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2026.09.19 採用支援コラム

エンジニア中途採用の早期離職、事業所の定着の対策は12項目




監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論

  • 採用前の説明は58.4%で2番目に高い:資料は順位を付けていないので、この記事が11項目を割合の大きい順に並べ替えました。
  • いちばん増えたのは労働時間を短くする対策:「労働時間の短縮・有給休暇の積極的な取得奨励」が37.8%から52.9%へ15.1ポイント増えました。*1
  • 情報通信業の47.5%は離職率ではない:自己都合で辞めた若年労働者が1人以上いた事業所の割合で、何人辞めたかは数えていません。*1

※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

エンジニア中途採用で入ってもらった人が、早期離職してしまう。手を打とうとしたとき、採る側が何から始めるかを決めきれないことがあります。

手がかりになる資料があります。厚生労働省の「令和5年若年者雇用実態調査」です。*1 事業所に対して、「若年労働者の定着のためにどんな対策を実施しているか」を12項目で聞いています。*1 いくつでも選べる聞き方(複数回答)なので、足すと100%を超えます。割合どうしの差はポイントという単位で書きます。

本記事は、開発の現場を回しているマネージャに向けたものです。前半で資料の数値を読み、後半でエンジニア中途採用の場面での使い方を整理します。なお、この調査はエンジニアに限ったものではありません。対象は満15歳から34歳までの若年労働者で、16の産業にまたがります。*2

本がびっしり並んだ書架が続く通路と、天井から下がる裸電球。人は写っていない

調査は事業所に聞いた結果で、人数ではなく事業所を数えている

対象は、5人以上の常用労働者(臨時や日雇いでない働き方の人)を雇う事業所と、そこで働く満15歳から34歳の労働者です。*2 この記事で使うのは事業所に聞いたほうの結果で、調査対象は17,355事業所、有効回答は7,867事業所、有効回答率は45.3%。*2 結果は厚生労働省のページで公開されています。*3 事業所とは、工場や支店のように場所ごとに区切った単位で、1社が複数持つこともあります。

この記事の割合は、どれも事業所の数を数えた割合で、人数の割合ではありません。ただし分母は節ごとに違うので、そのつど書きます。たとえば「情報通信業は47.5%」の分母は、情報通信業のうち過去1年間に若年労働者がいた事業所です。*1 そのうち47.5%で退職者が1人以上いたという意味で、働いている人の47.5%が辞めたのではありません。

情報通信業は47.5%の事業所に自己都合の退職者がいた

まず、退職がどのくらい起きているのかを見ます。過去1年間(令和4年10月から令和5年9月)に若年労働者がいた事業所のうち、自己都合により退職した若年労働者がいた事業所は40.9%。*1 産業別では、生活関連サービス業・娯楽業が56.5%、情報通信業が47.5%、卸売業・小売業が45.6%の順で、資料はこの3つを高い順に挙げています。*1

システム開発を担う事業所の多くはこの産業に入るとこの記事では見ています。ただし資料に職種別の集計はないので、この数字をエンジニアの数字として自社に当てはめることはできません。使えるのは、次の節で見る対策の12項目のほうです。

ここで気をつけたいのは、これが離職率ではないことです。離職率は、働いている人の数を分母にして、そのうち何人が辞めたかを出した割合を指します。この表が数えているのは「退職した人が1人以上いた事業所の数」です。そのため規模が大きいほど数字は上がり、1,000人以上では98.5%、5人から29人では35.1%でした。*1 この差を「大きい事業所ほど辞めやすい」とは読めません。

同じ事情は産業ごとの比較にも効きます。規模の分布が産業によって違えば、産業の数字にもその違いが乗ります。資料は産業別と規模別を別々に集計しており、掛け合わせた表はありません。*1 47.5%のうちどれだけが規模の違いによるものかは分けられませんでした。

辞めた人の雇用形態も資料は分けています。正社員以外とは、契約社員やパートのように正社員ではない働き方の人です。情報通信業では、正社員が辞めた事業所が46.4%、正社員以外が辞めた事業所が6.0%。*1 複数回答なので足すと52.4%になり、47.5%を上回ります。両方に当てはまる事業所があるためです。全産業では正社員28.4%、正社員以外18.4%。*1 ただし正社員以外を雇っていない事業所も分母に入るので、6.0%の低さを「辞めにくい」とは読めません。

定着のための対策は12項目、最多は職場での意思疎通の向上

若年正社員について「定着のための対策を行っている」事業所は73.7%、正社員以外の若年労働者については60.1%でした。*1 対策は「その他」を含む12項目です。*1 ここから先の割合は、対策を行っている事業所を分母にした値なので、*1 前の節とはそのまま比べられません。

