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エンジニア中途採用の年収条件とは?職種3つとレベル4つ
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- 賃金は職種3区分とスキル4区分に分けて集計されている:厚生労働省の調査が、この形で金額を出しています。*1
- 同じレベルでも職種で金額が違う:レベル5以上の中央値は、企画立案・プロジェクト管理が900.0万円、設計・構築が700.0万円でした。*1
- 自社が出すべき金額を示した資料ではない:厚生労働省の調査が集めたのは、正社員として働く人の見込み年収です。*1
※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
エンジニア中途採用の年収条件を決めるとき、手が止まるのは金額そのものではありません。「この求人はどの層に向けたものか」が決まっていないまま相場を調べても、数字は決まらないからです。
手がかりになる調査があります。厚生労働省が公表している「IT・デジタル人材の労働市場に関する研究調査事業」の調査報告書です。*1 この調査は、賃金の水準を職種3区分とITスキルレベル4区分に分けて集計しています。*1 金額の前に、この区分の作り方を見ておくと、自社の求人がどこに当たるのかを決められます。
本記事は、開発の現場を回しているマネージャに向けたものです。前半で区分の作り方と賃金水準の中央値を見て、後半で自社の年収条件の決め方、つまずきやすい点、外部に頼むときの確認事項を整理します。
目次
賃金を見る前に、区分の作り方を知る
この調査は厚生労働省が令和6年3月に公表した報告書です。*1 IT・デジタル関連の部署で働く個人2,000人にインターネットで聞いたもので、賃金については見込み年収を答えてもらっています。*1 見込み年収は、回答した本人が答えた金額です。*1 税や社会保険料を引く前の額かどうか、賞与を含むかどうかまでは、今回参照した資料に書かれていません。
ITスキルのレベルは、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)のITスキル標準(IT関連の仕事に必要な力量を段階に分けて示したもの)にもとづく7段階で聞き、集計では4区分にまとめています。*1 レベル1〜2、レベル3、レベル4、レベル5以上の4つです。*1
4区分の中身は、資料の説明でこう分かれます。*1 レベル1〜2は、上位者の指導の下で要求された作業を担当する段階。レベル3は、要求された作業を全て独力で遂行する段階。レベル4は、独力で業務上の課題の発見と解決をリードする段階。レベル5以上は、社内でテクノロジやビジネスを創造しリードする段階から、世界で通用する段階までを含みます。*1
職種のほうは、15区分で聞いたうえで、「その他」を除いて3区分にまとめています。*1 企画立案・プロジェクト管理、設計・構築、運用・保守の3つです。*1 たとえばシステムアーキテクトやソフトウェア開発スペシャリストは設計・構築に、プロジェクトマネージャは企画立案・プロジェクト管理に入ります。*1
職種3つとレベル4つで見た中央値
この区分で集計した賃金水準の中央値が、次の表です。*1 中央値とは、金額の高い順に人を並べたとき、ちょうど真ん中にくる人の金額のことです。平均と違い、極端に高い人がいても引きずられません。
| 職種 | レベル1〜2 | レベル3 | レベル4 | レベル5以上 |
|---|---|---|---|---|
| 企画立案・プロジェクト管理 | データなし | 750.0(53人) | 800.0(153人) | 900.0(196人) |
| 設計・構築 | 500.0(187人) | 550.0(258人) | 635.0(288人) | 700.0(186人) |
| 運用・保守 | 500.0(53人) | 550.0(67人) | 650.0(73人) | 850.0(36人) |
企画立案・プロジェクト管理のレベル1〜2が「データなし」なのは、資料が「当該職種に対応するITスキルレベル1〜2が存在しない」として集計から除いているためです。*1 その職種を選んだ回答者にレベル1〜2の人がいなかったという意味なのか、そもそもレベル1〜2が設けられていないという意味なのかまでは書かれていません。
表には中央値だけを載せましたが、資料は第1四分位数と第3四分位数も出しています。*1 第1四分位数は下から4分の1のところの金額、第3四分位数は下から4分の3のところの金額です。設計・構築のレベル3なら、第1四分位数が450.0万円、中央値が550.0万円、第3四分位数が700.0万円。*1 第1四分位数と第3四分位数のあいだは250万円あります。中央値から見ると、下に100万円、上に150万円の開きです。
同じレベルでも職種で金額が違う
表を見ると、同じレベルでも職種で金額が違うことがわかります。レベル5以上の中央値は、企画立案・プロジェクト管理が900.0万円、運用・保守が850.0万円、設計・構築が700.0万円です。*1
ただし、この3つは回答した人数が違います。レベル5以上に当たるのは、企画立案・プロジェクト管理が196人、設計・構築が186人に対して、運用・保守は36人です。*1 人数の少ない区分の金額は動きやすいので、そのまま横に並べて比べるのは慎重にしてください。
資料も、職種を問わずITスキルレベルが高くなると賃金水準も高くなる傾向にあり、同じレベルでも企画立案・プロジェクト管理の水準が最も高く、次いで運用・保守がそれに次ぐ傾向にある、と述べています。*1
ただし、なぜ職種でこの差が出るのかについて、今回参照した調査に説明はありません。また、この集計は正社員と答えた人だけを対象にしています。*1
自社の年収条件をどう決めるか
ここからは、自社の年収条件を決める手順です。調査がこの手順を示しているわけではなく、区分の作り方からこの記事で組み立てたものです。
1つめは、募集する仕事が3区分のどれに当たるかを決めることです。求人票に書く仕事の中身が、企画立案・プロジェクト管理なのか、設計・構築なのか、運用・保守なのか。ここが決まらないと、同じレベルでも見るべき金額が変わります。
