対応していない」が342件42.8%で、整備している側は269件33.7%にとどまります*2。
2段目で重ねる理由もここです*2。300人以下の3区分では整備している割合が8.5%から24.6%で、4社に1社を下回ります*2。手元にある材料から始めることになります*2。
3段目を判断の場にする理由は企業種別の差です*2。受託開発ソフトウェアベンダー73件では整備している側が48件65.8%で、ユーザー企業662件の182件27.5%と38.3ポイント開きます*2。基準の言葉を相手側に借りると、範囲の決めも相手側に寄ります*2。
4段目で期間と成果物を決める理由は上端の水準です*2。2,001人以上でも整備している割合は83件66.4%で、3社に1社は整備していません*2。全社の制度がそろうのを待たずに、渡す範囲だけ先に書けます*2。
実務では、3段目で外に出すと決めた範囲と4段目の期間・成果物が外部要員の枠になります。フリーランスを含む業務委託は、この枠と相性があります。工程と期間で区切って渡せるためです。
逆に、1段目と3段目を外へ出すと、何を社員に残すかの決めが外に出ます。基準づくりと判断は社内に置きます。
受け入れる型の実態はプロジェクト管理の体制|人の割当34.9%と憲章14.1%で同じ調査の別の設問を扱っています。
スキル種別ごとの充足と増減はIT人材の増減|運用だけ維持28.0%が増加22.4%を超えるで整理しています。
不足への対応方針はIT人材不足の対応とは、中途54.2%と外部委託44.1%で扱っています。
最後に範囲を添えておきます*1。この調査は2024年12月17日から2025年2月14日にかけて実施され、企業799件の回答があったものです*1。
まとめ:工程で1枚に並べてから、外に出す範囲を書く
第一に、資料です。IPAの「2024年度ソフトウェア動向調査」は2025年2月27日公開・2025年4月25日最終更新で、2024年12月17日から2025年2月14日にかけて実施され、2025年4月7日時点で企業799件・個人74件の計873件の回答がありました。この記事は企業向けの799件だけを扱い、回答は匿名化されてオープンデータとして公開されています。第二に、母数と形式です。Q4-2はすべての企業種別が回答対象で母数799件。設問文には当てはまるものを全て選ぶよう書かれていますが回答種別は単一選択とされ、CSVでも1社につき1つしか値が入っていないため単一選択として扱いました。丸めた比率を足すと100.0になります。選択肢の文言は意味を変えずに言い換えて表記しています。第三に、全体の分布です。特に対応していないが342件42.8%、社内で作ったスキルマップやラーニング制度を整備しているが196件24.5%、導入を検討しているが95件11.9%、わからないが75件9.4%、デジタルスキル標準を参考に整備しているが73件9.1%、その他が18件2.3%でした。整備している2つを足すと269件33.7%で、未対応との差は9.1ポイントです。社内で作った側24.5%とデジタルスキル標準を参考にした側9.1%の差は15.4ポイント、件数では約2.68倍でした。第四に、従業員数別です。整備している割合は30人以下13件8.5%、31人から100人23件17.3%、101人から300人42件24.6%、301人から1,000人67件47.5%、1,001人から2,000人41件58.6%、2,001人以上83件66.4%で、従業員数が多いほど単調に上がります。差は57.9ポイントです。第五に、未対応の側です。30人以下101件66.0%と31人から100人88件66.2%で逆転しており、単調に下がるわけではありません。101人以上は48.0%、32.6%、17.1%、8.0%と下がります。第六に、企業種別です。ユーザー企業662件では整備している側が182件27.5%、受託開発ソフトウェアベンダー73件では48件65.8%で、差は38.3ポイントでした。
よくある質問
スキルマップやラーニング制度を整備している企業はどれくらいありますか。
IPAの2024年度ソフトウェア動向調査の公開データを集計すると、母数799件に対して社内で作ったものを整備しているが196件24.5%、IPAのデジタルスキル標準を参考に整備しているが73件9.1%で、合わせて269件33.7%でした。「特に対応していない」が342件42.8%で上端、「導入を検討している」が95件11.9%です(確認日2026年9月10日)。
会社の規模で違いはありますか。
整備している割合は従業員数が多いほど単調に上がります。30人以下13件8.5%、31人から100人23件17.3%、101人から300人42件24.6%、301人から1,000人67件47.5%、1,001人から2,000人41件58.6%、2,001人以上83件66.4%で、上端と下端の差は57.9ポイントです。
規模が小さいほど未対応が多いということですか。
そうは言えません。「特に対応していない」の割合は30人以下101件66.0%と31人から100人88件66.2%で逆転しており、6区分すべてで単調に下がるわけではありません。差は0.2ポイントなので、どちらが上かも結論にしていません。30人以下では「わからない」が32件20.9%と多く、その分だけ未対応の割合が抑えられています。
委託先の側は基準を持っているのですか。
分布としてはそうなります。受託開発ソフトウェアベンダー73件では整備している側が48件65.8%、「特に対応していない」は8件11.0%でした。ユーザー企業662件では整備している側が182件27.5%、未対応が326件49.2%で、整備している側の差は38.3ポイントです。ただし因果の向きは設問からは読めません。
この設問は複数選択ではないのですか。
設問文には「当てはまるものを全てお選びください」と書かれていますが、設問一覧の回答種別は単一選択とされています。公開されているCSVでも1社につき1つしか値が入っていないため、この記事では単一選択として扱い、丸めた比率を足すと100.0になることも確かめました。
出典
- *1 参考:IPA「2024年度ソフトウェア動向調査」調査結果データの公開と分析レポートの募集(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/software-engineering/result-software2024.html)。公開日2025年2月27日・最終更新日2025年4月25日・調査期間2024年12月17日から2025年2月14日・2025年4月7日時点で企業799件と個人74件の計873件の回答・匿名化してオープンデータとして公開し分析レポートを募集しているという方針の一次情報として(2026年9月確認)
- *2 参考:IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 企業向け 調査結果(選択肢項目文字列)」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/software-engineering/h5f8pg00000028n8-att/software2024-c-result-data-str.csv)。Q4-2の回答を集計した元データとして。この記事の件数・比率・整備している2つを足した値・従業員数別と企業種別の集計・差と倍率はこのCSVから筆者が集計・計算した値であり、資料に印字された比率や資料が示す表ではない。1社につき1つしか値が入っていないこともこのCSVで確認した。示された値を用いた図表の作成という編集・加工を筆者が実施(2026年9月確認)
- *3 参考:IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 企業向け 設問一覧」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/software-engineering/h5f8pg00000028n8-att/software2024-c-questions.xlsx)。Q4-2の設問文・6つの選択肢・回答種別が単一選択とされていること・すべての企業種別が回答対象であること、およびQ1-3の企業種別とQ1-7の従業員数の区分の確認として(2026年9月確認)
- *4 参考:IPA「ソフトウェア開発関連調査」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/index.html)。この調査が置かれている調査群の構成と、年度ごとに調査が公開されていることの確認として(2026年9月確認)