若年正社員の定着のために実施している対策(出典:厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査」事業所調査の表8と図1。数字は、若年正社員の定着のための対策を行っている事業所を100とした割合で、複数回答のため合計は100を超える。令和5年と平成30年の値は表8の各行、増減は図1が示す差で、単位はポイント(%同士の差)。「その他」2.7%は省いた。並び順は令和5年の割合が大きい順にこの記事で並べ替えたもので、資料は順位を付けていない)
対策 令和5年 平成30年 増減
職場での意思疎通の向上 59.7% 59.0% +0.7ポイント
採用前の詳細な説明・情報提供 58.4% 52.0% +6.4ポイント
本人の能力・適性にあった配置 55.6% 53.5% +2.1ポイント
労働時間の短縮・有給休暇の積極的な取得奨励 52.9% 37.8% +15.1ポイント
教育訓練の実施・援助 48.5% 49.5% -1.0ポイント
職場環境の充実・福利厚生の充実 41.2% 36.6% +4.6ポイント
仕事の成果に見合った賃金 39.1% 36.0% +3.1ポイント
仕事と家庭の両立支援 36.3% 28.4% +7.9ポイント
昇格・昇任基準の明確化 30.5% 25.1% +5.4ポイント
配転・勤務地等人事面での配慮 28.4% 22.9% +5.5ポイント
女性の活躍に向けた支援 24.4% 20.6% +3.8ポイント

割合がいちばん高いのは「職場での意思疎通の向上」で59.7%、次が「採用前の詳細な説明・情報提供」の58.4%です。*1 この並べ替えはこの記事で行ったもので、資料は順位を付けていません。読みどころは、入社後にやることと採用の段階でやることが近い高さで並んでいることです。

前回(平成30年)調査からの増減も資料が図で示しています。*1 いちばん増えたのは「労働時間の短縮・有給休暇の積極的な取得奨励」で、37.8%から52.9%へ15.1ポイント増えました。*1 次が「仕事と家庭の両立支援」の7.9ポイント増です。*1 表の11項目で減ったのは「教育訓練の実施・援助」の1.0ポイントだけ、省いた「その他」は0.1ポイント増でした。*1

自社の対策を決めるときの3つの見方

ここからは、エンジニア中途採用の早期離職を考えるときの使い方を3つ挙げます。この3つは資料が示したものではなく、12項目の並びからこの記事で組み立てたものです。

定着のための対策12項目を3つに分けて示した図。1つ目は採用前の詳細な説明・情報提供で、入社前にやること。2つ目は人との関わり、働き方、処遇と成長という入社後の3つの束。3つ目は前回調査から増えている項目を確かめること。この分け方は資料が示したものではなく、12項目の並びからこの記事で組み立てたもの。

1つめは、採用の段階の対策から手を付けることです。項目名を読むかぎり、入社前にやることは「採用前の詳細な説明・情報提供」の1つだけでした。この仕分けは項目名からこの記事で判断したもので、資料が入社前と入社後を分けているわけではありません。求人票と面接で伝えた内容が実態と合っているかは、入社後の施策を足すより前に確かめられます。

2つめは、入社後の10項目を3つの束に分けることです。人との関わり(意思疎通、配置、人事面での配慮)が3つ、働き方(労働時間と有給休暇、両立支援、職場環境、女性の活躍)が4つ、処遇と成長(賃金、昇格・昇任基準、教育訓練)が3つ。採用前の説明と合わせて11項目です。この分け方は資料にはなく、この記事で決めたものです。

3つめは、増えている項目を確かめることです。前回調査からの増減が大きい項目は、16の産業を合わせた全体の値として、手を入れる事業所が増えた場所だと読めます。自社が人を採り合う相手だけの動きではありません。どの対策が定着につながったのかは、今回参照した資料に記載がありません。

外注時に確認しておきたい点

外部の要員(自社の社員ではなく、作業を委託して働いてもらう人。個人のフリーランスのほか、開発を請け負う会社に所属している人も含みます)に頼む場合、この12項目はそのままは当てはまりません。調査が聞いているのは、事業所が雇っている若年労働者への対策だからです。*1

ただし「採用前の詳細な説明・情報提供」にあたる部分は、外部の要員に入ってもらうときにも使えます。発注する側が、作業の範囲、期間、報告の形を先に伝えておく進め方です。これで早く抜ける事態を避けられるかどうかは、資料からは分かりません。

正社員として採るほうを選んだときは、11項目のうち自社がすでにやっているものを数えてみてください。やっていない項目が多いほど、入社後に用意することが残っています。この数と定着の関係を資料が示しているわけではありません。

