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2026.09.19 採用支援コラム

エンジニアの離職率と若手の定着対策|辞める人を減らす方法

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

印刷したグラフと電卓で数値を確かめる机の上

この記事の結論

  • エンジニアの離職率の目安になる情報通信業の離職率は、令和7年で10.4%と、産業計の13.7%より低い値でした。
  • 自社の値と比べるときは、1年間に辞めた人の数を1月1日に在籍していた人数で割る、同じ式で数えます。
  • 若年正社員の定着対策で多いのは「職場での意思疎通の向上」59.7%と「採用前の詳細な説明・情報提供」58.4%です。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

エンジニアの離職率の目安になる公的な値は、厚生労働省の雇用動向調査が出している情報通信業の離職率で、令和7(2025)年は10.4%でした。産業計の13.7%より3.3ポイント低い値です。*1 雇用動向調査の結果の概要は離職率を産業ごとに示しており、エンジニアという職種だけの値は載っていません。そこで本記事では、情報通信業の値を目安として使います。

辞める人を減らす手がかりとして、厚生労働省の若年者雇用実態調査も使います。事業所が実施している定着の対策を12項目で尋ねた調査です。ただし、どの対策が定着につながったかまでは示していません。本記事では、エンジニアを採用する実務担当者や開発の現場のマネージャーに向けて、離職率の見方、自社の離職率の数え方、事業所が実施している対策、自社の対策の選び方を整理します。

情報通信業の離職率

雇用動向調査は、5人以上の常用労働者を雇う事業所を対象に、1年間の入職と離職を調べる厚生労働省の調査です。常用労働者とは、期間を定めずに雇われている人と、1か月以上の期間を定めて雇われている人を指します。離職率の式は「離職者数÷1月1日現在の常用労働者数×100」です。離職者には解雇された人も含まれ、同じ企業の別の事業所へ移った人は含まれません。*2

情報通信業と産業計の離職率の推移(出典:厚生労働省「雇用動向調査結果の概要」令和5年・令和6年・令和7年の表4-2。各年1月から12月の1年間の値)
年 情報通信業(計) 情報通信業(一般労働者) 産業計(計)
令和5(2023)年 12.8% 12.4% 15.4%
令和6(2024)年 10.2% 9.8% 14.2%
令和7(2025)年 10.4% 10.0% 13.7%

令和7年の情報通信業を働き方で分けると、一般労働者(パートタイム労働者以外の人)は10.0%で、産業計の一般労働者の11.4%を下回りました。パートタイム労働者は21.9%で、産業計の19.9%を上回っています。*1 3年の推移では、令和5年の12.8%から令和6年に10.2%へ下がり、令和7年は10.4%でした。*3*4 3年とも、情報通信業の離職率は産業計より低い値です。

この値を読むときの注意が2つあります。1つは、情報通信業の値には、エンジニア以外の職種で働く人も含まれることです。もう1つは、1月1日の人数を分母にした1年分の割合で、入社してから何か月で辞めたかは表していないことです。同じ表には入職率も載っています。入職率と離職率の差から人の出入りを見る方法は「情報通信業の入職超過率」で扱っています。

自社の離職率の数え方

自社の値を情報通信業の値と並べるなら、式をそろえます。1月1日に在籍していた常用労働者の数を分母に、その年の1年間に辞めた人の数を分子にします。たとえば、1月1日に40人が在籍していて、1年間に4人が辞めた事業所なら、離職率は10.0%です(数字は説明のための例です)。部署やチームの単位で数えると人数が少ないので、1人の退職で値が大きく動く点にも気をつけます。

中途で採用したエンジニアの早期離職を見たいときは、別の数え方が必要です。ある期間に中途で入社した人を分母に、入社から決めた期間のうちに辞めた人を分子にします。雇用動向調査の離職率は在籍している人全体を分母にした値なので、この数え方で出した値の比較相手にはなりません。比べる相手は、自社の過去の年の値です。

辞めた理由も合わせて記録しておくと、次の採用で何を変えるかを決めやすくなります。中途採用の面接で、応募者が前の勤め先を辞めた理由をどう確かめるかは「前職の離職理由を面接で確かめる」で整理しています。

若手が退職した事業所の割合

離職率とは別の角度の数字もあります。厚生労働省の「令和5年若年者雇用実態調査」は、5人以上の常用労働者を雇う事業所と、そこで働く満15歳から34歳の労働者を対象にした調査です。*6 エンジニアだけを取り出した集計はなく、中途で入った人と新卒で入った人も分けていません。以下、34歳以下の労働者を資料にならって「若年労働者」と呼びます。

過去1年間(令和4年10月から令和5年9月)に若年労働者がいた事業所のうち、自己都合で退職した若年労働者がいた事業所は40.9%でした。産業別では、生活関連サービス業・娯楽業が56.5%、情報通信業が47.5%、卸売業・小売業が45.6%の順です。*5

