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2026.07.29 らしくコラム

社会保険適用拡大2026|給与システム改修の進め方

LASSIC IT事業部|元請(プライムベンダー)としてシステム改修・運用を受託

給与計算の実務を確認する担当者

2026年は、社会保険の適用範囲が段階的に広がる年です。とくに10月には、いわゆる「106万円の壁」と呼ばれてきた賃金要件が撤廃され、週20時間以上働く短時間労働者が新たに社会保険の加入対象になります。パートやアルバイトを多く抱える企業ほど対象者が増え、給与計算や勤怠管理のシステムにも見直しが必要です。本記事では、2026年の社会保険適用拡大で何が変わるのかを整理したうえで、企業の給与・勤怠システムに求められる改修と、その進め方を、専門部署がなくても読み進められるよう要点を絞って解説します。

大切なのは、制度改正を「人事労務だけの話」と捉えないことです。加入対象者の判定や保険料の計算はシステムに組み込まれているため、改正への対応はIT側の改修とセットで考える必要があります。早めに全体像をつかみ、余裕をもって準備を進めましょう。

この記事のポイント

  • 2026年10月に賃金要件(106万円の壁)が撤廃され、週20時間以上の短時間労働者が社会保険の加入対象になります
  • 加入対象者の判定・保険料計算・帳票がシステムに関わるため、給与・勤怠の改修が必要です
  • 対象者の洗い出し→システム改修→運用と従業員周知の順で、段階的に進めるのが現実的です

1. 2026年、社会保険の適用が広がる

まずは改正の全体像を押さえます。2026年は複数の変更が時期をずらして施行されるため、いつ何が変わるのかを整理しておくと、対応の優先順位を付けやすくなります。

1-1. 106万円の壁が撤廃される

これまで短時間労働者が社会保険に加入するかどうかは、月額賃金が8.8万円以上(年収に換算すると約106万円)という賃金要件で判定されてきました*1。2026年10月からは、この賃金要件が撤廃されます。その結果、週の所定労働時間が20時間以上であれば、賃金の額にかかわらず社会保険の加入対象となる方向です。パートやアルバイトの働き方によっては、これまで対象外だった従業員が新たに加入することになります。企業にとっては、社会保険料の負担が増える従業員が出てくるため、対象者の把握が欠かせません。

1-2. 4月と10月で変わる点・今後の予定

2026年は段階的に制度が動きます。4月には、健康保険の被扶養者認定における「130万円の壁」の判定方法が見直される予定です。10月には前述の賃金要件の撤廃が実施されます。さらに先を見ると、2029年10月以降は従業員5人以上の個人事業所について、幅広い業種が適用対象に加わる方向とされています。加えて、保険料率も定期的に改定されるため、料率の更新も継続的に必要です。こうした変更が時期をまたいで続くため、一度きりの対応で終わらせず、改正の動きを追い続ける姿勢が求められます。

2. 給与・勤怠システムに必要な対応

制度改正に伴う対応を検討するチーム

制度が変わると、給与計算や勤怠管理のシステムにも見直しが生じます。加入対象者の判定ロジックや保険料の計算、帳票の出力などがシステムに組み込まれているためです。どこに影響が及ぶのかを整理しておきましょう。

変更点 システムで必要になる対応
賃金要件の撤廃・週20時間の判定 勤怠データから加入対象者を判定するロジックの見直し
加入対象者の増加 社会保険料の計算・控除対象者の範囲の更新
被扶養者認定の判定変更 扶養判定に関わる設定・確認フローの見直し
保険料率の改定 料率マスタの更新と反映時期の管理
対象者への通知 帳票・通知書の様式や出力内容の確認

とりわけ影響が大きいのは、勤怠データと連動した加入対象者の判定です。週の労働時間を正しく集計し、対象者を漏れなく抽出できるかが対応の要になります。給与システムが勤怠システムと連携している場合は、両者のデータの受け渡しに問題がないかもあわせて確認しておきたいところです。パッケージ製品を利用しているなら、提供元が改正に対応したアップデートを出す時期を確かめ、自社での設定変更が必要な範囲を切り分けておくとよいでしょう。

3. システム改修の進め方と判断軸

対応の方針は、利用しているシステムの形態によって変わります。自社開発なのか、パッケージやクラウドサービスなのかで、必要な作業と主体が異なるためです。まずは自社の状況を確認し、どの進め方が合うかを見極めましょう。

社会保険適用拡大への対応3ステップを示す図
図:適用拡大への対応の進め方

3-1. パッケージ・クラウドの場合

市販の給与・勤怠パッケージやクラウドサービスを利用している場合は、提供元が法改正に合わせたアップデートを行うのが一般的です。まずは提供元の告知を確認し、対応時期と、自社で行う設定変更の範囲を把握することが出発点になります。ただし、自社独自の運用を組み込んでいる部分や、他システムとの連携部分は、アップデートだけでは対応しきれない点に注意が必要です。標準機能で足りるのか、追加の作業が必要かを切り分けておくと、あわてずに済みます。

3-2. 自社開発・独自連携の場合

給与システムを自社で開発している場合や、勤怠・会計など複数のシステムを独自に連携させている場合は、判定ロジックや計算処理の改修を自ら手がける必要があります。影響範囲の調査、改修、テスト、本番反映という流れを、施行時期から逆算して計画することが欠かせません。社内に人手や専門知識が足りないときは、改修を外部に委託する選択肢も現実的です。制度の要件を正しくシステムに落とし込めるかどうかが品質を左右するため、要件の整理は社内で押さえつつ、実装とテストを委託先と分担する形が進めやすいでしょう。