辞める側の理由を別の調査で見た記事はなぜ中途エンジニアは早期に離職するのかにあります。あちらが使っているのは、事業所の入職と離職を毎年調べる厚生労働省の雇用動向調査の離職率です。この記事は事業所側の対策なので、調べている中身が違います。

新卒を含めた離職の水準と事業所規模の関係は新卒3年以内離職率33.8%は事業所規模で30ポイント違うで扱っています。

同じ調査の別の設問から採用要件を見直す手順は若年者雇用実態調査から採用要件を見直す進め方にまとめました。

企業が中途採用に踏み切る理由のほうは中途採用の理由で整理しています。

まとめ:対策12項目の上位は意思疎通の向上と採用前の説明

読み取れることは3つです。第一に、若年正社員の定着のための対策を行っている事業所は73.7%で、その事業所を分母にすると、いちばん高い対策は「職場での意思疎通の向上」の59.7%です。*1 第二に、2番目は「採用前の詳細な説明・情報提供」の58.4%でした。*1 第三に、前回調査からいちばん増えたのは「労働時間の短縮・有給休暇の積極的な取得奨励」の15.1ポイントでした。*1 どの対策が効いたのかは資料からは分かりません。分かるのは、多くの事業所が何をやっているかまでです。なお、情報通信業の47.5%は退職者が1人以上いた事業所の割合で、離職率ではありません。

LASSICに相談するメリット

採用前に伝える内容を整えたあとは、実際に人を探す段階です。作業の範囲と期間を先に決めておくと、正社員で採るか外部の要員に頼むかの切り分けもはっきりします。伝える条件が決まっていれば、求人票に書く内容も組み立てられます。

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よくある質問

情報通信業の47.5%は離職率ですか

違います。過去1年間に自己都合で退職した若年労働者が1人以上いた事業所の割合です。*1 何人辞めたかは数えていないので、規模が大きいほど数字は上がります。1,000人以上では98.5%、5人から29人では35.1%でした。*1 確認日は2026年9月19日です。

定着のための対策で最も多いものは何ですか

若年正社員では「職場での意思疎通の向上」が59.7%、次が「採用前の詳細な説明・情報提供」の58.4%です。*1 この並べ替えはこの記事で行ったもので、資料は順位を付けていません。確認日は2026年9月19日です。

前回の調査から増えた対策はどれですか

いちばん増えたのは「労働時間の短縮・有給休暇の積極的な取得奨励」で、37.8%から52.9%へ15.1ポイント増えました。*1 減ったのは「教育訓練の実施・援助」の1.0ポイントだけです。*1 確認日は2026年9月19日です。

エンジニア中途採用の早期離職にこの調査を使えますか

自社の数字として当てはめることはできません。エンジニアだけを取り出しておらず、中途で入った人と新卒で入った人も分けていないためです。*2 使えるのは、事業所がどんな対策を実施しているかという項目の並びと、その割合の高さです。*1 確認日は2026年9月19日です。

この調査はエンジニアを対象にしたものですか

違います。16の産業に属する事業所と、そこで働く満15歳から34歳までの労働者が対象です。*2 エンジニアだけを取り出した数字ではありません。産業別の数字として情報通信業が出てくるだけです。確認日は2026年9月19日です。

どの対策をすれば定着しますか

今回参照した資料に記載はありません。資料に載っているのは、どの対策を実施している事業所がどのくらいあるかという割合までです。確認日は2026年9月19日です。

採用前に伝える内容が決まったら相談

作業の範囲と期間、報告の形が決まっていれば、そのままご相談いただけます。正社員で採るか外部の要員に頼むかの切り分けからでも承ります。

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出典

  1. *1 参考:厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査」若年労働者の定着について(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/4-21c-jyakunenkoyou-r05_05.pdf)。出典:厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査」。表7(産業・事業所規模、過去1年間に自己都合により退職した若年労働者の有無及び雇用形態別事業所割合)、表8(雇用形態、若年労働者の定着のために実施している対策別事業所割合)、図1(前回(平成30年)調査との増減)の一次情報として。この記事は資料に示された数値をもとに表と図を作成した。資料の図表そのものは写していない(2026年9月確認)
  2. *2 参考:厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査」調査の概要(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/4-21c-jyakunenkoyou-r05_gaiyou.pdf)。調査の範囲及び対象、調査対象数17,355事業所・有効回答数7,867事業所・有効回答率45.3%、対象期間の確認として(2026年9月確認)
  3. *3 参考:厚生労働省「若年者雇用実態調査」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/4-21c-jyakunenkoyou-r05.html)。調査結果の公表ページの確認として(2026年9月確認)




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