この47.5%は離職率ではありません。数えているのは「辞めた人が1人以上いた事業所」の数なので、働く人が多い事業所ほど高く出ます。実際に、1,000人以上の事業所では98.5%、5人から29人の事業所では35.1%でした。*5 この差は、大きい事業所ほど辞めやすいことを示すものではありません。資料は産業と規模を組み合わせた数字を出していないため、情報通信業の47.5%は、ほかの産業と大まかに比べる目安として使うのが適当です。

事業所が実施している定着の対策

同じ調査で、若年正社員について定着のための対策を行っている事業所は73.7%でした。*5 対策は「その他」を含む12項目で、いくつでも選べる聞き方(複数回答)です。次の表の割合は、若年正社員の対策を行っている事業所を100としたもので、前の節の割合とは分母が違います。割合どうしの差は、ポイントという単位で表しています。

若年正社員の定着のために実施している対策(出典:厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査」事業所調査の表8と図1。対策を行っている事業所を100とした割合で、複数回答。「その他」2.7%は省き、令和5年の割合が大きい順に並べ替えた)
対策 令和5年 平成30年 増減
職場での意思疎通の向上 59.7% 59.0% +0.7ポイント
採用前の詳細な説明・情報提供 58.4% 52.0% +6.4ポイント
本人の能力・適性にあった配置 55.6% 53.5% +2.1ポイント
労働時間の短縮・有給休暇の積極的な取得奨励 52.9% 37.8% +15.1ポイント
教育訓練の実施・援助 48.5% 49.5% -1.0ポイント
職場環境の充実・福利厚生の充実 41.2% 36.6% +4.6ポイント
仕事の成果に見合った賃金 39.1% 36.0% +3.1ポイント
仕事と家庭の両立支援 36.3% 28.4% +7.9ポイント
昇格・昇任基準の明確化 30.5% 25.1% +5.4ポイント
配転・勤務地等人事面での配慮 28.4% 22.9% +5.5ポイント
女性の活躍に向けた支援 24.4% 20.6% +3.8ポイント

割合がいちばん高いのは「職場での意思疎通の向上」の59.7%、次が「採用前の詳細な説明・情報提供」の58.4%です。入社後に行う対策と、採用の段階で行う対策が、ほぼ同じ割合です。本人に合った配置や教育訓練のように、入社後の育て方に関わる対策も、半数前後の事業所が実施しています。

前回(平成30年)の調査と比べると、いちばん増えたのは「労働時間の短縮・有給休暇の積極的な取得奨励」で、37.8%から52.9%へ15.1ポイント増えました。次が「仕事と家庭の両立支援」の7.9ポイント増です。表の11項目のうち減ったのは「教育訓練の実施・援助」の1.0ポイントだけで、表から省いた「その他」は0.1ポイント増でした。*5

自社の対策をどう選ぶのか

12項目を自社の対策に生かすときは、次の図の3つの順に確かめると、何から手を付けるかを決めやすくなります。

定着のための対策12項目を3つに分けて示した図。1つ目は採用前の詳細な説明・情報提供で、入社前にやること。2つ目は人との関わり、働き方、処遇と成長という入社後の3つの束。3つ目は前回調査から増えている項目を確かめること。

1つめは、入社前の対策です。12項目のうち、入社前に行うものは「採用前の詳細な説明・情報提供」だけでした。求人票と面接で伝えた仕事の中身や働き方が、入社後の実際と合っているかは、入社後の対策を増やす前に確かめられます。エンジニアの中途採用なら、担当するシステムと作業、使う技術、残業の多さなどを面接の段階で具体的に伝えておくと、入社後の食い違いを減らしやすくなります。

2つめは、入社後の対策を3つのグループに分けて見ることです。人との関わり(意思疎通、配置、人事面での配慮)が3項目、働き方(労働時間と有給休暇、両立支援、職場環境、女性の活躍)が4項目、処遇と成長(賃金、昇格・昇任基準、教育訓練)が3項目です。自社ですでに実施している項目をグループごとに数えると、手薄なグループが見えてきます。

3つめは、前回調査から増えている項目を確かめることです。増えた項目は、16の産業全体で実施する事業所が増えた対策です。自社がまだ手を付けていない項目があれば、見直しの候補に入れておくとよいでしょう。

つまずきやすい点

一つ目は、2つの調査の数字を取り違えることです。雇用動向調査の離職率は人数の割合で、若年者雇用実態調査の47.5%は事業所の数の割合です。自社の離職率と比べてよいのは、同じ式で数えた雇用動向調査の値のほうです。

二つ目は、実施している事業所が多い対策ほど効果が高いと考えてしまうことです。若年者雇用実態調査が示すのは、どの対策を実施している事業所がどのくらいあるかまでで、どの対策が定着につながったかは公表されていません。割合の高さは、ほかの事業所がよく実施している対策の目安として使います。