4. 段階的に進めるロードマップ

施行時期が決まっている対応は、直前に慌てないよう逆算して動くことが肝心です。大きく三つのステップに分けて進めると、無理なく準備を整えられます。

ステップ1:対象者の洗い出しと影響把握

まず、勤怠データをもとに、新たに加入対象となりそうな短時間労働者を洗い出します。あわせて、社会保険料の負担がどの程度増えるか、対象部署はどこかといった影響も押さえておくことが大切です。この段階で全体像が見えると、システム改修の規模や優先度を判断しやすくなります。

ステップ2:システムの改修とテスト

次に、判定ロジックや保険料計算、帳票の出力を改正内容に合わせて改修します。改修後は、実際の勤怠パターンを想定したテストを行い、対象者が正しく抽出されるか、控除額が想定どおりかを確かめます。施行月の給与計算でつまずかないよう、余裕をもってテスト期間を確保しておくことが大切です。

ステップ3:運用開始と従業員への周知

最後に、新しい運用を開始し、対象となる従業員へ制度変更と手続きを分かりやすく伝えます。加入によって手取りや扶養の扱いが変わる従業員もいるため、問い合わせに答えられる体制を整えておくと、現場の混乱を抑えられます。施行後もしばらくは、計算結果に想定外がないか確認を続けるとよいでしょう。

5. 委託先を選ぶときのポイント

システム改修を外部に委託する場合は、料金の安さだけでなく、制度と業務の両方を理解して伴走してくれるかどうかで選ぶことが重要です。給与や社会保険の実務に明るく、改修の勘所を押さえている相手であれば、要件の伝達がスムーズになり、後戻りを防げます。過去に同種の法改正対応を手がけた実績や、勤怠・会計など周辺システムとの連携に対応できる体制があるかも確認しておきたいところです。施行時期という期限がある改修だからこそ、スケジュールを守って進められるかどうかを、依頼前に見極めておくと後の負担を抑えられます。上流の要件整理から実装・テストまで一貫して任せられる相手なら、窓口が分散せず、やり取りの負担も軽くなります。

6. まとめ

2026年の社会保険適用拡大では、106万円の壁と呼ばれた賃金要件が撤廃され、週20時間以上の短時間労働者が新たに加入対象となります。加入対象者の判定や保険料の計算はシステムに組み込まれているため、給与・勤怠システムの改修とセットで対応を考える必要があります。対象者の洗い出し、システムの改修とテスト、運用開始と従業員周知という順で、施行時期から逆算して段階的に進めるのが現実的です。社内のリソースだけで対応しきれない場合は、制度と業務を理解した委託先の力を借りることも、期限を守りながら品質を保つ有効な選択肢になります。まずは対象者の把握と自社システムの現状確認から始めてみてはいかがでしょうか。

LASSICに相談するメリット

LASSICは元請(プライムベンダー)として、給与・勤怠・会計など基幹業務システムの改修や連携開発を数多く手がけてきました。法改正に伴うシステム改修では、制度要件の整理から実装・テスト・本番反映まで一貫して支援できます。施行時期に間に合うよう逆算した進め方のご提案もお任せください。自社システムの現状確認や影響範囲の切り分けからでも、お気軽にご相談いただけます。

よくある質問

2026年の社会保険適用拡大で何が変わりますか?

2026年10月に、月額8.8万円という賃金要件(いわゆる106万円の壁)が撤廃されます。これにより、週20時間以上働く短時間労働者は、賃金の額にかかわらず社会保険の加入対象になる方向です。4月には被扶養者認定の判定方法も見直される予定です。

給与システムのどこを改修する必要がありますか?

勤怠データから加入対象者を判定するロジック、社会保険料の計算・控除の範囲、扶養判定の設定、料率マスタ、通知帳票などが対象になります。とくに勤怠と連動した対象者の判定は影響が大きいため、優先して確認するとよいでしょう。

パッケージ製品を使っていれば対応は不要ですか?

多くのパッケージやクラウドサービスは提供元が改正に対応したアップデートを行いますが、それだけで完結しないこともあります。自社独自の運用や他システムとの連携部分は、追加の設定や改修が必要になる場合があるため、対応範囲を切り分けて確認しておきましょう。

改修はいつから準備すればよいですか?

施行時期から逆算して、余裕をもって準備するのが望ましいでしょう。対象者の洗い出し、システムの改修、テスト、従業員への周知には相応の期間がかかります。施行月の給与計算でつまずかないよう、テスト期間を十分に確保しておくことをおすすめします。

社内にリソースがない場合はどうすればよいですか?

制度と業務を理解した委託先に改修を任せる選択肢があります。要件の整理は社内で押さえつつ、実装やテストを委託すると、限られた人手でも期限を守りやすくなります。過去の法改正対応の実績や、周辺システムとの連携に対応できる体制を確認して選ぶとよいでしょう。

著者:テレリモ総研編集部 鈴木 亮佑


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  1. *1 出典:厚生労働省「社会保険適用拡大特設サイト」および政府・関係機関による2026年施行の社会保険制度改正(賃金要件の撤廃・被扶養者認定・保険料率)の解説に基づく


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