2つめは、求める段階が4区分のどれかを決めることです。上位者の指導の下で作業してもらうのか、全て独力で遂行してほしいのか、課題の発見と解決までリードしてほしいのか、社内でテクノロジやビジネスを創造しリードしてほしいのか。*1 この4つは、面接で聞く内容もそれぞれ違います。
3つめは、幅で考えることです。同じ区分でも第1四分位数と第3四分位数のあいだには開きがあります。*1 1つの数字を出すのではなく、下限と上限を決めてから提示額を考えると、社内での説明もしやすくなります。
つまずきやすい難所
一つめのつまずきは、レベルを決めずに金額だけ先に決めることです。「600万円くらいで」と決めてから仕事の中身を書くと、求める段階と金額が合わなくなります。
二つめは、この調査の数字をそのまま提示額にすることです。これは回答した人の見込み年収を集計したものであって、*1 自社が出すべき金額を示したものではありません。自社の等級や給与の決め方と合わせる作業が別に要ります。
三つめは、職種の区分を自社の呼び名で読み替えることです。この調査の3区分は、15の職種を「その他」を除いてまとめたものです。*1 自社の職種名が同じ言葉でも、中身が同じとは限りません。
外注時に確認しておきたい点
外部に頼む場合、この金額をそのまま費用の見積もりには使えません。この調査が集めたのは、正社員として働く人の見込み年収です。*1 外部の要員(自社の社員ではなく、作業を委託して働いてもらう人。個人のフリーランスのほか、開発を請け負う会社に所属している人も含みます)に払う金額は、別の決まり方をします。
ただし、仕事の中身を職種3区分とレベル4区分で書いておくことは、外部に頼むときにも使えます。「設計・構築の仕事を、全て独力で遂行できる人に、6か月間」という形で書ければ、採用するのか外部に頼むのかを、同じ言葉で比べられます。
正社員を採用するのか、外部の要員に頼むのかを決めるときは、まず仕事を3区分のどれかに置いてください。そのうえで、どの段階の人に任せるのかを決める。この2つが決まっていれば、正社員を採る場合も外部に頼む場合も、同じ言葉で仕事を書き出せます。金額の決まり方は別ですが、探す相手に伝える中身はそろいます。
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まとめ:年収条件を書く前に決める3つのこと
エンジニア中途採用の年収条件は、金額を調べる前に区分を決めるところから始まります。決めておきたいことは3つです。第一に、募集する仕事が企画立案・プロジェクト管理、設計・構築、運用・保守のどれに当たるか。*1 第二に、求める段階がレベル1〜2、レベル3、レベル4、レベル5以上のどれか。*1 第三に、1つの数字ではなく下限と上限の幅で考えること。同じ区分でも第1四分位数と第3四分位数のあいだには開きがあります。*1 この3つが決まれば、厚生労働省の調査の表を自社の求人に当てて読めます。なお、この調査が集めたのは正社員として働く人の見込み年収で、*1 自社が出すべき金額を示したものではありません。
よくある質問
この調査は賃金をどう区分して集計していますか
職種3区分とITスキルレベル4区分です。*1 職種は15区分で聞いたうえで「その他」を除いて企画立案・プロジェクト管理、設計・構築、運用・保守の3つにまとめ、*1 ITスキルレベルは7段階で聞いて4区分にまとめています。*1 確認日は2026年9月19日です。
レベル5以上の中央値はいくらですか
企画立案・プロジェクト管理が900.0万円、運用・保守が850.0万円、設計・構築が700.0万円です。*1 単位は万円で、現在の就業形態を正社員と答えた人だけを集計しています。*1 確認日は2026年9月19日です。
なぜ企画立案・プロジェクト管理にレベル1〜2のデータがないのですか
資料が「当該職種に対応するITスキルレベル1〜2が存在しない」として集計から除いているためです。*1 それが回答者にいなかったという意味なのか、そもそも設けられていないという意味なのかまでは書かれていません。確認日は2026年9月19日です。
この金額をそのまま提示してよいですか
示された金額は回答した人の見込み年収を集計したものです。*1 自社が出すべき金額を示した資料ではないので、自社の等級や給与の決め方と合わせる作業が別に要ります。確認日は2026年9月19日です。
外部に頼むときの費用にも使えますか
使えません。この調査が集めたのは正社員として働く人の見込み年収です。*1 ただし、仕事を職種3区分とレベル4区分で書いておくこと自体は、外部に頼むときにも使えます。確認日は2026年9月19日です。
仕事の区分と段階が決まったら相談
「設計・構築の仕事を、全て独力で遂行できる人に6か月間」という形で決まっていれば、そのままご相談いただけます。まだどの区分に置くか決めきれていない段階でも構いません。
Remoguとリラシクなら、正社員として迎える候補の見極めも、作業と期間を決めて頼む要員の手配も、同じ区分の言葉でお手伝いできます。
Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。
出典
- *1 参考:厚生労働省「IT・デジタル人材の労働市場に関する研究調査事業」調査報告書(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001244078.pdf)。出典:厚生労働省「IT・デジタル人材の労働市場に関する研究調査事業」調査報告書(令和6年3月)。「IT・デジタル人材の職種別・ITスキルレベル別の賃金相場」の中央値・四分位数・回答者数、ITスキルレベルの4区分と職種の3区分の作り方、および調査の実施概要の一次情報として(2026年9月確認)
- *2 参考:厚生労働省「雇用・労働」の政策ページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/index.html)。報告書の公表元である厚生労働省の雇用政策の分野ページとして(2026年9月確認)
- *3 参考:厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/index.html)。公表元の確認として(2026年9月確認)