三つ目は、入社後の対策だけを増やしてしまうことです。入社前に伝えた内容と入社後の実際が違っているなら、入社後の対策を選ぶより先に、その食い違いを直しておくと進めやすくなります。

外部に委託するときの確認点

業務委託で開発に加わる外部の専門人材に頼む場合、この12項目はそのままは当てはまりません。調査が尋ねているのは、事業所が雇っている若年労働者への対策だからです。ただし「採用前の詳細な説明・情報提供」に当たる部分は、外部の専門人材に加わってもらうときにも使えます。どのシステムのどの作業を任せるのか、いつまでに終えてほしいのか、進み具合をどんな形で報告してほしいのかを、依頼する前に伝えることが、これに当たります。

辞める側の理由を雇用動向調査の離職理由別の値から見た記事は「なぜ中途エンジニアは早期に離職するのか」です。新卒で入った人の離職と事業所規模の関係は「新卒3年以内離職率と事業所規模」で、若年者雇用実態調査の別の設問から採用要件を見直す手順は「若年者雇用実態調査から採用要件を見直す進め方」で扱っています。

まとめ:エンジニアの離職率と定着対策

エンジニアの離職率と定着の対策で確かめておきたい点は、3つに整理できます。第一に、エンジニアの離職率の目安は情報通信業の離職率で、令和7年は10.4%と産業計の13.7%より低かったこと。第二に、自社の値と比べるときは、1年間の離職者数を1月1日の在籍人数で割る同じ式で数え、中途採用者の早期離職は別の数え方で自社の過去と比べること。第三に、定着の対策は12項目のうち入社前に行う「採用前の詳細な説明・情報提供」から見直し、入社後の対策は人との関わり・働き方・処遇と成長の3つに分けて手薄な項目から選ぶことです。定着の対策や人の探し方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

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よくある質問

エンジニアの離職率は、ほかの仕事より高いのですか

公的統計で目安になる情報通信業の離職率は令和7年で10.4%で、16の産業を合わせた産業計の13.7%より低い値でした。*1 ただし情報通信業にはエンジニア以外の職種も含まれ、職種だけの値は雇用動向調査の結果の概要に載っていません。

辞めた若年労働者は、正社員と正社員以外のどちらが多いですか

若年者雇用実態調査では、情報通信業で正社員が辞めた事業所が46.4%、正社員以外が辞めた事業所が6.0%で、全産業では正社員28.4%、正社員以外18.4%でした。*5 正社員以外を雇っていない事業所も分母に入るので、6.0%の低さは辞めにくさを示すものではありません。

正社員以外の若年労働者にも、定着の対策をしている事業所はありますか

あります。同じ調査で、正社員以外の若年労働者について定着のための対策を行っている事業所は60.1%で、若年正社員の73.7%より低い値でした。

採用前に伝える内容を整理したいとき

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出典

  1. *1 参考:厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概要」産業別の入職と離職(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/26-2/dl/kekka_gaiyo-02.pdf)。表4-2(産業、就業形態別入職率・離職率・入職超過率、令和7(2025)年)の情報通信業と産業計の値を参照。確認日 2026年10月6日(2026年10月確認)
  2. *2 参考:厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概況」(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/26-2/dl/gaikyou.pdf)。調査の概要(調査の範囲)と主な用語の定義(常用労働者、一般労働者、離職者、入(離)職率)を参照。確認日 2026年10月6日(2026年10月確認)
  3. *3 参考:厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概要」産業別の入職と離職(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/25-2/dl/kekka_gaiyo-02.pdf)。表4-2(令和6(2024)年)の情報通信業と産業計の離職率を参照。確認日 2026年10月6日(2026年10月確認)
  4. *4 参考:厚生労働省「令和5年雇用動向調査結果の概要」産業別の入職と離職(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/24-2/dl/kekka_gaiyo-02.pdf)。表4-2(令和5(2023)年)の情報通信業と産業計の離職率を参照。確認日 2026年10月6日(2026年10月確認)
  5. *5 参考:厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査」若年労働者の定着について(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/4-21c-jyakunenkoyou-r05_05.pdf)。出典:厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査」。表7(産業・事業所規模、過去1年間に自己都合により退職した若年労働者の有無及び雇用形態別事業所割合)、表8(雇用形態、若年労働者の定着のために実施している対策別事業所割合)、図1(前回(平成30年)調査との増減)を参照。資料に示された数値をもとに表と図を作成した(2026年10月確認)
  6. *6 参考:厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査」調査の概要(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/4-21c-jyakunenkoyou-r05_gaiyou.pdf)。調査の範囲及び対象、対象期間を参照(2026年10月確認)
  7. *7 参考:厚生労働省「若年者雇用実態調査」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/4-21c-jyakunenkoyou-r05.html)。調査結果の公表ページ(2026年10月確認)




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